沖縄の方言の難解さは、テレビやインターネットでも度々話題になります。沖縄の言葉は、言語学上日本語とは異なる独立した言語です。ほかの地域の人がなかなか聞き取れないのも頷けるでしょう。
ここでは、沖縄の方言のなかでも特によく使われるフレーズを紹介します。また方言から名付けられた郷土料理も紹介。沖縄に伝わることわざも解説しているので、ぜひ覚えて実際に使ってみましょう。
目次
沖縄方言とはどのような言葉?
沖縄で話されている言葉は一般的に「沖縄方言」と呼ばれています。一つの独立した言語であり、本州の人からすると全く聞き取れないこともあるほど独特です。ここでは、沖縄方言の特徴について解説します。
沖縄の言葉は言語であり方言ではない
沖縄で話されている言葉「琉球語」は、言語学上方言には分類されず、一つの独立した言語とされています。
日本各地にある方言は、程度の違いはあれどほかの地域の人にも何となく意味の通じる言葉が大半です。しかし、沖縄で話されている言葉は本土の人からすると、まるで聞いたことがないような独特な言葉ばかり。その理由は、琉球語が日本語とは異なるルーツからできた言語であるためです。
琉球語のうち、ほかの地域の人が「沖縄方言」として認識しているのは、那覇市周辺で話されている「うちなーぐち」のことです。
地方によっていくつもの種類がある
沖縄で話されている言葉はいくつもの種類があり、総称して「琉球語」もしくは「しまくとぅば」と呼ばれます。
琉球語の種類は以下のとおりです。
- 奄美語
- 国頭語
- 沖縄語(うちなーぐち)
- 宮古語
- 八重山語
- 与那国語
琉球語はそれぞれが独立した進化を遂げており、ほかの地域や離島にいくと言葉がうまく通じないことも。特に高齢の方々が話す言葉は、同じ地域の人でなければ聞き取りが難しいようです。
メディアの発達により、古くからある琉球語を話す人は少なくなっています。近年話されている沖縄の言葉は、「うちなーやまとぐち」といい、沖縄語と標準語が合わさってできた方言です。うちなーやまとぐちは、ほかの琉球語と比較すると標準語との共通点が多く、聞き取りやすいでしょう。
柔らかくのんびりした口調が特徴
沖縄の言葉は、柔らかくのんびりした口調が特徴です。地域にもよりますが、「~さぁ」や「~ねー」などのように語尾が伸びるので、可愛らしく聞こえます。南国特有のおおらかな県民性と相まって、「沖縄の言葉が好き」「沖縄の言葉を聞くと癒される」と感じる人も多いようです。
「広島弁はかわいい?怖い?広島県で話される方言を標準語と比較!」では、日本の方言の一つである広島弁についてまとめています。沖縄方言とあわせてご覧ください。
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有名な沖縄の方言
ここでは、沖縄の方言のなかでも特に有名な言葉を紹介します。
ちむどんどん
ちむどんどんの「ちむ」は心、「どんどん」はドキドキという意味で、胸がわくわくする気持ちを表す言葉です。2022年4月から放送された連続テレビ小説のタイトルになり、有名になりました。「明日からの旅行、楽しみでちむがどんどんする!」といった使い方をします。
かりゆし
かりゆしは「めでたい」「縁起が良い」という意味です。沖縄出身のロックバンド、「かりゆし58」の『アンマー』がヒットしたことで有名になりました。また、「かりゆしウェア」でも知られています。かりゆしウェアとは、沖縄版アロハシャツともいわれているカラフルな半袖シャツのことです。沖縄の正装とされており、オフィスや結婚式でも着用されます。
はいさい
はいさいは、「こんにちは」「どうも」「元気?」と同じニュアンスで、軽いあいさつとして使われます。性別により使い分けがあり、女性が言う場合は「はいたい」です。テレビで沖縄出身の歌手や芸能人が積極的に使ったことで、広く知られるようになりました。
ちばりよ
ちばりよは漢字で書くと「気張りよ」で、「がんばれー」「がんばって」という意味があります。特に多く飛び交うのは、全国高等学校野球選手権大会、いわゆる甲子園やセンバツの時期です。沖縄では高校野球が大人気。毎年大会時期には沖縄の町から人が消えるといわれるほどです。大会時期にはいたるところで「▲▲高校ちばりよ!」といった声が聞かれます。
めんそーれ
めんそーれは「いらっしゃい」という意味があります。空港や飲食店でよく見かける、特に有名な沖縄の方言といえるでしょう。主に観光客に向けてかけられる言葉で、沖縄に住んでいる人同士で使うことはないようです。
ほかの地方の方言も知りたい方は「東北弁はどのような方言?特徴や標準語との違いを例文つきで解説」や「博多弁の方言一覧!かわいいセリフや日常会話に使われる言葉も紹介」のコラムもぜひご覧ください。
郷土料理の名前にも沖縄の方言がたくさん!
沖縄は料理名もとても特徴的。ここでは、方言から名付けられた沖縄の郷土料理を紹介します。
ジーマーミ豆腐
ジーマーミとは「地豆」のことで、沖縄の方言で「落花生」を意味します。すりつぶした落花生の汁とサツマイモのデンプンを混ぜて作る、濃厚な味わいが特徴の料理です。甘味があるので、きな粉や蜜をかけてデザートとして食べることもできます。
サーターアンダギー
サーターアンダギーは「サーター=砂糖」「「アンダ=油」「アギ=揚げ」で、砂糖をまぶして油で揚げたお菓子です。沖縄の家庭では、古くからおやつとして食べられてきました。プレーンなものから、黒糖や紅芋、バナナなどの変わり種も人気です。
にんじんシリシリ
しりしりとは沖縄の方言で「千切り」を意味します。千切りにした人参を、卵やツナ缶と一緒に炒めた家庭料理です。近年は、沖縄以外の地域でも常備菜として浸透してきました。人参を千切りするときは、専用の調理器具「にんじんしりしり器」を使うと便利です。
チャンプルー
チャンプルーには、「混ぜこぜ」「混ぜる」といった意味があります。主に島豆腐と季節の野菜の炒め物をチャンプルーと呼び、豆腐を使わない料理は「タシヤ―」です。
有名なのはゴーヤをメインに使った「ゴーヤチャンプルー」。このほかにも、麩を使った「フーチャンプルー」や茹でたそうめんを使う「ソーミン(ソーメン)チャンプルー」があります。
珍しい地名も沖縄の方言の一つ
沖縄の珍しい読み方をする地名も方言から来ています。特に読むのが難しいといわれる地名は以下のとおりです。
- 武宇留原(ぶうるばる)中頭郡北中城村
- 新城(あらぐすく) 宜野湾市
- 勢理客(じっちゃく)浦添市
- 南ぬ浜町(ぱいぬはまちょう)石垣市
- 平安名(へんな)うるま市
- 謝苅(じゃあがる)中頭郡北谷町
- 仲村渠(なかんだかり)南城市
- 保栄茂(びん)豊見城市
- 南風原(はえばる) うるま市
- 大工廻(だくじゃく)沖縄市
このほかに、喜屋武(きゃん)や古謝(こじゃ)、嘉手納(かでな)などの地名は、名字としてもよく使われます。
沖縄方言のことわざ「黄金言葉」
引用:おきなわ物語 沖縄観光情報Webサイト
沖縄に古くから伝わることわざを、「黄金言葉(くがにくとぅば)」といいます。そのままではなかなか読めませんが、意味を知ると沖縄の人々が大切にしている価値観や文化を感じられるでしょう。
いちゃりばちょーでー
いちゃりばは「一度会えば」、ちょーでーは「兄弟」で「一度出会ったら兄弟のようなもの」という意味です。人との縁を大切にする沖縄の人々の、暖かい心がこもったことわざといえます。
やーなれーふかなれー
やーなれーふかなれーは、漢字にすると「家習れ、外習れ」です。「家での行動や行いは外でも出てしまう」という意味で、子どものしつけでよく使われます。
ぬちどぅたから
ぬちどぅたからの意味は「命こそ宝」です。もともとは沖縄の戯曲のなかに出てくるセリフでしたが、第二次世界大戦を経て、反戦の決意を表す言葉になりました。激しい戦闘が行われた沖縄戦の記憶を忘れないために、今でも大切に語り継がれている黄金言葉です。
しめーしっちむのーしらん
しめーしっちむのーしらんは、しめー(学問)知っているのに、むのー(物)は知らないという意味です。学歴はあっても礼儀や常識を知らない人を戒めるときに使われます。「論語読みの論語知らず」と同じ意味と考えると分かりやすいでしょう。
ほかの方言についても興味が出てきた方は、「関西弁の特徴とは?特有のイントネーションやかわいい言葉を一覧で紹介!」のコラムをご覧ください。
まとめ
沖縄の言葉は独特で、ほかの地域の人からすると理解が難しいといえます。だからこそ、覚えて使ってみると現地の人と交流を深めるきっかけになるでしょう。まずはあいさつから覚えて、沖縄を訪れたときに使ってみてください。