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和歌山県に「WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスク」が開設!雇用企業へのインタビューも掲載

特集 2024.11.20
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和歌山県に「WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスク」が開設!雇用企業へのインタビューも掲載

2024年6月、和歌山県は県内企業の外国人材雇用を支援する事業WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスクをスタートさせました。

サポートデスクの相談窓口では、専門知識を持つ相談員(行政書士など)が個別で企業や外国人材からの相談に対応し、具体的なアドバイスを行います。

かねて和歌山県では、外国人材雇用に関するセミナーやイベントを精力的に開催するなど、共生社会の実現と県内事業の活性化を目指す取り組みが盛んです。

それでは、実際にどのような企業で外国人材が活躍しているのでしょうか。外国人材を雇用されている県内企業3社に取材しました。

※ご紹介は順不同です

中野BC株式会社:外国人社員が和歌山の梅酒を世界へ

「中野酒造」を前身とする中野BC株式会社は、清酒はもちろん、梅・みかん・柿といった和歌山の名産品にこだわった酒を作り続けてきた老舗メーカーです。

希少な紅南高梅を贅沢に漬け込んだ「紅南高」は、梅酒グランプリで1位に輝いた経歴を持つ人気商品。近年はヘルスケアや食品科学の分野でも事業を拡大し、伝統と革新の両方を大切にする柔軟な経営方針により、和歌山の魅力を日本中に届けてきました。

そんな中野BC株式会社は海外への販路開拓にも力を入れています。文化の異なる国々に商品の価値を伝えるためには、グローバルな視点を持った営業職の力が必要不可欠。そのために力を入れた施策のひとつが外国人材雇用でした。

Q.外国人材雇用を始めたきっかけを教えてください。


▲左:取締役(営業副本部長)前田さん/右:李さん

海外からの仲間が初めて加わったのは6年前です。当時の弊社は海外展開に力を入れ始めてまもない頃で、中国の流通事情に詳しい人材をぜひとも採用したい状況でした。

しかし「育成に力を入れる余裕のない新規事業に外国人材が参加して大丈夫だろうか」という不安もあり、まずは経済産業省が当時実施していたプログラムを活用し、3カ月間のインターンとして働いてくれる方を募集したんです。

そこに応募してくれたのが、中国国内の日系企業で営業を担当していた李さんでした。李さんの働きぶりはまさに即戦力で、インターンという立場でありながら、前職の経験を活かして事業の根幹を一緒に作ってくれました。彼を本採用することに迷いはありませんでしたね。「どうしても一緒に働きたい」と伝えて日本に残ってもらった形です。

Q.なぜ李さんのような理想の人材を採用できたとお考えですか?

募集の時点でどのような人材が欲しいのかを明確にイメージしていたからではないでしょうか。

企業の状況によって雇用した外国人材のサポートをどれくらい行えるかは異なります。弊社の場合、新規事業ということで周囲の社員が支援に割ける工数にも限界がありました。

そこで、日本語の会話はどの程度できる必要があるか、営業の経験をどこまで重視するのか、認識を詳細に固めていました。だからこそ、李さんをご紹介いただいた際に「この人だ!」と迷わず決定できたのだと思います。

とはいえ、海外出身の方に気持ちよく働いてもらうために、できる限りのことはしようと考えました。

たとえば、通常は新しく社員が入社しても所属する部署内で研修を完結させることが多いのですが、李さんが入社した際は仕事で関わる機会のある全ての部署と対話の機会を設けました。周囲から「中国出身の外国人社員」という色眼鏡で見られないように、彼個人の人柄を早く知ってもらおうと。

また、それまで住居に関する福利厚生は「家賃補助制度」だけだったのですが、外国人の方は自分で家を借りるのが難しいケースもあるため、李さんが入社するタイミングで「社宅制度」を新たに整えました。

彼の活躍のおかげで「一緒に働く仲間に国籍は関係ない」という意識が社内に浸透し、海外出身の社員も3人に増えました。これからも和歌山を代表する食材と、そこから生まれた商品に誇りを持ち、多様な背景を持つ社員と共にグローバルニッチトップのものづくりを目指していきます。

中野BC株式会社で働く李さんよりコメント

貿易関係の仕事に就くのが夢で、アニメやドラマを通じて日本での暮らしにも興味があったことから、中野BC株式会社のインターンに応募しました。まさに自分がしたかった海外営業の仕事でしたので、本採用の誘いを受けた際も「ぜひ!」と二つ返事でしたね。

すごく優しい会社だと思います。仕事の内容に関しても、やりたいことを相談すればサポートしながら任せてくれますし。自分らしく挑戦できる環境です。

仕事のスケジュールを自分で調整して、長期休暇を取りやすいのも嬉しいポイントです。中国では西暦の年末年始ではなく春節(旧正月)を家族と過ごすのですが、上司も同僚も快く送り出してくれます。日本に戻ると「2回も正月休みを取れて羨ましいぞ」とイジられますが(笑)

会社の信頼に応えられるように、これからも売上目標に責任をもって仕事に取り組んでいきたいです。

そういう意味では、この記事を読んでいる方にも弊社の代表商品である「紅南高」をオススメさせてください! どの国に持って行っても最初に試飲していただくのですが、必ず「美味しい」とおっしゃっていただけます。

大和自動車整備株式会社:「日本人の代替」ではなく個人を尊重する育成を

日本人の成り手が不足している自動車整備業界は、特定技能制度や技能実習制度が最も活用されている領域のひとつです。

和歌山県内に整備工場とディーラーを構える大和自動車整備株式会社(マツダオートザム田辺)でも、ベトナム出身の社員を「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でそれぞれ1名ずつ雇用しています。

ベトナム進出を狙う同社にとって、ベトナム人社員は未来の支社を担う重要なポジションです。人材不足が深刻な業界だからこそ、「労働力の確保」ではなく「育成」を第一に外国人材雇用を行ってきた同社に、採用とマネジメントに関する考え方を伺いました。

Q.外国人材のマネジメントで気を付けていることを教えてください。


▲代表取締役 谷本さん

日本はメカニックの成り手不足が深刻です。外国の方に来てもらわなければ、業界が立ち行かない状態になっています。

弊社もベトナムに進出して育成事業を行いたいと考えておりまして、将来的に現地で指揮を執ってくれる「ベトナム支社長候補」として採用したのが特定技能のマインさんです。

弊社で海外出身の方を雇用するのは初めての試みでしたが、マインさんはすでに技能実習生として他社で3年間働いていた経験があるため、コミュニケーションで困ることも少なくすぐに職場に馴染んでくれました。

弊社では「社員全員が将来的に社長になれるような教育を行う」ことをマネジメントの指針としておりまして、それはマインさんも例外ではありません。彼自身も新しい仕事を覚えることにとても積極的ですので、やる気の芽を摘まないように、たとえ難しい仕事でも一緒に方法を考えながら成長を促しています。

Q.外国人材雇用を成功させるためのアドバイスをお願いします。

前提として外国人材を「日本人の代替」や「労働力」としか見ていない企業は、社員を不幸にするだけですし、ご自身の目的も達成できないのではないかと思います。

一緒に働く仲間として、将来のビジネスパートナーとして、誠実な態度で関わることが大切です。そのためには、監理団体や登録支援機関に紹介された方を「誰でもいいや」と受け入れるのではなく、自らの目で能力や人柄を見極めなければなりません。

弊社の場合、二人目の外国人材はベトナムの整備工場に足を運び、その場で優秀な方をスカウトしました。

また、彼が日本に来る前には実家を訪問し「責任をもって日本で育てます」とご両親に挨拶しました。技能実習生の多くは、送り出し機関への借金を背負って日本に来ます。在留期間中は基本的に母国に帰ることができず、ご家族とも数年間会えません。そのような境遇の社員を預かるうえで「誠実な態度」とは何を指すのか、行動で示す必要があるのではないかと弊社は考えております。

大和自動車整備株式会社で働くマインさんよりコメント


▲マインさん

「ベトナムに人材育成の会社を作る」という社長のビジョンに惹かれて入社を決めました。

実際に、整備の技術だけでなく経営に関する知識も学ばせてもらい、私が将来ベトナムに帰ってからのことを一緒に考えてくれていると感じています。

社長は「外国人を特別扱いしない」と言いますが、私が家族と会えるよう社員旅行の行き先をベトナムにしてくれたり、周囲に住んでいるベトナム人コミュニティを探して友達ができるようサポートしてくれたりと、数えきれない恩があります。

社長や仲間のために、もちろん自分のためにも、この会社でたくさんのことを吸収して、ベトナムに帰ってから伝えたいですね。

阪和電子工業株式会社:外国人材の熱意から生まれた「教え合い」の文化

阪和電子工業株式会社は国内トップシェアの分野を持つ電子機器メーカーです。

次の目標は海外におけるシェア拡大。そのために設計開発と海外営業のポジションで「技術・人文知識・国際業務」の外国人社員を雇用しています。

外国人材雇用に関して「特別なことは何もしていない」「日本人と外国人が対等な状態が理想」と語る同社。しかし、その言葉の裏には世界ナンバーワンを目指す企業にふさわしい国際感覚がありました。

Q.外国人材雇用に力を入れている理由をお聞かせください。


▲左:総合管理部長 西出さん/中央:バラットゥさん/右:会長 長谷部さん

弊社は半導体の評価用測定器を開発・製造しておりまして、大手半導体メーカー、自動車メーカー等にご愛顧をいただき、「静電破壊自動測定器」の分野では国内シェア70%以上を誇ります。現在は国内ナンバーワンから世界ナンバーワンを目指し日々活動しています。

弊社は外国人雇用について、優秀な人材であれば国籍を問わず仲間に入ってもらいたいという考えで採用活動を行っています。

設計開発のポジションで働いてくれているバラットゥさんはインド出身で、母国の大学で電子工学を専攻していました。彼の留学先である日本語学校から推薦を受け、国際レベルの高い専門性を持っていることが伺えたため採用を決めました。

Q.外国人社員が加わったことでどのような変化がありましたか?

「教え合い」のコミュニケーションが活発になったと感じています。

技術職の場合、どこで技術を学んでも国際標準は同じです。高い専門性を有する人材を雇用するのであれば、その方の知識や日本語力に依存する形でもある程度は業務上のやりとりが成立すると思います。

でも、対等と呼べる関係を築くためには、外国人社員だけに努力を強いるのではなく、日本人側も伝える工夫をしなければなりませんよね。

たとえば専門用語を英語で説明できるように調べたりと、どのような研修方法ならバラットゥさんが理解しやすいか、職場のみんなで知恵を出し合って考えました。

バラットゥさんも分からないことをそのままにしない性格でして、翻訳ツールを使って積極的に質問してくれまして。互いの熱意が伝播した結果、日本人と外国人の間だけでなく、日本人同士でも自分の考えをしっかりと伝えようとする文化が生まれました。

制度の面では外国人社員が年1回まで受給できる「帰国手当」が作られました。外国人社員は故郷を離れて日本で働いている時点で、さまざまなハンデを抱えています。「日本人と外国人が対等に働ける」とはどのような状態なのか、常に意識しながら労働環境をアップデートしています。

Q.外国人社員に期待することはありますか?

彼ら個人の夢や目標を尊重したうえで、いつか母国に帰るとしても、何らかの形で縁を保ち続けてくれたらうれしいです。たとえば、独立して商社を興した中国出身の元社員がおりまして、彼は今でも弊社の商品を中国にたくさん売ってくれています。

ビジネス上のパートナーシップでなくとも、海を越えた絆を広げていきたいです。そのためにも、彼らの将来につながる経験をさせてあげたいですね。

阪和電子工業株式会社で働くバラットゥさんよりコメント

世界に挑戦する日本のものづくりがしたいと考え、どこにもマネができないオンリーワンの技術を持つ阪和電子工業に入社することを決めました。

阪和電子工業で働く魅力は、仕事のスケジュールに関する裁量が大きく、自分で計画を立ててその通りに働けることだと思います。インドにいた頃、YouTubeで「日本人の働き方はヤバイ!」「1日に12時間も働いて4時間しか眠らない!」という動画を見たことがあり不安だったのですが、実際は全く違っていましたね(笑)

「ヒゲを生やしていてもOK」と社内規則で明示してくれたこともうれしかったです。インドではヒゲが単なるファッション以上の意味を持っています。文化の多様性を尊重してくれていると感じます。

私の叔父はインドで日系企業の支社長として働いています。自分も日本で経験を積み、彼のように母国で国際的な活躍をしたいと考えています。

そのために、この会社で学んだのは「受け身で仕事を待つばかりではだめだ」ということ。

何か挑戦したいことがあるのなら、たとえ日本語に自信がなかったとしても、まずは自分の力で説明を試みる。言葉だけでは伝わらないなら資料を用意する。そうした異文化コミュニケーションのコツを理解してからは、自分のやりたいことができるようになり、仕事がとても楽しくなりました。

WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスクとは

WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスクでは、県内企業が外国人材を「共に働く仲間」として受け入れることができるよう、相談窓口の開設やセミナー・合同企業説明会などの各種イベント開催など、必要な支援を無料で行っています。

例えば以下のようなお悩みのご相談が可能です。

・外国人材を雇用する上で何から始めたらいいの?
・自社で雇用可能な外国人材は?
・各在留資格(ビザ)の違いは?
・外国人材を雇用する際の注意点は?
・外国人材を雇用したいけど、どの人材紹介会社に依頼すればいいの?

和歌山県内で外国人材雇用を始めたいとお考えの企業は、電話やWEB相談を用いた無料相談を試してみてはいかがでしょうか。

【問い合わせ先】WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスク

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・TEL:050-5527-9954
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取材協力:和歌山県中野BC株式会社大和自動車整備株式会社阪和電子工業株式会社

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執筆:WeXpats

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