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ミャンマーでは2021年2月1日に軍事クーデターが発生しました。各地でデモ隊と軍隊・警察の衝突が起こり、2023年12月時点でも治安が不安定な状態が続いています。そこで日本政府は、緊急避難措置としてミャンマー人に在留資格「特定活動」を付与することにしました。
このコラムでは、在留資格「特定活動」を持つミャンマー人が就労できる範囲を解説します。内容を参考にして、自社での雇用に活かしましょう。
目次
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ミャンマーでは、2021年2月1日に軍事クーデターが発生しました。各地で大規模なデモが起こり、軍隊や警察が応戦事態となったのです。全権を掌握したミャンマー軍は国家非常事態を宣言。2023年12月時点でも民主派勢力との対立は続いており、治安が不安定な状態です。
そのような状況のなか、日本の学校を卒業したり技能実習を終えたりしても、引き続き在留を希望するミャンマー人が多くいました。本来、在留資格の活動を終えたら外国人は日本を出国しなければなりません。しかし、日本政府は人道的観点からミャンマー人の継続した在留を認めることにしました。希望するミャンマー人には在留資格「特定活動」を付与し、日本への在留や就労を認めています。
参照元
出入国在留管理庁「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」
「特定活動」とは、外国人個々の事情を考慮して法務大臣が許可を出す在留資格です。さまざまな種類があり、ほかの在留資格のように活動が限定されているわけではありません。既存の在留資格に当てはまらない活動をする外国人や人道的に日本に在留させるべき外国人に許可されます。
在留資格「特定活動」の分類は以下のとおりです。
上記のうち、本国情勢により在留を希望するミャンマー人に許可される活動は「告示外特定活動」に該当します。
本国情勢により在留を希望するミャンマー人は、状況により就労できる範囲が異なります。
持っている在留資格の活動を満了したうえで継続して日本に在留を希望する場合は、「特定活動」のもと1年間の在留が許可されます。また、日本でフルタイムの就労も可能です。在留期限になってもミャンマーの情勢が変わらない状況であれば、在留期間更新許可申請をすることで引き続き日本に在留できます。該当するのは、「日本の学校を卒業した」「技能実習を修了した」「雇用契約を満了し退職した」などのケースのミャンマー人です。
特定活動の在留資格を持つミャンマー人は、長い期間日本に在留できない可能性が高いでしょう。そのため、正社員として雇用契約を結ぶかは企業の判断にゆだねられています。
やむを得ない理由で在留資格の活動を中断したものの、情勢不安から引き続き日本在留を希望するミャンマー人にも、在留期間が1年の特定活動(就労可)が許可されます。やむを得ない理由に該当するのは、「勤めていた企業が倒産して解雇された」「家族からの仕送りが途絶えて大学を退学した」などのケースです。この場合も、本人が望めばミャンマー情勢が落ち着くまで日本で働きながら暮らせます。
自分の都合で活動を中断したうえで、情勢不安から引き続き日本在留を希望するミャンマー人には、在留期間が6ヶ月の在留資格「特定活動」が許可されます。就労も可能ですが、週に28時間以内の制限付きです。「大学に通わなくなり退学した」「技能実習が嫌になり途中で辞めた」などのケースが該当します。在留期限が6ヶ月なので、こまめに在留期間更新許可申請を行わなくてはなりません。また、就労が週28時間と定められているので、パートやアルバイトとしての雇用になるでしょう。
ただし、上記の条件で1年間日本の法律を犯さず適切な在留を行っていた場合は、審査のうえ「特定活動(1年:就労可)」が認められる場合もあります。
ここでは、ミャンマー人が在留資格「特定活動」を得る方法を紹介します。手続きは基本的に本人が行いますが、雇用する企業も内容を理解しておきましょう。
ミャンマー人がすでに持っている在留資格を「特定活動」に変更する場合は、「在留資格変更許可申請」が必要です。入国審査官が審査を行い、在留資格「特定活動」にふさわしいと判断されれば、持っている在留資格を変更できます。
ミャンマー人が在留資格を「特定活動」に変更するには、以下の書類が必要です。
理由書には就労希望の有無やミャンマーへ帰国できない理由、現在の在留資格から変更する理由などを記入します。雇用するミャンマー人が日本語の筆記が苦手なようであれば、積極的にサポートしましょう。
在留資格変更許可申請をするのは、外国人の居住地を管轄する地方出入国在留管理官署です。地方出入国在留管理官署は出入国在留管理庁(入管)の地方支分局で、各種在留資格の申請ができます。
在留資格変更許可申請については「在留資格変更許可申請とは?必要書類と手続きの流れを企業へ向けて解説!」をご覧ください。
本国情勢を踏まえた緊急避難措置は特別なケースなので、ほかの外国人を雇用するのとは異なる注意点があります。
避難のために在留資格「特定活動」を付与されたミャンマー人は、ミャンマー情勢が改善した場合、在留資格を更新できなくなります。あくまで本国情勢を踏まえた緊急避難措置であり、一時的な対応であるためです。
ミャンマー人に長期的なプロジェクトを任せる際には、本国の情勢をしっかりチェックして慎重に判断しましょう。
すでに「特定活動」の在留資格を持っているミャンマー人を雇用する際は、在留カードとあわせて指定書を確認しましょう。指定書とは、在留資格「特定活動」を持つ外国人に付与される活動範囲が記載された文書です。通常はパスポートに添付されています。指定書に「就労可」と書かれていなければ、雇用はできません。また、週28時間以内とあればフルタイムでの雇用は不可です。
指定書を確認せずに就労が許可されていないミャンマー人を雇った場合、企業が不法就労助長罪で罰せられます。3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこの両方と重い罪なので、確認を怠らないようにしましょう。
ミャンマー人を雇用した企業は、在留資格の更新をできる限りサポートしましょう。「特定活動」の在留資格を得たミャンマー人は在留期限が6ヶ月~1年と短いため、こまめに更新手続きをしなくてはなりません。入管での各種申請は時期によっては多くの時間を要します。勤務時間や有給休暇数などを調整して手続きをしやすくすると、ミャンマー人も安心して働けるでしょう。
ミャンマーの情勢不安から、ミャンマー人には特例で在留資格「特定活動」が付与されています。ただし、ほかの在留資格よりも在留期限が短いうえ、情勢によっては更新ができない可能性も。雇用する企業も仕組みを理解しつつ、できる限り本人をサポートしましょう。
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執筆:WeXpats
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