【記入例】在留資格変更許可申請書の書き方は?就労ビザごとの必要書類も紹介

在留資格 2024.06.13
濵川恭一
濵川恭一
【記入例】在留資格変更許可申請書の書き方は?就労ビザごとの必要書類も紹介

日本にいる外国人の活動内容が変わる場合には「在留資格変更許可申請」を行わなければなりません。その際に提出する書類が「在留資格変更許可申請書」です。

企業にとって身近な例としては、新卒採用した留学生が在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合。ほかにも、技能実習生を「特定技能」に切り替えて継続雇用する際に必要となります。

在留資格変更許可申請は外国人本人が行う手続きですが、準備段階で企業が用意する書類も多く、戸惑う採用担当者の方も少なくありません。この記事では、初めてでも不備なく手続きが行えるよう、変更先の在留資格ごとの必要書類や記入例を画像付きで解説します。

目次

  1. 在留資格変更許可申請書とは
  2. 在留資格を「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合
  3. 在留資格を「特定技能」に変更する場合
  4. 在留資格を「特定活動」に変更する場合
  5. 在留資格変更許可申請にかかる費用
  6. 在留資格変更許可申請書の作成後に確認すべきポイント
  7. まとめ

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在留資格変更許可申請書とは

在留資格変更許可申請書とは、外国人が在留資格を変更する際に地方出入国在留管理官署に提出する書類のことです。多くの在留資格は、日本での活動内容に制限が設けられています。そのため、「留学生が日本の企業に就職する」「転職で前職と異なる業務に携わる」といった際には、在留資格の変更が必要です。
在留資格変更許可申請書を提出して許可が下りると新しい在留カードが発行されます。そこで初めて、新しい活動が可能になるのです。

提出する在留資格変更許可申請書は、変更後の在留資格によって異なります。たとえば、在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合、「技術・人文知識・国際業務」に対応した在留資格変更許可申請書が必要です。※申請書のダウンロードページは後ほど在留資格ごとに紹介します。

在留資格変更許可申請書には、外国人本人が作成する申請人等作成用ページと企業が作成する所属機関等作成用のページがあります。企業は外国人本人が作成する箇所の書き方も把握して、不備が生じないようフォローしましょう。

在留資格変更許可申請書を提出するのは外国人

在留資格変更許可申請書は、外国人本人が住居地を管轄する地方出入国在留管理官署へ提出します。もしくは、「在留申請オンラインシステム」でも提出可能です。

何らかの事情により外国人本人が地方出入国在留管理官署に行けない場合は、法定代理人や地方出入国在留管理局長の承認を受けた取次者、または行政書士や弁護士による申請ができます。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
出入国在留管理庁「在留申請のオンライン手続」
出入国在留管理庁「在留申請オンラインシステム

在留資格を「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合

在留資格を「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)に変更する場合の、在留資格変更許可申請については以下のとおりです。「留学生を新卒で雇用する」「特定技能外国人をより高度な業務内容で採用し直す」といったケースが考えられます。

在留資格変更許可申請に必要な書類

「技人国」の在留資格変更許可申請の際に用意する書類は、企業の規模によって決まる「カテゴリー」によって異なります。カテゴリーの大まかな区分の詳細は以下のとおりです。

  • カテゴリー1:上場企業や公共団体など
  • カテゴリー2:上場しておらず前年の合計源泉徴収税額が1,000万円以上の企業
  • カテゴリー3:上場しておらず前年の合計源泉徴収税額が1,000万円未満の企業
  • カテゴリー4:上記以外の企業(起業1年未満のスタートアップなど)

カテゴリーはいわば企業の安定や信頼の目安になる区分です。カテゴリー1に属する企業は、安心して外国人を雇用できるとみなされ、提出書類が少なくて済みます。

申請者(外国人本人)が用意する書類

外国人本人が用意する書類は、以下のとおりです。

  • 在留資格変更許可申請書(出入国在留管理庁のWebサイトか地方出入国在留管理官署の窓口で入手)

  • 証明写真

  • パスポートおよび在留カード(提示)

  • 国内外の大学を卒業している者は、大学の卒業証明書

  • 専門学校を卒業して専門士または高度専門士の称号を付与された者は、専門士または高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書

  • 外国人の活動の内容を記載した雇用契約書、もしくは労働条件通知書など

  • 外国人の職歴や経歴を証明する文書(適宜)

まだ学校を卒業していない留学生は、「卒業見込み証明書」の提出が求められます。この場合、在留資格変更許可時に「卒業証書(写し)」または「卒業証明書(原本)」を提出することが必要です。

雇用主が用意する書類

企業が提出する書類はカテゴリーごとに異なります。

  • 【共通】所属するカテゴリーを証明する書類(四季報の写し、前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写しなど)

  • カテゴリー3、4のみ】登記事項証明書(3ヶ月以内発行)

  • 【カテゴリー3、4のみ】勤務先の役員や組織、沿革、事業内容などを記した資料(会社案内等)

  • 【カテゴリー3、4のみ】直近年度の決算文書の写し(新設会社であれば今後1~3年間の事業計画書)

  • 【カテゴリー4】前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする書類(状況によって異なりますが、新設会社の場合は税務署に提出した法人設立届など)

カテゴリーの区分の詳細や、各カテゴリーを証明する書類の例は、出入国在留管理庁のWebサイトでご確認ください。

在留資格変更許可申請書の書き方

「技術・人文知識・国際業務」に変更する際は、在留資格変更許可申請書の「申請人等作成用1・2」「所属機関等作成用1・2」のページに必要事項を記入して提出します。書き方は以下のとおりです。

申請人等作成用1

申請人等作成用1の画像
申請人等作成用1には、国籍・地域や生年月日、在留カード番号などを書く欄があります。以下の書き方のポイントや気を付ける点を参考にして、1〜16までのすべての欄を埋めましょう。

  • 3欄【氏名】:在留カードどおりに記載する

  • 9欄【住居地】:在留カードに記載された住居地を記載する

  • 14欄【変更の理由】:「△△会社で勤務するため」といったように具体的に書く

  • 16欄【在日親族(父・母・配偶者・子・兄弟姉妹・祖父母・叔(伯)父・叔(伯)母など)及び同居者】:在日親族や同僚・友人などの同居者がいない場合は「無」に、在日親族や同居者がいる場合は「有」に丸をして氏名・生年月日などを記入する

9欄の住居地は、在留資格変更許可申請を行うときに住んでいる最新の住所を記載する必要があります。引っ越しをした場合は、転居先の自治体の窓口で在留カードの裏に最新の住所を書いてもらってから、在留資格変更許可申請を行いましょう。

申請人等作成用2

申請人等作成用2の画像

申請人等作成用2には、勤務先や学歴を書く欄があります。申請人等作成用2の書き方は以下のとおりです。

  • 18欄【最終学歴(1)】:「本邦」または「外国」のどちらかにチェックをする

  • 18欄【最終学歴(4)卒業年月日】:まだ卒業していない場合は卒業見込み年月日を記載する

  • 19欄【専攻・専門分野】:該当する選択肢がない場合は、「その他」にチェックを入れて専攻・専門分野を記入する

  • 20欄【情報処理技術者資格又は試験合格の有無】:情報処理業務従事者の職種を選んだ場合は「有」に丸をして、資格名または試験名を記載する

  • 21欄【職歴】:勤務先の名称や入社年月、退社年月を正しく記載する

  • 28欄【代理人】:法定代理人による申請の場合は、代理人の氏名や住所などを記入する

記載内容が不正確だと指摘を受ける恐れがあります。外国人本人に任せきりにせず、提出前に履歴書と照らし合わせてチェックしましょう。

所属機関等作成用1

所属機関等作成用1の画像

次に所属機関が作成する書類を見ていきましょう。所属機関等作成用1には、雇用主となる企業の業種や所在地、資本金などを記入します。書き方は以下のとおりです。

  • 3欄【所属機関等勤務先(4)雇用保険適用事業所番号】:適用事業所台帳(雇用保険適用事業所設置届事業主控)や雇用保険被保険者資格取得届等確認通知書(事業主通知用)を確認して記載する

  • 3欄【所属機関等勤務先(5)業種】:主たる業種を「業種一覧」(在留資格変更許可申請書の6枚目)から1つのみ選んで番号を記入する

  • 9欄【職種】:別紙「職種一覧」(在留資格変更許可申請書の7枚目)から選んで番号を記載する

  • 10欄【活動内容詳細】:入社後に従事する活動内容を記載する

職種は、第9欄の下に記載されている(注意)をよく読んでから記入しましょう。

所属機関等作成用2

所属機関等作成用2の画像

人材派遣や所属機関等作成用1で記載した企業と異なる場所で働く場合は、所属機関等作成用2に派遣先や実際の勤務地の詳細を書く必要があります。
雇用形態に関わらず、最後に二重線の上に企業の名称と代表者氏名、年月日を書きましょう。

在留資格変更許可申請をする際の注意点

「技術・人文知識・国際業務」を取得するためには、学歴や職歴に関する要件を満たす必要があるので、外国人の経歴が合致するかよく確認してください。

基本的には従事する業務と関連する学歴が必要です。大学か専門学校を卒業しており(専門学校の場合は日本国内の学校に限る)、なおかつ専攻と業務の関連を説明できる必要があります。

学歴が不足している場合には、一定年数以上の実務経験で要件を満たすことも可能です。詳細は以下の関連記事をご確認ください。

関連記事:「「技術・人文知識・国際業務」で採用可能な職種一覧は? 申請方法や不許可事例も紹介

参照元
出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」
出入国在留管理庁「本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合」
出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

在留資格を「特定技能」に変更する場合

次に、在留資格を「特定技能」に変更する場合の在留資格変更許可申請について見ていきましょう。「留学生を特定技能で採用する」「技能実習生を特定技能に切り替えて継続雇用する」といったケースが想定されます。

在留資格変更許可申請に必要な書類

在留資格を「特定技能」に変更する際も、外国人本人と雇用主の双方が用意する書類があります。企業の規模や特定産業分野によって必要な書類は異なるため、登録支援機関や行政書士に確認しながら進めましょう。

申請者が用意する書類

外国人本人が用意する書類の例として以下が挙げられます。

  • 在留資格変更許可申請書(出入国在留管理庁のWebサイトか地方出入国在留管理官署の窓口で入手)

  • 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表

  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書

  • 特定技能雇用契約書の写し

  • 雇用条件書の写し・賃金の支払

  • 雇用の経緯に係る説明書

  • 徴収費用の説明書

  • 健康診断個人票・受診者の申告書

  • 1号特定技能外国人支援計画書

  • 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書

  • 二国間取決めにおいて定められた遵守すべき手続に係る書類(雇用する外国人の国籍が二国間取決めの対象国である場合)

ほかにも、個人住民税の課税証明書や、特定産業分野ごとに異なる書類が必要です。詳細は出入国在留管理庁のWebサイトでご確認ください。

雇用主が用意する書類

雇用主が用意する書類は、上場企業や法人、個人事業主などの条件により3種類に分かれています。3種類のうち一つである「一定の実績があり適正な受入れが見込まれる機関」の条件と、在留資格変更許可申請時の提出書類は以下のとおりです。

  • 日本の証券取引所に上場している企業また保険業を営む相互会社:四季報や日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)

  • 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イまたはロの対象企業(イノベーション創出企業):補助金交付決定通知書の写しといった、高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イまたはロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書

  • 「安全衛生優良企業」や「職業紹介優良事業者」などの認定を受けているといった一定の条件を満たす企業:認定証等の写しといった「一定の条件を満た企業等」であることを証明する文書

  • 前年分の給与所得の源泉徴収票といった法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人:前年分の職員の給与所得の源泉徴収票といった法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

  • 電子届出システムの利用者登録をしている機関:出入国在留管理庁電子届出システムに関する誓約書

あわせて、書類の省略に当たっての誓約書の提出が必要です。さらに、特定産業分野ごとに雇用主が用意する書類があります。詳細は出入国在留管理庁のWebサイトで調べるか、登録支援機関や行政書士に確認しましょう。

在留資格変更許可申請書の書き方

「特定技能」に変更する際は、在留資格変更許可申請書の「申請人等作成用1〜3」「所属機関等作成用1〜4」の7枚の書類の作成が必要です。

申請人等作成用1

申請人等作成用1の画像

申請人等作成用1の書き方は、在留資格を「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合と共通です。

申請人等作成用2

申請人等作成用2の画像

申請人等作成用2の記入内容は、外国人が満たしている「特定技能」の取得要件によって異なります。必要な試験に合格して特定技能を申請する外国人の場合、次の項目の記入が必要です。

  • 18欄【技能水準】:「分野別運用方針に定める評価方法による証明」にチェックを入れてから、合格した特定産業分野ごとの技能試験名を記入する

  • 19欄【日本語能力】:合格した「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」もしくは「日本語能力試験(JLPT)」の試験名と取得レベルを記載する

なお、在留資格「特定技能」を取得するには、「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」A2レベル以上、もしくは「日本語能力試験(JLPT)」N4レベル以上の合格が必要です。

日本で技能実習2号を良好に修了した外国人の場合の記入項目は以下のとおりです。

  • 18欄【技能水準】:「技能実習2号を良好に修了」にチェックを入れる

  • 19欄【日本語能力】:「技能実習2号を良好に修了」にチェックを入れる

  • 20欄【良好に修了した技能実習2号】:職種や作業を記入し、該当する証明方法にチェックを入れる

  • 21欄【申請時における特定技能1号での通算在留期間】:「特定技能1号」での在留を希望する場合、過去の在留歴を含めて記入する

外国人がどの要件を満たしているかによって記入する項目が変わるので、よく確認して記入しましょう。

申請人等作成用3

申請人等作成用3の画像

申請人等作成用3には22〜27欄まで保証金の徴収や外国の機関への費用支払の合意についての質問が並んでいるので、該当するほうに丸をします。その後、28・29欄を埋めましょう。

  • 28欄【職歴】:勤務先の名称や入社年月、退社年月を正確に記入する

  • 29欄【代理人】:親権者や未成年後見人、成年後見人といった法定代理人による申請の場合のみ記載する

代理人の二重線の上に外国人本人が署名し、在留資格変更許可申請書を作成した日の年月日を記入します。

所属機関等作成用1

所属機関等作成用1の画像

所属機関等作成用1は、外国人の雇用契約期間や職種を記入します。雇用契約書と相違がないようによく確認しながら書きましょう。

  • 2欄【特定技能雇用契約(2)従事すべき業務の内容】:特定産業分野や業務区分は、出入国在留管理庁が作成した特定技能運用要領どおりに記入する

  • 2欄【職種】:別紙「職種一覧」(在留資格変更許可申請書の10枚目)から1つ選んで番号を記載する

2欄(3)以降の所定労働時間や月額報酬といった項目も、雇用契約書と照らし合わせながら正確に記入していきましょう。外国人を派遣社員として雇用する場合は、派遣先の情報も記載します。

所属機関等作成用2

所属機関等作成用2の画像

所属機関等作成用2には、外国人の勤務先の情報を記入します。

  • 3欄【特定技能所属機関(3)雇用保険適用事業所番号】:主に勤務させる事業所の雇用保険適用事業所番号を記載する

  • 3欄【特定技能所属機関(8)常勤職員数】:主に勤務させる事業所の常勤職員数を記入する

  • 3欄【特定技能所属機関(10)勤務させる事業所名】:外国人の勤務先が会社の本店と異なる場合は、事業所名と住所を記入する

3欄(11)以降は「有」「無」の該当するほうに丸をつけます。「有」に丸を付けた場合は、詳細も正しく記入しましょう。

所属機関等作成用3

所属機関等作成用3の画像

所属機関等作成用3は、所属機関等作成用2に引き続き、特定技能制度を利用して外国人を雇用する際の確認事項について書かれています。3欄(27)(28)は外国人を労働者派遣の対象とする場合、記入が必要です。
3欄(33)~(37)欄は、外国人が「特定技能1号」での在留を希望しており、企業が登録支援機関に支援計画の実施を委託しない場合に記入します。

所属機関等作成用4

所属機関等作成用4の画像

所属機関等作成用4には、1号特定技能外国人支援計画や登録支援機関に関する情報を記入します。3欄(38)~(41)欄は、所属機関等作成用3に引き続き、外国人が「特定技能1号」での在留を希望しており、企業が登録支援機関に支援計画の実施を委託しない場合のみ記入が必要です。4欄以降の書き方を以下で解説します。

  • 4欄【1号特定技能外国人支援計画】:外国人が「特定技能1号」での在留を希望する場合に記入する

  • 5欄【登録支援機関】:外国人が「特定技能1号」での在留を希望しており、企業が登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託する場合に記入する

  • 5欄【登録支援機関(12)対応可能言語】:登録支援機関が対応可能な言語を記載する

支援を委託する場合は、登録支援機関に情報を確認して正確に記入しましょう。特に、登録支援機関の対応可能な言語を記載する際は、外国人の母国語が含まれているか必ず確認する必要があります。
最後に、二重線の上に、勤務先の名称や代表者の氏名、年月日を記入しましょう。

在留資格変更許可申請をする際の注意点

特定技能への在留資格変更許可申請をする際は、あらかじめ外国人が健康診断を受けておく必要があります。出入国在留管理庁が定めた「健康診断個人票」に記載されている項目を検査する必要があるので、外国人に所定の様式を渡して病院で提出するように伝えましょう。

なお、未納付の税金がある場合、在留資格の変更が不許可になる可能性があります。税金の納付状況は在留審査に影響しないとのガイドラインは存在するものの、印象が悪くなる点は間違いありません。企業は、外国人に未納の税金がないか確認し、ある場合は未納付の税金を全額納付後に在留資格変更許可申請を行うよう伝えるのが賢明です。

関連記事:「【2024年6月最新】特定技能とは?制度や採用方法をわかりやすく解説
関連記事:「特定技能1号と2号の違いとは?【2023年6月に方針変更決定】

参照元
外務省「制度の概要」
出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」」
出入国在留管理庁「利用者情報登録について」
出入国在留管理庁「特定技能運用要領」
出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧

在留資格を「特定活動」に変更する場合

最後に、在留資格を「特定活動」に変更する場合の在留資格変更許可申請について解説します。よくあるのが、「技能実習」から「特定技能」に変更するための移行準備として「特定活動」に変更するケースです。技能実習生を特定技能で採用し直したいけれど、技能実習の満了日までに書類が揃わなかった場合の一時的な措置として行われます。

在留資格変更許可申請に必要な書類

ここでは、「技能実習」から「特定技能」に変更するための移行準備として、「特定活動」に変更する際に必要な書類を紹介します。

申請者が用意する書類

外国人が用意する書類は以下のとおりです。

  • 在留資格変更許可申請書(出入国在留管理庁のWebサイトか地方出入国在留管理官署の窓口で入手)

  • 証明写真

  • パスポートおよび在留カード(提示)

  • 雇用契約書および雇用条件書等の写し

  • 特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験および日本語試験に合格していること、または技能実習2号良好修了し試験免除対象者であることを証明する資料

必要な技能試験および日本語試験に合格していること、または技能実習2号を良好修了したことを証明する資料は、「特定技能1号」への在留資格変更申請時に提出するのと同じ書類を提出します。

雇用主が用意する書類

雇用主が用意する書類は以下のとおりです。

  • 受入れ機関が作成した説明書

  • ほかの手続に時間を要しているため在留期間更新許可申請を行う場合は、手続中であることを明らかにする書類(手続き先から届いたメールの写し等)

ほかにも、協議会加入申請中であれば、そのことを証明する書類も有効です。協議会の加入については後ほど解説します。

在留資格変更許可申請書の書き方

在留資格を「特定活動」に変更する際は、在留資格変更許可申請書の「申請人等作成用1〜4」「所属機関等作成用1・2」のページに必要事項を記入して提出します。書き方は以下のとおりです。

申請人等作成用1

申請人等作成用1の画像
申請人等作成用1の様式は、「技人国」や「特定技能」と同じです。ただし、以下の欄の書き方に気を付けましょう。

  • 13欄【在留期間】:6ヶ月以内で記入する

  • 14欄【変更の理由】:「特定技能1号」への移行準備のためと記載する

「特定技能1号」で就労を予定している外国人が申請できるのは、6ヶ月間就労できる「特定活動」です。そのため、在留期間は必ず6ヶ月以内で記入する必要があります。

申請人等作成用2

申請人等作成用2の画像

17欄【活動内容】の11番目にある「その他」にチェックを入れて、「特定技能への移行準備のため)と記入します。

申請人等作成用3

申請人等作成用3の画像

22欄の具体的な在留目的のみ記入が必要です。「「特定技能1号」へ移行予定であるが、準備に時間を要するため、就労予定の受入れ機関で「特定技能1号」で携わる仕事と同様の業務に従事するもの」といった内容を記入しましょう。

申請人等作成用4

申請人等作成用4の画像

24〜26欄は記載不要です。法定代理人による申請の場合は、27欄に代理人の氏名や住所を記入しましょう。
二重線の上に、外国人本人の氏名と在留資格変更許可申請書の作成年月日を記入します。

所属機関等作成用1

所属機関等作成用1の画像

所属機関等作成用1には、外国人の職種や活動内容を記入します。

  • 1欄【(契約の場合は以下のいずれかの形態を選択)】:雇用形態しか認められないので、必ず「雇用」を選択する

  • 3欄【職種】:別紙「職種一覧」(在留資格変更許可申請書の9枚目)から選んで番号を記載する

  • 4欄【活動内容詳細】:「「特定技能1号」へ移行予定であるが、準備に時間を要するため就労予定の受入れ機関において「特定技能1号」で携わる仕事と同様の業務に従事するもの」といった内容を書く

  • 5欄【勤務先、所属機関又は通学先(4)業種】:主たる業種を「業種一覧」(在留資格変更許可申請書の8枚目)から1つのみ選んで番号を記入する

  • 7欄【就労又は就学予定期間】:6ヶ月以内で記入する

  • 8欄【月額報酬】:通勤・住宅・扶養手当てや実費弁償を除いた額を記載する

2・9欄は記載不要です。

所属機関等作成用2

所属機関等作成用2の画像

所属機関等作成用2の画像の赤い枠で括った部分は、記載不要です。書類下部の二重線の上に受入れ機関の名称と代表者名を記載し、在留資格変更許可申請書を作成した日の年月日を記入します。

在留資格変更許可申請をする際の注意点

「特定技能」移行準備のための「特定活動」への在留資格変更許可申請は、「特定技能」の要件を満たしていることが前提です。

なお、受入れ予定の外国人が「特定技能」への在留資格変更許可申請を行う前に、企業が各分野の協議会へ入会することが求められます。2024年5月時点で、在留資格変更許可申請前に協議会への入会が必要なのは、「建設分野」と「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2024年3月29日に「工業製品製造業分野」に名称変更すると閣議決定済み)」のみです。しかし、2024年6月15日以降はすべての分野において、在留資格変更許可申請前に協議会へ入会しなければなりません。

参照元
出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合)」
経済産業省「特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)

在留資格変更許可申請にかかる費用

在留資格変更許可申請にかかる申請手数料は4000円です。変更の許可が下りた後、新しい在留カードの受取時に収入印紙で支払います。

場合によっては、役所や学校から書類を取り寄せる必要があり、そのための手数料や郵送費も必要です。

在留資格変更許可申請書の作成後に確認すべきポイント

在留資格変更許可申請書の作成後は、「虚偽や誤った記載はないか」「記入漏れがないか」「規格に合った顔写真を貼っているか」「日付を記入しているか」などを確認しましょう。

虚偽の記載はないか

在留資格変更許可申請書に虚偽の記載が認められた場合、変更が許可されません。申請が下りず在留資格がなくなってしまうと、外国人は出国を命じられ、悪質な場合は懲罰の対象となる可能性があります。
懲罰を受けるのは外国人本人だけではありません。雇用する企業も「不法就労助長罪」に問われます。そのため、企業は外国人が虚偽の申告をしていないかよく確認しましょう。

誤った記載がないか

間違いやすい項目は、パスポート番号や在留カード番号、そして日本在住親族の在留カード番号です。また、前回の在留資格申請で書いた内容との整合性にも注意しましょう。特に、母国の最終学歴の学校名を記載する欄です。母国の学校名を英語で書いたり、母国語で書いたり、カタカナで書いたりと、いろいろな書き方がありますが、基本的には前回書いたとおりに書きましょう。前回と最終学歴が変更になっていると、審査が長引く原因になります。

記入もれがないか

在留資格変更申請書には、約100の記入項目があります。ですので、記入もれがないか、しっかりチェックしましょう。「申請人等作成用」のページで記入もれがあったとしても、本人が申請すればその場で修正できます。しかし、「所属機関等作成用」のページに記入もれがあった場合、その場では受理されません。一度持ち帰って、所属機関(つまり会社)に書いてもらい、再度、窓口で申請することになります。二度手間になってしまいますので、記入もれには十分注意しましょう。

規格に合った顔写真を貼っているか

規格に合った顔写真を貼っているかの画像

在留資格変更許可申請書には、出入国在留管理庁のWebサイトに記載されている規格にあった写真を貼りましょう。出入国在留管理庁が定めている写真の規格は以下のとおりです。

  • 縦4cm×横3cm

  • 申請人本人のみが写っている

  • 縁を除いた部分の長さが、上記画面の各寸法を満たしている(顔の寸法は髪を含む頭頂部からあご先まで)

  • 無帽で正面を向いている

  • 影や背景がない

  • 鮮明である

  • 提出日の6ヶ月以内に撮影されている

  • 裏面に氏名が記載されている

マスクや眼鏡、前髪で顔の一部が隠れている写真は不適当とみなされます。近年、在留資格変更許可申請書に貼る写真も、厳しく確認されるようになってきました。在留資格変更許可申請がスムーズに下りるように写真にも気を配りましょう。

参照元
出入国在留管理庁「提出写真の規格

まとめ

外国人が在留資格を変更する際は、在留資格変更許可申請書に規定の書類を添えて提出します。多くの在留資格は活動内容に制限があるため、就職や転職で業務が変わる際には変更の申請を行わなくてはなりません。
企業で外国人を採用する際は、自社の業務に従事可能な在留資格を保有しているかを確認し、必要であれば在留資格変更許可申請を行ってもらいましょう。
ただし、在留資格変更許可申請の許可率は100%ではありません。もしも不許可になれば、採用計画が大きく狂ってしまいます。申請が不許可になることを防ぐためには、募集の段階から専門家(人材紹介会社や行政書士)に相談しながら進めた方が安心です。

外国人専門の人材紹介サービス「WeXpats Agent」には、外国人雇用労務士の資格を持つスタッフが多数在籍しています。採用計画の無料相談から承っておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

濵川恭一

監修:濵川恭一

外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net