外国人が介護業界で働く際の在留資格は?企業に向けて解説

2021年11月09日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

「外国人は介護施設で雇っても良いの?」「在留資格は何に該当するの?」と疑問に思う介護事業者の方もいるでしょう。介護職に従事する外国人の代表的な在留資格は「介護」です。そのほかにも、介護施設で働くことを認められている在留資格があります。このコラムでは、介護にまつわる在留資格について詳しく解説。外国人雇用を検討している介護事業者の方は、このコラムをぜひ参考にしてください。


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目次

  1. 外国人が介護職で働く際の在留資格は?
  2. 介護職で外国人を雇用するメリット
  3. 介護職で外国人を雇用するデメリット
  4. まとめ

外国人が介護職で働く際の在留資格は?

外国人が日本で介護職に従事するには、介護施設での就労が認められている在留資格が必要です。2017年に介護職のための在留資格「介護」が新設されたことにより、介護の仕事をする外国人を取り巻く環境は大きく変わりました。外国人の介護職従事が許可される在留資格は「介護」を含め全部で4種類あり、それぞれ取得の要件が異なります。以下で詳しく説明しますので、外国人雇用を考えている介護事業者の方は参考にしてください。

介護

在留資格「介護」は、2017年の出入国管理及び難民認定法の改正により、新しく制定された在留資格です。介護の在留資格を得るには、介護福祉士の国家試験に合格し資格を取得する必要があります。2017年から2020年までは、介護福祉士の養成施設を卒業したうえで、介護福祉士の国家試験に合格した外国人にのみ介護の在留資格が許可されていました。しかし、2020年の上陸基準省令の改正により、ほかの在留資格で実務経験を積んだあとに介護福祉士の国家試験に合格した外国人にも、介護の在留資格が許可されるようになったのです。2020年からは、介護福祉士の養成学校に通っていなくても、3年以上介護施設で経験を積み、実務者研修を経て介護福祉士国家試験に合格すれば介護の在留資格での就労ができます。この上陸基準省令の改正により、外国人の介護職での就労の間口が一気に広がったといえるでしょう。

技能実習

発展途上国に日本の技能を移転するための在留資格「技能実習」でも、介護職に従事できます。技能実習の在留資格は、最長でも5年の滞在です。しかし、技能実習の在留期間内に実務経験を積み、介護福祉士国家試験に合格して介護福祉士の資格を取得すれば、介護の在留資格への変更が可能になります。介護の在留資格を取得すれば永続的に勤務可能であるため、長期での就労を目指す外国人には、介護福祉士の資格取得を勧めてみましょう。

特定活動

特定活動の在留資格で介護職に従事できるのは、EPA介護福祉士候補者です。EPA介護福祉士候補者とは、経済連携協定のもと、日本で介護福祉士を目指す外国人のことを指します。EPA介護福祉候補者を受け入れているのは、フィリピン・インドネシア・ベトナムの3カ国です。「母国で看護や介護に関する教育機関を卒業していること」「日本語能力試験の〇レベルを取得していること」などといった条件が国ごとに定められています。

特定技能

特定技能とは、人材不足の業界で働く外国人に許可される在留資格です。本来、外国人が就労可能な在留資格を得るには、対象の在留資格にまつわる学歴や実務経験が必要となります。しかし、特定技能の在留資格は、ほかの在留資格と比較して取得の要件が緩やかです。特定技能の在留資格は、介護のほかに「建設」「外食業」「農業」などがあり、全て人材不足が深刻な業界です。

参照元
出入国在留管理庁
介護

介護職で外国人を雇用するメリット

ここでは、介護職で外国人を雇用するメリットを紹介します。人材不足が解消されるほか、外国人視点での新しい介護が提案できるのがメリットです。また、利用者と介護者のコミュニケーションが増え、介護施設の雰囲気が明るくなることも期待されます。

人材不足が解消される

外国人を雇用することにより、人材不足が解消される可能性があります。介護業界は、深刻な人手不足が叫ばれている業界です。高齢化によりニーズが増えているのにも関わらず、介護従事者はなかなか増えていきません。採用を日本人に限定せず、外国人人材も積極的に雇用することは、長期的に見ると人材不足の解消に繋がります。なお、外国人を雇用するときには、ただやみくもに採用するだけでなく、長く定着して働いてもらえるような環境整備が必要でしょう。

新しい視点での介護ができる

介護施設で外国人を雇用すると、新しい視点での介護ができるきっかけになるでしょう。日本人と外国人では、生活様式や文化が大きく異なります。そのため、日本人では思いつかないような利用者への接し方ができたり、アイデアが生み出されたりすることもあるのです。たとえば、日本では「介護=サービス」という考えが根強くあります。しかし、海外の介護は「基本的には自分でやってもらう」「必要なときだけ手助けをする」といった考えが主流です。そのような考えを持つ外国人が介護を行うことにより、利用者の自立が促され、状態が以前より回復することもあります。介護業界で働く外国人は、日本人の「今までこうしていたから」といった考え方を変え、新しい風を吹き込んでくれる存在といえるでしょう。

利用者とのコミュニケーションが増える

外国人を雇用すると、利用者と介護者と施設利用者のコミュニケーションが増え、施設の雰囲気が明るくなるというメリットも期待できます。EPA介護福祉士候補者をフィリピン・ベトナム・インドネシアの3カ国から受け入れていることから、日本で介護職に就いている外国人は東南アジア出身の方が多いようです。個人差はありますが、東南アジア出身の外国人は、国民性から明るく活発な人が多いため、利用者とも明るく接することができるでしょう。利用者の中には、外国人の介護者とお互いの国の言葉を教え合ったり、今まで知らなかった文化に触れたりすると、気持ちが明るく前向きになる方もいるようです。

在留資格「介護」を持つ外国人の採用について、最新情報を解説」や「介護業界で特定技能外国人を雇用するには?企業にメリットや注意点を解説」では、特定技能「介護」の在留資格の概要や、特定技能外国人を受け入れる企業の注意点を解説しています。内容を参考にして、外国人雇用をスムーズに進めましょう。

介護職で外国人を雇用するデメリット

介護職での外国人の雇用には、少なからずデメリットも存在します。言語や文化の違いによるトラブルや、教育に時間がかかる点がデメリットとして挙げられるでしょう。

言葉や文化の違いによるトラブルが起きる可能性がある

外国人を介護職で雇用すると、言葉や文化の違いによるトラブルが起こる可能性があります。施設を利用する高齢者の中には、昔ながらのマナーやしきたりを重視する方もいるでしょう。「外国人だから大目にみよう」と考えられる人ばかりではありません。利用者が外国人の行動を良く思わず、揉め事になる場合もあります。また、対利用者だけではなく一緒に働く日本人の介護従事者とも、言葉や文化の違いが原因でトラブルになることもあるでしょう。外国人を雇用する際は、以上の点を考慮して、働き始める前に日本のルールやマナーを一通り指導する必要があります。

教育に時間が取られる

外国人が介護の現場で働く場合、教育に時間がかかることもデメリットとして挙げられます。介護職は、一歩間違うと利用者の命に関わる事故に繋がる仕事です。そのため、しっかり教育・指導を行ったうえで仕事を進めます。外国人への指導は、個人の能力差もありますが言葉や考え方の違いから、日本人より時間がかかるケースが多いでしょう。人材不足が深刻な介護の現場では、教育に時間が取られるのは大きなデメリットになります。

外国人の介護を受けることに抵抗のある利用者もいる

利用者の中に、外国人から介護を受けることに抵抗を感じる方がいる可能性も考慮しなくてはなりません。介護者には、普段人には見られない姿を見られます。国籍や人種は関係ないとはいえ、あまり外国人とコミュニケーションを取ったことのない利用者は、安心感のある日本人に介護してもらいたいと感じてしまう可能性も。まずは、利用者に外国人がどのような人物か知ってもらうことから始め、緊張が解けてから介護処置に入るなどの配慮が必要です。

まとめ

日本の国際化や在留資格に関する制度改正により、今後外国人が介護職に従事するケースが増えてくると予想されます。外国人を雇用する介護従事者は、介護にまつわる在留資格の概要や、受け入れる際に注意すべき点を把握しておく必要があるでしょう。

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