日本語には、読み方や意味を間違えやすい言葉がいくつもあります。分かりにくい言葉や表現はクイズ形式で覚えていくとスムーズです。
この記事では、間違えやすい日本語のクイズを出題します。また、使い分けが難しい言葉や、日本語学習中の方向けに間違えやすい文法の問題も紹介。クイズを通して本来の意味を知り、正しい日本語を使えるようになりましょう。
目次
- 読み方を間違えやすい日本語のクイズ
- 意味を間違えやすい日本語のクイズ
- 使い分けを間違えやすい日本語のクイズ
- 会話で間違えやすい日本語のクイズ
- ビジネスシーンで間違えやすい日本語のクイズ
- 日本語勉強中の人が間違えやすい文法のクイズ
- 時代を経て間違えが正しい意味になった日本語もある
- まとめ
読み方を間違えやすい日本語のクイズ
日本語には読み間違えやすい言葉があります。ここでは漢字についてのクイズを出題するので、正しい読み方をA~Cの選択肢から選んでください。
問1
「雰囲気」
A「ふんいき」 B「ふいんき」 C「ふういき」
答えはAの「ふんいき」です。漢字をそのまま読めば正しく発音できる熟語ですが、Bのように「ふいんき」と発音している日本人も。「ん」のあとに母音の「い」を発音するのが日本人にとって難しいことから、位置が逆転した読み方が定着したと考えられています。「雰囲気」は間違えやすい日本語の代表格といえるでしょう。
実際に発音するときは「ふいんき」でも通じます。しかし、かしこまった場面やビジネスシーンで恥ずかしい思いをしないために、正しい読み方を身に付けておきましょう。
問2
「茨城県」
A「いばらしろけん」 B「いばらぎけん」 C「いばらきけん」
「茨城県」の正しい読み方は、Cの「いばらきけん」です。茨城県は関東地方にある県で、東京都の北東に位置しています。B「いばらぎけん」と発音している人が非常に多く、読み間違えやすい県名です。茨城県の人が話す茨城弁は、カ行やタ行を濁って発音することが多々あります。そのため、「いばらき」ではなく「いばらぎ」の読み方で伝わったのでしょう。
なお、東北地方にある「宮城県」は同じ「城」の字を使っていますが、「みやぎけん」と読みます。同じ漢字でも言葉によって読み方が変わるのが、日本語の難しさです。特に固有名詞は、普段あまり使わないような漢字の読み方をする場合が多々あります。
問3
「押印」
A「おしいん」 B「なついん」 C「おういん」
「押印」の正しい読み方は、Cの「おういん」です。漢字をそのまま読むとAの「おしいん」ですが、正しい読み方ではありません。また、Bの「なついん(捺印)」は、押印と同じ場面で使われる日本語なので混同しやすいでしょう。押印は実印や認印などの印判を押すことです。一方、捺印は直筆の署名とともに、印判を押す行為を指します。
押印や捺印は、賃貸の契約や銀行口座の開設の際によく見聞きする言葉です。ビジネスシーンでもよく使われる日本語なので、間違えないように注意しましょう。
問4
「代替」
A「だいたい」 B「がいかえ」 C「だいだい」
「代替」の正しい読み方はAの「だいたい」で、「ほかの物に替えること」という意味の日本語です。「替」は「かえ」という読み方がよく使われるため、Bの「だいかえ」だと思っている人が多くいます。
なお、現在では「だいかえ」でも間違いではないとする風潮も。しかし、ビジネスシーンで使った場合は指摘される可能性もあるため、正しく覚えた方が賢明でしょう。「代替」を使った例文として、「代替案を出す」「△を●で代替する」などがあります。
問5
「猛者」
A「もうじゃ」 B「もじゃ」 C「もさ」
「猛者」の正しい読み方は、Cの「もさ」です。強い人を指す日本語で、「歴戦の猛者(意味:数々の戦いを勝ち上がってきた強い人)」のように使われます。
なぜ間違えやすいかというと、似た雰囲気の言葉である「亡者(もうじゃ)」と混同してしまう方が多いのです。亡者は亡くなった人や何かに取り憑かれた人を指す日本語で、猛者とは意味が異なります。たとえば、「金の亡者」という言葉は、金銭に強い執着を示す人のことです。
問6
「汎用性」
A「ぼんようせい」 B「はんようせい」 C「ひょうようせい」
「汎用性」の正しい読み方はBの「はんようせい」で、意味は「さまざまなことに活用できる様子」です。平凡でありふれた様子を表す「凡庸性(ぼんようせい)」と混同する人が多く、誤った読み方が浸透しています。「汎」の一部に「凡(ぼん)」があることも、間違えやすい要因の一つでしょう。「汎用性」がよく使われるのは、商品や製品の特徴を説明するときです。「汎用性が高い」のように用いられます。
問7
「疾病」
A「えきびょう」 B「しっぺい」 C「しつびょう」
「疾病」の正しい読み方は、Bの「しっぺい」です。病気や疾患を表し、医療現場でよく使われます。「病」は「びょう」と読みますが、「疾病」と書いて「しつびょう」と読むことはありません。「病」の読み方を「ぺい」とする日本語はあまりないため、なじみが薄く間違えやすいのでしょう。なお、伝染病を指す「疫病」と漢字がよく似ており、「えきびょう」と読み間違えてしまう人も多くいます。
問8
「遵守」
A「そんしゅ」 B「じゅんしゅ」 C「がんしゅ」
「遵守」の正しい読み方はBの「じゅんしゅ」で、意味は「法律や規則、ルールなどに背かず、しっかり守ること」です。「法律を遵守する」「規則を遵守する」といったように、ビジネスシーンでよく使われます。
多くの人が間違える読み方が、Aの「そんしゅ」です。「遵」の一部に「尊(そん)」が使われていているため、誤解しやすいのだと考えられます。
問9
「相殺」
A「あいさつ」 B「そうさつ」 C「そうさい」
「相殺」の正しい読み方は、Cの「そうさい」です。漢字をそのまま読むとAの「あいさつ」やBの「そうさつ」と間違えてしまうでしょう。
「殺」の字は、「さつ」と読む場合には「殺す」という意味があります。しかし、「さい」と読む場合は、「減らす」という意味になるのです。「相殺」という日本語は、「差し引いて、お互いに損や得がないようにすること」を表します。
問10
「原因」
A「そういん」 B「げいいん」 C「げんいん」
「原因」の正しい読み方は、Cの「げんいん」です。問1の「雰囲気」と同じく、「ん」のあとに「い」がくると発音しにくいため、よく間違えてBの「げいいん」と読まれます。また、「げーいん」と伸ばして発音する人もいるのです。このように、「原因」は複数の間違った読み方が浸透している日本語といえます。
単語や四字熟語、ことわざ、古語の難しい言葉は、「日本語のなかでも特に難しい言葉は?外国人が知っていたら驚かれるフレーズ」でも解説しています。ぜひチェックして、日本語の知識を深めてください。
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意味を間違えやすい日本語のクイズ
日本語には、多くの人が意味を間違えて覚えている言葉があります。各問の日本語の正しい意味を、A~Cの選択肢から選んでみましょう。
問1
「姑息な手を使う」
A:卑怯な手段を使う
B:素早くできる手段を使う
C:とりあえずの手段を使う
「姑息な手を使う」の正しい意味は、Cの「とりあえずの手段を使う」です。Aの「卑怯な手段を使う」という意味によく間違えられます。「姑息な奴だ」「姑息な考えだ」など、相手にネガティブなイメージがあるときに使われる日本語です。「その場しのぎの手段を使うことは卑怯」との考えから、間違った意味の解釈が定着したと考えられます。
問2
「小春日和」
A:冬から春にかけての穏やかな天気の日
B:秋から冬にかけての穏やかな天気の日
C:春から夏にかけての穏やかな天気の日
「小春日和」の正しい意味は、Bの「秋から冬にかけての穏やかな天気の日」です。本来は、秋から冬の間にふと訪れる、まるで春のような暖かい日を指します。しかし、寒い冬を越え、少し暖かい春めいた日という意味に間違えられやすいのです。
なお、「日和」には、「晴れた良い天気」や「晴天」という意味があります。
問3
「破天荒(はてんこう)な人」
A:初めて達成する人
B:豪快な人
C:型破りな人
「破天荒(はてんこう)な人」の正しい意味は、Aの「初めて達成する人」です。しかし、昨今では、型破りで豪快な様子を表す日本語と間違えて使う人が多くなりました。初めて何かを達成できるような人は型にはまらない部分があることから、誤った意味が広まったと考えられています。また、「破る」「荒れる」などの荒々しい漢字が使われているのも、意味を誤解しやすい理由の一つでしょう。
問4
「したたか」
A:あざとい
B:しっかりしている
C:ずる賢い
「したたか」の正しい意味は、Bの「しっかりしている」です。漢字では「強か」と書き、もともと「意志が強く屈しない」との意味で、ポジティブな場面でも使われる日本語でした。しかし、昨今では「ずる賢い」という意味に間違えている人が多く、ネガティブな表現としてよく用いられます。相手を褒める際に「したたか」と言うと誤解を与える可能性もあるので、別の言葉に置き換えた方が無難でしょう。
問5
「情けは人の為ならず」
A:情けをかけて手助けしてもその人のためにならない
B:情けをかけて手助けすると誰かのためになる
C:情けをかけて手助けすることは自分のためにもなる
「情けは人の為ならず」の正しい意味は、Cの「情けをかけて手助けすることは自分のためにもなる」です。しかし、「情けをかけて手助けしても、その人の為にならない」という誤った意味が定着しています。正反対の意味になってしまうので、間違えて使わないように気を付けましょう。
問6
「憮然(ぶぜん)とした」
A:失望してぼんやりしている状態
B:怒りでむっとしている状態
C:恐れで何も手につかない状態
「憮然(ぶぜん)とした」の正しい意味は、Aの「失望してぼんやりしている状態」です。多くの人が、むっとしたり怒ったりする様子を表す言葉だと誤って認識しています。
文化庁の2018年度「国語に関する世論調査」で「憮然」の意味を尋ねた結果、「腹を立てている様子」と答えた人は56.7%いました。
問7
「おもむろに」
A:急に
B:音を立てながら
C:ゆっくりと
「おもむろに」の正しい意味は、Cの「ゆっくりと」です。多くの人が「急に」や「突然」などの意味を持つ言葉だと誤解して使っています。
文化庁の2014年度「国語に関する世論調査」で「おもむろに」の意味を尋ねたところ、「ゆっくりと」と回答した人の割合は、 44.5%でした。間違った意味である「不意に」と答えた人の割合は40.8%で、差はわずかしかありません。
「おもむろに」は、漢字で「徐に」と書きます。「ゆっくり進む様子」を表す「徐々に(じょじょに)」という言葉と関連付け、正しい意味を覚えると良いでしょう。
問8
「役不足」
A:役割が軽すぎること
B:役割が重すぎること
C:役割が丁度いいこと
「役不足」の正しい意味は、Aの「役割が軽すぎること」です。「役割が重すぎる」という謙遜の意味だと思っている人もいますが、実際には正反対の意味を持ちます。何か役職を与えられたときに間違えて「私では役不足です」と言ってしまうと、自己評価の高い人物だと思われるので注意しましょう。なお、「役割に対して自分が力不足であること」を意味する日本語は、「役者不足」です。
問9
「潮時」
A:新しいことを始めるタイミング
B:ちょうど良いタイミング
C:何かを辞めるタイミング
「潮時」の正しい意味は、Bの「ちょうど良いタイミング」です。「潮時」は、本来「潮の満ち引きが起こる時刻」や「ちょうど良いタイミング」を表す日本語で、ネガティブなニュアンスの言葉ではありませんでした。しかし、多くの人が間違えて、「何かを辞めるタイミング」や「物事の終わり」を意味すると思っている日本語です。
間違えられやすい理由としては、退職や引退といった場面で「潮時」がよく使われるからだと考えられます。辞めるのに「良いタイミング」の意味で使われた「潮時」が、「何かを辞めるとき」の言葉として間違えて覚えられたのでしょう。
問10
「確信犯」
A:なりゆきで犯罪を犯した人
B:意図的に犯罪を犯した人
C:自分の信念に基づいて犯罪を犯した人
「確信犯」の正しい意味は、Cの「自分の信念に基づいて犯罪を犯した人」です。本来、「政治や宗教上の信念に基づき、正しいと確信して行われる犯罪。また、そのような犯罪をする人」を表す日本語でした。しかし、昨今では、「意図的に犯罪を犯した人」を意味する言葉だと、多くの人が誤解しています。
文化庁の2015年度「国語に関する世論調査」では、正しい意味を知っていた人の割合は、17.0%でした。非常に間違えやすい日本語なので、正しい意味を覚えて適切な場面で使いましょう。
参照元 文化庁「『言葉のQ&A』(まとめ)」 文化庁「国語に関する世論調査」
使い分けを間違えやすい日本語のクイズ
日本語には、一見すると同じようで実は異なる意味を持つ言葉があります。以下で紹介するのは、使い分けが難しい日本語のクイズです。「」に当てはまる適切な言葉は、AかBのどちらか選んでください。
問1
両親や親戚の「」に応える。
A:信頼
B:信用
答えはAの「信頼」です。「信頼」も「信用」もどちらも対象を信じるという意味で使われる日本語ですが、「何を評価して信じるのか」という点が異なります。
「信頼」は、相手の性格や人柄、普段の行動などから判断して信じるときに使われる言葉です。一方、「信用」は、対象が過去に出した成果や実績を評価したうえで信じる際に用いられます。
問2
彼は急いでいたので、「」に返答した。
A:なおざり
B:おざなり
答えはBの「おざなり」です。「おざなり」と「なおざり」は言葉の響きが似ており、2つとも「いい加減な様子」を表す日本語のため、間違えやすいといえます。
「おざなり」の意味は、「いい加減な対応をすること」です。一方、「なおざり」は「いい加減で、ほぼ行動を起こさないこと」を意味します。「なおざり」は行動していない場合には当てはまらないので、間違えて使わないようにしましょう。
問3
見ていた映画が面白かったので、1人で「」した。
A:爆笑
B:大笑い
答えは、「大きな声を挙げて笑うこと」を意味するBの「大笑い」です。「爆笑」は、複数の人が大声で笑ったときにしか使えません。たとえば、「TVを見て、家族全員で爆笑した」「その場にいた人は、爆笑の渦に包まれた」というような使い方をします。「爆笑」は、1人で笑っている場合にも間違えて使いやすい日本語です。「大笑い」「爆笑」は、笑っている人数により使い分けましょう。
問4
誰に対しても丁寧な友人に「」。
A:頭が下がる
B:頭が上がらない
答えはAの「頭が下がる」です。「相手の振る舞いに感心し、尊敬したり敬ったりすること」を意味します。
一方の「頭が上がらない」は、「能力の差があったり引け目を感じたりしていて、相手に対して対等に振る舞えない様子」を表す日本語です。お辞儀で頭を下げている様子がイメージされるからか、感謝する意味があるとよく間違えられます。
しかし、「頭が下がる」「頭が上がらない」には「感謝する」という意味はありません。使う際は注意しましょう。
日本語には、多くの人が間違えて使っている言葉がいくつもあります。「誤用が多い日本語をクイズ形式で出題!正しい使い方や意味を勉強しよう」でも紹介しているので、ぜひご覧ください。
会話で間違えやすい日本語のクイズ
会話でよく使う表現にも、間違えやすい日本語はあります。ここでは会話で間違えやすい日本語のクイズを出題するので、ぜひ答えを考えてみましょう。
問1
褒められたときに返す言葉として、正しい文を選びましょう。
A:とんでもございません
B:とんでもないことです
正しいとされているのはBの「とんでもないことです」です。「とんでもない」で1つの形容詞なので、「ない」だけを切り離し「ございません」と丁寧な表現に変えるのは不適切だとされています。
しかし文化庁の「敬語の指針」によると、「現在では、相手から褒められたときに謙遜の意味で軽く打ち消す場合は問題がないと考えられている」という記載も。むしろ、正しい表現とされている「とんでもないことです」に違和感を感じる人もいます。正確に正しい日本語ではないものの、場面によっては受け入れられていると覚えておきましょう。
問2
正しい意味を選びましょう。
「100円弱だった」
A:100円より少し多い
B:100円より多いか少ないか、そのあたり
C:100円より少し少ない
「100円弱」の正しい意味は、Cの「100円より少し少ない」です。「弱」を▲▲円とプラス少しとの意味と考え「100円より少し多い」と誤解している人もいます。
100円より少し多いときの表現は「100円強」です。100円より多いか少ないか、そのあたりの金額を表すときは「100円ぐらい」「100円前後」と言いましょう。
問3
正しい意味を選びましょう。
「敷居が高い」
A:失礼なことをしたので、行きづらい
B:高級なイメージがあるので、行きづらい
C:高い場所にあるので、行きづらい
「敷居が高い」の正しい意味は、Aの「失礼なことをしたので、行きづらい」です。「叔母の家は敷居が高い」といったように使います。昨今、多くの人が間違えて浸透しているのが、Bの「高級なイメージがあるので、行きづらい」という意味です。「あのレストランは敷居が高い」のように使う人が増えました。
文化庁による2019年度の「国語に関する世論調査」では、「敷居が高い」の意味を「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」と答えた人は56.4%にも上ります。多くの人が意味を間違えて使っている日本語です。
問4
正しい意味を選びましょう。
「さわりだけ聞く」
A:最初だけ聞く
B:途中まで聞く
C:重要なところだけ聞く
「さわりだけ聞く」の正しい意味は、Cの「重要なところだけ聞く」です。しかし、多くの人がAの「最初だけ聞く」という誤った意味で覚えています。「さわり」という言葉のニュアンスから、「最初だけさらっと触れる」との意味で捉えている人が多いのでしょう。
文化庁の2007年度「国語に関する世論調査」でも、「さわり」を「話などの最初の部分のこと」と思っている人の割合は55.0%でした。正しい意味である「話などの要点のこと」と思っている人の割合は35.1%だったという結果からも、いかに間違えやすい日本語か分かります。
問5
正しい意味を選びましょう。
「煮詰まっている」
A:物事が決まり始めている
B:物事が進まず止まっている
C:物事が変わろうとしている
「煮詰まっている」の正しい意味は、Aの「物事が決まり始めている」様子です。「行き詰っている」と意味を混同し、Bの「物事が進まず止まっている」だと間違えている人が多くいます。「進んでいない」という意味で「煮詰まっている」と言うと、相手は「進んでいる」という真逆の意味で捉える可能性があるので注意が必要です。
問6
正しい意味を選びましょう。
「浮足立つ」
A:気分が上がっている B:浮かれている C:不安に感じている
「浮足立つ」の正しい意味は、Cの「不安に感じている」です。使われている漢字のイメージから「浮かれている」「テンションが上がっている」という意味だと思っている人が多くいます。正しくは、不安や恐怖により混乱している様子を表す日本語です。
文化庁が行った2019年度の「国語に関する世論調査」では、「浮足立つ」の意味を「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている」と答えた人の割合は26.1%で、「喜びや期待を感じ、落ち着かずそわそわしている」と答えた人の割合は60.1%でした。この結果からも、間違えて使っている人が多いと分かります。
「日本語クイズで楽しく勉強しよう!略語や誤用されやすい言葉を中心に出題」でも、間違えやすい日本語のクイズを紹介しています。ぜひ挑戦してみてください。
参照元 文化庁「『言葉のQ&A』(まとめ)」 文化庁「国語に関する世論調査」 文化庁「報告・答申・建議等(文化審議会 国語分科会 国語課題小委員会)」
ビジネスシーンで間違えやすい日本語のクイズ
働く際は敬語を使用することが多く、正しい日本語に難しさを感じている人もいるでしょう。ここでは、ビジネスシーンで間違えやすい日本語のクイズを出題します。
問1
「見る」の尊敬語を選びましょう。
A:ご覧になられる
B:ご覧になる
正しい敬語の使い方は、Bの「ご覧になる」です。「ご覧になる」のみで尊敬語を表します。「れる」「られる」という言い方も尊敬語のため、「なられる」とすると二重敬語になってしまうのです。二重敬語は言葉によっては定着しているものもありますが、一般的には不適切だと考えられています。
たとえば、「言う」の尊敬語は「おっしゃられる」ではなく「おっしゃる」です。「行く」「来る」「いる」の尊敬語は「おいでになられる」ではなく「おいでになる」なので、これを機に覚えておくと良いでしょう。
問2
「させていただく」を正しく使っている文を選びましょう。 A:お持ちの資料をコピーさせていただけませんか? B:大学院を卒業させていただきました。
正しい使い方をしているのは、Aの「コピーさせていただけませんか」です。「させていただく」は基本的に「相手の許可を得て行う」「それにより恩恵を受ける」ときに使います。Bの場合は許可が必要な文脈でない限り、不自然な言い方だと感じる人も多いでしょう。
問3
予約せず入店した客に対して、正しい文を選びましょう。
A:「3名様でよろしかったでしょうか?」
B:「3名様でよろしいでしょうか?」
正しい文はBの「3名様でよろしいでしょうか?」です。「よろしかったでしょうか」は接客業でよく話される表現で、一般的には過去のことや自分の記憶、相手が承諾したことなどを確かめるときに使います。丁寧な言い方だと感じる人もいるものの、Aのように現在の出来事に使うのは避けたほうが良いでしょう。
参照元 文化庁「報告・答申・建議等(文化審議会 国語分科会 国語課題小委員会)」
日本語勉強中の人が間違えやすい文法のクイズ
日本語を勉強中の人にとって、難しいと感じる文法もあるでしょう。ここでは、日本語学習者の方が間違えやすい文法のクイズを出題します。
問1
「この」「その」「あの」のうち、正しい使い方をしている文を2つ選びましょう。
A:昨日は友達と遊んだよ!この人は佐藤さんっていうんだけど~。
B:昨日は友達と遊んだよ!その人は佐藤さんっていうんだけど~。
C:昨日は友達と遊んだよ!あの人は佐藤さんっていうんだけど~。
正しい使い方をしているのはAとBの「この」「その」です。自分が話したことについて、直後に話者が説明する場合は「この」「その」を使います。「あの」は自分の記憶を思い出すときや、話者も聞き手も知っている情報を指すときに使う言葉です。
問2
正しい文を選びましょう。
A:試験に落ちて、(私は)とても悲しい。
B:試験に落ちて、友達はとても悲しい。
正しい文はAの「(私は)とても悲しい」です。気持ちを表す形容詞は、一部の例外を除き、1人称の「私」でしか使えません。2人称や3人称での表現は、外からその人の様子が分かるような「悲しがっている」「悲しそうだ」という表現を使うと自然に聞こえます。
ほかの人の感情を表す場合でも、「好きな」「嫌いな」「得意な」「苦手な」といった形容詞はそのままでの使用が可能です。
問3
荷物を持った人を選びましょう。
「田中さんは、佐藤さんに荷物を持たせられた。」
A:田中さん
B:佐藤さん
正しいのはAの「田中さん」です。「持たせる」という使役表現(やらせる表現)を強制された側から表す場合に「持たせられる」というやらせる表現+受け身の表現(使役受け身)を使います。つまり、荷物を持つように強制したのは佐藤さんで、やりたくないのに強制させられたのは田中さんです。
ちなみに、一部の例外を除き、「持つ」を含む1グループ動詞の使役受け身形には短くしたかたち(縮約形)が存在します。「せられる」を「される」に置き換えるのが、縮約形の作り方です。そのため、「持たせられた」だけでなく「持たされた」という言い方もできます。
時代を経て間違えが正しい意味になった日本語もある
間違えがやがて正しい意味に変わっていった日本語もあります。本来は別の意味があっても、大多数の人が間違えて使用し続けた結果、正しい意味として認められるようになったのです。
たとえば、「課金する」という日本語の本来の意味は、「料金を徴収する」でした。しかし、現在では「料金を払う」が正しい意味として浸透しています。もし、正しい意味で使うと「使い方が間違っている」と指摘される可能性もあるでしょう。
このように、日本語は時代とともに変化していく言語です。正しい意味を理解したうえで、周囲の人の様子を伺いながら使い分けるのがおすすめです。
まとめ
クイズで出題した日本語は多くの人が間違えてしまう言葉ばかりです。日本語を効率よく学ぶには、クイズやゲームなど楽しんでできる方法を取り入れると良いでしょう。インターネットや本に掲載された問題を数多くこなし、日本語への理解をさらに深めましょう。