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外国人の銀行口座開設に難解なイメージを持たれる担当者の方もいるかもしれません。確かに日本人と異なる部分も多いものの、実際のところはポイントを押さえればそこまで難しくない手続きです。
企業は雇用する外国人の口座がスムーズに開設できるよう、必要な条件や持ち物を銀行ごとに確認しておきましょう。
この記事では、開設の流れや必要なもの、おすすめの銀行、企業がサポートすべきことなどを解説します。
目次
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外国人も条件を満たせば銀行口座の開設が可能です。ただし、銀行によってはアプリからの開設など、日本国籍の人しか申し込めない方法もあります。
外国人の銀行口座開設に必要な条件は「日本の居住者であること」と「住民票を取得していること」です。ただし、銀行によって具体的な開設条件は異なるため、口座開設を行う金融機関の情報を確認するようにしましょう。
外国人が銀行口座を開設する場合、日本の居住者であることが条件の一つです。
財務省の「外国為替法令の解釈及び運用について(昭和55年11月29日付蔵国第4672号)」によると、居住者は「日本に住所または居所があるかどうか」により判断されます。この判断が困難な場合、外国人が居住者として扱われるのは「日本に入国後6ヶ月以上経った」場合です。
財務省の通達では、滞在期間が6ヶ月経っていなくても、日本にある事務所で就労している外国人は居住者として扱われます。
ただし、口座の開設方法によっては「日本で勤務していること」を開設条件として記載していない銀行もあるため、手続きする金融機関が該当するか情報を確認しましょう。
非居住者の場合、「非居住者円預金」という口座を利用できる銀行があります。非居住者円預金では、現金の預け入れや引き出し、公共料金の振替など基本的な機能を利用できる銀行も。キャッシュカードが利用できないなど、機能が制限されているケースもあるため確認が必要です。
口座開設の際には住所の証明が必要です。一部の銀行では、開設条件として「日本に居住し住民登録があること」と明示しています。
なお、本人確認書類は住民票の写しに限らず、在留カードや電気・ガス・水道などの公共料金の領収書も対象です。ただし、銀行によって必要書類が異なるため、確認しましょう。
参照元:財務省「外国為替法令の解釈及び運用について(昭和55年11月29日付蔵国第4672号)」
同じ銀行での複数口座や、生活圏外の銀行の口座は開設できないケースがあります。また、申し込み内容に不備がある場合も開設を断られることがあるでしょう。
銀行では個人の口座数が1つか2つに限られるのが一般的です。ただし、給与振り込みなどの理由により追加で開設を希望する場合、相談が可能な銀行もあります。
口座開設は、外国人の職場や家の近くなど生活圏内の店舗で行いましょう。勤務先や住所から離れた店舗を希望した場合、不正利用が目的だと疑われ開設を断られる可能性があります。もちろん、実店舗を持たないネット銀行で口座を開設する際はその限りではありません。
申込み書類の不備や確認書類の氏名の相違など、申込内容に間違いがあると銀行口座の開設を断られる場合があります。
外国人の銀行口座開設は、日本人と同様に「口座開設する銀行を選ぶ」「必要書類を用意し手続きする」「カードを受け取る」の順に行いましょう。
外国人の場合に注意すべき点やおすすめの銀行とあわせて、口座開設の流れを紹介します。
口座開設する銀行を企業が指定する際は、条件を調べ、雇用する外国人が開設可能かどうか判断しましょう。
ゆうちょ銀行では「在留カードを交付されている」「在留期間の満了日が3ヶ月以内に訪れない」「日本に居所がある」といった条件を満たせば、入国時に4ヶ月や5ヶ月の在留期間が指定された外国人でも申し込みが可能です。「ゆうちょ手続きアプリ」は日本語のほか、英語・中国語(簡体字)・ベトナム語に対応しています。
みずほ銀行の店舗での開設も、必要な条件は「在留カードを交付されている」「日本に居住している」「残りの在留期間が3ヵ月未満でない」です。
また、雇用した外国人従業員の給与口座を作る際は、財務省の通達に記載された「日本の事務所に勤務している」という居住者の推定基準も考慮してみましょう。以下の銀行には、この条件を開設要件として読み取れる記載があります。そのため、外国人が「入国してから6ヶ月経過している」という条件を満たせなくても、代わりに日本で就労していれば口座開設の申し込みが可能です。
みずほ銀行(日本に居住している外国人がインターネットで開設する場合)
SMBC信託銀行(日本に居住し住民登録のある外国人が開設する場合)
三菱UFJ銀行(外国人は店舗での開設が対象)
SBI新生銀行(「総合口座パワーフレックス」の開設の場合)
なお、みずほ銀行(インターネットでの開設)とSMBC信託銀行では、「在留期間が3ヶ月未満しか残っていない場合は申し込みの対象外」とWebサイトに記載があるので注意しましょう。
SBI新生銀行の「総合口座パワーフレックス」では、規約とサービスの提供を英語で受けることも可能です。日本語か英語のいずれかを習得している人が対象となります。
手続きする銀行の必要書類を確認しましょう。なお、窓口やインターネットなどの手続き方法の違いによって、書類の種類や組み合わせが変わるケースもあります。
開設の際は、外国人従業員が日本語でもスムーズに申し込みができるよう、窓口に同行して通訳を行うのが大切です。
また、口座開設には時間がかかるため、外国人の予定を確認したうえで手続き日を決めましょう。外国人の場合は関係法令に基づき銀行側で確認作業が発生することで、当日中に口座が開設できない場合もあります。
窓口で口座開設手続きを行った場合、キャッシュカードは即日発行される銀行もあれば、郵送で受け取る銀行もあります。受け取りまでにかかる日数は、多くの場合1~2週間ほどです。
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参照元: 三菱UFJ銀行「口座開設時の本人確認書類」 ゆうちょ銀行「個人のお客さま」
外国人が銀行口座を開設する際は、身分を証明できるものや電話番号が求められます。また、印鑑が必要な場合も。必要書類は銀行や開設方法によって異なるため、詳しくは手続きを行う金融機関の情報を調べてみましょう。
ここでは、口座開設の際に必要となる、代表的なものを紹介します。
外国人の場合は、在留カードやパスポートといった本人確認書類が必要です。氏名や現在の住所、生年月日などが確認されます。そのほか、在留カードでチェックされる項目は在留資格や在留期間、国籍などです。
会社に在籍していると証明するため、社員証や在職証明書が必要になる場合もあります。
口座開設の際は電話番号が必要です。なお、固定電話だけではなく携帯電話の番号のみで開設できる銀行もあります。来日直後で外国人が電話番号を持っていない場合、口座開設後に番号登録ができる銀行も。事前に情報を確認するのがおすすめです。
電話番号の取得について、契約システムの違いや言語の問題などでハードルが高いと感じる外国人従業員もいるでしょう。企業が通訳などを行い、安心して契約できるよう外国人をサポートするのが大切です。
日本で銀行口座を開設する際に、印鑑が必要なケースもあります。銀行によってはサインでも代替できるため、外国人が印鑑を持っていない場合は該当する金融機関を利用するのがおすすめです。
サインでの契約が主流の海外と異なり、日本での生活で印鑑が必要になる場面は多いでしょう。印鑑はアルファベットやカタカナで作成でき、インターネットでも購入が可能です。上司や同僚から印鑑作成の利便性や重要性を説明し、外国人従業員が作成する場合は購入方法を教えましょう。
なお、多くの銀行では、印鑑に表記する名前については細かいルールを定めていません。例えば、「王海英」さんの場合、「王」「オウ」「WANG」「王海英」、いずれの表記でも印鑑を作ることができます。
雇用する外国人の口座開設手続きに同行するほか、金融関連の犯罪、マネーロンダリング事件に関わらないよう注意喚起することも重要です。また、ATMの利用方法や手数料などについても案内しておきましょう。
雇用する外国人が銀行口座に関する手続きを行う際は、できるだけ企業もサポートするようにしましょう。口座開設の際は金融機関に担当者も同行しましょう。また、外国人が住所を変更した場合や母国に戻る際も、必要に応じてサポートするとよいですね。
外国人の日本語能力が十分ではない場合、銀行側が対応しきれない場合もあるでしょう。そのため、雇用する外国人の口座開設に企業の関係者も同行し、通訳などサポートを行うことが重要です。
また、開設手続きに必要なものや条件についても、あらかじめ担当者から説明しておきましょう。
外国人が住所変更や在留カードの更新などを行った場合は、銀行に連絡が必要です。届出をしないと一時的に利用が制限されるケースもあります。企業は各銀行の届出方法を確認しておきましょう。
雇用する外国人が母国に戻る際は、口座解約が必要なことを伝えましょう。お金を得るために口座を売ったり誰かに譲ったりすることは、犯罪に該当します。譲った口座は詐欺などに使われることもあり、関わりを持ってしまえば、外国人も法令による処罰や入国禁止の対象になる可能性があるのです。
企業は口座解約の重要性を外国人に伝え、一緒に手続きを行いましょう。必要な持ち物は本人確認書類や届出印、キャッシュカード、通帳などです。Web通帳や印鑑レス口座を持っている場合など、状況によって不要なものもあるため、利用している銀行の情報を確認する必要があります。
なお、外国人が再入国し再び口座を使う予定がある場合は、銀行に相談するのがおすすめです。
口座を売ったり譲ったりすること以外にも、金融に関する犯罪の種類は多くあります。金融庁のパンフレットに、注意喚起が必要な犯罪として挙げられているのは「地下銀行」「ヤミ金融」「マネーロンダリング」「偽造キャッシュカード・クレジットカード利用」などです。
「地下銀行」は、無免許・無登録で銀行業や海外送金を行うことを指します。過去には日本で働く外国人が地下銀行を営み逮捕されたケースも。反対に、外国人が地下銀行を利用してしまったケースもあります。
「ヤミ金融」とは、無登録での貸金業や法律違反となる高金利での貸付などを行うことです。ヤミ金融も、外国人が営業・利用した事例があります。
「マネーロンダリング」は、犯罪で得た収益の出所を分かりにくくして捜査を逃れる行為です。
企業は外国人が関わらないよう、何が犯罪にあたるかしっかり説明しておきましょう。
振り込んだ給与の引き出し方や外国への送金方法なども、企業が外国人に教えてあげましょう。操作方法やATMごとの手数料などを説明しておけば、外国人の不安を軽減できます。
なお、ATMのなかには複数の言語に対応しているものも。英語でオペレーターと話せるインターホンがついている種類もあるので、設置場所や手数料とあわせて教えてあげると親切でしょう。
参考元:金融庁「外国人の受入れ・共生に関する金融関連施策について」
外国人も条件を満たせば、日本の銀行で口座開設が可能です。個人口座の場合、要件を満たせばほとんどの金融機関で口座開設が可能ですが、日本在住の外国人向け口座や留学生向け口座を積極的に宣伝している金融機関もあります。
また、都市銀行よりも地方銀行、信用金庫のほうが、口座開設の審査が柔軟なケースが多いです。WEB上で口座開設でき、外国人の審査が通りやすいネット銀行も増えてきました。
雇用する外国人が口座開設でサポートを求めてきた際は、ぜひ適切な情報提供を行ってください。また、犯罪などに加担してしまわないよう事前の注意喚起も重要です。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net