サービス業とは、顧客の要望を満たすためのサービスを提供する仕事のことです。たとえば、ホテルの受付や飲食店の注文取りなどがサービス業の仕事に当てはまります。人々の生活に欠かせない水道やガス、電気などの提供も、サービス業の仕事の一つです。
このコラムでは、接客や販売といったサービス業の主な仕事を紹介します。サービス業に向いている人の特徴も解説しているので、就職活動を行っている方はぜひご覧ください。
目次
- サービス業とはどのような仕事?
- サービス業は主に10の業種に分けられる
- サービス業の主な仕事は7つ
- サービス業の適性がある人とは?
- サービス業は仕事によっては専門知識が必要
- サービス業の将来像
- まとめ
サービス業とはどのような仕事?
サービス業とは、簡単にいうと顧客のニーズに応じてサービスを提供する仕事のことです。サービス業に該当する企業は、さまざまな体験や専門的な知識、技術の提供を行います。提供するサービスの種類に決まりはありません。
サービス業に当てはまるのは、水道・ガス・電気などのインフラや医療・福祉に関わる業種、金融・保険業、不動産業などです。自動車の修理やレンタル事業、エンターテインメント施設の運営などを行う業種もサービス業に該当します。
サービス業と混同されがちな仕事に接客業があります。接客業はサービス業の一種であり、顧客をもてなしたり、商品・サービスを提供したりする仕事のことです。一方、サービス業には顧客をもてなさない仕事も含まれます。
サービス業には、日本で働く外国人が多いという特徴があります。「日本で働く外国人が多い職業ランキングを紹介!狙い目の業界や職種とは?」のコラムで解説しているので、ぜひご一読ください。
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サービス業は主に10の業種に分けられる
サービス業にはさまざまな業種の仕事があります。サービス業に該当する10の業種は以下のとおりです。
1.生活関連サービス・娯楽業
生活関連サービス・娯楽業には、日常生活に必要なサービスやエンターテインメントを提供する業種が当てはまります。
生活関連サービスを提供する具体的な業種は、クリーニング業や美容業、理容業、冠婚葬祭業などです。事業者が直接顧客のもとに出向いて行う家事サービス業や清掃業なども該当します。
娯楽業に該当するのは、テーマパークや公園、遊園地、映画館などです。生活に欠かせないサービスを提供する仕事から娯楽施設の運営まで、さまざまな業種が含まれます。
2.宿泊・飲食サービス業
宿泊・飲食サービス業とは、利用客に宿泊施設や飲食物を提供する業種のことです。
宿泊業には、旅館やホテル、民宿を営む業種が該当します。下宿やキャンプ場、ロッジなどの運営も宿泊・飲食サービス業に当たる業種の一つです。
飲食サービス業には、食堂やレストラン、居酒屋、喫茶店などの飲食店が該当します。テイクアウト用の飲食物を提供する業種も飲食サービス業です。宿泊・飲食サービス業は、サービス業の代表的な業種といえます。
3.医療・福祉
医療・福祉分野に関わるサービス業には、病院や歯科診療所、整体院などが当てはまります。また、保健衛生に関わる保健所や健康相談施設での仕事もサービス業の一つです。
ほかには、社会保険事業団体や老人福祉・介護事業などを行う業種も該当します。社会保険事業団体とは、公的年金や公的医療保険、公的介護保険などの社会保険事業を行う事業所のことです。老人福祉・介護事業とは、 養護老人ホームやグループホームといった施設で高齢者の介護を担ったり生活を助けたりする仕事のことを指します。
4.学術研究・専門・技術サービス業
学術研究・専門・技術サービス業とは、学術研究を行う機関や専門的な知識・技術が必要な仕事をする業種のことです。
学術研究機関としては、自然科学研究所や人文・社会科学研究所が挙げられます。
専門的な知識に基づくサービスを提供する業種の例は、法律事務所や司法書士事務所、税理士事務所、デザイン事務所などです。専門的な技術を提供する業種には、獣医業や土木建築サービス業、機械設計業、写真業などがあります。
5.教育・学習支援業
教育・学習支援業には、幼稚園や小学校、中学校、高等学校など、教育や学習の支援を行う業種が該当します。そのほか、学習塾や図書館、音楽教室などを運営する業種もサービス業の一種です。
直接人に教える職種だけではなく、学校や学習塾の事務員といったスタッフもサービス業に従事しているといえます。
6.金融・保険業
金融業に該当するのは、銀行業や協同組織金融業などです。また、政府の支援を受けて資金の貸付を行う消費者金融や質屋、信販会社も該当します。証券会社・投資運用業者といった金融商品取引業や商品先物取引業なども該当する業種です。
生命保険や損害保険を扱う保険業も当てはまります。
7.運輸・郵便業
運輸業は、鉄道や自動車、船舶、航空機などによって、人・貨物の輸送を行う業種です。バス業者やタクシー業者、航空会社、運送業者などが当てはまります。倉庫で貨物を保管する倉庫業も運輸業に当てはまる業種です。
物品や手紙、請求書などの信書を送る仕事である郵便業も、サービス業の仕事に当たります。
8.情報通信業
情報通信業とは、テレビやラジオ、インターネットなどの媒体を通じて、情報の伝達や提供を行う業種のことです。生活に必要な情報を伝えるのはもちろん、エンターテインメント性のあるコンテンツを届けることで多くの人に楽しみを提供しています。情報伝達に関わるさまざまな業種が該当し、携帯電話の通信会社やインターネットのサービスを提供している企業も情報通信業の一例です。
また、雑誌の出版社や新聞社なども情報通信業に含まれます。
9.不動産・物品賃貸業
不動産業とは、不動産売買の取引や賃貸の管理、契約の代行を行う業種のことです。物件を貸し売りしたい人と探している人の仲介を行います。扱う不動産は、オフィスビルやマンション、駐車場などさまざまです。
物品賃貸業とは、事務用品や産業用機械のレンタルを行う業種のことです。レンタカー業者やレンタルビデオ店などの個人を対象とした業種も物品賃貸業に該当します。
10.サービス業(他に分類されないもの)
以下のような業種や組織の仕事もサービス業に当てはまります。
- 廃棄物処理業
- 自動車整備業
- 機械等修理業
- 職業紹介・労働者派遣業
- 政治・経済・文化団体
- 宗教
- 外国公務
宗教には神社仏閣での、外国公務には大使館や領事館などでの仕事が該当します。
参照元
総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名」
ハローワークインターネットサービス「産業分類コード一覧(中分類)」
サービス業の主な仕事は7つ
サービス業にはさまざまな仕事があります。サービス業の主な仕事は以下のとおりです。
1.接客
接客は、サービス業の代表的な仕事の一つです。テーマパークや映画館といった娯楽施設でのチケット販売や利用案内などの仕事が該当します。飲食店での注文の聞き取りやホテルのフロントでの受付も接客の仕事の一例です。
企業の顔となるため、丁寧な言葉遣いやきれいな立ち振る舞いが求められます。ニーズを聞き出して利用客に合った提案を行う場合もあるので、ヒアリング能力も必要です。
2.販売
販売は接客と並ぶサービス業の代表的な仕事です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、商業施設の店舗などで、食品・日用品・衣料品といったさまざまな物を売ります。住宅やビルといった不動産を売ったり、旅行プランといった目に見えない商品の購入を進めたりするのも販売の仕事の一つです。
人と密接に関わる仕事であり、コミュニケーション能力が必要とされます。
3.事務・営業
サービス業には、事務や営業の仕事を行う人も欠かせません。事務スタッフは、書類の作成や処理、データ入力などの業務全般を行います。かかってきた電話を担当者に回すのも事務スタッフの仕事の一つです。
営業スタッフは、担当する企業や顧客のもとに行って、自社の商品やサービスの紹介・売り込みを行います。たとえば、保険会社の営業スタッフは、保険プランの紹介や説明を行って販売につなげるのが仕事です。
4.技術の提供を行う仕事
技術の提供を行うサービス業の仕事には、自動車の整備士やバス・電車の運転手などが挙げられます。企業や個人に荷物を届ける配送業者のトラック運転手も技術の提供を行う仕事の一例です。
いずれも、長年の勉強や経験に基づく専門的な技術や体力が求められます。また、電車やバスの運転手は細かい時間管理能力も必要です。
5.専門知識に基づいて行う仕事
専門知識に基づいて行うサービス業には、医師や看護師、薬剤師などの医療関係の仕事が該当します。ほかにも、弁護士といった法律に関係する専門家も専門知識に基づく仕事を行うサービス業の一例です。以上の仕事に就くためには、大学や短大といった各職種に応じた専門の教育課程で学んでから、国家試験を受けて合格する必要があります。
司法書士や行政書士など、独学で専門知識を身につけて国家試験に合格するとなれる職種もあります。
6.公共サービスの提供を行う仕事
公共サービスの提供を行うのは、主に政府や市町村を管轄する自治体などです。たとえば、市役所職員は出生・死亡・婚姻に関する業務を行ったり、住民票・戸籍謄本・印鑑登録証明書などを発行したりします。ほかにも、警察署や税務署、消防署なども公共サービスの提供を行っている機関です。これらの機関は税金によって運営されており、営利を目的としていません。
7.クリエイティブな感性に基づく仕事
クリエイティブな感性に基づく仕事を行う人の例は、デザイナーやテレビ番組のプロデュ ーサー、出版社の編集者などです。サービス業の一種に該当する意外な職種として、俳優があります。エンターテインメントを提供する意味で、サービス業と見なされている仕事です。
いずれの仕事も感性を生かしたサービスを提供して、相手のニーズに応えているといえます。
「外国人留学生が選べる職種とは?人気の仕事を紹介」のコラムでは、さまざまな仕事や業種を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
サービス業の適性がある人とは?
サービス業の適正がある人の特徴として、コミュニケーションが得意な点が挙げられます。分かりやすい説明や相手の意図を汲み取った提案ができる人はサービス業に向いている人です。笑顔で人と接する、気配りができるといった人もサービス業の適性があります。
また、サービス業の仕事は、新たな商品を覚えたり顧客からの急な要望に応えたりすることも必要です。そのため、変化を苦にしなかったり臨機応変に対応できたりする人が向いています。
サービス業は仕事によっては専門知識が必要
サービス業には、専門的な技術や知識が求められ、長年の勉強が必要な仕事があります。たとえば、自動車整備士になるためには、大学や専門学校で2〜4年間専門的な知識や技術を学んだのち、国家試験に合格しなければなれません。
サービス業の仕事に就きたい方は、希望する職種のなり方を調べてみましょう。専門の教育課程の修了や資格の有無を、確認することが必要です。
サービス業の将来像
サービス業には、今後も需要が高いと見込まれる仕事と衰退すると予測されている仕事があります。
医療・看護関係の仕事は、相手とのコミュニケーションが欠かせないので機械化が難しく、今後も需要が高いと予測されます。人を楽しませる娯楽を生み出す仕事も同様です。
一方で、単純作業がメインの仕事は、IT技術の進歩により衰退すると見込まれています。スーパーマーケットやコンビニエンスストアで、すでに無人のレジが導入されているところも珍しくありません。今後も単純作業は機械化が進んで、人が必要でなくなるケースが増えるでしょう。
まとめ
サービス業とは、顧客の要望に応じたサービスを提供する仕事のことです。提供するサービスは多岐にわたり、形のない商品も含まれます。「生活関連サービス・娯楽業」「宿泊・飲食サービス業」「医療・福祉」などのさまざまなサービス業があり、人々の生活に欠かせません。
サービス業は仕事によっては専門知識を身に着ける必要があるため、希望する職種がある場合は早めになり方を調べてみましょう。