ホテルの客室清掃係の人手不足解消に外国人雇用が有効!必要な在留資格とは

2023年05月19日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

ホテル運営には、客室や共用部分を清潔に保ち、顧客を迎える準備を整える客室清掃係の存在が欠かせません。しかし、若者が集まりにくい業界であるうえ、新型コロナウイルスなどの影響もあり人手不足の状況が続いています。
このコラムでは、ホテル・旅館の人手不足を解消するのに有効な方法を紹介。内容を参考にして、ホテル・旅館の経営に活かしましょう。

目次

  1. ホテルの客室清掃係は人手不足が深刻な状況
  2. ホテルの客室清掃係が人手不足に陥っている原因
  3. 客室清掃係の人手が不足すると起こること
  4. ホテルの客室清掃係の人手不足を解消するには?
  5. ホテルの客室清掃業務が可能な在留資格
  6. まとめ

ホテルの客室清掃係は人手不足が深刻な状況

ホテルの客室清掃係は人手不足が深刻な状況の画像ホテル・旅館の客室清掃係は、人手が足りていない状況が続いています。
「職業情報提供サイト(日本版O‐NET)jobtag」の調査によると、2021年度の客室清掃係の有効求人倍率は1.5倍でした。IT業界や建設業界と比較すると数値は下がるものの、100件の求人に対し50人の求職者しかいない状況なので、人材確保が大変なことに代わりはないでしょう。

人手不足の業界については「人手不足の職業ランキングを紹介!働き手が不足する要因と対策を徹底解説」や「人手不足の業界とは?企業で起きやすい問題や原因と対策を解説」のコラムを参考にしてください。

参照元
厚生労働省職業情報サイト(日本版O‐NET)jobtag「客室清掃・整備担当(ホテル・旅館)

ホテルの客室清掃係が人手不足に陥っている原因

ホテルの客室清掃係が人手不足に陥っている原因の画像ホテル・旅館の客室清掃係が不足しているのは、さまざまな要因が関係しています。主な原因を知り、対策を取る際の参考にしましょう。

もともと人材が流動的な業界

客室清掃係をはじめとした清掃に関わる仕事は、人材の移り変わりが激しい業界です。パートやアルバイトといった非正規雇用社員が大半を占めており、長期間継続して就業する人は多くありません。稼働する時間も少ないため、収入が安定しているほかの仕事に移ってしまう人もいます。

求人を出しても若年層からの応募が少ない

ホテル・旅館の客室清掃係は、若年層が集まりにくい職種といえます。汚れたものを扱ううえ、地道な作業が多いことから嫌煙されがちです。また、給与も高水準とはいえません。これらの理由から従事者の年齢が高くなりやすく、人手不足に拍車をかけています。若年層の流入がないと、いずれ今以上に深刻な人手不足に陥るでしょう。

コロナの影響で募集が出しにくい

2020年からの新型コロナウイルスの大流行は、ホテル・旅館業界に大きな影響を及ぼしたといえるでしょう。営業停止や業務縮小をしたホテル・旅館では、スタッフの離職が数多くありました。2023年時点ではある程度落ち着きを取り戻したものの、コロナウイルスの流行が完全に収束したとはいえません。新たな流行波がくる可能性も十分あるため、人材募集をためらっているホテルも多いようです。

客室清掃係の人手が不足すると起こること

ホテル・旅館の客室清掃係が不足すると宿泊客をスムーズに入れられず、稼働率が落ちてしまいます。清掃を間に合わせようとすれば、既存の従業員の負担が増加するでしょう。その結果、労働環境の悪化に繋がりさらなる人手不足を誘発します。

客室清掃係の不足は、サービスの質にも影響するでしょう。少ない人数で業務を回すと、業務の漏れやミスが起きやすくなります。客室の清潔感の欠如は顧客満足度の低下に直結するため、売上への影響は避けられません。

ホテルの客室清掃係の人手不足を解消するには?

ここでは、客室清掃係の人手不足を解消する方法を紹介します。ホテル・旅館を経営する方は参考にして、できる対策から始めてみましょう。

業務を効率化する

採用活動と並行して、少ない人数で業務を行える仕組み作りをしましょう。具体的な対策としては「清掃ロボットの導入」「運搬コンテナの活用」などが挙げられます。また、業務上のやり取りをスムーズにするアプリを導入する企業もあるようです。

客室清掃業務を外注する

どうしても人材が集められない場合は、客室清掃を外注するのも一つの方法です。コストは掛かりますが、人手不足による業務の遅れやトラブルはなくなります。また、専門の業者はホテル・旅館の清掃に関するノウハウを持っているため、高いレベルを求めることが可能です。

待遇を改善して人材を定着させる

働いているスタッフの満足度を上げ、離職率を下げるのも大切です。労働環境が良くないまま人材を雇用しても、すぐ退職してしまったら人手不足の状況は変わりません。「賃金が他社と比べて低い」「残業が多い」などの問題点を見つけ出し、できる限り改善していきましょう。

外国人を積極的に雇用する

今まで日本人しか採用していない場合は、ぜひ外国人採用にも目を向けてみましょう。国内の労働人口は減少傾向にある一方、来日する外国人労働者は増加傾向にあります。また外国人人材の場合、英語は必ず使用できたりと言語が堪能なメンバーも多く、宿泊業のインバウンドの需要に答えられる人材となるでしょう。また清掃スタッフの場合はフローやルールなどの日本語読解と報告連絡ができるコミュニケーションスキルがあれば、フロントスタッフよりも日本語レベルは下げた上で募集を広げることが可能です。

人手不足解消以外にも、外国人を受け入れるメリットはあります。詳しくは「外国人採用のメリットとは?日本企業が人材を雇用する際の注意点も解説」のコラムをご覧ください。

ホテルの客室清掃業務が可能な在留資格

ホテルの客室清掃業務が可能な在留資格の画像

外国人が日本で働くには、行う業務もしくは身分に合った在留資格が必要です。ここでは、客室清掃業務が可能となる在留資格を紹介します。

技能実習(ビルクリーニング)

技能実習生に付与される在留資格が「技能実習」です。職種および作業ごとに種類が分かれており、客室清掃は「ビルクリーニング」職種に含まれます。「ビルクリーニング」職種での技能実習では、清掃に関わる業務のほか、客室整備(ベットメイキングや備品交換など)業務も可能です。

特定技能(ビルクリーニング)

外国人雇用を促進させるための在留資格が「特定技能」です。特定技能「ビルクリーニング」分野では、建物全般の清掃およびベットメイキング業務が行えます。現状は、前述した在留資格「技能実習」から移行する外国人が大半を占めるようです。技能実習を行えるのは最長5年で、そのあとは母国に帰らなければなりません。しかし、特定技能の在留資格に移行することで、さらに5年日本で働けます。

特定活動(ワーキングホリデー)

在留資格「特定活動」のもと日本でワーキングホリデーを行う外国人も、客室清掃係として従事できます。ワーキングホリデーとは、外国で休暇を過ごしながら就労をする外国人のための制度です。客室清掃だけでなく、フロントやホテルのレストランでの就労もできます。なお、ワーキングホリデーは最長で1年以内と定められており、継続して就労してもらうには在留資格の変更が必要です。

留学生(資格外活動許可でのアルバイト)

留学生アルバイトを客室清掃係として雇用することも可能です。ただし、留学生の持つ在留資格「留学」では就労が認められていないため、資格外活動許可を得ている必要があります。

留学生のアルバイトは、原則週28時間以内と定められています。夏休みや春休みなど、学校が休みのときに限り、週5時間1日8時間の就労が可能です。

身分に基づく在留資格

「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」は身分に基づく在留資格に分類されます。仕事の制限はないので、日本人と同じように雇用可能です。

参照元
OTIT 外国人技能実習機構「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(87職種159作業)」

まとめ

客室清掃係はホテルのスムーズな運営において非常に重要です。しかし、なかなか人材が集まりにくい状況が続いています。このコラムを参考にして、業務の効率化や待遇改善、外国人の受け入れなどの対策を早めに取りましょう。