日本で病気になったときやけがを負ったときに備えて、「病気・けがの症状や状態を日本語で言えるようになりたい!」と考える方もいるでしょう。そこで、このコラムでは病気・けがに関する日本語を例文つきで紹介します。また、痛みを表す日本語のオノマトペの意味や使い方も解説。病院に行った際、スムーズに日本語で病気・けがに関するやり取りをしたい方は参考にしてください。;
目次
病気の症状を表す日本語
病院に行って診察を受ける際は、的確に症状を伝えるのが大切です。適切な治療を受けるためにも、体の痛いところや辛いところを説明する日本語を覚えておきましょう。ここでは、それぞれの言葉の意味や使い方を例文を添えて紹介します。
体がだるい
体を動かすのが辛くやる気が起きないといった症状は、日本語で「体がだるい」といいます。疲れがたまっているときやストレスを感じているときに出やすい症状です。体のだるさは、さまざまな病気の症状として現れます。意味や使い方を覚えておくと、病院に行ったときにスムーズに症状を説明できるでしょう。
「昨日の疲れが取れなくて、まだ体がだるい」
(きのうのつかれがとれなくて、まだからだがだるい)
「体がだるいから休息を取ろう」
(からだがだるいからきゅうそくをとろう)
おなかが痛い
「おなかが痛い」は、胃や腸、わき腹などが痛いときに使える日本語です。痛みの種類を問わず広範囲を指して使える言葉なので、症状を説明する際に役立ちます。おなかが痛いときはどのように痛むのか、オノマトペを活用して説明すると診察がスムーズです。
「賞味期限切れの卵を食べたせいで、おなかがズキズキと痛む」
(しょうみきげんぎれのたまごをたべたせいで、おなかがずきずきといたむ)
「おなかが痛いので早退します」
(おなかがいたいのでそうたいします)
寒気がある
熱があるにもかかわらず寒く感じる症状を表す日本語は、「寒気がある」です。インフルエンザや風邪といった、発熱を引き起こす病気に多い症状といえます。「寒気がある」ということを「悪寒(おかん)」ともいうので、覚えておくと良いでしょう。
「夏にもかかわらず、寒気がある」
(なつにもかかわらず、さむけがある)
「頭が痛くて寒気があるので、風邪を引いたかもしれない」
(あたまがいたくてさむけがあるので、かぜをひいたかもしれない)
熱っぽい
「熱っぽい」は、体温が高く発熱しているように感じる際に使う日本語です。風邪やストレスによる体調不良の初期症状として、熱っぽいと感じることがあるでしょう。体調が良くないときに出やすい症状の一つなので、覚えておくことをおすすめします。
「昨日から熱っぽい」
(きのうからねつっぽい)
「熱っぽいので薬を飲みます」
(ねつっぽいのでくすりをのみます)
気持ちが悪い
「気持ちが悪い」は、吐き気の症状があるときに使う日本語です。食べすぎや飲みすぎなどによって、不快感があるときにも使えます。なんとなく普段とは調子が違う状態を指して、「気持ちが悪い」ということもあるようです。
「お酒の飲みすぎで、気持ちが悪い」
(おさけののみすぎで、きもちがわるい)
「気持ちが悪くて食欲がない」
(きもちがわるくてしょくよくがない)
日本語を正しく使えるようになりたい方は、「外国人が難しいと感じる日本語とは?難しい理由から例文まで徹底解説!」のコラムも参考にしてみましょう。例文つきで日本語の使い方をまとめているほか、おすすめの勉強方法も紹介しています。
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病気・けがの痛みを表現する日本語
病気・けがによって体に痛みがある場合、どのように痛むのか適切に表現するのも大切です。痛みを表すのに使える日本語のオノマトペはたくさんあります。例文を参考にして、言葉の意味やオノマトペの使い方を勉強しましょう。
ズキズキ
「ズキズキ」は、頭が痛いときや擦り傷ができたときの痛みを表すオノマトペです。一定の間隔で強くなる痛みを表しています。ズキズキする痛みを「疼痛(とうつう)」ともいうので、覚えておくと便利です。
「頭がズキズキ痛む」
(あたまがずきずきいたむ)
「歯がズキズキするので、虫歯かもしれない」
(はがずきずきするので、むしばかもしれない)
じんじん
「じんじん」は、熱を持った痛みを表すオノマトペです。しびれるような感覚を「じんじん」ということもあります。じんじんするような痛みは「神経痛(しんけいつう)」の可能性があるので、知識としてインプットしておきましょう。
「膝がじんじんする」
(ひざがじんじんする)
「じんじんとした痛みがあって、集中できない」
(じんじんとしたいたみがあって、しゅうちゅうできない)
ヒリヒリ
「ヒリヒリ」は、火傷や擦り傷といった熱を持ったしびれるような痛みに使えるオノマトペです。状況によっては、「じんじん」と同じように使うこともできます。辛い物を食べて、口のなかが痛いときにも使える日本語です。
「カレーを食べたので、口のなかがヒリヒリと痛む」
(かれーをたべたので、くちのなかがひりひりといたむ)
「火傷した腕がヒリヒリする」
(やけどしたうでがひりひりする)
むかむか
「むかむか」は、食べすぎ・飲みすぎによる胃や胸の痛みを表現するオノマトペです。具体的には、不快感や吐き気を表しています。うまく言葉にできない不快感や気持ち悪さを表せる便利な日本語なので、体調を説明する際にぜひ使ってみてください。
「食べすぎが原因で、胃と胸がむかむかする」
(たべすぎがげんいんで、いとむねがむかむかする)
「胃がむかむかするのは、胃もたれが起きているからだ」
(いがむかむかするのは、いもたれがおきているからだ)
ゴロゴロ
「ゴロゴロ」は、お腹が痛いときに使えるオノマトペです。お通じが来ない「便秘(べんぴ)」の痛みを表すのに使えます。お腹にガスがたまったり腸が活発に動いたりすることで、実際に「ゴロゴロ」と音が鳴ることもあるようです。
「お腹がゴロゴロしていて痛い」
(おなかがごろごろしていていたい)
「お腹がすぐゴロゴロするので、牛乳が飲めない」
(おなかがすぐごろごろするので、ぎゅうにゅうがのめない)
日本語は世界的に見てもオノマトペが多い言語です。オノマトペをあまり使わない言語が母語の方だと、覚えるのに苦労するでしょう。「日本語が難しいといわれる理由とは?外国人が学習するときのコツを解説!」では、代表的な日本語のオノマトペや言語学習のコツをまとめています。ネイティブ並みに日本語を使いこなしたい方は、チェックしてみましょう。
病気・けがを状態を表現する日本語
病気の名前やけがの状態を表す日本語を把握しておくと、病院に行って診察を受ける際に医者の説明を理解しやすくなります。ここでは、一般的な病気の名前やけがの状態を表す日本語をまとめているので、病院に行く予定がある方は参考にしてください。
風邪
ウイルスに感染したことで発熱や咳、くしゃみ、鼻水といった症状が現れる病気を、日本語で「風邪(かぜ)」といいます。ただし、風邪のような症状でも異なる病気の可能性があるので、自己判断はNGです。風邪に似た病気には、「胸膜炎(きょうまくえん)」「細菌性肺炎」などがあります。「もしかして風邪かも?」と思ったら病院に行って症状を話し、診察や検査を受けましょう。
「風邪をひいたので、アルバイトを休まなければいけない」
(かぜをひいたので、あるばいとをやすまなければいけない)
インフルエンザ
「インフルエンザ」とは、インフルエンザウイルスに感染した際に発症する病気です。風邪と同じように発熱や咳、体のだるさを伴うとされていますが、インフルエンザのほうが症状が重くなる傾向にあります。特に乳幼児や高齢者は症状が悪化しやすいので、体調がすぐれないときは早めに病院に行きましょう。
「インフルエンザのせいで、発熱が続いています」
(いんふるえんざのせいで、はつねつがつづいています)
下痢
お通じが水っぽくなり、お腹が痛くなって1日に何度もトイレに行ってしまう状態を「下痢(げり)」といいます。下痢とは反対に全くお通じが来なかったり便が固くなったりしてしまう症状は「便秘(べんぴ)」というので、あわせて覚えておきましょう。
「感染性胃腸炎(かんせんせいいちょうえん)」「過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)」といった胃や腸の病気が原因で、下痢になることもあります。下痢になる理由はたくさんあるので、心配な方は医者に治療法を聞いてみてください。
「下痢がひどくてトイレから出られない」
(げりがひどくてといれからでられない)
貧血
ビタミンや鉄といった栄養素が不足して、めまいやふらつきといった症状を引き起こすのが「貧血(ひんけつ)」です。食生活が乱れたり大量に出血したりすると、貧血になりやすいとされています。なお、似た名前の症状として「脳貧血(のうひんけつ)」がありますが、貧血とは異なる状態を表す日本語です。
「めまいがするので、貧血かもしれません」
(めまいがするので、ひんけつかもしれません)
虫歯
口内の細菌によって歯が溶けてしまう病気を、日本語で「虫歯(むしば)」といいます。虫歯は、温かいもの・冷たいものがしみたりズキズキ痛みを伴ったりする病気です。放っておくと歯に穴が開き、神経までダメージを受けてしまうので、早めに歯医者に受診したほうが良いでしょう。
「虫歯が痛いので、歯医者に行ってきます」
(むしばがいたいので、はいしゃにいってきます)
骨折
腕や足などの骨が折れることを、日本語で「骨折(こっせつ)」といいます。骨折した場合、病院で診察を受けて骨が元通りくっつくようにギプスや包帯で固定してもらうのが一般的です。骨折を放置してしまうと、痛みが消えても今までのように動かなくなる可能性があるので、必ず病院で診てもらいましょう。なお、外傷がなくても骨が折れる「疲労骨折(ひろうこっせつ)」というけがの種類もあります。
「昨日サッカーをしたときに、足を骨折してしまいました」
(きのうさっかーをしたときに、あしをこっせつしてしまいました)
捻挫(ねんざ)
関節に力が加わったとき、不自然な方向にひねってしまうことで負うけがを「捻挫(ねんざ)」といいます。けがをした部分が腫れたり内出血したりするうえ、強い痛みを伴うのが特徴です。スポーツをする人は特に捻挫する可能性があるので、足首や手首に痛み・違和感があったらできるだけ安静にして、病院を受診することをおすすめします。
「どうやら、捻挫しているらしい」
(どうやら、ねんざしているらしい)
火傷(やけど)
熱いお湯や火によって皮膚・粘膜がダメージを受けた状態を、日本語で「火傷(やけど)」といいます。軽い火傷の場合は皮膚の表面が赤くなったりヒリヒリしたりする程度ですが、ひどいと治療後も傷跡が残るけがです。軽いやけどは応急処置や塗り薬で対応できますが、皮膚の奥まで熱が伝わっている場合は、医師の指示のもと適切な治療を受ける必要があります。
「お湯をこぼして火傷した」
(おゆをこぼしてやけどした)
病気・けがの治療や予防に関係する日本語
けがを負ったり病気にかかったりして病院に行くと、普段の生活では使わない日本語を聞くことがあるでしょう。ここでは、病院での診察や病気・けがの治療、予防に関係する日本語を紹介します。
診察券
「診察券(しんさつけん)」は、病院で医者にけがや病気の状態を診てもらう際に必要なカードです。初めて行く病院では診察券を作るために、「問診票(もんしんひょう)」という紙に生年月日や連絡先、どのような理由で来院したかを書く必要があります。
診察券は本人確認のために必要なカードです。病院の連絡先が書いてあるほか、次の通院日の確認もできます。医療費の支払いに診察券が必要な病院もあるので、通院の際は必ず持っていきましょう。
保険証
「保険証(ほけんしょう)」は、病院で診察を受ける際に提示するカードです。保険証を提示すると、医療費の7割を国が負担してくれます。日本で住民登録を行っている外国人は、公的医療保険に加入しなければなりません。加入時に保険証が発行されるので、病院に行く際は必ず持参しましょう。なお、保険証は本人確認書類にもなります。ほかに人にあげたり貸したりするのは禁止されているので、覚えておいてください。
処方箋
「処方箋(しょほうせん)」は、病気やけがの治療に必要な薬が書かれた紙です。処方箋を持って薬局に行くと、内容に応じた薬を出してくれます。処方箋は発行された日を含めて4日以内が有効期限です。有効期限を過ぎた処方箋は使えないので、病院にかかった当日に薬局にも行くことをおすすめします。なお、処方箋で出される薬は安価な後発品(ジェネリック医薬品)で代用できる可能性もあるので、気になる方は薬剤師に聞いてみると良いでしょう。
注射
「注射(ちゅうしゃ)」は、病気の予防や検査のために針を使って体に薬を入れる方法です。皮下注射や筋肉注射、静脈注射など様々な種類があります。インフルエンザや日本脳炎、新型コロナウイルス感染症などの予防接種・ワクチン接種は注射で行われるのが一般的です。予防接種で少量の薬を体内に直接取り入れることで、病気にかかったときの重症化リスクを下げられます。
点滴
「点滴(てんてき)」は、注射と同じように針を使った治療法です。点滴は主に脱水症状の改善のために使われており、少量のブドウ糖や生理食塩水が含まれています。熱中症やノロウイルスといった脱水症状を伴う病気の際に、口からの水分補給が難しい人に対して使われるようです。
まとめ
病気やけがの治療のために病院に行く場合、症状の説明に必要な日本語を覚えておくとスムーズに診察を受けられます。また、医者や看護師、薬剤師の話す内容を正しく理解できれば通訳をはさむ必要もありません。けがの状態を表す日本語や痛みを表現するオノマトペを上手に使って、病院に行ったときに正しく説明できるよう、練習してみましょう。