日本語のyoroshiku(よろしく)は、自己紹介や何かを頼む際など、さまざまな場面で使われる言葉です。このコラムでは、例文を通してyoroshiku(よろしく)の意味を解説。同じような意味を持つ日本語や他言語のyoroshiku(よろしく)にあたる表現も紹介しています。このコラムで日本語のyoroshiku(よろしく)の意味を知り、適切に使えるようになりましょう。
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日本語のyoroshiku(よろしく)の意味と由来
日本語のyoroshiku(よろしく)は相手に何かを依頼するときによく用いられる言葉です。丁寧な伝え方にするためや頼んだ内容が適切に行われるように期待を込めて、「△△するのをよろしく」と言います。
yoroshiku(よろしく)はもともと「良い」の改まった言い方「よろしい」が由来です。「よろしい」には「状態が良い」「悪くない」「許可できる」などの意味があります。本来は相手の要求に対して、「よろしい」と引き受ける意味で使われていました。その後、使われ方が変化し、要求をする人が相手に頼む際に「よろしく」と言うようになったのです。
yoroshiku(よろしく)が使われる場面と例文
yoroshiku(よろしく)は何かを頼む場面でよく使われる言葉です。ほかにも、自己紹介や会議を始めるとき、手紙やメールの文を終わらせる際の言葉としても用いられます。ここでは、yoroshiku(よろしく)が使われる場面と例文を紹介するので、参考にしてください。
自己紹介をするとき
yoroshiku(よろしく)は自己紹介の最後によく使う言葉です。yoroshiku(よろしく)と言うことで、これから相手と良い関係を築きたい、親しくしたいとの気持ちを伝えます。ただし、yoroshiku(よろしく)が用いられるのは、年齢の近い人同士の自己紹介です。仕事で会った人や目上の人には、yoroshiku(よろしく)のより丁寧な言い方である「よろしくお願いします」と言いましょう。
【例文】
田中さん「初めまして、田中です。よろしくお願いします」
山本さん「初めまして、山本です。こちらこそ、よろしくお願いします」
返答には自分も同じ気持ちである「こちらこそ」をつけて「こちらこそ、よろしくお願いします」と返します。
何かをお願いをするとき
相手に何かを依頼するときのyoroshiku(よろしく)は、次のように使われます。
【例文.1】
田中さん「この書類の確認をよろしくお願いします」
山本さん「承知しました」
【例文.2】
田中さん「この書類をよろしくお願いします」
山本さん「かしこまりました」
【例文.2】は文中に「確認」という文言はありませんが、【例文.1】と同じ意味です。日本語は、主語や述語を省略することが多くあります。一度やり取りしたことのある内容を頼む場合、【例文.2】のように言葉を省くことも多いでしょう。ビジネスシーンで依頼の際にyoroshiku(よろしく)と言われたときには、「承知しました」や「かしこまりました」と返答します。
会議や講義を始めるとき
会議や講義を始めるときの言葉にも、yoroshiku(よろしく)が使われます。
【例文.1】
田中さん「今から会議を始めたいと思います。よろしくお願いします」
【例文.2】
山本さん「講義を担当する山本です。本日はよろしくお願いします」
この場合のyoroshiku(よろしく)は、「今から始めることをスムーズにすすめるため、ご協力お願いします」との意味があります。「よろしくお願いします」と返答する場合もありますが、大人数の会議や講義のときは、返答しないことも多いでしょう。
手紙やメールなどの文を終わらせるとき
yoroshiku(よろしく)は手紙やメールの文末にも使われる言葉です。
【例文.1】
以下の例文はメールの文章です。
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田中様
お世話になっております。△△部の山本です。
本日、依頼させていただいていたアンケートの締め切り日です。
大変お手数ですが、本日の退勤までに提出をよろしくお願いします。
山本
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【例文.2】
以下の例文は手紙の文章です。
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太郎くんへ
また同じクラスになれてよかったね。よろしくね。
花子
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yoroshikuは【例文.1】のようにメールの文末に書かれ、yoroshikuより前の内容をお願いする場合に使われます。ほかにも、【例文.2】のように具体的に何かを頼む意味はなく、相手と仲良くしたい気持ちを示す際にも用いられる表現です。
そのほかの場面でyoroshikuが使われるとき
yoroshiku(よろしく)は自分が相手を気にかけていたことを伝えてほしい場合にも使われます。
【例文.1】
田中さん「高橋さんはお元気ですか。よろしくお伝えください」
ただし、この場合のyoroshiku(よろしく)は田中さんより高橋さんの方が立場が下の場合は使えません。「よろしくお伝えください」といえるのは、相手が部下や同僚の場合のみです。
yoroshikuと同じ意味で使われる言葉
yoroshiku(よろしく)と同じ意味で使われる言葉は、「よろしくお願いします」「よろしくお願いいたします」などがあります。どの言葉もyoroshiku(よろしく)より丁寧な言葉です。ビジネスシーンや目上の人にyoroshiku(よろしく)と言いたい場合、これらの言葉を使うと良いでしょう。また、さらに丁寧な言い方に「お願い申し上げます」があります。
他言語でyoroshikuにあたる言葉は?
他言語でも、yoroshiku(よろしく)と同じように自己紹介で言われる言葉や頼みごとの際に使われる表現があります。ただし、日本語のyoroshiku(よろしく)が持つすべての意味をそのまま表現できる言葉はありません。ここでは、場面ごとにyoroshiku(よろしく)と同じ意味で使われる他言語の言葉を紹介します。
英語のyoroshikuにあたる言葉
自己紹介の際にyoroshiku(よろしく)と同じ意味で使われるのが「Nice to meet you」です。「はじめまして、よろしくお願いします」という意味があります。
ビジネスシーンで相手に何かをお願いするときに用いられるのは「please」です。日本語のように省略せず頼みたい内容を明確にして、前後に「please」をつけます。また、ビジネスメールの文末に、よく使われるのが「Best Regards」です。「今後もよろしくお願いします」の意味で使われます。
中国語のyoroshikuにあたる言葉
中国語の自己紹介で使われる言葉が「請多関照」です。仕事で初めて相手などあらたまった関係で使われます。友人の紹介で初めて会う相手には、「你好」のあとに自分の名前を言うだけでyoroshiku(よろしく)との意味になります。
何かを頼む際に用いられるのが「拝托」です。ビジネスの相手に依頼する際は、より丁寧な「拝托您了」を使いましょう。「拝托您了」は「今後もどうぞよろしくお願いします」の意味で、メールの文末にも使われます。ほかには、「謝謝」も日本語のyoroshiku(よろしく)と同じ意味で文末に使われる言葉です。
韓国語のyoroshikuにあたる言葉
韓国語でyoroshiku(よろしく)は「잘 부탁합니다」と言います。「잘 부탁합니다」は自己紹介や相手に何かを頼む際に使われる言葉です。ただし、相手の年齢や立場によっては失礼にあたります。ビジネスシーンや目上の人に自己紹介するときには、より丁寧な「잘 부탁드립니다」が適切です。また、お願い事をする際は、「お願いがあるのですが」という意味の、丁寧で控え目な表現「부탁이 있는데요」がよく使われます。
まとめ
日本語のyoroshikuは、相手と良い関係を築きたいとの気持ちが込められ、自己紹介や会議・講義の始めに言う言葉です。ビジネスシーンでは、より丁寧な言い方の「よろしくお願いします」「よろしくお願いいたします」が使われます。これらの言葉は、仕事の依頼やビジネスメールの文末に用いられる表現です。場面に応じてyoroshiku(よろしく)を使いましょう。