日本には春から夏へと季節が移り替わる間に、梅雨と呼ばれる雨が続く時期があります。晴れる日が少なくなり、曇ったり雨が降ったりする日が多くなるため外出しにくい期間ですが、梅雨ならではの楽しみ方があるのも事実。この記事では、服装や雨の日の楽しみ方を紹介しています。梅雨とはどんな時期なのか、簡単に分かるようにまとめているので、ぜひチェックしてみましょう。
目次
梅雨とは
5月から7月ごろにかけて、雨が続く季節を梅雨(つゆ)といいます。日本をはじめ、台湾や中国の沿岸部など東アジアの広範囲で見られる気象現象です。梅雨は1ヶ月程度続き、ほとんど晴れることはなく曇りか雨の日が多くなります。
「日本の気候や天気の特徴とは?各季節の注意すべきポイントも解説」の記事では、日本の春夏秋冬の気候について紹介しています。興味がある方はぜひご覧ください。
梅雨になる仕組み
梅雨に雨がたくさん降るのは、「梅雨前線(ばいうぜんせん)」ができるのが原因です。5月上旬ごろに、温かく湿った空気のかたまりが南から日本に近づきます。そして、中国大陸やオホーツク海周辺の性質の異なる空気のかたまりとぶつかると、梅雨前線と呼ばれる停滞前線が発生。日本から中国大陸付近に留まり、雨が続く季節になるのです。
梅雨前線はゆっくりと北上していき、北海道に到達するころには消滅します。
梅雨の雨量
梅雨の雨量は地域によって大きく異なります。東日本や東北地方では弱い雨が降り続く場合が多いです。反対に、西日本では強い雨が集中的に降る傾向にあります。特に九州や四国では大雨となり、愛媛県の年間の降水量は梅雨の時期である6月が最大です。
梅雨の時期がはっきりしない年もある
梅雨は例年5月か6月から始まり7月には終わりますが、年によってはあまり雨が降らず、時期が不明瞭な場合もあります。反対に7月を過ぎても雨が降り続き、梅雨が終わったか定かではないまま夏になることも。梅雨の時期がはっきりしないのは、日本付近の気圧配置が理由です。
春から夏へと季節が移り変わるのに、梅雨は重要な役割を担っています。梅雨が終わると、気温が高くなったり晴天の日が増えたりして本格的に夏が到来するため、季節の移り変わりをはっきりと感じられるでしょう。なお、梅雨の始まりや終わりがはっきりしない年は、地域ごとに気温や天気の変動が多いようです。
梅雨の漢字の由来
漢字で梅雨と書いて「つゆ」と読むようになったのは、梅の実が熟すころに雨が降るのが理由とされています。もともと中国には「梅雨(ばいう)」という呼び方があり、日本にその言葉が伝わった際に「つゆ」になったようです。
また、雨が多くカビが生えやすい時期のために、「黴(かび)」の字を当てて「黴雨(ばいう)」と呼んでいたともされています。しかし、黴の字ではイメージが良くないため、同じ読み方をする梅の字を当てて「梅雨」とした説もあるようです。
参照元 松山地方気象台「気象と気象用語 」 気象庁「平年値(年・月ごとの値) 松山(愛媛県) 平年値(年・月ごとの値) 主な要素」 気象庁「平年値(年・月ごとの値) 東京(東京都) 平年値(年・月ごとの値) 主な要素」
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日本各地の平均的な梅雨入り・梅雨明けの時期
梅雨の季節になることを「梅雨入り(つゆいり)」といいます。梅雨入りの日を決めるのは気象庁です。本格的に雨が多くなる梅雨になるまで、天気が徐々に移り変わる時期があり、気象庁はその日を目安に「~~地方が梅雨入りした」と発表をします。
梅雨前線が過ぎ、気温が高く晴れている日が増えてくると気象庁が「梅雨明け(つゆあけ)」を発表します。もちろん、梅雨前線が過ぎ去ったあともしばしば雨が降る可能性があるので、晴れ間が増えても注意は必要です。
地域によって梅雨入り・梅雨明けの時期は異なるため、場所によっては1ヶ月以上差が開くことも。気象庁が公開しているデータをもとに平均的な梅雨入り・梅雨明けのタイミングを確認しておきましょう。
沖縄地方
沖縄地方は日本で最も梅雨入り・梅雨明けが早い地域です。平年の梅雨入りは5月10日ごろ、梅雨明けは6月21日ごろとされています。年によっては4月下旬から梅雨入りすることも。5〜6月ごろに沖縄地方を訪れる際は雨具を用意しておくと安心です。
九州地方
九州地方は南部と北部で梅雨入り・梅雨明けの時期が異なります。九州南部の梅雨入りは5月30日ごろ、梅雨明けは7月15日ごろです。九州北部では平年梅雨入りが6月4日ごろ、梅雨明けが7月19日ごろになります。沖縄地方に比べると、梅雨入り・梅雨明けともに1ヶ月ほど遅くなります。
四国地方
四国地方の梅雨入りは平年6月5日ごろ、梅雨明けは7月17日ごろです。ただし、5月中旬ごろから7月下旬まで梅雨の年もあります。
中国地方
中国地方は平年6月6日ごろに梅雨入りし、7月19日ごろに梅雨明けします。年によっては5月下旬から梅雨入りしたり、8月に入ってから梅雨明けしたりすることもあるようです。
近畿地方
近畿地方は平年6月6日ごろに梅雨入りし、7月19日ごろに梅雨明けします。年によっては大幅に梅雨入り・梅雨明けが遅れることも。実際に、6月下旬にようやく梅雨入りした年や8月に入ってから梅雨明けしたケースもあります。
東海地方
東海地方も、平年6月6日ごろに梅雨入りし、7月19日ごろに梅雨明けします。九州北部から東海地方まではそれほど緯度が変わらないため、ほぼ同時期に梅雨が訪れるのが通常です。
関東甲信地方
関東甲信越地方は平年6月7日ごろに梅雨入りします。九州北部〜東海地方に比べると梅雨入りがやや遅いものの、梅雨明けは関東甲信越地方より西の地域と同じく平年7月19日ごろです。なお、梅雨前線は関東に来るころには徐々に消滅し始めているため、同じ梅雨でも西日本に比べると降水量が少ない傾向にあります。
東北地方
東北地方は日本で最も梅雨入り・梅雨明けが遅い地域です。東北地方は縦に長いため、南部と北部で梅雨の時期が異なります。平年東北南部の梅雨入りは6月12日ごろ、梅雨明けは7月24日ごろです。また、東北北部は平年6月15日ごろに梅雨入りし、7月28日ごろに梅雨明けします。梅雨前線が東北地方に到達するころには消滅が近いため、東北北部では梅雨明けがいつごろか確認できないこともしばしば。8月半ばになってから梅雨明けする場合もあるので、夏に東北地方を訪れる際は雨具を用意しておきましょう。
参照元 気象庁「昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け(確定値)」
北海道には梅雨がない
梅雨前線が北海道まで到達することはほとんどなく、基本的には東北地方あたりで勢力が衰えます。そのため、北海道には梅雨が存在しません。ただし、まれに梅雨のように雨が多いぐずついた天気が2週間ほど続く年もあるので、北海道を訪れる際は念のため天気予報を確認しておくことをおすすめします。
梅雨の時期の服装
5月から7月にかけての、気温の平年値は以下のとおりです。
観測地点 |
5月 |
6月 |
7月 |
那覇(沖縄地方) |
24.2℃ |
27.2℃ |
29.1℃ |
宮崎(九州地方) |
20.3℃ |
23.2℃ |
27.3℃ |
高知(四国地方) |
20℃ |
23.1℃ |
27℃ |
広島(中国地方) |
19.6℃ |
23.2℃ |
27.2℃ |
奈良(近畿地方) |
19℃ |
22.9℃ |
26.8℃ |
静岡(東海地方) |
19.2℃ |
22.4℃ |
26.1℃ |
東京(関東甲信地方) |
18.8℃ |
21.9℃ |
25.7℃ |
秋田(東北地方) |
15.2℃ |
19.6℃ |
23.4℃ |
5月は長袖Tシャツやブラウス、カーディガンなどを着るとちょうどよく過ごせる地域が多いでしょう。気温の低い東北地方ではニットを着ると暖かく過ごせそうです。湿度が高いと汗が蒸発しにくいため、体内に熱がこもりやすくなります。通気性のいい素材のものを選ぶと良いでしょう。那覇は気温が高いので、半袖Tシャツやノースリーブの服を選ぶと良さそうです。
6月、7月に入るとほとんどの地域では半袖の服で過ごせそうです。しかし、梅雨の時期は1日の中で寒暖差が激しくなる場合もあります。寒さを感じたときのために、羽織れる服を持ち歩いておくのがおすすめです。
参照元 総務省統計局「気温(平年値)」
梅雨の時期ならではの過ごし方
ここでは、1ヶ月ほど続く梅雨を楽しむ方法を紹介します。梅雨の時期は雨が降り続くため湿度が高く、体調を崩したりストレスを感じたりすることも。楽しみ方を知って上手に梅雨と付き合いましょう。
紫陽花(あじさい)を鑑賞する
梅雨は紫陽花の見ごろでもあるため、雨がひどくなければ外に出て花見をしてみると良いでしょう。紫陽花は土が酸性かアルカリ性かによって色が異なる植物です。酸性の土壌では青、アルカリ性ならピンク、中性なら紫に色づきます。また、色素を持たない品種の白い紫陽花もあるのでそれぞれの雰囲気の違いを楽しむのもおすすめ。紫陽花の名所は全国各地にあるので、ぜひ見に行ってみてください。
傘や長靴を新調する
傘や長靴、レインコートといった雨具を身につけて、あえて雨の中出掛けるのも梅雨の楽しみ方の一つ。お気に入りの傘や長靴は、雨の日のお出かけを楽しむきっかけになるアイテムです。毎年デザイン性に富んだ雨具が発売されているので、気分が明るくなるようなアイテムを探してみましょう。
おうち時間を楽しむ
日照時間が短く気分が落ち込みやすい梅雨を楽しむには、おうち時間を充実させることが大切です。雨の音を聞きながら読書したり、家事に打ち込んだりして1日を過ごすのも良いでしょう。ほかにも、長めにお風呂に入って疲れを取る・映画鑑賞やゲームをして過ごす・手芸やDIYに挑戦するといったおうち時間の楽しみ方があります。
梅雨の時期の注意点
夏だけでなく、梅雨の時期も熱中症に注意しましょう。湿度が高いため汗が蒸発しにくく、体内の熱を逃がすのが難しくなります。エアコンの除湿をつけたり換気をしたりして、汗を蒸発させやすくすることが大切です。
高温多湿になるため、食中毒にも注意が必要です。原因となる細菌が増えやすいので、食材や料理は早めに冷蔵庫に入れ、常温で放置しないようにしましょう。調理の際は中心部を75度で1分以上加熱するのが目安です。
湿度が高いので、洗濯物を部屋で干すと雑菌が繁殖してしまう場合があります。換気扇を動かして部屋の空気を入れ替えたり、エアコンや扇風機の風を当てたりすると洗濯物が乾きやすくなるでしょう。干すときは間隔を空けて、風が当たりやすくすることも大切です。
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まとめ
春から夏へと季節が移り変わる間に訪れる梅雨。約1ヶ月間雨が降り続くため、梅雨ならではの過ごし方を見つけて季節を楽しんでみるのも良いでしょう。