パンダの愛くるしい外見や仕草は世界各国で人気があり、日本でも動物園のアイドル的存在といえます。日本に初めてパンダが来たのは1972年で、その人気は未だに衰える気配がありません。このコラムでは、日本のパンダ飼育の歴史を紹介。また、パンダの生態もあらためて解説しています。パンダを飼育している動物園も紹介しているので、訪れる際の参考にしてください。
目次
日本でのパンダ飼育の歴史は1972年から始まった
日本に初めてパンダがやってきたのは、1972年10月でした。パンダは今日でも大変な人気で、来日や中国への返還、赤ちゃんの誕生などが、ニュースに取り上げられることも珍しくありません。ここでは、世代を問わず人気を博しているパンダが、どのようなきっかけで日本に来たのかを解説します。
中国から無償提供された2頭のパンダ
1972年、中国からオスの康康(カンカン)とメスの蘭蘭(ランラン)という2頭のパンダが、日本の上野動物園に無償提供されました。日本と中国の国交正常化をきっかけに、友好の証として贈られたのです。日本を訪れた初めてのパンダを一目見ようと、当時の上野動物園には多くの人が押し寄せました。
ランランは1979年9月に、カンカンは1980年6月に亡くなってしまいましたが、現在は多摩動物公園で2頭の剥製が展示されています。
無償提供が禁止されてパンダはレンタルに
中国のワシントン条約への加盟により、パンダは無償提供が禁止され有償レンタルに変更されました。レンタル料はオスとメスのパンダ2頭で1年につき約1億円です。
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日本におけるパンダ飼育の歴史
ここでは、日本におけるパンダ飼育の歴史について年代ごとに解説します。1972年から今日に至るまで、どれだけのパンダが来日したり誕生したりしたのかを振り返ってみましょう。
1990年代以前
前述のカンカンとランランに続き、1980年代にも日本にパンダが来ます。1980年には歓歓(ホアンホアン)、1982年には飛飛(フェイフェイ)が上野動物園にやって来ました。なお、上野動物園では1980年代に3頭のパンダが生まれます。
パンダが訪れた日本の動物園は、上野動物園だけではありません。1980年には、福岡市動物園に珊珊(シャンシャン)と宝玲(パオリン)が来ました。
1981年に兵庫県で開かれた博覧会「ポートピア’81」では、中国から訪れたパンダが展示されます。寨寨(サイサイ)と蓉蓉(ロンロン)の2頭を見に、多くの人が訪れました。
1988年には、辰辰(シンシン)と慶慶(ケイケイ)の2頭が、和歌山県のアドベンチャーワールドに来ます。中国へ帰国する1989年1月まで、2頭のパンダは人気を博しました。1994年には、永明(エイメイ)というオスのパンダが同園に来ます。
2000年代
2000年になると、梅梅(メイメイ)というパンダがアドベンチャーワールドに来ました。なお、アドベンチャーワールドでは、2001年から2006年までの間に9頭ものパンダが誕生しています。生まれた9頭のうち8頭の父親は前述したエイメイで、子だくさんのパンダとして話題になりました。
兵庫県神戸市立王子動物園には2000年に2頭のパンダが中国から来て、興興(コウコウ)・旦旦(タンタン)と名付けられます。2008年には赤ちゃんパンダが生まれましたが、残念ながら生後4日目に亡くなってしまいました。
2010年代以降
前述したアドベンチャーワールドのエイメイは、2010年以降も多くの赤ちゃんパンダを儲けました。2010年以降に生まれたパンダのうち、8頭はエイメイが父親です。
上野動物園でも、2012年に力力(リーリー)と真真(シンシン)の間に赤ちゃんが生まれ、香香(シャンシャン)と名づけられました。2021年には、暁暁(シャオシャオ)と蕾蕾(レイレイ)も生まれています。
パンダの特徴や生態とは?
パンダの特徴といえば、白黒のはっきりとした毛色を挙げる人が多いでしょう。特に目の周りの模様は印象的です。丸々とした体系も可愛らしく、ご飯を食べたりゆっくり歩いたりする動作も見ていて飽きません。単にパンダというと、多くの人がクマ科の「ジャイアントパンダ」を思い浮かべるでしょう。しかし、実はパンダはクマ科の「ジャイアントパンダ」とイタチ科の「レッサーパンダ」の総称を指します。以下は、ジャイアントパンダの主な生態です。
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体長:120cmから180cm
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体重:70cmから125kg
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生息域:中国南西部の四川省や陜西省、甘粛省の標高1300mから3500mの山岳地帯
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主食:竹の幹や葉、竹の子が主食で、野生の場合は昆虫やネズミ、飼育されている場合はニンジンやリンゴも食べる
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寿命:野生の場合は15年程度で、飼育下では30歳を超える場合もある
ジャイアントパンダは単独で生活し、群れを作らない生き物です。ただし、子育て中は母親と子どもはともに生活します。
野生の場合は、1歳半ぐらいになった子どもは母親から離れ、2歳半ごろには自分の縄張りを持つようです。動物園で飼育されているパンダも、成長とともに母親から離れます。
なお、ジャイアントパンダはクマ科の動物ですが、冬眠はしません。主食の竹は1年中あるため、冬眠する必要がないためです。
パンダに会える日本の動物園は?
ここでは、実際にパンダに会える日本の動物園を紹介します。2022年11月28日時点で、パンダは3ヶ所の動物園で飼育されており、総数は13頭です。「日本でパンダに会いたい!」と考えている外国人の方は、ぜひ参考にして訪れてみてください。
なお、パンダの体調により観覧が中止される場合があるので、来園前に公式Webサイトでの公開情報の確認をおすすめします。
上野動物園(東京都)
上野動物園は東京都の台東区にあります。2022年11月28日時点で、上野動物園で会えるパンダは、リーリー、シンシン、シャンシャン、シャオシャオ、レイレイの5頭です。
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力力(リーリー):2005年8月16日中国生まれのオスで、マイペースで少しおっちょこちょい
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真真(シンシン):2005年7月3日中国生まれのメスで、食いしん坊だけど賢い性格
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香香(シャンシャン):2017年6月12日に上野動物園で生まれたメスのパンダ
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暁暁(シャオシャオ):2021年6月23日にリーリーとシンシンの間に生まれたオスのパンダ
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蕾蕾(レイレイ):2021年6月23日に生まれたメスのパンダで、シャオシャオの双子
リーリーとシンシンの子どもであるシャンシャンは、2020年12月に中国への返還が決まっていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、返還の期限が延長されています。23年2月中旬から3月上旬が予定されていますが、詳細はまだ決まっていません。
なお、東京都には上野動物園以外にも多くの魅力的な観光地があります。東京都にあるおすすめの観光地については、「東京の魅力を外国人に向けて解説!有名な観光地も紹介!」のコラムでまとめていますので、参考にしてください。
アドベンチャーワールド(和歌山県)
和歌山県にあるアドベンチャーワールドは日本の動物園の中で、最も多くのパンダに会えるところです。動物園と遊園地が一体となっているアミューズメント施設で、現在7頭のパンダを飼育しています。アドベンチャーワールドにいるパンダは以下のとおりです。
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永明(エイメイ):1992年9月14日中国生まれのオスで、人の飼育下で自然交配し生まれたパンダの中で世界最高齢
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良浜(ラウヒン):2000年9月6日生まれのメスで、10頭の赤ちゃんパンダを産んだ
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桜浜(オウヒン):2014年12月2日に桃浜(トウヒン)とともに生まれたメスのパンダ
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桃浜(トウヒン):2014年12月2日に生まれたメスのパンダで、桜浜(オウヒン)の双子で妹
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結浜(ユイヒン):2016年9月18日に生まれたメスのパンダで、好奇心旺盛な性格
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彩浜(サイヒン):2018年8月14日生まれのメスで、アドベンチャーワールドで生まれたパンダの中で出生体重が最も小さかった
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楓浜(フウヒン):2020年11月22日生まれのメスで、2022年11月28日時点でアドベンチャーワールドワールドにいるパンダの中で最も若い
エイメイ以外の6頭のパンダは、全員アドベンチャーワールドで生まれました。
アドベンチャーワールドがある和歌山県は、日本の近畿地方に位置します。「近畿地方で外国人に人気がある観光スポット・名物料理まとめ」のコラムでは、和歌山県の特色も紹介しているので、ぜひアドベンチャーワールドを訪れる際の参考にしてください。
神戸市立王子動物園(兵庫県)
兵庫県の神戸市立王子動物園には、前述した旦旦(タンタン)というパンダが1頭います。1995年9月16日に中国で生まれて、日本に来たメスのパンダです。タンタンも中国への返還が決まっていますが、コロナウイルス感染拡大の影響を受けて延期されています。
なお、王子動物園は日本では珍しくコアラを飼育している動物園としても有名です。王子動物園を訪れた際には、パンダとあわせてコアラも見に行くのもおすすめします。
神戸市には、王子動物園の他にもたくさんの魅力的なスポットや行事があります。王子動物園に行く際は、「神戸の魅力とは?外国人へ向けて人気の観光スポットや伝統行事を紹介」のコラムを参考にして、観光を楽しみましょう。
参照元
上野動物園「東京ズーネット」
ADVENTURE WORLD
神戸市立王子動物園
まとめ
1972年から今日まで、日本のパンダ飼育の歴史は続いています。日本のパンダ人気は、未だに衰えることを知りません。パンダがいる動物園やそのWebサイトでは来日や誕生の歴史、パンダの性格、外見の特徴などを詳しく見れます。より近くでパンダの歴史を感じるためにも、一度動物園へ会いに行ってみるのがおすすめです。