日本にはフリーランス用のビザはなく、就労ビザのなかから自分の仕事に相応しい種類を取得します。ビザ取得の審査では「安定して報酬を得られるか」「継続して契約を結んでいる企業があるか」といった点を特に厳しく見られるでしょう。
このコラムでは、外国人がフリーランスとしてビザを取得する方法や条件を紹介します。内容を参考にして、独立に向けて動き出しましょう。
目次
- 外国人はフリーランスでもビザを取得できる?
- 外国人がフリーランスとしてビザを取得するには
- フリーランスの外国人が取得するビザについて
- フリーランスとしてビザを取得する方法
- フリーランスとしてビザを取得する際に気を付けること
- まとめ
外国人はフリーランスでもビザを取得できる?
フリーランスとして働く場合でも、条件を満たせればビザ(在留資格)を取得できます。
日本には「フリーランスビザ」という種類はありません。企業に勤める外国人と同様、各業務内容にあったビザを取得します。ただし、日本の就労ビザは企業に雇用されることを前提に作られているため、フリーランスの場合は会社員よりも取得難易度が高めです。
日本で会社勤めしていた外国人が独立してフリーランスになる場合と、フリーランスとして来日する場合とでも難易度は変わります。フリーランスの外国人が海外から新たにビザを取得するのはかなり難易度が高いといえるでしょう。
日本のビザについては「さまざまな種類の日本の就労ビザを紹介」や「外国人が正社員になるには就労できるビザが必要!取得方法とは」のコラムをご覧ください。
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外国人がフリーランスとしてビザを取得するには
外国人がフリーランスとしてビザを取得するには、以下の条件を満たす必要があります。
ビザに合った業務を行うこと
ビザで許可されている業務と実際に行う業務が一致していなければ、申請は許可されません。フリーランスになると、対応できる業務の幅が一気に広がります。しかし、外国人ができるのは所有するビザの範囲内の業務のみです。自身がフリーランスとして行う業務とビザの種類を確認してから、申請を行いましょう。
企業と長期間の契約を結んでいること
外国人がビザを取得するには、行う仕事が安定しており、長く続けられるものだと証明しなくてはなりません。会社員の場合は勤めている企業の事業規模や経営状態から判断されます。フリーランスの場合は、企業と結んだ業務委託契約の期間が判断材料です。各企業と数ヶ月程度の契約しか結んでいない場合、ビザを取得する難易度は上がるでしょう。一般的には、1年以上の長期契約を結んでいる企業が1社でもあることが望ましいといわれています。
日本で独立して暮らせるだけの収入があること
日本で暮らせるだけの収入を得られることも、条件の一つに挙げられます。一般的な目安は年収300万円以上です。複数の企業から受ける報酬を合算して足りていれば問題ありません。1つの企業から報酬を受けるよりも、複数の企業から安定した報酬を得ているほうが、安定性を証明できるといわれています。
フリーランスの外国人が取得するビザについて
フリーランスとして働く外国人の多くは「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得します。「技術・人文知識・国際業務」は、「技術」「人文知識」「国際業務」分野での活動が可能なビザです。ITエンジニアや通訳・翻訳者、デザイナーなど、フリーランスで働く人の割合が多い職業が当てはまります。
上記以外ではフリーランスのカメラマンなら「報道」、ミュージシャンなら「興行」のビザが該当するでしょう。ビザを無事に取得するには、自分の行う業務に合った種類を申請することが重要です。
在留資格「ビザ」の種類は、「在留資格29種類まとめ!外国人に知ってほしい基礎知識も紹介」のコラムでまとめているのであわせてご覧ください。
フリーランスとしてビザを取得する方法
ここでは、フリーランスとしてビザを取得する方法を、「技術・人文知識・国際業務」を申請するときを例に解説します。
日本で働いていた外国人が独立する場合
外国人がフリーランスになる場合、日本で会社員として働いたのち独立するケースが多いと想定されます。フリーランスとして行う業務の内容が会社員時代と変わらない場合、ただちにビザを変更する必要はありません。次回の在留資格更新許可申請の時期に手続きをします。
絶対に必要というわけではありませんが、持っているビザでフリーランスの活動をしても問題ないか公的に証明するために「就労資格証明書交付申請」をしておくと安心です。就労資格証明書交付申請は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で行えます。
海外からビザ取得する場合
フリーランスとして来日する場合、日本で会社員として働いたあとに申請するよりもビザ取得のハードルが上がります。一から在留資格を取得する際は、「在留資格認定証明書交付申請」が必要です。在留資格認定証明書交付申請は、会社員の場合は働く企業の担当者に代理で申請をしてもらいます。フリーランスの場合は、最も大きな契約を結んでいる企業に代理で申請してもらう必要があるでしょう。
審査では、収入や仕事の安定性がより厳しく見られます。書類などに滞りがないようしっかり準備しなければなりません。
在留資格の申請についてさらに知りたい方は「在留資格の申請方法や必要書類は?外国人の疑問を解決!」のコラムをご覧ください。
参照元 出入国在留管理庁「就労資格証明書交付申請」
フリーランスとしてビザを取得する際に気を付けること
フリーランスのビザ申請は、会社員よりも厳しく審査される傾向にあります。スムーズにビザを得るためにも、以下の点に注意しましょう。
事業規模が大きくなったらビザの変更が必要
フリーランスの仕事が成功し売上が大きくなったり人を雇ったりすることになったら、「経営・管理」ビザに変更する必要があります。「経営・管理」は企業の代表取締役や取締役、もしくは部長や支店長などの役職に就く外国人に付与されるビザです。自身が経営側に回ったのにも関わらずビザを変更せずにいると、次回の更新が不許可になる可能性が高くなります。日本で長く働くために、相応しいタイミングで自分に合ったビザに変更しましょう。
納税や社会保険の手続きを忘れずに行う
フリーランスになったら、納税や社会保険などの手続きを忘れずに行いましょう。会社員の場合、所得税は年末調整の書類を企業に提出することで納められます。健康保険や年金などの手続きも、企業の担当者が進めてくれるのが一般的です。しかし、フリーランスになるとすべてを自分で手続きしなくてはなりません。
社会保険に関しては住んでいる市町村の役場に行き、国民健康保険および国民年金保険の加入手続きをします。所得税に関しては「確定申告」が必要です。これらの手続きを怠ると在留状況が悪いと見られ、ビザを更新できなくなる可能性があります。確定申告は日本人でも複雑に感じる人が多い手続きです。費用は掛かりますが、税理士を頼るのも一つの方法でしょう。
契約機関に関する届出をする
フリーランスで働く人は、契約した企業の名称や所在地を入管に届け出る必要があります。手続きは「活動機関に関する届出手続」と「契約機関に関する届出手続」があり、「技術・人文知識・国際業務」ビザの活動をする場合は後者です。契約を結んだときだけでなく、契約が終了したときも申請が必要なので注意しましょう。直接窓口に行くほかに、インターネットや郵送でも手続きができます。
参照元 出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出手続」
まとめ
フリーランスであっても、条件を満たせばビザを取得可能です。しかし、安定した報酬や継続して働ける目途を書類で証明しなくてはなりません。会社員よりも審査のハードルが上がるので不備ないよう入念に準備を進めましょう。