特定技能「介護」の外国人を雇用するには?メリットや注意点を解説

2023年08月09日
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特定技能は人手不足の業界のために創設された在留資格で、介護を含む12分野が対象です。特定技能「介護」を持つ外国人は、介護分野において幅広い業務に従事できます。
このコラムでは、特定技能「介護」の在留資格の概要や、特定技能外国人を受け入れる企業の注意点を解説。特定技能以外の介護業界で就労できる在留資格についてもまとめています。内容を参考にして、外国人雇用をスムーズに進めましょう。

 

目次

  1. 特定技能「介護」とは?
  2. 特定技能「介護」取得のために受験が必要な試験
  3. 特定技能「介護」の外国人を雇用するメリット
  4. 特定技能「介護」の外国人を雇用する際の注意点
  5. 介護業界で雇用できる特定技能以外の在留資格
  6. 特定技能「介護」から在留資格「介護」への移行も可能
  7. まとめ

特定技能「介護」とは?

特定技能「介護」とは?の画像

特定技能は、特定の業界の人手不足を解消するために創設された在留資格です。対象業種は12業種あり、介護職もそのなかに含まれます。日本は少子高齢化の影響で、今後も介護サービスを利用する人が増えていくと予想されるため、外国人雇用の促進は急務といえるでしょう。

特定技能「介護」を持つ外国人が行える業務

特定技能の在留資格を持つ外国人は、介護サービス利用者の身体介護と付随する支援業務に従事できます。身体介護とは利用者の入浴や食事、排泄の補助などの行為です。また、支援業務としてレクリエーションの実施や機能訓練のサポート、物品の管理業務もできます。技能実習生には許可されていない夜勤も可能なので、事業所の大きな助けになるでしょう。

特定技能「介護」人材の施設ごとの受け入れ可能な人数

1つの事業所で受け入れる特定技能外国人の人数は、常勤介護職員の数を上回ってはいけません。常勤介護職員には、日本人だけでなく在留資格「介護」や身分に基づく在留資格を持つ外国人も含まれます。

外国人が介護業界で働く際の在留資格は?企業に向けて解説」では、介護にまつわる在留資格について詳しく解説しています。外国人雇用を検討している介護事業者の方は、参考にしてみてください。

参照元
厚生労働省
「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針

特定技能「介護」取得のために受験が必要な試験

特定技能「介護」取得のために受験が必要な試験の画像

外国人が特定技能の在留資格を得るには、技能試験と日本語能力を測る試験を受ける必要があります。特定技能「介護」の場合は、加えて介護日本語評価試験にも合格しなくてはなりません。

介護技能評価試験

介護技能評価試験で行われるのは、学科試験と実技試験の2つ。学科試験では、介護の基本や心と体の仕組みなどが出題されます。実技試験では、写真から正しい介護の手順などを判別・判断する能力を測ります。試験はコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式で、日本のほかベトナムやフィリピンなどでも受験可能です。

日本語能力を測る試験

特定技能の在留資格を得るには、「日本語能力試験(JLPT)」のN4レベル、もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格しなくてはなりません。日本語能力試験(JLPT)はマークシート方式、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」はCBT方式で行われます。

介護日本語評価試験

特定技能「介護」の在留資格を得るには、JLPTやJFT-Basicで該当のレベルを取得するのに加え、介護分野に特化した日本語試験にも合格する必要があります。介護業務は専門用語が多く、高度なコミュニケーション能力が求められるためです。

介護日本語評価試験は、パソコンを用いるCBT方式で行われます。試験内容は「介護のことば」「介護の会話・声かけ」「介護の文章」から5問ずつ出題され、試験時間は30分です。

なお、介護分野にて技能実習2号を良好に修了した外国人は、日本語能力に関する試験が免除されます。また、行おうとする業務と技能実習で実施していた作業内容が一致する場合、介護技能評価試験の受験も必要ありません。

特定技能の試験については「特定技能評価試験とは?介護や外食など在留資格を得られる14業種を紹介!」のコラムでも詳しくまとめています。

特定技能「介護」の外国人を雇用するメリット

特定技能「介護」の外国人を雇用するメリットの画像

特定技能「介護」の外国人を雇用するメリットは、幅広い業務に従事できる点です。技能実習の在留資格では、行える業務に一定の制限があります。一方、特定技能「介護」は訪問介護サービス以外であれば、従事が可能です。日本語能力と技能試験に合格しているため、一定のスキルも望めます。
また、特定技能「介護」と比べると取得がしやすいので、母数が多く採用しやすいのもメリットといえるでしょう。

特定技能「介護」の外国人を雇用する際の注意点

特定技能「介護」の外国人を雇用する際の注意点の画像

特定技能の在留資格を持つ外国人は、訪問介護事業所では雇用できないので注意しましょう。そのほかにも、雇用する企業が守らなければならないルールが存在します。以下で詳しく説明するので参考にしてください。

訪問介護サービスでは雇用できない

特定技能「介護」では、訪問介護に携わる業務はできません。サービス付き高齢者住宅や住居型の介護施設での就労も不可です。理由は、利用者と外国人双方の人権を守り在留管理を適切に行うためとされています。特定技能外国人は特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスなどで雇用しましょう。

ただし、2023年7月24日、厚生労働省の有識者検討会が、特定技能外国人の訪問介護サービス従事についての議論に着手しました。背後には、より加速する人手不足および訪問介護サービスの需要増加があります。今後、訪問介護サービスに特定技能外国人が従事できる可能性もあるので、最新情報をチェックしましょう。

雇用形態や報酬の決まりを厳守する

特定技能「介護」の在留資格を持つ外国人は正社員として雇用する必要があります。アルバイトや派遣社員としては雇えないので注意しましょう。また、報酬は同じ仕事をする日本人と同等もしくはそれ以上を支払います。外国人の報酬を不当に低くした場合、特定技能外国人の在留資格の許可が下りなくなる可能性があるでしょう。

介護業界で雇用できる特定技能以外の在留資格

介護業界で雇用できる特定技能以外の在留資格の画像

介護業界で外国人が働ける在留資格は、「特定技能(介護)」「介護」「技能実習」「特定活動(EPA介護福祉士候補者)」の4種類あります。それぞれの違いは以下のとおりです。

在留資格

特定技能「介護」

在留資格「介護」

技能実習「介護」

特定活動「EPA」

在留期間

最長5年
(更新不可)

事実上無期限
(更新可)

最長5年
(更新不可)

4年(国家試験に不合格の場合は1年延長可)

日本語能力の目安

N4

N2

N4

N5~N3

関係期間

登録支援機関

無し

監理団体

送り出し機関

受け入れ人数

日本人等の常勤職員を超えない

制限なし

常勤職員の人数によって変わる

1ヶ国2名以上5名以下

また、このほかに身分に基づく在留資格でも就労可能です。以下では、特定技能「介護」以外の3つの在留資格について解説します。

介護

介護の在留資格を得るには、介護福祉士国家試験に合格して資格を取得する必要があります。介護福祉士の資格取得ができる大学や専門学校を卒業し、資格を得るルートが一般的です。また、2020年の上陸基準省令改正からは専門の教育機関を卒業していなくても、介護の在留資格が得られるようになりました。具体的には、介護施設で3年以上実務経験を積み、実務者研修を経て介護福祉士の国家試験に合格する方法です。なお、介護福祉士の試験は日本語で行われるため、外国人にとっての難易度は高いでしょう。

詳しくは、「在留資格「介護」を持つ外国人の採用について、最新情報を解説」でもまとめていますので。ぜひ、ご一読ください。

技能実習

技能実習生は介護分野でも受け入れられます。技能実習生の在留期限は通常1年ですが、技能試験に合格することで最大5年の在留が可能です。なお、技能実習の在留資格は特定技能のように人手不足を解消するためにできたわけではありません。あくまで、開発途上国出身の外国人に日本の技術を移転する「人づくり」が目的です。そのため、技能実習生を労働力の補填として扱えないことを頭に入れておきましょう。

特定活動(EPA介護福祉士候補者)

EPA介護福祉候補者は、特定活動の在留資格のもと介護業務を行えます。EPAとは二国間の経済連携協定のことです。EPAは特定の国同士の経済連携を強化するのが目的であり、EPA介護福祉候補者に選定された外国人は、日本の介護施設で実務者研修を経て介護福祉士の資格取得を目指します。なお、EPA介護福祉士候補者を受け入れているのはベトナム、インドネシア、フィリピンの3ヶ国からのみです。各国によって、EPA介護福祉士候補者に選ばれる要件は異なります。

特定技能「介護」から在留資格「介護」への移行も可能

特定技能「介護」から在留資格「介護」への移行も可能の画像

特定技能「介護」から、在留資格「介護」へ移行することで、外国人は長く日本で働けるようになります。特定技能の在留資格で日本に在留できるのは最長5年です。5年経過したら通常は帰国しなくてはなりません。しかし、3年以上実務経験を積んだうえで介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」に在留資格を変更できます。在留資格「介護」は、更新に上限がありません。在留期間更新許可申請が許可されれば、半永久的に日本で働けます。

まとめ

まとめの画像

特定技能「介護」の在留資格は、介護業界の人材不足を解決する糸口になります。人手不足で困っている介護事業者は、このコラムを参考にして外国人雇用に踏み出してみましょう。

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