外国人技能実習制度とは?新制度についてわかりやすく解説!

2020年06月24日
中田直子 (監修)
日本ビザ国際行政書士事務所
当事務所は20年以上の経験豊富な弁護士と、入国管理法に詳しい行政書士・税理士が、アドバイザーや業務をしており、他社にはない法律に基づいた交渉力がございます。これらを生かし、丁寧なコンサルティングの上、お客様のご要望にあわせて最適なサポートと各種ビザ申請業務をいたします。また、リーズナブルな価格で特定技能ビザの登録支援機関として外国人の日常生活のサポートや外国人採用コンサルティング等もしています。(2019年はボランティアで、無料で登録支援機関の外国人サポートをしました)皆さまのご希望を叶えられるようベストを尽くします。資格:行政書士資格(入国管理取次資格)/税理士資格/TOEIC950点/ニューヨーク大学留学、アメリカでの勤務経験あり。 http://visa-nihon.com/

外国人技能実習制度には、内閣府所管の公益財団法人国際人材協力機構によると「我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進」という目的があります。あくまでも技術の伝達という趣旨があり、安い労働力として海外から人を雇用するための制度ではありません。これまで、日本の雇用者が技能実習生を最低賃金を下回る賃金で働かせたり、サービス残業や長時間労働を課したりするなど、技能実習生が不当な扱いを受けているという報告が後を絶ちませんでした。そこで、2017年4月1日に施行された「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)では「技能実習は、労働力の受給の調整手段として行われてはならない」と明記され、日本の労働力不足を補うものではないことを明確にしました。具体的に技能実習法に基づいた新制度とはどのようなものでしょうか?

外国人技能実習制度とは?

外国人技能実習制度とは、簡単に言うと外国人の人材育成制度です。日本が受け入れた海外の技能実習生に日本の技術や知識を伝え、彼らが帰国してから母国の経済発展に貢献することが趣旨です。

実習生は様々な手続きを経て来日します。まず、母国にある送出し機関(送出機関)に申請します。送出し機関は候補者を適切に選定し日本との橋渡しを行います。実習先は受入れ企業と呼ばれますが、半数は従業員10人以下の零細企業です。いずれにせよ実習先と雇用関係を結んでビザ申請の手続きをします。無事に日本に来ることができたら、まず技能実習1号として1年間実習を行い、その後試験に合格すれば2号になり2年間実習が許可されます。さらに3号になると2年間、合計5年間実習生として日本に滞在することが可能です。但し、2号、3号になるには試験に合格しなければならない他、対象職種が絞られているので注意が必要です。

・これまでの外国人技能実習制度の問題点

これまでの技能実習制度下では、受入れ企業や送出し機関によって様々な不正行為が行われていると報告されてきました。

  • 受入れ企業が技能実習生を低賃金労働者として働かせる

  • 受入れ企業が技能実習生に賃金を払わない

  • 送出し機関が技能実習生をあっせんし不当な利益を得る 

技能実習生に対するこれらの不当な扱いを是正するために、2017年に技能実習を適正に行うことを旨とする法律が公布され、現在では技能実習の新制度が実施されています。

・技能実習生の受入れ方式

外国人技能実習生受入れ方式には、「企業単独型」と「団体監理型」の2種類あります。実際には95パーセント以上が後者になります。

企業単独型

企業単独型とは、日本の実習実施者(受入れ企業等)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員等を雇用契約を結び直接受け入れる仕組みのことをいいます。

[海外の企業] [日本の企業等]

 技能実習生  →技能実習の実施

上記の「海外の企業」とは、以下の条件に合致する事業所です。

  • 日本の機関の支店、子会社、合弁会社

  • 日本の機関と1年以上取引または過去1年間に10億以上の取引の実績を有する事業所

  • 日本の機関と密接な関係を有すると法務大臣・厚生労働大臣が認める事業所

団体監理型

団体監理型とは、監理団体(事業協同組合等)が傘下の受入れ企業と送出し機関の間に立って技能実習生の受け入れを支援する仕組みです。

[海外の送出し機関] [監理団体]  [受入れ企業]

技能実習生     →各種申請の代行 →受入れ・技能実習の実施

団体監理型は、基本的に日本と送出し国の間で作成された二国間取決め(協力覚書)に基づいて技能実習生を受け入れます。二国間取決めには監理団体の許可や技能実習計画の認定を適切に行うことなどが明記されています。

参照:JITCO 公益財団法人 国際研修協力機構公益財団法人 国際研修協力機構

・技能実習生の入国から帰国までの流れ

技能実習生の入国から帰国までの流れは、以下のとおりです。

入国     一時帰国  
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
講習→実習 実習 実習 実習 実習
技能実習1号 技能実習2号 技能実習2号 技能実習3号 技能実習3号
↑技能検定基礎級相当受験 ↑技能検定3級相当受験    

↑技能検定2級相当受験

入国後、まず2か月程度の講習(座学)があります。日本語や日常生活に関する講義が中心です。その後、実習に入ります。技能実習生は次の号への移行の有無に関わらず、技能実習1号、技能実習2号、技能実習3号それぞれの修了までに技能検定の受験が必要です。これは優良な監理団体や実習実施者かどうかを測る指針になります。合格者が少なければ、きちんと指導、教育をしてないということになるからです。技能実習1号では修了の6ヶ月前までに、技能実習2号・技能実習3号では12か月前までに受験申請をします。受験は必須ですが、合格しなければ次の号に上がっていくことができません。

また、通常技能実習生の受入れ期間は3年であり、5年間受け入れられるのは「優良な実習実施者・監理団体」に限られています。

参照:新たな技能実習制度について

技能実習生とは?

外国人技能実習生とは、技能実習制度に基づき日本の企業と雇用契約を結んで、技能(=技術や知識)を学ぶために就労する外国人の研修生のことを指します。

・技能実習生受入れのメリット

企業が技能実習生を受け入れるメリットは、以下のとおりです。

  • 国際貢献ができる

  • 企業内の活性化に繋がる

  • 国際交流・国際理解が進む

  • 海外展開に役立つ

外国人技能実習生は、働く意欲が高く向上心があるため、日本人社員に働く姿勢を見直すきっかけを与えることになるかもしれません。また、外国人技能実習生が母国に帰ってからも関係を保てれば、現地情報の収集や人脈の拡大も見込めます。国際展開を考えている企業にとっては、技能実習生を受け入れることで事業拡大にも繋げられるでしょう。

・技能実習生の受入れ人数

技能実習生の受入れ人数には上限があります。

団体監理型の受入れ可能人数

1年間(第1号) 2年間(第2号) 優良な監理団体 優良な監理団体 優良な監理団体
1年間(第1号) 2年間(第2号) 2年間(第3号)
基本人数枠 基本人数枠の2倍 基本人数枠の2倍 基本人数枠の4倍 基本人数枠の6倍
実習実施者の常勤職員 技能実習生
301人以上 常勤職員の1/20
201人~300人 15人
101人~200人 10人
51人~100人 6人
41人~50人 5人
31人~40人 4人
30人以下 3人

企業単独型の受入れ可能人数

1年間(第1号) 2年間(第2号) 優良な実習実施者
1年間(第1号) 2年間(第2号) 2年間(第3号)
常勤職員の1/20 常勤職員の1/10 常勤職員の1/10 常勤職員の1/5 常勤職員の3/10

企業単独型であっても法務大臣及び厚生労働大臣が、継続的で安定的な実習を行えると認めた企業であれば、団体監理型と同じ人数を受け入れることが可能です。また、介護職種等の特別の事情がある職種では、事業所管大臣が定める人数を受け入れることができます。

参照:JITCO 公益財団法人 国際研修協力機構公益財団法人 国際研修協力機構

但し、実際には95%以上が団体監理型であり、その内7割程度が従業員30名以下の小規模の事業所となっています。

・技能実習生を受け入れられる職種

技能実習1号には職種や作業内容の制限はありませんが、技能実習生が以下の条件を満たしていることが必要になります。

  • 単純作業でないこと

  • 18歳以上で帰国後修得した技能を活かした業務に就く予定があること

  • 母国で該当の技能を修得することが困難であること

  • 送出し国、あるいは地方公共団体から推薦を受けていること

  • 技能実習と同種の業務に従事した経験があること

  • 送出し機関、監理団体、実習実施機関等から保証金などを徴収されないこと。また、違約金を定める契約が締結されないこと

技能実習2号の対象職種・作業は、82職種146作業あります(令和2年2月25日時点)

農業関係(2職種6作業)、漁業関係(2職種9作業)、建設関係(22職種33作業)、食品製造関係(11職種16作業)、繊維・衣服関係(13職種22作業)、機械・金属関係(15職種29作業)、その他(16職種28作業)、社内検定型の職種・作業(1職種3作業)です。具体的な職種や作業名を掲載するスペースがありませんので詳しくは厚生労働省のサイトで確認してください。

これらの職種や作業については増える方向で随時変化していますので、最新の情報を確認するようにしましょう。

参照:技能実習計画審査基準・技能実習実施計画書モデル例・技能評価試験試験基準

監理団体と実習実施者の役割

実習生制度には団体監理型と企業単独型の2種類がありますが、上述した通り、ほとんどが前者の型になります。その中のキープレーヤーである監理団体と実習実施者(受入れ企業)は、外国人技能実習生が適正で充実した実習を受けられるよう、また、不当な扱いを受けないように努める必要があります。

・監理団体とは

監理団体とは、技能実習生を受け入れる営利を目的としない団体のことを指します。具体的には、事業協同組合や商工会等です。これらの監理団体は、実習実施者で技能実習が適正に実施されているかを確認・指導します。

監理事業を行おうとする者は、主務大臣による監理団体としての許可を得なければなりません。

  • 営利を目的としない法人であること

  • 事業を適正に行うに足りる能力を有すること

  • 監理事業を遂行するに足りる財産的基礎を有すること

  • 個人情報を適正に管理できること

  • 外国の送出し機関と技能実習生の取次に係る契約を結んでいるこ

なお、受入れ人数を拡充したり受入れ期間を5年に延長したりするためには、「優良な監理団体」としての要件を満たす必要があります。

  • 実習の実施状況の監査その他の業務を行う体制

  • 技能等の修得等に係る実績

  • 法令違反・問題の発生状況

  • 相談・支援体制

  • 地域社会との共生

これらの要件を点数化し、満点(120点)の6割以上を満たせば「優良な監理団体」の基準に適合することとなります。

・実習実施者とは

実習実施者とは、実際に外国人技能実習生を受け入れ、技能実習を行わせる企業等のことを指します。これらの実習実施機関は、技能実習計画に沿って適正な技能実習を実施し、技能実習生の生活にも配慮する役割を担っています。

実習実習者は技能実習生ごとに技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構(厚生労働省の認可法人でこの制度の事務管理を委嘱されている)から認定を受けなければなりません。団体監理型の場合であれば、監理団体の指導を受けて技能実習計画の作成にあたります。

また、実習実施者が受入れ人数を拡充したり受入れ期間を5年に延長したりするためには、「優良な実習実施者」として外国人技能実習機構から認定を受ける必要があります。

  • 技能の修得等に係る実績

  • 技能実習を行わせる体制

  • 技能実習生の待遇

  • 法令違反・問題の発生状況

  • 相談・支援体制

  • 地域社会との共生

これらの要件を点数化し、満点(120点)の6割以上を満たせば「優良な実習実施者」の基準に適合することとなります。

技能実習生の保護

2017年4月に施行された「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」では、外国人技能実習生の保護に関する規定が定められています。

・技能実習の強制の禁止

外国人技能実習生の意思に反して、技能実習を強制することは不当な人権侵害にあたります。技能実習法第四十六条では、技能実習を強制することを禁止しています。

第四十六条 実習監理を行う者(第四十八条第一項において「実習監理者」という。)又はその役員若しくは職員(次条において「実習監理者等」という。)は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、技能実習生の意思に反して技能実習を強制してはならない。

・違約金・損害賠償契約の禁止

技能実習生に対して違約金等の契約が可能になると、技能実習生の意思に反した技能実習を強制し、人権侵害行為を引き起こす恐れがあります。技能実習法第四十七条では、違約金・損害賠償契約を禁止しています。

第四十七条 実習監理者等は、技能実習生等(技能実習生又は技能実習生になろうとする者をいう。以下この条において同じ。)又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他技能実習生等と社会生活において密接な関係を有する者との間で、技能実習に係る契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

・パスポート・在留カードの保管の禁止

パスポートや在留カードを保管することは技能実習生の移動を制限することになります。そのため、第四十八条ではパスポート・在留カードの保管の禁止に加え、私生活の自由の制限を禁止しています。

第四十八条 技能実習を行わせる者若しくは実習監理者又はこれらの役員若しくは職員(次項において「技能実習関係者」という。)は、技能実習生の旅券(入管法第二条第五号に規定する旅券をいう。第百十一条第五号において同じ。)又は在留カード(入管法第十九条の三に規定する在留カードをいう。同号において同じ。)を保管してはならない。

2 技能実習関係者は、技能実習生の外出その他の私生活の自由を不当に制限してはならない。

・主務大臣に対する申告

実習実施者や監理団体等に不当な扱いを受けた場合に、違法行為を申告することができれば抑止力になります。そのため、技能実習法第四十九条では技能実習者本人が母国語で主務大臣への違法行為の申告が許可されています。

第四十九条 実習実施者若しくは監理団体又はこれらの役員若しくは職員(次項において「実習実施者等」という。)がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、技能実習生は、その事実を主務大臣に申告することができる。

参照:「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」

いままでは問題があっても「改善指導」や「注意喚起」にとどまっていましたが、いまでは「許可・認定の取消し」「業務停止命令」など罰則を伴った厳しい制度になっています。また実習生が無料で相談できる多言語対応の電話窓口も整備されています。

まとめ

今回は、技能実習の制度や技能実習生について解説しました。

  • 外国人技能実習制度とは技能実習生に日本の技能を伝える仕組みで、技能を身に付けた技能実習生は開発途上国の経済的な発展に貢献する

  • 外国人技能実習生とは技能実習制度によって日本の企業等で雇用契約を結んで、技能を学ぶために就労する外国人の研修生のこと

  • 技能実習生の受入れに関わる監理団体と実習実施者は、外国人技能実習生が適正で充実した実習を受けさせるように努める必要がある

  • 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」では、外国人技能実習生の保護のため「技能実習の強制の禁止」などの規定を定めている

技能実習生の賃金は地域ごとの最低賃金や産業で定める特定最低賃金を下回ってはいけませんが、実際に受け取っている給料はとても少ないのが実情です。それゆえ、安い労働力として見なされがちですが、上記の趣旨を忘れてはいけません。職場の活性化や国際貢献、また事業の海外展開などのプラスの効果を考えて制度を利用するようにしましょう。

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