日本語の文法は難しい!?外国人に教えるときに知っておきたいポイントを紹介

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2023/02/16

職場で、学校で、ご近所で…。外国人に「日本語を教えてほしい」と言われたとき、皆さんは説明できますか?自然に身についた日本語を「教える」となると、案外戸惑う人も多いのではないでしょうか。ここでは、何から外国人に日本 語を教えた方が良いのか、日本語の特徴や動詞の難しいポイント、そして、教えるときに心がけるべきポイントを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 外国人に日本語文法を教えるときのポイント4つ
  2. 外国人に教えるべき日本語とは?~動詞編~
  3. 外国人により詳しく分かりやすく教える方法
  4. まとめ

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外国人に日本語文法を教えるときのポイント4つ

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実際に外国人に教えるとき、まず何を心がければ良いのでしょうか。まずは日本語教育で重視されているポイントを4つ紹介します。

初めにcan-do(ゴール)を提示する

日本語を教えるときには、まずその文法を学ぶ目的や使用場面が分かる「can-do(ゴール)」を提示することが大切です。このcan-doを提示するかしないかで、学習者のモチベーションは大きく変わると言われています。そのため、場面を提示するとき、can-doは会社員であればビジネスでの場面を、学生であれば学校生活での場面といったように、学習者に合わせて変えると良いでしょう。

学習者のニーズによって学習文法の比重を調整する

文法によって「よく使うもの」「見聞きして意味が分かれば良いもの」「あまり見聞きしないもの」に分けられます。これは、学習者の学習目的や年齢によっても異なってきます。そのため、文法を教えるときに、読む・書く・話す・聞くのすべてができるようになるまでしっかりとやる必要はありません。学習者のニーズに合わせて比重を調整しましょう。

実物・生教材を使う

例えば、「〇〇を1つお願いします」という文法のときには、実際にレストランのメニューを用意して、店員と客に分かれて注文の練習をやってみるのも良いでしょう。実際に使う場面のものを扱うことでより実践的な練習になるので、モチベーションも上がり、「知っている文法」から「使える文法」に変わります。

語彙をコントロールする

知っている語彙が少ない外国人にとって、分からない語彙が多いとストレスになります。そのため、新しい文法を勉強するときに新出語彙が多いと、文法に集中できません。なるべく新出語彙は使用度の高いものに絞り、普段の会話も既習文法を使った「やさしい日本語」で言い換えましょう。

また、外国語学習では母語の影響を大きく受けると言われています。文法や発音はもちろん、文の構造の違いにも戸惑うことがあるでしょう。日本語の基本構造については「日本語の文法の基礎とは?外国人に向けて正しい文章をつくるコツを解説」で紹介しているので、ぜひご覧ください。

外国人に教えるべき日本語とは?~動詞編~

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次に、外国人が特につまずきやすい「動詞」について、3つ紹介します。

これが肝心!動詞のグループ分け

国語の授業で勉強した「五段活用」「上一段活用」「下一段活用」「カ行変格活用」「サ行変格活用」を覚えていますか?日本語教育では、それらは使わず、動詞を3つのグループに分けます。日本語の動詞の活用は複雑で、それぞれのグループによって活用のルールが違うので、最初にグループ分けを覚える必要があります。

【1グループ】 五段活用動詞〈あ段+ない〉

否定「~ない」の形にしたとき「~a ない」の動詞です。

〈外国人にとって分かりやすい教え方〉

「~ます」の形にしたときに、「~i ます」の動詞です。ただし、例外で2グループになる動詞もあるので、注意が必要です。

  例)買い(i)ます、書き(ki)ます、読み(mi)ます、待ち(chi)ます・・・

【2グループ】 上一段活用〈い段+ない〉、下一段活用〈え段+ない〉

簡単な見分け方は、否定「~ない」の形にしたとき「~i ない」「~e ない」の動詞です。

〈外国人にとって分かりやすい教え方〉

「~ます」の形にしたときに、「~e ます」の動詞と、一部の「~i ます」の動詞です。

  例)食べ(be)ます、教え(e)ます、寝(ne)ます、遅れ(re)ます・・・

  〈「~i ます」の例外〉見(mi)ます、借り(ri)ます、浴び(bi)ます・・・       

【3グループ】 カ行変格活用〈来る〉、サ行変格活用〈する〉

「します」と「来ます」の2つです。

 例)します:勉強します、料理します、掃除します・・・

   来ます:連れてきます、持ってきます、取ってきます・・・

このように、動詞は一般的に「~ない」や「~ます」の形で見分けます。「~ない」で見分ける方法には例外がないので、日本語が母語の私たちにとっては一番簡単です。しかし、外国人にとっては「~ない」の形を覚えることが難しいので、学習者が分かりやすいよう「~ます」の形で教えるのがベストだと言えるでしょう。

この3つのグループの分別ができると、それぞれのルールに従うだけなので過去形、否定形などの活用が簡単になります。日本語を外国人に教える時にはまず、このグループ分けを覚えてもらいましょう。

区別が難しい自動詞・他動詞

日本人は自然に自動詞と他動詞を使い分けています。しかし、自動詞と他動詞を区別している言語は意外にも少ないようです。ここでは、自動詞と他動詞の違いを説明します。

「自動詞」とは

「自動詞」は「自分が動く」という意味なので、変化や移動を表す動詞、自然現象の動詞は自動詞に分類されます。

  例)(ドアが)開く、(ドアが)閉まる、行く、(雨が)降る・・・

「他動詞」とは

「他動詞」は「他を動かす」という意味なので、目的語「を」を持つ動詞は他動詞に分類されます。

  例)(ドアを)開ける、(ドアを)閉める、(ごはんを)食べる・・・

「自動詞」と「他動詞」の組み合わせは4種類あります。

①「自動詞」と「他動詞」が対応する動詞  

 例)(ドアが)閉まる/(ドアを)閉める

②「自動詞」「他動詞」同形の動詞  

 例)(ドアが)ひらく/(ドアを)ひらく

③「自動詞」だけの動詞  

 例)走る、行く、起きる・・・

④「他動詞」だけの動詞  

 例)(ごはんを)食べる、(本を)読む・・・

感謝を表す日本独特の授受表現「くれる」

「あげる」「もらう」に対応する言葉は他の言語でもあるようですが、「くれる」に対応する言葉はないと言われています。そのため、「田中さんが私に本をくれた」と言うべきところを「田中さんが私にあげた」という誤用が生まれます。ここでは、日本語独特の「くれる」について考えてみましょう。

「あげる」と「くれる」の違い

「くれる」は相手の親切に感謝する言葉です。そのため、主語はその相手で、いつも「私に」のときに使います。また、日本には「ウチとソト」の概念があり、日本人は自分の身内とその他を分けて考えます。「くれる」にもその「ウチとソト」の概念が反映されており、「私の弟に本をくれた」や「私の友達の佐藤さんを病院へ連れて行ってくれた」のように、「私」以外の「ウチ」の人が対象のときにも「くれる」を使います。

 例)田中さんは 木村さんに 本を あげた。  ←木村さん:ソト

   田中さんは 私の弟に  本を くれた。  ←私の弟:ウチ

「もらう」と「くれる」の違い

「もらう」と「くれる」はどちらも受け取るときに使い、相手への感謝が込められています。しかし、「もらう」は「父にお願いをして、時計を買ってもらった」のように、お願いをしてやってもらうという意味合いが強いです。それに比べ、「くれる」は「財布を忘れて困っていたら、田中さんがお金を貸してくれた」のように、相手が自主的にやってくれたという意味合いが強いです。「くれる」は「〇〇さんは本当に親切な人!素敵!」という気持ちが込められているので、主語が親切な相手になっているのです。

 例)財布を忘れたので、 田中さんに(お願いをして) お金を 貸してもらった。

   財布を忘れて困っていたら、(お願いをしていないのに)田中さんが お金を 貸してくれた。

外国人により詳しく分かりやすく教える方法

外国人により詳しく分かりやすく教える方法の画像

文法を教えるときに気を付けるべきポイントは冒頭で紹介しましたが、それでも、教えているときに「どういう意味?分かりづらい!」と言われることがあるでしょう。ここでは、そんな外国人に分かりやすく伝える方法を紹介します。

絵や写真を見せる

日本語を勉強し始めたばかりの外国人は特に、語彙が分からなくて質問してくることが多いでしょう。分からない語彙は学習者の母語(や英語)で伝えるのが一番手っ取り早いですが、解釈がずれてしまうこともあります。それに比べ、絵や写真は言葉で説明するよりも正確に伝わりやすく、イメージは記憶に残りやすいので、有効的だと言えるでしょう。

ジェスチャーをする

絵や写真、言葉では伝わりづらい「動作」は、ジェスチャーを使いましょう。嬉しい・悲しいなどの感情はジェスチャーで十分に表現することができます。その際、恥ずかしさもあるかもしれませんが、少しオーバーにやったほうが伝わりやすいです。また、「いつ」「どこで」「誰と」「何をしたか」などの記憶(エピソード記憶)は長期的に残りやすいと言われているので、覚えてもらうためにもぜひやってみてください。

ゆっくり、はっきりと話す

遅すぎると思うぐらいが、日本語を始めたばかりの外国人にとっては聞き取りやすいスピードだと言えるでしょう。その際、ただゆっくりと話せば良いのではなく、文節ごとに区切って話すと、より伝わりやすいです。

 話し方の例)

   週末は何をしますか。 

   → 週末は/何を/しますか。

書いてみる

日本に長い間住んでいたり、日本人の配偶者や友人がいたりする外国人は「聞くほうが得意」という場合も多いですが、その他の外国人は聞き取りが弱く、「書いてほしい」という場合が多いです。その際、先ほどの「文節ごとに区切って話す」と同じで、「文節ごとにスペースを空けて書く」と、より伝わりやすいです。また、漢字を使わない言語の外国人には、漢字にふりがなを付けたり、ひらがなに変換したりといった配慮も必要でしょう。

 書き方の例)

   明日一緒に映画を見ませんか。

   → 明日 一緒に 映画を 見ませんか。

   → あした いっしょに えいがを みませんか。

これらの方法で学習をサポートしても日本語の解釈がスムーズにいかないときは、「日本語が難しい理由って?ほかの言語と比較してみよう」を参考にしてみてください。日本語が難しいと思われる観点をおさえながら教えていくと、より効果的でしょう。

また、自主的に学習していく姿勢を培うことも教える上で大事な要素です。自分で楽しんで学習できる方法は「日本語の勉強方法を外国人に向けて解説!覚えるのが難しい内容も紹介」で紹介しています。学習方法を提供してあげるというのも1つの効果的な手段かもしれません。

まとめ

まとめの画像

いかがでしたでしょうか。日本語の特徴やつまずきやすいポイントを知っておくことで、外国人へ教えるときに工夫すべきことが見えてくるはずです。この他にも、「外国人が難しいと感じる日本語とは?難しい理由から例文まで徹底解説!」では外国人がつまづきやすい例文を紹介しているので、ケーススタディとして挑戦するように紹介してみるのも効果的でしょう。

日本語を外国人に教える機会がある際には、今回紹介したことをぜひ参考にしてみてください。

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