外国人従業員が退職したら、在留資格(就労ビザ)はどうなる?手続きを詳しく紹介

2020年06月22日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

退職時の手続きは、基本的には日本人従業員と同様ですが、外国人従業員のみに必要な届出や、在留資格の取り消しについてなど、退職時に重要事項を外国人従業員へ説明することで、本人も安心して次の求職活動を行うことができます。

外国人従業員の退職時に、会社が行う手続き

外国人従業員が退職する際、会社が行う手続きは、基本的には日本人従業員の退職手続きと同様です。

・外国人雇用状況の届出をハローワークに提出する

特別永住者を除く外国人が退職する際は、「外国人雇用状況届」をハローワークに提出しなければいけません。外国人雇用状況届は、外国人を雇入れるときと解雇するときに提出するものです。雇用主の義務となっています。なお、この手続きは、インターネット上で行うことも可能です。

【提出期限】

  • 雇用保険被保険者:雇用保険被保険者資格喪失届あわせて提出

  • 雇用保険被保険者以外:離職日の月の、翌月末日までに提出

参照:従業員が離職する際に必要な措置

・失業保険の受給について外国人従業員に説明する

雇用保険に加入していた従業員は、退職後、失業保険の受給資格があります。これは、国籍にかかわらず会社が雇用保険の提要事業所である場合、同じように外国人従業員にも適用されます。そのため、外国人従業員が退職する際は、「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届出」を提出しましょう。

しかし、外国人従業員のなかには、雇用保険や失業手当を「知らない」という人も少なくありません。会社都合の退職であれば、失業の認定を受けてから7日後から失業保険を受給できること、自己都合であれば、3か月の待期期間を得てから給付されることなど、基本的な流れを説明してあげるとよいでしょう。

また、源泉徴収票のように新たな勤務先に提出する必要のある書類についても、保管しておく必要性を伝えておきます。

参照:東京外国人雇用サービスセンター 日本で働く外国人のみなさまへ

外国人従業員が退職しても、就労ビザは即切れない

外国人従業員は、退職時に就労ビザの有効期限が切れるかどうかを心配する人がいます。有効期限内であれば、退職と同時に就労ビザが無効になることはありません。しかし、3か月以上「無職」の状態が続く場合は注意が必要です。

・退職しても、3か月の間は在留資格を取り消されることはない

大きなポイントは、在留資格を持っている外国人従業員が退職しても、退職後3か月間は取り消しの対象とはならないという点です。

在留資格は、種類によって日本に滞在する目的が決められています。就労ビザ(在留資格)の目的は「日本で働くこと」です。退職した外国人に仕事がない場合、在留資格本来の目的を果たしていないと判断されます。その状態が継続して3か月以上続いた場合、在留資格取り消しの対象になります。

また、就労ビザの取り消しを防ぐためには、退職と同時に就職活動をする必要があります。退職して何もしていない外国人は、3か月経過すると在留資格が取り消される可能性があります。

参照:Q9 出入国在留管理庁 
Q7 出入国在留管理庁 

・在留資格の滞在期限が切れた場合は、出国しなければならない

求職活動を行っている場合でも、持っている在留資格の滞在期限が近付いている場合は、切れる前に出国するのが原則です。また、在留資格が取り消され、出国猶予期間(出国までの準備期間)が与えられた外国人は、原則として「留学」等の別の在留資格への申請はできません。一度日本から出て、海外から再度入国の手続きを申請する必要があります。

退職した外国人が、引き続き日本での滞在を希望する場合は、持っている在留資格の期限が切れる前に、再就職先を探さなければいけません。

参照:Q16 出入国在留管理庁 

退職した外国人本人が行うべき手続き

ここからは、外国人本人が退職したあとに行うべき手続きについて解説します。

・14日以内に入国管理局に退職報告を行う

退職した外国人は、退職から14日以内に、出入国在留管理局に「契約機関に関する届出」を提出しなければいけません。これは、就労ビザを持っている外国人に求められる手続きです。

ほかにも働く企業・団体の名前の変更や住所の変更があったり、転職して勤務先が変わったりした場合は、この届出をする必要があります。

【提出方法】

  • 届出書を入国管理局に提出

  • オンラインで提出

参照:法務省 所属(契約)機関に関する届出

・ハローワークに失業保険の申請に行く

雇用保険の加入期間が、離職日以前2年間に12か月以上あれば、外国人従業員も退職後に失業保険の申請が可能です。再就職先が決まっていない場合は、失業保険の申請ができることを伝えてあげましょう。

・失業中のアルバイトは、原則として禁止

就労ビザを持っている外国人が退職・失業した場合、失業中のアルバイトは原則として禁止されています。

なぜなら、就労ビザは、働ける仕事や職種が決まっているからです。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」のビザでエンジニアとして働いていた外国人が許可されるのは、エンジニアの仕事です。退職して在留資格の変更がないまま、コンビニのアルバイトとして働くことは、ビザの条件に沿わない行為とみなされ、不法就労と判断される恐れもあります。

ただし、会社都合での退職の場合は、「資格外活動の許可」を申請することで、失業中のアルバイトが可能です。資格外活動の許可とは、留学生が週28時間まで就労が可能になるなど、本来の目的とは異なる活動を法務大臣が許可するものです。

【資格外活動の許可申請で必要な書類】

  • 資格外活動許可申請書

  • 資格外活動内容(アルバイト内容)を説明する書類

  • 在留カード

  • パスポート

・就労証明書交付申請で働いていた仕事内容を証明する

転職活動をスムーズにしたい外国人の方は、転職先が決まったら就労証明書交付申請をするとよいでしょう。就労証明書交付申請とは、現在その外国人が保持している在留資格で、転職先の仕事にも従事できることを証明している書類です。転職時に新しい就職先へ掲示することで、雇う側は既存の在留資格で雇用できるという判断が下せます。

【就労資格証明書交付申請に必要な書類(例)】

  • 就労資格証明書交付申請書

  • 在留カード

  • パスポート

  • 雇用(予定)先の登記事項証明書

  • 雇用(予定)先での職務内容を説明した書類

  • その他

これを持っていることで、外国人の転職がスムーズになります。既存の在留資格で働ける職種に就く場合は、在留資格の滞在期限内は就労ビザの更新は不要です。

参照:法務省 就労資格証明書交付申請

・再就職先が決まったら契約機関の届出を提出する

退職時に提出した契約機関の届出は、再就職が決まった場合にも提出します。もし、再就職時点で持っている在留資格の有効期限が3か月未満の場合は、ビザの更新手続きを行いましょう。審査期間が数か月かかるため、早めの行動が大切です。

まとめ

在留資格の期限に限らず、失業保険など外国人従業員が日本の仕組みを理解していないケースもあります。退職後の外国人とトラブルにならないためにも、必要な手続きを説明することは、雇用している側の責任です。とくに退職してすぐに在留資格の期限に影響があるかどうかは、異国で働く外国人にとって大きな心配ごとです。退職後の就職活動やその後の生活に余計な不安がないように、退職後の手続きと在留資格の基本をおさえ、しっかりと外国人従業員に説明するとよいでしょう。

技術・人文知識・国際業務の転職について知りたい場合はこちら:在留資格の変更・更新手続きの方法とは?「技術・人文知識・国際業務」の審査ポイントや転職時の対応方法について