日本語能力試験(JLPT)のほかにも、さまざまな日本語の試験が行われています。ここでは、日本語の習得度をチェックしたり、応募書類や履歴書をより良いものにするために受けられるさまざまな日本語能力試験を紹介します。
目次
JLPT(日本語能力試験)
JLPT(日本語能力試験)は、世界で最も有名な日本語のレベルを測る試験です。
自分の日本語のレベルについて話すとき、多くの人はJLPTのレベルで答えます。JLPTのレベルはN5(最低)~N1(最高)までの5つのレベルに分かれており、日本語能力の証明となります。このJLPTの結果は、進学や就職、転職、昇進の際に参考資料としてよく利用されているので、受験することをおすすめします。
実施時期:年2回(7月、12月)
受験料: 6,500円
海外試験:あり(詳しくはこちら)
※ JLPT
「JLPTの受験料はいくら?受験前に知っておきたい試験概要も解説!」では、各レベルについても詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
JLPT以外の試験も必要な理由
日本語の能力試験はJLPT以外にもたくさんあります。 なぜ、それらの試験も受験したほうがよいのでしょうか。主に3つ理由があります。
- JLPTは7月と12月の年2回しかありません。つまり、JLPTに必ず合格する必要がある場合、試験に失敗すると計画が半年以上遅れる可能性があります。また、パンデミック時の2020年・2021年のように、試験自体が中止される場合もあります。
- JLPTは、語彙、文法、読解、聴解のみをテストします。JLPTでカバーされていない日本語の話す能力や書く能力、またはその他の特定のスキルを確認するには、他の試験を受ける必要があります。
- 一部の学校や企業では、「JLPTのレベルに相当する日本語能力を有する者を受け入れる」と記載されています。その場合、JLPTのレベルと同等の試験を受けていれば、JLPTが何らかの理由で受けられなかった場合でも、日本語能力を証明することができます。
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JLPT以外の日本語能力試験
したがって、上記の理由により、JLPT の代替として認められている他の試験があることを知っておくことが重要です。
注意: これらの試験は代替手段として可能な場合もありますが、すべての学校や企業がそれらを認めているわけではありません。ですから、進学や就職などを考えている方は、まず初めに募集要項や条件を見てJLPT以外の試験も利用できるか確認しておきましょう。
J.Test (実用日本語検定)
J.Test (実用日本語検定)は、初級、中級、上級レベルの3種類のテストがあり、漢字の読み方などを書く記述の問題もあります。また、JLPTのN1以上の能力も測ることができ、日常的に使用する「実用的な日本語」に重点が置かれています。
レベルはテストの種類とスコアによって決まります。JLPTとのレベル比較は、次の表をご覧ください。
J.Test(3種類のテスト) |
JLPTレベル |
1. A~C レベル テスト (最大 1000 点) Pre-B レベル (700~799 点) C レベル (600~699 点) |
N1 N2 |
2. D~E レベル テスト (最大 700 点) D レベル (500~700 点) E レベル (350~499 点) |
N3 N4 |
3. F~G レベル テスト (最大 350 点) F レベル (250~350 点) |
N5 |
このグラフからわかるように、Pre-B レベルより高いスコアを獲得した場合、N1レベルを超えています。実際、(最大 1000 ポイントのうち) 900 ポイント以上を取得すると、ネイティブに近いと見なされます。JLPTの枠を超えて挑戦できるのでおすすめです!
実施時期:年6回(F~Gレベルは年2回のみ)
受験料:5,200円
海外試験:あり(詳しくはこちら)
※ J.TEST Japan事務局「J.TEST実用日本語検定」/日本語検定協会「CEFRとJ-TEST」
NAT-TEST
NAT-TEST (Nihongo Achievement Test) は、JLPTと同様に5つのレベルに分かれており、JLPTに相当するものと考えられています。
NAT-TESTはJLPTとほぼ同じ構成なので、「JLPTの模擬試験」として受験する方も多いようです。
実施時期:年6回
費用:5,500円
海外試験:あり(詳しくはこちら)
※ NAT-TEST
JPT (日本語能力試験)
日本語名が全く同じの「JLPT」と混同しやすいですが、JPT(日本語能力試験)もJLPTに代わる試験とされています。
ウェブサイトには、「法務省出入国在留管理庁が認めている資格で、315点以上(N5レベル)であれば、日本語教育機関へ入学する資格が認められる」と記載されています。
※ JPT「日本語能力試験との違い」
JPTはレベルごとに区切られておらず、すべてのレベルに対して1つのテストしかないため、形式が異なります。レベルはスコアによって決まります。JLPTとのレベル比較は、次の表をご覧ください。
JPTスコア |
JLPTレベル |
660ポイント以上 |
N1 |
525ポイント以上 |
N2 |
430ポイント以上 |
N3 |
375ポイント以上 |
N4 |
315ポイント以上 |
N5 |
実施時期:年6回
受験料:5,500円
海外試験:あり(詳しくはこちら)
※ JPT
J-CAT
J-CAT(Japanese Computerized Adaptive Test)は、オンラインで時間や場所を問わず受けられる試験です。
注意: 2020年4月1日現在、個人での受験登録はできません。学術機関に所属する団体での受験登録が必要です。
J-Cat Challenge、Performance、Certificate の3つのプランのうち 1 つを受験できます。
J-CAT ChallengeとPerformanceはどちらもオンラインテストで、2つの違いは「試験後に成績表のPDFをダウンロードできるかどうか」です。
J-CAT Certificateは、試験監督者の立ち合いによる対面式の試験です。
JPTと同様に1つのテストで、スコアによってレベルが決まります。試験は他の試験よりもはるかに短く、約45〜90分です。
J-CATスコア |
JLPTレベル |
300ポイント以上 |
N1 |
250ポイント以上 |
N2 |
200ポイント以上 |
N3 |
150ポイント以上 |
N4 |
※ J-CAT、「J-CATのスコアについて」
テスト名 |
どこで受験するか |
受験料 |
J-CAT Challenge |
オンライン |
1000円 |
J-CAT Performance |
オンライン |
2000円 |
J-CAT Certificate |
試験場 |
4000円 |
※ J-CAT「サービスプラン」
TOPJ(実用日本語運用能力試験)
TOPJ(実用日本語運用能力試験)は、海外での試験が一部のアジア諸国に限定されているため、あまり知られていません。日本語の知識だけでなく、日本の文化や習慣についての理解度も測れます。
初級、中級、上級の3つのテストがあり、スコアに基づいてそれぞれA、B、Cのレベルに分けられます。
JLPTとのレベル比較は、次の表をご覧ください。
TOPJ(3種類のテスト) |
JLPTレベル |
1. 上級 A レベル B/C レベル |
ビジネスレベル N1 |
2. 中級 A/B レベル C レベル |
N2 N3 |
3.初心者 A-4 レベル (全セクションで 80% 以上) A-5 レベル (265 ポイント以上) |
N4 N5 |
実施時期:年6回
費用:国内5,000円
海外試験:あり(詳しくはこちら)
※ TOPJ
BJT(ビジネス日本語能力テスト)
BJT(ビジネス日本語能力試験)は、JLPTの高得点に代わる試験として利用されています。多くの企業がビジネスレベルの日本語能力を求めており、BJT はそれを証明することができます。
また、実践的なので、テストで学んだことを実際の仕事にも活かすことができます。ただし、JLPTのN2またはN1レベルの日本語力がないと、この試験は難しいと言われています。
詳細については、この後の項目をご覧ください。
ビジネス日本語検定
BJT(ビジネス日本語能力テスト)
BJT(ビジネス日本語能力テスト)は、 ビジネスの場で日本語を使ってやり取りする能力を測るテストです。
試験は、試験会場のコンピュータで行われ、「聴解」「聴読解」「読解」の3つのパートで構成されています。
BJTは1つのテストで測定され、0〜800点までの得点によってJ5(最低)~J1+(最高)と呼ばれる6段階のレベルに分けられます。
ビジネスシーンで高度な日本語を使えるかどうかが試されるので、BJTではJLPTのN2またはN1レベルの受験者を推奨しており、N1レベルの受験者のほとんどがBJTでJ2またはJ1を獲得しています。600点(800点満点)を超えると、J1+レベルとみなされ、「あらゆるビジネスシーンで十分に日本語を使うことができる」と判断されます。
※BJT「成績と評価」
実施時期:ほぼ毎日実施(オンラインで日時を予約)
受験料: 国内 7,000 円
海外試験:あり(詳しくはこちら)
※ BJT
STBJ(標準ビジネス日本語テスト)
STBJ(標準ビジネス日本語テスト) は、受験できる場所がかなり限られているため、BJTほど知られていません。
現在、中国、ベトナム、スリランカで年6回実施されています。個人向けの試験ではなく、日本語学校などが学生のために手配するのが一般的です。
結果は、日本での就職や上記国の日本企業への就職、日本の大学や語学学校への留学の際の日本語能力の証明として利用されます。
費用や詳細は国によって異なりますので、詳しくはこちらをご覧ください。
※ STBJ
特定の技能試験
上記のテストは、単に「読む」「聞く」能力を問うものが多いですが、「書く」「話す」能力はどうでしょうか?見てみましょう。
漢字
漢字の知識を試したい場合は、漢字能力検定(略称:漢検)を受けることをおすすめします。
日本語能力試験と直接の関係はありませんが、履歴書に書けるのでおすすめです。日本では小学生から高校生、大学生、社会人までが受験しています。
漢検は、10級(最低)~1級(最高)まで、全部で12段階あります。もちろん、漢字の読み書きができることが条件です。上級になると、熟語や古典文学に登場する漢字の知識も求められます。
年に3回開催されますが、オンラインでいつでも受けられる試験もあります(2級まで)。
※ 漢検
日本語のスピーキングテスト
日本語を話す能力のテストを紹介します。(この他にも、国によって実施されている試験があるかもしれないので、調べてみてください!)
JSST(Japanese Standard Speaking Test)
JSST(Japanese Standard Speaking Test)は、10問の質問でスピーキング能力をテストします。回答は記録され、最終的なスコアが判定されます。実際のテストは15分ほどで終わります。
スコアは1(最低)~10(最高)までの10段階あります。問題はランダムに出題されるので、答えを丸暗記することはできません。日本語の正確さだけでなく、指示を受けながらどれだけ自然に情日本語会話テスト報を伝えられるかが試されます。
受験料:スコアレポート・コメントシート付き 6,050円
スコアレポート(コメントシートなし) 4,950円
海外テスト:あり
※ JSST
日本語会話検定(JapaTalk)
日本語会話検定(Japanese Conversation Test)は、Skypeで日本語の会話レッスンを提供するサービス「Japa Talk」の有料会員を対象に実施されています。25 分間のSkypeでの会話で、コミュニケーション力、イントネーション、敬語、その他のスピーキング力を採点してもらえます。
受験料(JapaTalkの会員のみ):3・4級3,300円、2級以上4,400円
※ Jap Talk「日本語会話検定」
OPI (Oral Proficiency Interview)
OPIは30 分間の電話でのインタビューテストで、さまざまな言語に対応しています。アメリカの全米外国語教育協会が実施している試験です。初級~超級までの4つのレベルがあり、正確さだけでなく、スピーチの内容やさまざまなトピックについて議論するための言語を使用する能力がテストされます。
残念ながら日本では受験できませんが、オンラインで受験することは可能です。テストを受けて証明書を取得するには、120 米ドルかかります。
※ LTI「ACTFL Speaking Assessment: The Oral Proficiency Interview® (OPI)」 ※ 日本語OPI研究会「OPIとは?」
その他のおすすめの日本語試験
EJU(日本留学試験)
EJU(日本留学試験)は、外国人留学生の大学受験でよく利用されている試験で、アカデミックな問題が多いのが特徴です。そのため、日本への留学を希望している学生であれば、大学に入学するためにこの試験を受けなければならない可能性が非常に高くなります。
また、受験ではEJUまたはJLPTのスコアを求められることが多いので、EJUのスコアがあればJLPTを受けなくても構いません。
EJUについては、「EJU(日本留学試験)とは?過去問の見方や試験科目について解説」の記事でより詳しくご紹介しているので、ぜひご一読ください。
※ 日本留学試験
日本語検定
日本語能力検定は、どなたでも受験できる日本人向けの日本語能力試験です。日常生活での日本語の使用に焦点を当て、日本語を正しく使えているかを測る試験です。
外国人の日本語能力の証明には上記で紹介した他の試験で十分であるため、このテストを受験する外国人は多くありませんが、日本語能力に自信がある方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
※日本語検定
まとめ
この記事では、JLPTに代わる試験をご紹介しました。自身の日本語能力を測るために、就職・進学の夢を叶えるために、ぜひ今回の記事を参考にして、いろいろな試験に挑戦してみてください!