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領事館と大使館はいずれも在外公館と呼ばれる外務省の機関であり、各国でさまざまな活動を行っています。領事館は自国民のサポートをメインとするのに対し、大使館は外交交渉も行うという点が違いです。
このコラムでは領事館と大使館の違いを解説。それぞれの役割もまとめているので、参考にして外国人雇用に役立てましょう。
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目次
領事館と大使館は、どちらも「在外公館」と呼ばれる外務省の機関ですがそれぞれ担当する役割が異なります。領事館は領事が長で、外国で自国民の保護を目的とした業務を行う施設です。一方、大使館は大使が長で、主に国家間の外交交渉を担います。ただし大使館でも自国民の保護は行っており、海外でトラブルに巻き込まれたときにサポートを受けることが可能です。
領事や大使館には治外法権があり、敷地内ではその国の法律を冒しても逮捕されないと認識している人もいるようです。これは、古い考えに基づく概念で実際は異なります。外交関係に関するウィーン条約などの国際法により、現地の警察や公務員が勝手に立ち入れない「不可侵の権利」が存在するので、勘違いしている人が多いのでしょう。実際には、在外公館の敷地内でも法律を犯せば、正当な手続きのもと、現地の警察や必要機関に身柄を引き渡されます。
領事館とは、「領事が職務を行う在外公館」のことです。領事館は館長の階級によって名称が異なります。総領事が館長の場合は「総領事館」、領事が館長の場合は「領事館」、副領事が館長の場合は「副領事館」、代理領事が長の場合は「代理領事事務所」です。領事館の設置は任意であるため、国によって設置される数が異なります。
領事館の役割は、大きく分けて以下の4つがあります。
戦争や災害といった不測の事態が起こった際に、大使館と領事館がどちらも機能停止しないように、領事館は基本的に首都とは別の主要都市に設置されています。
領事館が行う主な業務は、以下のとおりです。
領事館では、事故や災害が発生したときに邦人被害者の救護や安否確認、被害者家族への連絡、帰国のサポートなどを行います。また、テロが発生したときの情報収集も領事館の仕事です。そのほかにも、日本人の戸籍や旅券に関する手続き、各種証明書の発行、日本を訪問する外国人の査証発給などを行います。
大使館とは、「大使を長とする在外公館」という意味です。特命全権大使(通称:大使)は、外交使節団の最上位の階級で、多くの外交特権が与えられています。領事館は派遣国の任意で設置の有無や数が異なるのに対し、大使館の設置は首都に一つだけです。
大使館には、国を代表して相手国政府との話し合いや連絡を行うという役割があります。また、自国と自国民の利益の保護や外国との文化交流の促進も役割の一つです。
領事館は外交問題や政治問題に対応する法的権限を持っていませんが、大使館は特命全権大使が国を代表して交渉する権限があります。そのため、各国の首都に設置されるのが原則です。
大使館が行う業務は、以下のとおりです。
大使館も領事館と同じように、事故や災害が発生したときの邦人の救護や安否確認といったサポート、情報収集を行います。また、各種証明書の発行や査証(ビザ)の発行も業務の一つです。
なお、外交問題や政治問題に対応する法的権限を持っているため、領事館よりも対応する職務の幅は広くなっています。
大使館が行う業務でもある査証(ビザ)の発行については、「ビザ(査証)とパスポートの違いは?企業に向けて詳しく解説」のコラムでも詳しく解説しています。
外国人雇用においては、海外から外国人を呼び寄せる際のビザ(査証)申請で領事館や大使館を利用します。外国人が就労を目的に日本に入国するには、在留資格を取得したうえで、領事館や大使館でビザ(査証)を発給しなくてはなりません。ビザを発給する際は、在留資格の申請が許可されたときに交付される「在留資格認定証明書」を提出すると審査がスムーズです。
日本での在留資格の申請は、外国人を雇用する企業が行います。一方、ビザは外国人本人の申請が必要です。
在留資格認定証明書については「在留資格認定証明書の役割とは?交付の流れや有効期限について解説」で詳しくまとめています。
政府代表部も、領事館や大使館と同じ在外公館の一つです。領事館や大使館が国や都市に対して日本を代表する機関なのに対し、政府代表部は国際機関に対して日本を代表する機関として機能しています。国際連合日本政府代表部や在ウィーン国際機関日本政府代表部、在ジュネーブ国際機関政府代表部がその代表例です。
参照元 外務省「在外公館の仕事」
外務省は、以下の国や地域に在外公館を設置しています。
参照元 外務省「在外公館リスト」
領事館と大使館は行う業務に違いがあります。領事館は自国民を保護する職務がメインなのに対し、大使館は外交や政治問題への対応も行う機関です。外国人雇用の場合はビザ(査証)の発給で利用するので、役割やそれぞれの違いを理解しておきましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net