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「外国人コックが技能ビザを取得するには?」「申請時の必要書類を知りたい」と思う企業の方もいるでしょう。外国人コックが技能ビザを取得するには、原則10年以上の実務経験が必要です。また、飲食店の客席数や経営状況も技能ビザの審査に影響します。
このコラムでは、コックが技能ビザを取得する条件や必要書類を解説。企業が外国人コックを雇用する際の注意点もまとめているので、参考にしてスムーズに採用を行いましょう。
目次
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技能ビザとは在留資格「技能」のことです。ビザ(査証)は日本に入国するための「入国許可書」に当たります。対して在留資格は、外国人が日本で滞在・就労するために必要な法的根拠のある資格です。つまり、ビザ(査証)と技能ビザは同義ではありません。しかし、在留資格は一般的に「就労ビザ」「留学ビザ」と呼ばれることが多いため、このコラムでも在留資格「技能」を技能ビザと表します。
技能ビザで従事できる職種は、以下の9種類に限られます。
技能ビザに該当するのは、専門性が高い仕事や外国特有の技術を必要とする業務です。なお、技能ビザに当てはまる職種であっても、専門知識や技術が必要ない「単純作業」に該当する業務への従事は認められません。
外国人コックの技能ビザ取得には、勤務先の料理店の客席数や経営状況が影響します。小規模の店舗では非常に厳しく審査されます。ほかにも、原則10年以上の調理業務の経験が必要です。ここでは、外国人コックが技能ビザを取得する条件を紹介します。
外国人コックが技能ビザを取得するには、当該分野において原則10年以上の実務経験が必要です。経験年数には、外国の教育機関で調理について学んだ期間も含まれます。そのため、外国の調理関係の教育機関に通っていた外国人は、調理科目を専攻した期間と実際にコックとして働いた期間を合わせることで要件を満たせるでしょう。
タイ料理のコックの場合は、5年の実務経験でも良いとされています。ただし、タイの調理師免許を持たずに働いていた期間や調理補助として勤務していた年数は含まれません。
外国人コックが実務経験を証明するには、地方出入国在留管理局へ、以前勤務していた店の事業主から発行してもらった「在職期間証明書」を提出する必要があります。勤めていた店が倒産した場合は、実務経験年数として認められないことが考えられるので、事前に確認をしておくと良いでしょう。
技能ビザを取得して日本で働きたいコックは、外国料理を専門に提供している店でしか働けません。寿司屋や日本料理屋の調理師では技能ビザを取得できないので、注意しましょう。また、日本のラーメン専門店やカレー専門店(フランチャイズ店など)での勤務も認められていません。なぜなら、提供する料理の種類が少ないと、外国料理の調理における熟練した技術が活かされないからです。外国人コックは、外国料理の単品とコースのメニューがある店で調理を行う必要があります。
明確な要件ではありませんが、外国人コックの勤務先の料理店の客席が25席以上あると、技能ビザを取得しやすくなるようです。在留資格の審査を行う地方出入国在留管理局は、店舗の席数や従業員数から、人件費を賄える程度の売上を見込めるか、外国人コックを安定して雇用できるのかを判断します。そのため、外国人コックが就業する店舗の席数が極端に少ないと、技能ビザの取得が難しくなるでしょう。
就業する企業の経営が安定していることも、技能ビザの取得条件の一つです。外国人コックが技能ビザを取得する際、企業が用意した決算報告書のコピーを地方出入国在留管理局へ提出します。決算報告書から企業の経営成績や事業の状況の確認が可能です。企業の安定性や事業の継続性が見込めないと判断された場合は、技能ビザの審査に通らないでしょう。
ここでは、外国人コックが技能ビザを取得する際に提出する書類を紹介します。申請人と企業それぞれが用意する書類があるので、不備がないよう丁寧に確認しましょう。
申請人が準備する書類は以下のとおりです。調理する料理の種類によって、必要書類が異なります。
【共通書類】
すでに日本で働いている外国人がコックの技能ビザへ変更する際は、返信用はがきと在留カードの原本、パスポートの原本の用意も必要です。
【中華料理のコックの場合】
公証書とは、在職証明書や退職証明書などの私文書に記載されている署名、押印が本人のものであるかどうかを中国の公的機関である公証人が証明する書類のことです。
【タイ料理のコックの場合】
タイ料理のコックが技能ビザを取得するには、5年以上の実務経験を証明する「在職証明書」を提出しなくてはなりません。また、初級以上の調理技能を持つことを証明する「調理師免許」、タイで受けた報酬を明らかにする「納税・課税証明書」も必要です。
【そのほかの国の料理のコックの場合】
審査を行う地方出入国在留管理局の判断により、上記以外の書類の提出を求められる場合もあります。必要な書類を提出できるよう事前に準備を行いましょう。
外国人コックを雇用する企業が用意する書類は、企業のカテゴリーのどこに該当するかで変わるので注意しましょう。在留資格の審査において、外国人を雇用する企業は1~4のカテゴリーに分けられます。数字が小さいカテゴリーに該当する企業や団体の場合、信用度が高いとみなされ用意する書類が少なくて済みます。一方、数字の大きいカテゴリーに分類される新会社や規模の小さい企業は、多くの書類を用意しなくてはなりません。以下で紹介するのは、多くの企業が該当するカテゴリー3の場合に用意する書類です。
実際に書類の準備を始める前に、自社がどのカテゴリーに該当するのかを確認しましょう。
参照元 出入国在留管理庁「技能1」
企業が外国人コックを採用する場合、雇用できる人数や従事させられる業務が決められています。店の規模に対して採用人数が適当でなければ、技能ビザの許可は下りません。ここでは、外国人コックを雇用する企業が押さえるべきポイントを3つ紹介します。
外国人コックを採用する企業は、技能ビザの申請に時間が掛かることを理解しておきましょう。外国人が有している就労ビザを技能ビザに変更する場合、申請から許可までに1ヶ月近く掛かります。さらに、海外にいる外国人が新たに就労ビザを取得するための審査は、3ヶ月近くの日数が掛かるのです。技能ビザの審査の結果を待たずに外国人コックを就業させると、外国人は「不法就労」企業は「不法就労助長罪」に問われます。余裕を持って技能ビザの申請を行い、審査の結果を待ってから外国人コックを雇用しましょう。
外国人コックを雇用する企業は、客席数や客数に合わせた人数を採用しましょう。 客席数や客数が多く年中無休で営業を行っている店であれば、対応できるだけの従業員が必要です。そのため、複数人の外国人コックを採用しても問題ないでしょう。対して、客席数や客数が少ない店が3人以上のコックを雇用する場合は、採用する理由や役割分担を明確に説明しなくてはなりません。説明が不十分だったり店の規模と採用人数が合っていなかったりすると、申請が不許可になるので注意しましょう。
企業が外国人コックを雇用した場合、調理以外の業務には従事させられません。なぜなら、技能ビザでは専門的な技能を必要とする業務以外は認められていないからです。たとえば、接客は「単純労働」に分類されるため禁止されています。店の経営は、技能ビザではなく「経営・管理ビザ」の取得が必要です。外国人コックを雇用する際は、接客や店舗管理を任せるほかの人材の雇用をあわせて行いましょう。
参照元 出入国在留管理庁「在留審査処理期間」
外国人コックが技能ビザを取得するには、原則10年以上の実務経験が必要です。また、飲食店の規模や経営状況も技能ビザの取得審査に影響します。
技能ビザの申請時には、申請人本人が準備する書類と企業が用意する書類をまとめて居住地を管轄する地方出入国在留管理局へ提出します。在留資格の申請をしてから許可が下りるまでには多くの時間が掛かるため、余裕を持って書類の準備を行いましょう。
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監修:小島健太郎 さむらい行政書士法人 代表社員
外国人の在留資格・VISA・帰化、対日投資手続きを専門に扱う「さむらい行政書士法人 」の代表社員。さむらい行政書士法人は東京、名古屋、大阪と全国対応。日本においても外国人を採用する企業が年々増加傾向にある中、外国人を雇用する際の就労ビザの取得を支援し、専門性の高いコンサルティングにより高い信頼を得ている。専門分野:在留資格・VISA・帰化。年間相談実績1,000件以上。 https://samurai-law.com