風情の意味や読み方を解説!例文を参考に使い方を理解し会話で使ってみよう

WeXpats
2023/09/12

美しい風景や街並みを、日本人は「風情(ふぜい)がある」と表現する場合があります。複数の意味があるため、使い方がよく分からない方もいるでしょう。風情とは、その場に流れる雰囲気に心惹かれた心情を表現する言葉です。
このコラムでは、風情の意味を解説します。また、実際の会話での使い方や類語も紹介。内容を参考にして、日本語への理解をさらに深めましょう。

目次

  1. 風情の意味
  2. 風情を使った例文
  3. 風情を外国語で表現すると?
  4. 風情と似た意味の言葉
  5. 風情が感じられる日本の名所5選
  6. まとめ

風情の意味

風情の意味の画像

風情は、一般的に「ふぜい」と読みます。「ふうじょう」という読み方もあり、どちらも間違いではありません。風情は複数の意味を持ち、幅広く使われている言葉です。ここでは4つの風情の意味を解説します。風情の意味の違いを理解し、使い方を覚えましょう。

趣(おもむき)

趣(おもむき)は、美的に優れていて心が惹かれる様子を表します。風情の意味として、多くの日本人に認識されている言葉です。最先端で刺激的なものではなく、古くからある落ち着いて洗練されたものに対して使います。特に自然や景色、街並みなどに対して言う場合が多いでしょう。静かに心を揺り動かすものや情景を「風情がある」と表現します。

身だしなみ

風情には、身だしなみという意味もあります。身だしなみとは、自分を良く見せるためではなく、対人的なマナーとして髪型や服装を整えることです。なお、現代では身だしなみを風情と表すことはほぼありません。主に古典文学のなかで使われる表現です。

能楽におけるしぐさ

室町時代から日本に伝わる伝統芸能の一つである「能楽」では、味わい深い所作やしぐさを「風情」と呼びます。

~のような身分の人

風情には「~のような身分の人」や「~ごとき」という意味があります。「私風情にはできません」は、「わたしのような身分の(低い者)にはできません」という意味の謙遜した表現です。なお、他人の身分や職業に「~風情」をつけて馬鹿にしたり侮蔑したりする表現は、ドラマや漫画、アニメなどでしか使われません。日常生活では使わないため、会話の際は注意しましょう。

風情を使った例文

風情を使った例文の画像

風情は、意味がぼんやりしていることから、使い方が分からないと感じる人もいるでしょう。ここでは、風情を使った例文を紹介します。例文を参考に使い方を理解し、会話で使ってみましょう。

【例文1】
「桜の花が散って湖に浮かぶ様子は、風情があるね」

綺麗な景色や趣(おもむき)がある雰囲気に心が動かされたという意味で使います。

【例文2】
「賑やかな観光地よりも、風情のあるところに行きたいな」

伝統的な雰囲気が感じられる場所、古くからある落ち着いた場所に行きたいという意味で使います。

【例文3】
「私風情が皆さんの前で発表するなんて、緊張して無理です」

「私風情」は、自分を謙遜して表現したいときに使います。

風情という言葉を使わなくても会話は成立します。しかし、風情を使うことで表現が豊かになり上手く使いこなすことで日本語能力の高さも評価されるでしょう。

風情を外国語で表現すると?

風情を外国語で表現すると?の画像

風情は日本人独特の感性を表した言葉であるため、ほかの言語に直訳するのは難しい表現です。外国語で表す際は、似た意味の言葉を使って表現しましょう。

英語

英語では、「tasteful(趣味の良い・独特の)」「elegant (上品な)」「poetic(詩的な)」などの単語が当てはまるでしょう。会話の内容や文脈に合わせて使い分けてください。

韓国語

韓国語では、趣のあるという意味の「운치」が最も近い表現です。また、情緒を指す「정취」でも、会話のニュアンスは伝わります。

中国語

中国語ではみやびなことを表す「雅致」や、しみじみとした味わい・趣という意味の「情趣」の表現が相応しいでしょう。この言葉は日本でも雅致(がち)、情趣(じょうしゅ)の読み方で使われており、意味もそのまま通じます。

風情と似た意味の言葉

風情と似た意味の言葉の画像

日本語には、風情と似た意味を持つ言葉がいくつかあります。ここでは、風情の言い換え表現や使い方を紹介します。参考にして実際の会話に取り入れてみましょう。

佇まい(たたずまい)

佇まい(たたずまい)には、「立っている様子」「ありさま」などの意味があります。「~な佇まい」と、形容詞と一緒に使うのが一般的です。流れる雰囲気そのものを指す言葉で、風情と似た使い方ができるでしょう。また、「風情のある佇まい」という表現もよく使われています。昨今では「オーラがある」「オーラを感じる」という言い方で、佇まいを表現する若者も増えてきました。

雰囲気(ふんいき)

雰囲気(ふんいき)とは、場所や人々が作り出す空気感のことです。日常会話では風情よりもよく使われる表現なので、覚えておくと良いでしょう。なお、日本人は発音のしやすさから「ふいんき」と言う人が多くいますが、正しくは「ふんいき」です。

風情は主に自然や景色などに対して使いますが、雰囲気は人に対しても使えます。「雰囲気がある人」とは、独自のオーラを持っているという意味です。相手の存在感を称える褒め言葉として使えるでしょう。

また、雰囲気は「ムード」と言い換えることもできます。雰囲気を発音するのが難しい場合は、ムードと言うと良いでしょう。

風流(ふうりゅう)

風流(ふうりゅう)は、品のあるおもむきを表現する言葉です。本来は貴族階級独特の美意識を表す言葉でした。現代では祭りや芸事、芸術品を褒めるときによく使われます。風情は自然に生まれた空気感に対して、風流は人間が生み出したものに対して使う言葉です。しかし、日常会話のなかではそこまで明確に使い分けられてはいません。創作物に対して「風情がある」と言ったり、自然の風景を見て「風流だね」と言ったりすることもあります。

情緒(じょうちょ)

情緒(じょうちょ)とは、物事に触れて発生する微妙な心の動きそのものや感情を呼び起こす雰囲気を意味する言葉です。たとえば「異国情緒(いこくじょうちょ)溢れる町」は「外国にいるような気持ちになる町」という意味に解釈されます。「情緒がある」と「風情がある」は、ほとんど同じ意味で使われるので、あわせて覚えておきましょう。

風趣(ふうしゅ)

風趣(ふうしゅ)は風情とほとんど同じ意味ですが、主に風景に対して使われることが多い言葉です。なお、風情と比べると認知度の低い言葉なので、日本人であっても通じない場合があります。相手によって表現を使い分けられると良いでしょう。

風格(ふうかく)

風格(ふうかく)は人柄や品格を意味する言葉です。人に対して使う際は、態度や容姿に現れる雰囲気や品格を表現し「彼はスターのような風格がある」など誉め言葉として使われます。
また、風格は人に対してだけでなく威厳や趣が感じられる建物や景色、植物にも使うことができる言葉です。「神社の横には風格ある大木が立っている」など、堂々とした様子を表すときにもよく使われます。

このほかにも、風情を感じる表現や日本語について詳しく知りたい方は「日本語には美しい響きの言葉がたくさんある!意味と使い方を紹介」のコラムも参考にしてください。

風情が感じられる日本の名所5選 

風情が感じられる日本の名所5選の画像

引用:祇園商店街復興組合オフィシャルサイト

日本には風情あふれる観光地が多く、伝統的な雰囲気を感じられます。ここでは、風情が感じられる日本の名所を紹介。気になる名所には実際に足を運び、風情を肌で感じてみるのも良いでしょう。

花見小路通(京都府)

京都市東山祇園町にある花見小路通(はなみこうじどおり)は風情ある観光地として有名です。石畳が敷き詰められた道にはお茶屋や料亭が並び、散策を楽しめます。通りを歩く舞妓さんや芸妓さんの姿を見られることから、観光客も多く訪れる場所です。夜には通りの提灯に明かりが灯り、昼とは違った風情が感じられるでしょう。

石段街のある伊香保温泉(群馬県)

石段街のある伊香保温泉(群馬県)の画像

引用:渋川伊香保温泉観光協会

伊香保温泉(いかほおんせん)は、群馬県渋川市伊香保町にある温泉です。風情ある石階段は365段あり、階段の両脇にはお土産店や足湯、日帰り温泉が楽しめる施設が並んでいます。階段を上り下りしながら散策を楽しめる石階段は、伊香保温泉のシンボルといえるでしょう。

蔵造りの町並み(埼玉県)

埼玉県川越市一番街にある蔵造りの街並みは、国の重要伝統的建築物保存地区に選ばれています。蔵造りは火に強い建物として、明治時代(1893年)の大火災後に多く建設されるようになりました。川越市の蔵造の建物は、江戸時代の街並みに影響を受けたといわれています。一番街には、蔵造りの資料館や黒い漆喰の塗られた風情ある建物が立ち並び、現代とは異なる伝統的な雰囲気を楽しめるでしょう。

ひがし茶屋街(石川県)

石川県金沢市には江戸時代から続く「ひがし茶屋街」「にし茶屋街」「主計町(かずえまち)茶屋街」という3つの茶屋街があります。なかでもひがし茶屋街は、江戸時代の面影が残る街並みが感じられ多くの観光客が訪れる有名な観光地です。着物をレンタルして街を歩いたりお茶を飲んだりして、風情ある街並みを楽しんでください。

倉敷美観地区(岡山県)

倉敷美観地区(岡山県)の画像

引用:岡山観光WEB

岡山県倉敷市にある倉敷美観地区は、江戸時代に代官所が置かれた商業地区です。倉敷川沿いには、塗屋造りの町家や、白壁土蔵造りの建物が多く立ち並び江戸時代の面影が感じられます。土産屋やレストラン、カフェなどもあり、散策や食事も楽しめる観光地です。

日本の伝統的な建築物はまさに風情あるものばかりです。「日本建築の特徴とは?歴史や有名な建物も紹介」のコラムでも風情ある建築物を紹介しているのでぜひご覧ください。

まとめ

まとめの画像

風情とは、心を静かに揺り動かす空気感を指します。建物や景色から趣を感じられることがあった際に使ってみると良いでしょう。例文を参考に、少しずつ日常会話に取り入れていくことで自然に使えるようになります。「雰囲気」や「情緒」などよく使われる風情の言い換え表現も一緒に覚えておきましょう。

ライター

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生活・仕事・留学に関するお役立ち情報から、日本のディープな魅力を紹介するコラムまで、バラエティ豊かな記事をお届けします。

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