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「最新の日本の外国人雇用状況が知りたい!」「外国人を雇うには特別な知識が必要?」と考える企業は多いでしょう。日本で働く外国籍の方は労働基準法や最低賃金法のほかに、入管法も適用されます。任せられる業務が限定されることが多いので、外国人雇用を検討している企業は適切な知識を身につけましょう。このコラムでは、外国人雇用の基礎知識や雇用主の提出が義務づけられている「外国人雇用状況届出書」について解説します。
目次
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厚生労働省が毎年1月末ごろに発表する「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ」は、外国人労働者の雇用主が提出する「外国人雇用状況届出書」をもとにしたデータです。ここでは「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ」を参考に、国籍別・在留資格別・産業別の外国人労働者の状況を紹介します。
2022年10月末時点で日本で働いている外国人は、1,822,725人です。前年と比較すると95,504人増加しています。
日本で働く外国人労働者約182万人の国籍トップ3は以下のとおりです。
1位:ベトナム(462,384人)
2位:中国(385,848人)
3位:フィリピン(206,050人)
上位3ヶ国の人数を合計すると、日本で働く外国人労働者の過半数を占めます。外国人雇用を検討している企業は、上記の国出身の人材を採用する可能性を考えて、受け入れ準備を進めると良いでしょう。なお、外国人労働者の対年増加率が高い上位3ヶ国は、インドネシア・ミャンマー・ネパールです。アジア諸国から日本に働きに来る人は多く、各国への理解を深めておくと採用の際に役立つでしょう。
外国人労働者が有する在留資格トップ3は以下のとおりです。
1位:身分に基づく在留資格(595,207人)
2位:専門的・技術的分野の在留資格(479,949人)
3位:技能実習(343,254人)
身分に基づく在留資格とは、永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等の4種類。ほかの外国人労働者と違って、日本で行える行動に制約を受けないことが特徴です。在留資格を気にせず幅広い業務を任せられるのは、企業にとって魅力的でしょう。
専門的・技術的分野の在留資格は「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」など、就労を目的とした在留資格の総称です。一方、在留資格「技能実習」は日本で実際に働き、母国の発展に役立つ技術・知識を身につけることを目的とする人材に付与されます。
「外国人労働者の受け入れが多い職種は?技能実習や特定技能の業種も紹介」では、外国人労働者を受け入れるメリット・デメリットを解説しています。技能実習・特定技能がどのような在留資格か、どの仕事を任せられるかも紹介しているので参考にしてください。
外国人労働者が多い産業トップ3は以下のとおりです。
1位:製造業(485,128人)
2位:サービス業(296,700人)
3位:卸売・小売業(237,928人)
製造業は人手不足に悩まされている業界ということもあり、外国人労働者の雇用が盛んです。また、インバウンド需要への対応のために、外国人雇用を行うサービス業、卸売・小売業を営む企業もあります。人手不足や外国人顧客への対応など、さまざまな問題への対応で外国人労働者が活躍するでしょう。
2022年10月末時点で外国人雇用を行う事業所は298,790所です。外国人雇用を行う事業所は、年々増加傾向にあります。なお、外国人を雇用する事業所の規模は「従業員数30人未満」がほとんど。人手不足に陥りやすい中小企業ほど、国籍を問わない採用に踏み切っているといえます。
参照元 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)」
文化の違いやコミュニケーションによるトラブルなど、日本人とは異なる問題があるのが外国人雇用の課題です。十分な知識がないまま外国人労働者を受け入れると、トラブルが発生したり早期離職につながったりする可能性もあるでしょう。
異文化理解が不十分なために、外国人雇用を進められない事例はよくあります。国籍に関わらず働きやすい環境でなければ、外国人雇用は上手くいきません。文化の違いによる配慮や日本人の従業員からの理解など、外国人を受け入れるにはさまざまな下準備が必要です。外国人雇用に詳しい社労士や行政書士に相談しつつ、受け入れ準備を進めましょう。
外国人雇用で問題になりやすいのが文化や言語の違いによるトラブルです。生まれ育った国が違えば常識も異なるのは当然。従業員同士が相手の生い立ちや文化を尊重できるように、事前に異文化理解を促進するミーティングを行いましょう。多様性を認めることで発想が柔軟になり、会社にも良い影響をもたらす可能性があります。
トラブルを未然に防ぐには、相手を理解して親睦を深めようとする心掛けが大切です。「外国人とのコミュニケーションで大切なこととは?難しいと感じる理由も解説」では、会話の際に意識すべきポイントを紹介しています。コミュニケーションでお悩みの方は、ぜひチェックしてみましょう。
近年外国人雇用では、日本人との不当な賃金格差や劣悪な環境での労働が問題視されています。法律を守って雇用を行う事業所が大半を占める一方で、外国人に不法就労を強制したりハラスメント行為を行ったりする事件が起きているのも事実です。外国人雇用を行う際は、適正に雇用管理できているかを定期的に確認しましょう。
外国人労働者には就労制限や在留期間があるなど、日本人とは異なる点が多々あります。雇用主が正しい知識を身につけなければ、せっかく雇用した人材が不法就労になってしまうことも。雇用した企業側も不法就労助長罪に問われかねません。外国人雇用に関する法律や制度の知識が不十分な企業の場合は、行政書士や弁護士などの専門家に依頼するのが安心です。
外国人雇用を行う際、雇用主はハローワークに「外国人雇用状況届出書」を提出するのが義務です。外国人の受け入れに必要な知識なので、提出先や記入事項をよく覚えておきましょう。
外国人雇用状況届出書の提出先はハローワークです。外国人を受け入れる勤務先を管轄するハローワークに、必要事項を記載して提出してください。
外国人雇用状況届出書に記載するのは、以下の内容です。
外国人の氏名
在留資格
在留期間
外国人の生年月日
国籍(地域)
資格外活動許可の有無
在留カード番号
雇入れ年月日(雇用時のみ)
離職年月日(離職時のみ)
外国人雇用状況届出書は、雇用時だけでなく離職時にも提出する書類です。外国人が持つ在留カードを見ながら記入項目を埋めていきましょう。なお、事業主が事業所の名称や所在地、電話番号、氏名を書く欄もあるので忘れずに記載してください。
外国人の不法就労が発覚した場合、本人と雇用主が罪に問われます。外国人は不法就労により在留資格を取り消しされ、出国命令、もしくは退去強制によって母国に帰されるでしょう。また、一定の期間日本に入国できません。
企業の場合は不法就労助長罪に問われ、3年以下の懲役か300万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます。不法就労があった企業という印象を持たれるため、その後の採用活動にも支障をきたすでしょう。企業のイメージダウンを避けるためにも、外国人雇用は細心の注意を払う必要があります。
参照元 出入国在留管理庁「退去強制手続と出国命令制度」 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
日本で働く外国人労働者も受け入れ事業所数も、年々増加傾向にあります。背景には日本の国際化促進やインバウンド需要の増加、国籍に関わらない優秀な人材の採用強化などがあるでしょう。
外国人が安心して働ける環境を整えるには、企業側が十分な知識を身につけることが大切。外国人雇用状況届出書の書き方をはじめ、必要な知識を身につけて適正な雇用管理を行ってください。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net