社宅とは企業が社員に住宅として貸す物件のことです。企業が社員やその家族に提供するサービスである福利厚生の一つで、個人で借りるより安価で住めるのが魅力といえます。
このコラムでは、社宅の一般的な間取りや家賃、最寄り駅までの時間の例を紹介。また、社宅の一種である借り上げ住宅についても解説しています。社宅や借り上げ住宅を内見する際に確認すべき点もまとめているので、ご覧ください。
目次
一般的な社宅の間取り
一般的な社宅の間取りは、一人暮らし向けか家族向けかによって異なります。一人暮らし向けと家族向けの社宅の間取りは以下のとおりです。
一人暮らし向けの社宅の間取り
一人暮らし向けの社宅は、居室1つに台所や風呂、トイレなどが付いているワンルームや1K、1DKなどの間取りが一般的といえます。
なお、ワンルームや1K、1DKといった言葉は和製英語です。海外で間取りを表す際は、台所や食堂の有無は示さず、いくつ寝室があるかを記載します。ワンルームや1K、1DKの英語の表記と言葉の意味は以下の通りです。
- ワンルーム(studio/studio apartment)…台所のある居室が1つある間取り
- 1K(studio with a separate kitchenette)…居室が1つと台所と別にある間取り
- 1DK(one-bedroom apartment)…居室が1つと台所と食堂が一緒になった部屋がある間取り
多くの場合、一人暮らし向けの社宅の面積は15~25㎡程度です。なお、一人暮らし向けの社宅は、社員寮と呼ばれる場合もあります。
家族向けの社宅の間取り
2人以上の家族で住む社宅は、居室が2つ以上ある2DKや2LDK、3DK、3LDKなどの間取りが一般的です。以下では、2DKや2LDK、3DK、3LDKの英語表記と言葉の意味を解説します。
- 2DK(two-bedroom apartment)…台所と食堂が一緒になった部屋と居室が2つある間取り
- 2LDK(two-bedroom apartment)…台所・食堂・居室が一緒になった部屋と居室が2つある間取り
- 3DK(three-bedroom apartment)…台所と食堂が一緒になった部屋と居室が3つある間取り
- 3LDK(three-bedroom apartment)…台所・食堂・居室が一緒になった部屋と居室が3つある間取り
家族向けの社宅の面積は、20〜70㎡以上までさまざまです。
社宅には、畳や障子(しょうじ)や襖(ふすま)などの日本伝統の建築様式が用いられている物件があります。日本の建築様式について知りたい方には、「日本建築の特徴とは?歴史や有名な建物も紹介」のコラムがおすすめです。
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社宅の間取りと家賃などの例
以下では、社宅の間取りと家賃、最寄り駅までの時間などの例をまとめています。
社宅A |
社宅B |
社宅C |
|
間取り |
1DK |
2LDK |
3LDK |
一人暮らし向けか 家族向けか |
一人暮らし向け |
家族向け |
家族向け |
家賃 |
17,000円 |
28,000円 |
40,000円 |
最寄り駅までの時間 |
徒歩15分 |
徒歩10分 |
徒歩10分 |
なお、多くの場合、社宅は勤務地から通いやすい場所にあります。
一人暮らし向けの物件の家賃については、「日本の生活費はどれくらい?一人暮らしの平均や節約のコツを紹介」のコラムで解説しています。
社宅には入居者の制限がある
多くの場合、社宅は入居者の年齢や家族構成などによって入居が制限されています。たとえば、一人暮らし向けの社宅のほとんどは、新入社員や若手従業員、単身赴任者が対象です。家族向けの社宅でも、入居年数は5〜10年まで、40代半ばまでには退去するなどの決まりがあります。
入居者の制限があるのは、社員間で不公平を失くすためです。たとえば、長年社宅に住んでいる従業員がいて、ほかの社員が入居できないといった事態を防ぐために、制限が設けられています。
借り上げ住宅について
借り上げ住宅とは、企業が不動産業者から物件を借りて社員に貸すタイプの社宅です。企業が不動産会社と契約し、すでに物件が決まっている場合と社員が希望する住居を探して勤め先に申請する場合があります。
通常の社宅と同じように「5~10年」「40代半ばまで」などといった条件が決められている場合も多いようです。
借り上げ住宅の間取り
借り上げ住宅の間取りは、一人暮らしの場合と家族で住む場合で異なっているのが一般的です。企業が借り上げ住宅を用意している場合は、一人暮らし向け・家族向けとあらかじめ入居対象が決められていることがほとんどでしょう。
社員が借り上げ住宅を選ぶ際は、多くの場合、住む人数によって間取りの制限があります。たとえば、一人暮らしだと1Kや1DK、家族で住む場合は2DK~3LDK程度といった決まりがあるので、事前に確認しましょう。
借り上げ住宅の家賃
一般的に、借り上げ社宅の家賃は、その建物がある地域の物件の平均的な賃貸料の10〜50%程度といわれています。
社員が借り上げ住宅を探す場合は、企業が負担する家賃の割合や上限額が決められているので、調べておきましょう。たとえば、「企業が負担するのは家賃の50%、最大8万円まで」といった決まりがあります。
なお、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用は、企業が負担するのが一般的です。ただし、必ずしも企業が初期費用を負担すると法律で決められているわけではありません。
借り上げ住宅と勤務地の距離
企業がすでに借り上げ住宅を用意している場合、物件と勤務地が近かったり通いやすい場所にあったりすることがほとんどです。
社員が借り上げ住宅を探す場合は、勤務地までの距離の制限が設けられていることが多いといえます。借り上げ住宅と勤務地の距離に制限がある理由は、企業が負担する交通費の削減や災害時のリスク軽減が目的です。
社宅や借り上げ住宅への入居を考えている方で、引っ越しの際の役所への手続きや荷造りについてを知りたい方は、「引っ越しでやることを解説!必要な手続きや注意点とは?」のコラムをご覧ください。
社宅や借り上げ住宅を内見する際に確認する点
社宅や借り上げ住宅を内見する際は、物件の間取りや古さ、周辺環境などを確認しましょう。図面と実際の間取りが異なる場合もあるので、社宅に訪れ自分の目で確認するのが一番です。
社宅や借り上げ住宅が遠方で内見にいけない場合は、オンライン内見をするのも良いでしょう。オンライン内見とは、不動産会社の担当者に物件の様子をビデオ通話で映してもらうことです。自分で直接確認する場合もオンライン内見の場合も、実際に自分がその社宅に住むつもりでチェックすることが重要といえます。
どれくらいの大きさの家具や家電を置けるか
社宅や借り上げ住宅を内見する際は、間取りを見ながらどれくらいのサイズの家具や家電を置けるかを確認しましょう。実際にメジャーで部屋の寸法を測っておくと、家具や家電の配置を考える際に便利です。
現時点で使っている家具や家電を持ち込みたい場合は、事前にこれらの寸法を測っておき内見の際に置けるかを確認すると良いでしょう。
物件の古さは許容範囲内か
内見する際は、社宅の古さが自分の許容範囲内であるかを確認しましょう。社宅の築年数はもちろん、畳や壁紙の変色、においが沁み付いていないかなどのチェックが必要です。
なお、社宅によってはリフォームしている場合もあります。一口にリフォームといっても、壁紙を張り替えるだけの場合からドアや水回りを新しくする場合まで、さまざまです。自分が快適に住める状態かを考える必要があります。
汚れや設備の故障などの不備はないか
汚れや設備の故障などの不備はないかを調べておくのも、重要です。以下の項目をチェックしましょう。
- 壁や床に大きな汚れはないか
- 浴室にカビは生えていないか
- ドアや窓の建付けは悪くないか
- インターホンやガス給湯器の操作パネルに故障はないか
照明やエアコンなどの設備が付いている場合は、故障やリモコンの有無も見ます。
どのような周辺環境か
内見の際は、社宅や借り上げ住宅の内部だけではなく、周辺環境の確認も欠かせません。生活するうえで必要なスーパーマーケットやコンビニ、病院などの施設が近くにあるかを確認しましょう。子どもがいる場合は、保育園や幼稚園、学校があるかもチェックする必要があります。
社宅や借り上げ住宅から最寄り駅まで実際に移動し、実際に何分かかるかを確かめるのも重要です。
ペットの飼育は可能か
ペットを買うつもりの方は、飼育の可否を確かめる必要があります。ペット飼育が禁止の社宅もありますが、すべてではありません。借り上げ住宅だと物件ごとにペットの飼育の可否が決められている場合があるので、動物を飼いたい方はよく調べてみると良いでしょう。
なお、ペットの飼育が可能な場合でも、動物の種類や大きさが限定されていることがあります。社宅や借り上げ住宅に入居する前に、ペットに関する条件をよくチェックしてみてください。
まとめ
社宅とは、福利厚生の一環で企業が社員に安価で貸す物件のことです。一人暮らし向けの社宅だと、ワンルームや1K、1DKなどの間取りが一般的でしょう。家族向けの社宅の間取りには、2DKや2LDK、3DK、3LDKなどがあります。借り上げ住宅の場合は、社員が決められた条件に沿って物件を選ぶことも可能です。
社宅を借りる際は、間取りや設備、周辺環境をよく確認してから入居しましょう。