コスパの一般的な意味は、費用対効果です。コスパは、コストパフォーマンス(Cost Performance)の略語で、バブル崩壊後の平成時代に生まれました。日常会話では若者を中心によく使われるカジュアルな言葉です。一方、ビジネスシーンにおいてコスパは数値で表され、高低が判断されます。このコラムでは、コスパの意味や使い方、言い換え表現について解説。例文を参考に、実際の会話でも使ってみましょう。
目次
コスパの意味とは?
コスパとは、コストパフォーマンスの略で、かかった費用と効果を比較する「費用対効果」という意味で使われています。ただし、コストパフォーマンスは和製英語であり、実際の英語に「Cost-Performance」という言葉は存在しないので注意しましょう。
コスパは、バブル崩壊後の平成時代に生まれた言葉で、不景気中の日本社会で無駄なお金をかけないことや、利益を追及するという思想の広まりにより定着しました。昨今では、若者を中心に日常会話でもよく使われています。また、コスパは費用などの金銭面だけでなく、労力や時間、精神的な満足度などを表現する場合にも使われるようになりました。
このほか、英語が元となったカタカナ英語について知りたい方は「カタカナ英語とはどのような言葉?代表的な例を紹介」のコラムも参考にしてください。
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コスパという言葉はどうやって使う?
コスパは広く使われる言葉であるものの、誤った表現で使われているときもあります。ここでは、コスパの使い方を解説。正しい表現方法を理解し、実際の会話で使ってみましょう。
コスパの正しい使い方
コストパフォーマンスは、費用対効果の高さや価格から得られる満足度の高さを表すため「高い・低い」と表現されます。コスパを使って会話をする際は「コスパが高かった」「コスパが低い」と表現すると良いでしょう。また、「コストパフォーマンスを上げる方法」など企業の戦略や方法として「上げる」を使う場合もあります。
コスパの誤った使い方
コスパは「高い・低い」で表現する言葉であるため「コスパが良い・悪い」は誤った表現といえます。また、コスパは「割安」を意味する言葉だと思っている人も多いため「コスパが安い」と表現されることも。コスパが「良い・悪い・安い」は誤った表現なので、使わないように気を付けましょう。
例文を読んでコスパの使い方を覚えよう
コスパは、ビジネスシーンやカジュアルな日常会話などでよく使われる言葉です。ここでは「コスパ」を使った例文を紹介します。例文を参考に、正しい使い方を覚えましょう。
ビジネスシーン
ビジネスシーンにおいてコスパは、会議や社内での会話など、さまざまな場面で使われます。
- 海外から原料を安く輸入することで、コスパの高い商品が生まれた
- 社内会議でコスパを上げる方法を話し合った
- この商品はコスパが低く、利益があまり期待できない
良い意味で使うときは「コスパが高い」、悪い意味で使うときは「コスパが低い」と表現します。また、ビジネスシーンにおいてはコスパを計算式で表し、数値化した結果を元に高低が判断されることが多いでしょう。
日常会話
日常会話におけるコスパは、費用対効果という意味ではなく、満足度や価値という個人的な感想としてよく使われます。
- このお菓子は量が多く値段も安いため、コスパが高い
- 高い傘を買ったが、使う機会が少なくコスパが低い
- この施設の会員になると特典が多く、会員料金のコスパが高いので満足だ
コスパは日常会話では、幅広い意味で使われる言葉です。また、コスパに対する価値観は人それぞれ異なります。コスパの高低は個人の感覚に基づく判断であるため、他者の見解とは異なる場合もあると理解しておきましょう。
コスパのほかにも日本語にはさまざまな略語があります。日本語の略語について詳しく知りたい方は「日本語の略語クイズ!正式名称や若者言葉を答えられるか試してみよう!」のコラムも参考にしてください。
コスパの言い換え表現
和製英語であるコスパは、もともと日本にあった言葉ではないため、相手や場面によっては通じないことも。ここでは、コスパの言い換え表現を紹介します。類義語を覚えて会話に活かしましょう。
費用対効果
「費用対効果(ひようたいこうか)」は、コスパの言い換え表現として使用頻度の高い言葉です。費用対効果は、かかった費用に対してどれほどの効果が得られたのかを意味します。また、費用対効果は、数値を測定するのが一般的であることから「計測する」「試算する」「比較する」などの言葉と一緒に使われる表現です。「新規事業の費用対効果を試算する」「この商品は費用対効果も高く、売り上げが期待できる」と表現できるでしょう。
投資効果
「投資効果(とうしこうか)」は、投資したものがどのくらいの効果を上げたのかを意味する言葉です。投資対効果と言われることも。投資は将来的な利益を見据えて行うものです。かかった費用を重視する費用対効果に対し、将来的に利益が見込めるものに対する費用や効果を表します。投資効果は、事業の評価などにも使われる言葉です。「急成長が見られるA社は、来年も高い投資効果が見込まれるだろう」と使うことができます。
リーズナブル
「リーズナブル」とは、英語の「reasonable」が元となり日本で使われるようになった言葉です。英語の「reasonable」には「合理的」「納得できる」という意味があります。一方、日本では「安い」「手ごろな値段」といった本来の意味とは変化した表現で使われるようになりました。「この商品は他店に比べてリーズナブルな価格だ」など、コスパを価格の安さと表現する際に「リーズナブル」と言い換えられるでしょう。
経済的
「経済的(けいざいてき)」とは、費用がかからず安上りであるという意味です。コスパと同様、物や事柄に対して使うことができます。「この車はコスパが良い」と言いたいときは「この車は(燃費も良く)経済的だ」と言い換えると良いでしょう。
お値打ち
「お値打ち(おねうち)」は、安い価格で買う価値があるという意味で使われます。品質を下げることなく、もともとの価格より安いものを「これは、お値打ち価格の商品です」と言うことも。名古屋など中京圏を中心に広がった言葉で、売り手がお客様に対して使うことの多い表現です。
お得
「お得(おとく)」は、利益が得られることや儲かることなど、自分にとって有益と感じた際に使う言葉です。期待以上で満足した際は「お得感がある」と言ったり、安く買えた場合や満足する買い物ができたときは「お買い得」と表現したりします。「ずっと欲しかったゲームがお得に買えた」「他店と比べてこれはお買い得だ」と言い換えられるでしょう。
このほかビジネスシーンで使われる和製英語について知りたい方は「マターとは?ビジネスシーンでの使い方や意味を紹介!」のコラムもご覧ください。
まとめ
コスパは本来の意味である費用対効果に加え、さまざまな意味で幅広く使われている言葉です。コスパは「高い・低い」で表現するのが正しい使い方とされています。
コスパは平成時代に生まれた比較的新しい言葉とされているため、日本人であっても年配の方には通じないことも。また、和製英語であるため、外国籍の方も理解するのが難しい言葉です。「コスパ」は相手や場面に応じて使用し、状況に応じて、言い換え表現などで補足説明をすると良いでしょう。