外国人留学生の長期休暇中のアルバイトは、1日8時間、週40時間まで可能です。週28時間以内という通常の学校がある期間の制限よりも、長時間就労することができます。ただし、外国人留学生がアルバイトをするには、様々なルールが決められていて、守らなければ罰則が科せられるので注意が必要です。
この記事では、外国人留学生がアルバイトをする際に必要な資格外活動許可の申請方法や必要書類、職種や就労時間に関するルールについて解説。そのほか、アルバイト先を決めるときのポイントやおすすめの職種についても紹介しているので、これからアルバイトを始める際の参考にしてください。
目次
- 外国人留学生のアルバイトには資格外活動許可が必要
- 外国人留学生の通常時と長期休暇時のアルバイト時間
- 外国人留学生の就労時間の計算方法
- 外国人留学生がアルバイトする際のルール
- アルバイトの制限を守らないと罰則がある
- アルバイトを決めるときに確認すべきところ
- 外国人留学生におすすめのアルバイト
- まとめ
外国人留学生のアルバイトには資格外活動許可が必要
外国人留学生はアルバイトを始める前に、「資格外活動許可」を得る必要があります。資格外活動許可とは、在留資格に応じた活動以外を行う際に必要な許可です。
ここでは、資格外活動許可の申請方法や必要書類について紹介します。
資格外活動許可の申請方法
留学生の本業は学業のため、本来就労による収入は認められていません。そのため、アルバイトをするには資格外活動許可を得る必要があるのです。「資格外活動許可」を得る条件は、「アルバイトが学業に影響しないこと」や「資格外活動の内容が適切であること」などが挙げられます。
原則、申請の手続きを行うのは本人です。
そのほか、申請者から依頼を受けており、地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けている機関・企業の職員や学校の職員、行政書士なども申請取次者として資格外活動許可の申請を行うことができます。
外国人留学生が資格外活動許可の申請できる場所は、「住居地を管轄する地方出入国在留管理官署」または「新規で入国する際の空港」です。
在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請と同時であれば、オンラインで資格外活動許可を申請をすることもできます。
資格外活動許可の申請に必要な書類
資格外活動許可の申請に必要な書類は、申請場所によって異なるので注意が必要です。
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で申請する場合は、以下の書類を準備します。
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資格外活動許可申請書
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申請に係る活動の内容を明らかにする書類
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在留カード
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旅券もしくは在留資格証明書(提示できない場合はその理由を記載した理由書)
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身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)
申請書は、出入国在留管理庁のWebサイトからダウンロード可能です。
申請に係る活動の内容を明らかにする書類とは、業務の内容や勤務時間、報酬などが分かる雇用契約書や労働条件通知書などを指します。
一方、新規入国者のうち、留学の在留資格で3ヶ月以上在留する人が資格外活動許可の申請をする際に必要な書類は以下のとおりです。空港での申請を希望する場合は、事前に準備してから来日するようにしましょう。
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資格外活動許可申請書
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パスポート及びビザ
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在留資格認定証明書
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出入国カード(機内もしくは空港で入手可能)
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で申請をした場合、許可が下りるまでに2週間から2ヶ月程度要します。一方、空港での手続きをした場合は、その場で許可がもらえるのが一般的です。
外国人留学生に必要な在留資格の「留学」について、詳しい情報を知りたい方は「外国人留学生に必要な在留資格「留学」とは?就労に必要な手続きも解説」をご覧ください。
参照元 出入国在留管理庁「資格外活動許可申請」
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外国人留学生の通常時と長期休暇時のアルバイト時間
外国人留学生がアルバイトをする際は、就労時間に決まりがあります。決められた就労時間を超えてしまうと、退去強制や再入国の制限などの厳しい処分を受ける可能性があるので注意が必要です。
ここでは、通常期間中と長期休暇中の就労時間について解説します。
原則週28時間まで
通常期間中に外国人留学生に認められているアルバイトは、「週28時間まで」です。
外国人留学生は、どの曜日から数えても週28時間以内になるようにシフトの希望を出さなくてはなりません。就労時間が少しでも超えると「資格外活動許可違反」となります。
複数のアルバイトの掛け持ちをしたり残業を行ったりするときは、合計時間が28時間を超えないように調節しましょう。
長期休暇中は週40時間までアルバイト可能
外国人留学生は、長期休暇中、「1日8時間まで」「週40時間まで」アルバイトすることが可能です。
長期休暇とは、学校が定めた夏休みや冬休みのことを指します。授業等があるにも関わらず、休校や休講などが多く生じた期間には適用されません。ゴールデンウィークなどの祝日期間中は、長期休暇に当たらない可能性があります。雇用主に長期休暇の正式な期間を聞かれたら、学校に「長期休暇に関する証明書」を発行してもらい、日にちを提示しましょう。
なお、休学をしている場合は、資格外活動許可を得ていたとしてもアルバイトすることはできません。
「1日8時間まで」「週40時間まで」と定められているため、「1日10時間勤務を週4日」などといった就労時間のアルバイトはできないので注意が必要です。
外国人留学生がアルバイトをする際は、日本の労働基準法が適用されます。
たとえば、休憩時間は、就労時間が6時間以上、8時間以下の場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上、取得するのが決まりです。休日は、1週間に1日、または4週間に4日の休日を取得しなければなりません。
通常時と同じく、アルバイトの掛け持ちや残業をする場合も、合計時間を週40時間内に収める必要があるので注意が必要です。
外国人留学生がアルバイトをする際は、様々なルールがあります。「外国人がアルバイトする際の制限とは?在留資格やルールについて理解しよう」の記事ではアルバイトをするうえでの注意点や罰則を紹介しています。
外国人留学生の就労時間の計算方法
長期休暇中、外国人留学生の就労時間は「1日8時間まで」「週40時間まで」です。
このルールは、アルバイト先が複数ある場合は合算した時間となり、残業をした場合はその時間も含まれている点に留意しましょう。
週の途中で長期休暇に入る際は、通常期間と休み中の日数から就労できる時間を日割りで計算する必要があります。週の途中で長期休暇に入る際の、アルバイト可能な時間の計算方法は以下のとおりです。
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週28時間÷週7日×通常期間の日数+週40時間÷週7日×長期休暇中の日数
通常期間と長期休暇が切り替わる週は、就労時間のルールを間違って破らないように注意しましょう。
外国人留学生がアルバイトする際のルール
外国人留学生は、風俗営業に該当するアルバイトはできません。また、学校卒業後のアルバイトも不可です。
ここでは、外国人留学生がアルバイトする際のルールを解説します。
風俗営業に該当するアルバイトはできない
外国人留学生は、風俗営業に該当するアルバイトは就業できません。
具体的には、キャバクラやホストクラブ、スナック、パチンコ店、麻雀店、ゲームセンターなどです。これらの場所に関わる場合、チラシ配りや掃除などの業務であってもアルバイトができません。
外国人留学生はアルバイトを始める前に、禁止されている業種ではないかを確認しましょう。
学校在学中のみアルバイトできる
外国人留学生は、たとえ在留期間が残っていても学校卒業後にアルバイトはできません。
なぜなら、資格外活動許可は在留資格に該当する活動をしながら、収入を伴う仕事をすることを認める許可だからです。
学校を卒業すると「留学」という在留資格に係る活動をしなくなるため、「資格外活動許可」に基づくアルバイトもできなくなります。
なお、資格外活動許可は在留期間を更新したら申請し直さなけばなりません。
アルバイトの制限を守らないと罰則がある
外国人留学生がアルバイトの就労時間や業種のルールを守らずに働くと、退去強制や再入国の制限、在留資格の更新が認められないなどのペナルティを受けます。また、雇用主にも罰則の対象です。
ここでは、どのような罰則があるのかを解説します。
外国人留学生が受ける罰則
外国人留学生が働ける業種を守らなかったり、既定の就労時間を超えたりすることは法律違反です。
不法就労と判断された場合、在留資格の更新や変更ができないだけでなく、退去強制が命じられる可能性も高いでしょう。退去強制の処分を受けて帰国した外国人留学生は日本に5年間再入国できません。
卒業後に日本国内で就職が決まっていても、内定は取り消しです。
在留資格の本来の目的をおろそかにして深刻な事態を招かないように、アルバイトは許可された範囲内で行いましょう。
雇用主が受ける罰則
留学生が資格外活動許可の取り決めに違反した場合、雇用主は不法就労助長罪に問われます。科せられる罰則の内容は、3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方です。
ルールを守らないと、自分だけでなくアルバイト先の企業にも迷惑がかかります。「知らなかった」では済まされないので、日本でアルバイトをするうえでのルールをしっかり頭に入れておきましょう。
地方出入国在留管理官署はルール違反を発見できる
外国人留学生がアルバイトをするうえでのルール違反は、必ず発覚します。理由は地方出入国在留管理官署と市町村役場などで共有している情報から見抜くことが可能だからです。市区町村役場が発行する「納税証明書」には、外国人留学生の収入が記載されています。地方出入国在留管理官署は、外国人留学生の収入額を見て時給に対して明らかに高い場合は、就労時間の超過を疑い調査を行うのです。
ルール違反はすぐに見つかります。禁止されている業種への就労やオーバーワークにならないように、気をつけましょう。
掛け持ちでアルバイトしている留学生は、双方のアルバイト先に就労時間を報告しておくと、超過勤務を未然に防げます。
外国人留学生がアルバイトをする際の規則については「留学生がアルバイトする際は資格外活動許可が必要!申請の仕方とは」にまとめています。
参照元 出入国在留管理庁「退去強制手続と出国命令制度Q&A」
アルバイトを決めるときに確認すべきところ
ここでは、外国人留学生がアルバイトを決めるときに、確認すべき事項について紹介します。学業に支障がないように注意して、勤務先を決めましょう。
勤務時間
学業に支障をもたらすことなく働ける職場が理想です。
就労時間に関するルールのもと、長期休暇中はシフトを多く入れ、試験期間や実習期間などはシフトを少なくするなど、柔軟な勤務時間を選べるアルバイト先を選ぶと良いでしょう。
また、深夜での勤務時間で体調面や翌日の学業に影響が出ない職種を選ぶことも大切です。
賃金
アルバイトの賃金は、あらかじめ決められた日に、毎月全額支払われることが決まっています。
給与の金額は雇用主との労働契約によって決まりますが、都道府県単位ごとの「最低賃金」以下になることはありません。
アルバイトを決める際は、賃金が支払われる時期や支払方法、金額について確認してから決めるようにしましょう。
仕事内容
アルバイトをするうえで、業務内容は重要な項目です。
興味や関心がある仕事であれば、楽しみながら働くことができ、長く仕事を続けられます。
ほかにも、危険な業務が含まれていないか、学業に支障をきたさない仕事内容のアルバイトを選ぶと良いでしょう。
アルバイト中や通勤中に事故や怪我をした場合、労災保険の保障が受けられます。労災保険は、国籍や働き方、勤務時間を問わず全ての労働者に適用される保障です。労災保険を含む日本の社会保険について知りたい方は「外国人労働者も社会保険に加入する!日本の社会保障を徹底解説」をご覧ください。
外国人留学生におすすめのアルバイト
外国人留学生におすすめのアルバイトは、接客マナーや日本語を学べるコンビニエンスストア・飲食店・ホテルでのアルバイトです。ほかにも体力や語学力を生かした軽作業・外国語講師のアルバイトもおすすめします。
コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは、外国人留学生におすすめのアルバイト先の一つです。
24時間営業をしている店舗が多く、好きな時間にシフトを入れられるのがメリットといえます。夜勤の時間帯の時給が高いことや積極的に外国人を採用していることも外国人留学生にとって嬉しいポイントでしょう。また、どの業務にもしっかりとしたマニュアルがあり、きちんと研修を受けてから働けます。
ただし、コンビニエンスストアのアルバイトでは、レジ業務や各種サービスの説明など、少し複雑な日本語が必要とされるため、ある程度日本語能力に自信がある外国人留学生におすすめです。
飲食店
飲食店のアルバイトには、カフェやレストラン、居酒屋などがあります。
コンビニエンスストアやスーパーのアルバイトと比べ、お客さまとコミュニケーションを取る機会が多く、接客マナーや日常会話レベルの日本語能力が身に付くでしょう。
和食を中心とした飲食店では、着物を制服にしているところもあります。伝統的な服装を着れたり、日本の文化を学べたりするのでおすすめです。
ホテル
日本人だけではなく外国人のお客様も訪れるため、母国語を活かしながら働けます。
また、高い接客スキルが求められるため、日本の接客を学べるのがメリットです。ホテルでのアルバイト経験があると、日本で就職活動を行う際に、日本語能力や高い接客スキルを強くアピールできます。日本で就職をしたいと考えている外国人留学生にも、人気の職種といえるでしょう。
軽作業
軽作業とは、工場や倉庫で行う単純作業のことです。
荷物の検品や仕分け、梱包などの仕事を行います。特別なスキルや経験が必要なく、未経験でも応募しやすいのがおすすめの理由です。接客がないため、日本語能力に自信がない外国人留学生でも挑戦しやすいアルバイトといえるでしょう。
ただし、重い荷物を運んだり立ち仕事が多かったりするので、体力に自信がある人におすすめです。
外国語講師
外国語講師は、外国人留学生の語学力を活かせるおすすめのアルバイトです。
人になにかを教えるのが好きな人に向いています。授業の流れを考えたり教材を準備したりと仕事量は多いですがその分、自分の指導で生徒の語学力が向上したときは、やりがいを感じられるでしょう。
また、複数の外国人講師が在籍している場合、さまざまな国籍の友人を作れる可能性があります。
外国人留学生におすすめのアルバイトの探し方については「外国人留学生におすすめのアルバイトは?理由もあわせて解説!」に紹介しています。
まとめ
外国人留学生は夏休みや冬休みなどの長期休暇中であれば、1日8時間、週40時間のアルバイトが可能です。この就労時間のルールを超えて働くと、外国人留学生と雇用主に罰則が与えられます。
外国人留学生はアルバイトできる職種にも決まりがあるので、ルールを理解したうえで働きましょう。