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「特定技能評価試験とは?」「自社で外国人を雇用するには何を受験してもらえば良いの?」と疑問に思う企業の方もいるでしょう。特定技能評価試験は、外国人が日本で就労する際に必要な在留資格「特定技能」を得るために受験します。このコラムでは、技能試験14業種の試験実施国や実施方法などを詳しく解説するので、外国人を雇用する際の参考にしてください。
目次
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特定技能評価試験とは、在留資格「特定技能」を得るために受ける「日本語試験」と「技能試験」を指します。特定技能評価試験を受ける外国人は、分野に関わらず日本語試験を受験しなければなりません。技能試験は介護や建設、外食などの14業種があり、行う業務に合った業種を選んで受験します。「日本語試験」と「技能試験」の両方が一定レベル以上あると認められれば、在留資格「特定技能」の取得が可能です。なお、試験を主体する機関が業種ごとに異なるため受験の際は確認しましょう。
特定技能評価試験に合格または一定以上の結果を出すと、在留資格「特定技能」の本人要件を満たせます。この在留資格を持つ外国人は、その業種で単純作業を含めた就労が可能です。他業種での就労は認められていません。なお、第2号~第3号技能実習を良好に修了した外国人は、特定技能評価試験が免除され、「特定技能」へ変更できます。
関連記事:「就労ビザ(在留資格)は難しくない!全19種類のうち外国人採用に関わるビザはどれ?」
全分野共通で受ける日本語試験は、「日本語能力試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト」の2種類です。特定技能評価試験を受験する外国人は、どちらかを受けて合格する必要があります。
「日本語能力試験(JLPT)」は、母国語が日本語でない外国人の日本語理解度を測り、認定するための試験です。やさしいレベルから順に、N5・N4・N3・N2・N1の全5段階あります。特定技能の在留資格を得るためには、N4レベル以上の取得が必要とされ、目安は基本的な日本語の読み書き、および会話ができる程度です。試験の紹介を以下で説明します。
試験の回数…年2回(地域によっては年1回)
試験会場…日本の主要都市、海外約80の国と地域
試験の方法…マークシート方式
試験科目…語彙や文法および文字の言語知識、読解力、聴解力
試験の主体…独立行政法人国際交流基金、日本国際教育支援協会
なお、日本語能力試験では、日本文化の知識に関わる問題は出題されません。
参照元 日本語能力試験JLPT「日本語能力試験とは」
「国際交流基金日本語基礎テスト」は、日本で生活するためのコミュニケーション能力を測る試験です。やさしいレベルから順に、A1・A2・B1・B2・C1・C2の6段階あります。特定技能の在留資格を得るにはA2レベル以上が必要です。A2レベルは、生活に支障がない程度に日本語で日常的な会話ができるレベルになります。試験の紹介は以下です。
試験の回数…年6回
試験会場…日本、海外(アジア地域)
試験の方法…コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
試験科目…文字と語彙、会話と表現、聴解、読解
試験の主体…独立行政法人国際交流基金
日本語を話したり、文章を書いたりする問題は出題されません。なお、介護分野は日本語試験とあわせて、「介護日本語評価試験」にも合格する必要があります。
参照元 独立行政法人国際交流基金日本語基礎テスト
ここでは「技能試験」14業種の試験名称と試験実施場所、試験の方式などを紹介します。
試験名称…介護技能評価試験
試験実施場所…国内47都道府県160カ所、海外6カ国
試験の方法…コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
試験の主体…厚生労働省
海外で介護技能評価試験を実施している国は、フィリピン・インドネシア・モンゴル・カンボジア・ミャンマー・ネパールの6カ国です。技能試験と同じ日に、「介護日本語評価試験」も受験する必要があります。
特定技能「介護」については、「介護業界で特定技能外国人を雇用するには?企業にメリットや注意点を解説」のコラムもご確認ください。特定技能以外の介護業界で就労できる在留資格についてもまとめているので、ぜひ参考にしてみましょう。
試験名称…ビルクリーニング特定技能1号評価試験
試験実施場所…国内主要都市、海外はミャンマーとフィリピン
試験の方法…作業試験および判断試験
試験の主体…公益社団法人全国ビルメンテナンス協会、厚生労働省
ビルクリーニング分野の技能試験では、学科試験を行いません。写真やイラストを使用した「判断試験」と、ビルクリーニング作業を行う「作業試験」の2つに合格する必要があります。
試験名称…製造分野特定技能1号評価試験
試験実施場所…国内数カ所、海外はインドネシアとフィリピン
試験の方法…ペーパーテスト、製作等作業試験方式、コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
試験の主体…経済産業省
「素形材産業分野」「産業機械分野」「電気・電子情報関連産業分野」の3つをまとめて「製造業の3分野」と呼び、試験名称や試験実施場所などは3分野共通です。溶接試験は北九州・広島・神奈川・名古屋で実施し、溶接以外の実技試験と筆記試験は東京・名古屋・大阪・福岡で行います。
試験実施場所…国内は福岡と静岡および千葉、海外はベトナムとフィリピン
試験の方法…コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
試験の主体…一般社団法人建設技能人材機構、国土交通省
学科試験のほか、職種に基づく実技試験や作業判断を行います。ただし、「トンネル推進工」は、学科試験と日本語のコミュニケーション能力を測る判断試験、および口頭試験で判定を行うようです。
試験名称…造船・船舶工業特定技能1号試験
試験実施場所…国内の希望場所、海外はフィリピンとインドネシア
試験の方法…ペーパーテスト、作業試験
試験の主体…一般財団法人日本海事協会、国土交通省
試験の場所は指定されておらず、受験者の希望場所に試験監督者が訪れて試験を行います。また、日程も決まっていません。ただし、技能試験で使用する場所をはじめ、設備や機材などを企業が準備する必要があります。
試験名称…自動車整備特定技能評価試験
試験実施場所…国内47都道府県160カ所、海外はフィリピンの4都市
試験の方法…コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
試験の主体…一般社団法人日本自動車整備振興会連合会、国土交通省
学科試験と実技試験の両方を行います。イラストや図を使用し、状況判断力を測る問題も出題されるようです。
試験実施場所…東京(空港グランドハンドリング)、モンゴル(航空機整備)
試験の方法…ペーパーテスト、判断試験、作業試験
試験の主体…公益社団法人日本航空技術協会、国土交通省
技能試験名称は、「航空分野:空港グランドハンドリング」と「航空分野:航空機整備」の2つがあります。空港グランドハンドリングの技能試験は東京のほか、フィリピンで実施した年もあるようです。
詳しくは、「特定技能「航空」とは?制度の概要や外国人雇用時の注意点を企業へ向け解説」でもまとめているので、一度ご確認ください。
試験名称…宿泊業技能測定試験
試験実施場所…国内主要都市
試験の方法…ペーパーテスト、コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
試験の主体…一般社団法人宿泊業技能試験センター、国土交通省
実技試験では接客業務をはじめ企画・広報、安全衛生など、宿泊業の基礎知識と技術の有無を測ります。
試験実施場所…国内47都道府県160カ所、海外数カ国
試験の方法…ペーパーテスト、コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
試験の主体…一般社団法人全国農業会議所、農林水産省
農業分野には、「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の2種類があります。海外ではフィリピン・カンボジア・インドネシア・ミャンマーなどで試験を実施しているようです。
試験名称…漁業技能測定試験
試験実施場所…インドネシアとフィリピン
試験の方法…ペーパーテスト、コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
試験の主体…一般社団法人大日本水産会、農林水産省
漁業分野の試験は海外のみで行われており、国内では実施していません。また、「漁業」と「養殖業」の2科目があり、一つずつ申込みをして受験します。
試験名称…飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験、外食業特定技能1号技能測定試験
試験実施場所…国内約10の地域、海外数カ国
試験の方法…ペーパーテスト、コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
試験の主体…一般社団法人外国人食品産業技能評価機構、農林水産省
国内では東京・大阪・愛知などで実施しています。海外の試験実施国はフィリピン・タイ・インドネシアなどです。接客業や衛生管理にまつわる実技試験を行い、飲食料品製造あるいは外食業に関わる基礎知識があるかどうかを測ります。
「特定技能「外食業」はどのような在留資格?」でも、特定技能「外食業」の在留資格の概要を紹介しています。内容を参考にして、特定技能外国人の受け入れを検討してみましょう。
多くの特定技能評価試験で日本語を使用しますが、外国人が受験しやすいようにルビを付けたり、外国語表記をしたりするなどの対応をしています。なお、試験実施国や地域および実施日程は、受験希望者の人数によって変更する可能性があるため、受験前に必ず確認しましょう。
関連記事:「特定技能1号と2号の違いとは?【2023年6月に方針変更決定】」
参照元 出入国在留管理庁「試験情報」
特定技能評価試験は、外国人が日本で就労するうえで必要な在留資格「特定技能」を取得するための試験です。ただし、「日本語試験」と「技能試験」の両方で、一定以上の結果を出さなければ「特定技能」を取得できません。企業は自社で外国人を雇用する際、どの試験を受験してもらう必要があるかを把握しておきましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net