異文化コミュニケーションへの理解を深めよう。グローバル企業に求められる心構えとは?

2020年04月20日
小島健太郎 (監修)
さむらい行政書士法人 代表社員
外国人の在留資格・VISA・帰化、対日投資手続きを専門に扱う「さむらい行政書士法人 」の代表社員。さむらい行政書士法人は東京、名古屋、大阪と全国対応。日本においても外国人を採用する企業が年々増加傾向にある中、外国人を雇用する際の就労ビザの取得を支援し、専門性の高いコンサルティングにより高い信頼を得ている。専門分野:在留資格・VISA・帰化。年間相談実績1,000件以上。 https://samurai-law.com

昨今のグローバル化の波を受けて、日本のビジネス分野では外国人との異文化コミュニケーションの重要性が叫ばれています。ビジネス分野で異文化コミュニケーションを成功させるには、外国語の文法や語彙を理解するだけでなく、自分と現地のビジネスパーソンを結ぶための心構えを身に付けなければなりません。この記事では、異文化コミュニケーションの概要や、前提となる心構え・ビジネス分野で成功させるときの秘訣を中心に解説していきます。

異文化コミュニケーションの定義 

そもそも異文化コミュニケーションとは、性別・年齢・出身地・社会的地位などのように、自分と異なる価値観や文化を持った他者と意思疎通をする行為のことです。そのためビジネス分野に限らず、さまざまな組織・団体の中で実施されています。

つまり広義に解釈すると、たとえ国籍が同じであっても、価値観や文化に差異が見られる人間同士であれば異文化コミュニケーションは実施できるということです。

・ビジネス分野で取り入れる必要性 

日本におけるビジネス分野の動向を見ると、とりわけ他国・他言語のビジネスパーソンとの異文化コミュニケーションの重要性が強調されています。これは昨今のグローバル化の影響を受けて、外国企業との連携で事業展開を図る日本企業が増加しているためです。

こうした企業では社員に外国語の習得を強く奨励していますが、グローバル事業の展開を図るには現地の言葉を習得するのみでは不十分だといえます。たとえ言語を習得して会話自体はできるようになっても、現地の社員と接する上で文化や価値観の違いに悩まされることが多く、場合によっては以下のようなトラブルも発生します。

  • 指示以外の仕事を請け負ってもらえない

  • 期待した仕事のクオリティが得られない

  • 締切日(期限)を守ってもらえない

こうしたトラブルを未然に防ぐためには、外国語の知識だけでなく異文化コミュニケーションも併せて取り入れなければなりません。そして文化や価値観の違いを相互理解した上で、外国企業と連携することが大切だといえます。

異文化コミュニケーションで前提となる心構え 

ビジネス分野において異文化コミュニケーションを進めていくには、まず前提として以下の心構えを身につける必要があります。

・自己理解を深める 

はじめに、自己理解を深めていきます。自己理解とは、相手に伝えたい自分の主張の背景にある文化・価値観を理解することです。より具体的に言うと、ここでは自分の考え方・気持ちを言語化して伝えられるようにしておきます。

なぜなら、態度など言語以外の要素で自分の考え方・気持ちを相手に察してもらおうと期待するのは、ある意味で日本特有の文化であるためです。そのため外国人との異文化コミュニケーションでは、忠実に言語化しないと相手に本意が伝わらないケースが多くあります。

そもそもビジネス分野を含めた日常生活において、人間は他者との交流でさまざまな考え方・気持ちを抱きます。その中でも文化・価値観の異なる他者と意見が衝突する場面では、「自分と相手のどちらの考え方・気持ちも正しいように思える」ケースも少なくありません。

このように意見が衝突するような状況であっても、自分の考え方・気持ちを言葉にして相手に伝えられる姿勢を身に着けましょう。そのためには、日常生活の交流において自分の中に考え方・気持ちが生まれるたびに、その一つ一つを頭の中で言語化する習慣を付けると良いです。

・他者理解を深める 

次に、他者理解を深めていきます。ここでの他者理解とは、相手の主張の背景にある文化・価値観を理解することです。相手の文化・価値観を理解するためには、まず相手が所属する国の情報・国民性について調べると良いでしょう。

具体的には、その国の人達が信じているもの(宗教)・育った環境・教育制度などをできるだけ細かく調べることが大切です。これによって、異文化コミュニケーションを実施する相手の考え方・気持ちの傾向を大まかに掴めるようになります。

結果的には、「この状況では〇〇さんはこういった考え方をするだろうな」という推測を立てることができるようになり、円滑なコミュニケーションの実施にもつながるのです。

・コミュニケーションで自分と相手を結ぶ 

最後に、コミュニケーションによって自分と相手を結んでいきます。ここまでの心構えを実践して自分と相手の背景にある文化・価値観を理解できたら、お互いの妥協点を模索していかなければなりません。

そのためには、何よりもまず異文化コミュニケーションを実施する相手に興味を持つことが大切です。相手に興味を持たなければ、他者理解で得た情報のみに頼った、いわば独りよがりのコミュニケーションに留まってしまいます。

これでは、相手が抱える考え方・気持ちの本心に迫ることはできません。相手の考え方・気持ちの本心を聞き出すには、相手に興味を持って接することが大切です。

ビジネス分野で異文化コミュニケーションを成功させる秘訣

これまでに見てきた心構えを踏まえて、ここからはビジネス分野における異文化コミュニケーションの秘訣を解説します。

・日本のビジネス文化にある特徴を理解する 

異文化コミュニケーションを実施する前に、あらかじめ日本のビジネス文化にある特徴を理解しておきましょう。これは心構えの中でも、自己理解のプロセスに該当します。一般的に、日本のビジネスには、以下のような文化が存在するとされています。

  • 言語外の要素に依存したコミュニケーションを実施する

  • 役割を明確に区分しない

  • クオリティを重視する

  • 締切日(期限)を遵守する

日本企業では、上記に挙げた特徴の多くが当てはまるはずです。またここでは、特徴を理解するだけでなく、外国人のビジネスパーソンに対して、なぜ日本企業(自社)にはこうした特徴があるのかを言葉で説明できるように準備しておいてください。

具体例を挙げると、日本企業では期限の遵守が重視されていますが、これは工場などの現場作業において効率性を徹底的に追求するという特徴を日本のビジネスが持っているためだと一般的には解されています。

・相手の意見を聞いて、日本の文化の特徴や背景を説明する 

次に、相手の意見を聞いた上で日本のビジネス文化の特徴や背景を説明しましょう。これは心構えの中でも、自分と相手を結ぶプロセスに該当します。ここではまず、相手の主張の理解に努めることが大切です。

相手の主張を聞かずに自分の主張ばかりを押し付けてしまえば、相互理解が進みません。相手から理解を得たいならば、はじめに相手の主張を受け入れた上で、それに応じる形で日本のビジネス文化の特徴や背景を説明する必要があります。

たとえば、仕事の締切日を守らない外国人社員に対して、守らない理由を聞いた上で、なぜ日本企業で期限の遵守が重視されているのかを説明します。このときに相手の主張を理解するためにも、あらかじめ他者理解のプロセスを丁寧に実施しておくと良いです。

・今後の方針を定めて理解を得る 

最後に今後の方針を定めて、相手から理解を得ましょう。ここでは、自分と相手の背景にある文化・価値観の違いを踏まえた上で、お互いの妥協点を探ることが大切です。くれぐれも、叱ることや命令することなどによってこちらの方針に無理やり従わせてはなりません。

なぜなら、無理やり従わせれば相手に恐怖心や反発心を植え付けてしまうのみで、根本的な解決には至らないためです。また、国よっては公衆の面前で叱責を受けることは大変な恥であるという文化の違いもありますので、注意が必要です。

こうした状況では、自分が定めた方針に相手が納得できておらず、近い将来に深刻なトラブルが発生することもあります。

場合によっては、グローバル事業の失敗に直結してしまいかねません。業績を向上させつつ安定的にビジネスを継続していくためには、プロジェクトに関わる人間から理解を取り付けた上で、業務に励んでもらう必要があるのです。

まとめ

異文化コミュニケーションとは自身と異なる価値観や文化を持った他者と意思疎通をする行為ですが、ビジネス分野に応用することで、グローバル事業の展開を円滑化するメリットが期待できます。

まずは前提となる心構えを身に着けた上で、異文化コミュニケーションをビジネス分野で活用してください。その際は自分と相手の主張をすり合わることを意識して、くれぐれも自分の価値観を押し付けないよう心がけましょう。