製造業とは製品の素材の生産や加工、組み立てを行い、出来た物を販売して利益を得る産業のことです。日常生活に必要な小物や食品、自動車、仕事で使う大きな機械など、あらゆる物が製造業に該当する企業で生産されています。
このコラムでは、製造業に該当する業種や企業の3つの分類を紹介。製造業の企業に必要な職種と仕事内容、採用されやすい人材をまとめています。
目次
製造業とは?
ここでは、製造業の概要と該当する業種について解説します。
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製造業の概要
製造業とは、素材の生産や部品の加工・組み立て、製品の販売などを行って利益を得る産業のことです。自動車や機械、食品、化学素材などの製品を生産する企業があり、製造業に該当する会社のことをメーカーといいます。メーカーによって生産される物は多様で、人々の日常生活に欠かせません。
製造業は、産業を大きく3つに分けた分類で第2次産業に該当します。第2次産業とは、工業や建設業などの自然界にある物の加工を行う業種のことです。
なお、第1次産業は自然界に働きかけて作物を作ったり採取したりする業種のことで、農業や林業、漁業などが当てはまります。第3次産業は第1次・第2次産業のどちらにも該当しない業種で、該当するのは商業・金融業・サービス業などです。
製造業に該当する業種
製造業には非常に多くの業種が該当します。製造業に該当する業種は以下のとおりです。
- 食料品製造業
- 飲料・たばこ・飼料製造業
- 繊維工業
- 木材・木製品製造業(家具を除く)
- 家具・装備品製造業
- パルプ・紙・紙加工品製造業
- 印刷・同関連業
- 化学工業
- 石油製品・石炭製品製造業
- プラスチック製品製造業
- ゴム製品製造業
- なめし革・同製品・毛皮製造業
- 窯業・土石製品製造業
- 鉄鋼業
- 非鉄金属製造業
- 金属製品製造業
- はん用機械器具製造業
- 生産用機械器具製造業
- 業務用機械器具製造業
- 電子部品・デバイス・電子回路製造業
- 電気機械器具製造業
- 情報通信機械器具製造業
- 輸送用機械器具製造業
- その他の製造業
製造業により生産される製品は、食品や医薬品などの小物から自動車、大型の機械まで多岐にわたります。そのため、製造業は生きていくために不可欠な産業といえます。
参照元 総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名」
製造業の企業には3つの種類がある
製造業に該当する企業は、主に行っている仕事によって3種類に分けられます。ここで紹介するのは、「素材の製造」「部品の製造」「組み立て・加工」を行っている会社です。
素材を製造する企業
素材を製造するメーカーは製品のもととなる材料を生産しています。素材を製造する作業を上流工程といい、生産される物の例は以下のとおりです。
- アルミ
- 鉄
- セメント
- ガラス
- ゴム
- 樹脂
- 化学素材
- 繊維
- 紙
上流工程を担うメーカーは以上のような製品を生産して、部品の製造を行っている企業に販売します。
部品を製造する企業
部品を製造するメーカーは、ほかの企業から購入した素材を加工し製品を生産しています。素材から部品を製造する作業を中流工程といい、生産される物の例は以下のとおりです。
- 金属加工品
- 電子部品
- 精密部品
- 半導体
中流工程を担うメーカーは以上のような製品を生産して、組み立て・加工を行っている企業に販売します。
組み立て・加工を行う企業
組み立て・加工を行うメーカーは、中流工程で生産された部品を購入して組み立てや加工をしています。製品の組み立て・加工を行う作業を下流工程といい、生産される物の例は以下のとおりです。
- 自動車
- 電子機器
- 家電
- アパレル
- 食品
なお、必要な部品が多かったり製品の市場が大きかったりする場合は、下流工程と中流工程のメーカーの間にさらに複数の業者が介入します。部品の生産・加工・組み立てなどを異なる業者が細かく分担して行い、出来た製品が下流工程を担うメーカーに納品されるのです。
製造業の企業に必要な職種と仕事内容
製品が生産・販売されるまでには、多様な職種が関わっています。製造業に該当する企業に必要な職種と仕事内容は以下のとおりです。
商品企画
製造業の商品企画は、市場のトレンドやアンケートの結果、モニターの意見を調べて、需要のある製品を考える仕事です。自社の技術や強みを活かして、他社の製品とは異なる特色のある製品の企画を目指します。
メーカーの商品企画では、どのように資材調達を行うか、実際に自社の技術で生産できるかなどを考えることが重要です。そのため、研究開発や資材調達といった他部門との細かいやりとりをする仕事もあります。
研究開発
製造業の研究開発は主に2種類に分けられます。
1つ目は、商品企画で考えられた製品の製造方法や安全性を検証する仕事です。多くの場合、研究開発の期間は数年以内に設定されています。
2つ目は、自社の分野に関わる基礎的な技術の研究や開発です。新たな技術を研究して作り出すことで、将来的に大きな利益を生む可能性があります。技術の研究開発は、5〜10年などの長期的なスパンで行われる仕事です。
設計
設計は製品の図面を書いて構造や仕様を決め、実際に製造できるように考える仕事です。まず、商品企画で決められた製品のアイデアを把握して、CADといわれる設計図を作るソフトで図面を書きます。次に、図面を元にして正確なサイズを決定し、自社で製造できるような仕様に落とし込むのです。
設計の段階で間違ったサイズに決めてしまうと、欠陥のある製品を製造する事態になりかねません。そのため、製造業の企業の仕事のなかでも責任が重い作業といえます。
資材調達
資材調達は、製品の製造に必要な材料を確保する仕事です。製品の製造を始めるにあたって、条件に合う資材を探したり仕入れ先の業者を選んだりします。資材が予算に合っているか、必要数を確保できるかなどの検討も欠かせません。資材が予算を超える場合は、値段交渉をしたりほかの業者の材料を使う検討をしたりします。
製品の製造が始まったあとは、在庫や生産計画を考慮しながら資材の調達を行います。
生産管理
生産管理は、製品の需要と工場の稼働力、人的リソースなどを考慮して生産計画を作成する仕事です。製造業に欠かせない重要な仕事といえます。
たとえば、需要を考慮せずに次々に製品を製造すると、在庫を抱えてしまいかねません。また、人気の製品だからといって過剰に増産すると、資材がなくなって生産が滞る可能性があります。製品の需要に応じた量を生産して供給する計画を立てるため、さまざまな状況を考慮するスキルが必要です。
生産・製造技術
生産過程では、出来上がった図面に則って工場で製品を製造します。規格に沿った製品ができない場合は、問題を洗い出して改善する仕事が必要です。生産はさまざまな工程があり、分野や仕事によって異なる知識・技術が求められます。以下は、機械部品の生産工程の一例です。
- 鋳造(金属を溶かして決められた形に固める作業)
- 形状の変更や穴あけなどの加工
- 熱処理
- 研磨
- メッキ加工といった表面処理
生産を円滑に行うためは、適切な設備の導入や人員配置などの検討が欠かせません。また、効率的に良質な製品を生産する方法を考える、製造技術も製造業の企業では重要な仕事です。工場内の安全管理や設備の故障の対応などを行います。
品質管理・検査
品質管理・検査では、生産した製品の品質が基準を満たしているかを確認します。品質を守って事故やメーカーの信頼の喪失を防ぐのは、製造業の企業において重要な仕事です。機械や自動車、医薬品など、品質に問題があった場合に人の命に関わるような製品は、特に細かく確認が行われます。
機械の品質管理・検査での確認事項の例は、以下のとおりです。
- 図面通りに生産されているか
- 歯車やネジなどの部品は規格に合っているか
- 稼働する際に不自然な音はしないか
- 傷や汚れはないか
品質の低下が見つかれば原因を究明して改善策を練り、同じミスを冒さないようにします。
営業・販売
営業は製造した製品の情報を広めて販売に繋げる仕事で、利益を生む重要な役割を担っています。製造業の企業では、法人を対象としたBtoBといわれる営業がメインです。
たとえば、素材を製造するメーカーの場合、部品の生産や組み立て・加工をする企業に営業をかけます。組み立て・加工を行う企業の場合でも、商品の流通を担う卸売業に販売する場合が多いため、個人に直接営業するケースはあまりありません。
ほかにも、企業にはどのような職種があるのかを知りたい方には「外国人留学生が選べる職種とは?人気の仕事を紹介」や「外国人留学生に人気の職種とは?仕事の種類や内容を解説」のコラムがおすすめです。
製造業の企業に採用されやすい人材
近年、製造業で注目されているのが、カーボンニュートラルに関する知識を持った人材です。さまざまなメーカーでカーボンニュートラルの研究を行っている人材の需要が高まっています。また、最新のデジタル技術を用いて新たな価値を生み出す、DX(デジタルトランスフォーメーション)のスキルを持つ人材の採用も活発です。
ここでは、特に製造業の企業でニーズが高い人材を解説します。
IT・ソフトウェアエンジニア
製造業の企業におけるIT・ソフトウェアエンジニアの仕事は、多岐にわたります。主な仕事は、工場・生産に関わるソフトの開発や生産管理システムの運用、メーカー内のネットワーク設計などです。
具体的には、手書きの品質管理のチェック記録をデジタル化するシステムの開発といった仕事が挙げられます。パソコン作業で困った従業員の相談を受けるのもIT・ソフトウェアエンジニアの仕事の一つです。
自動車の電動化に関する知識があるエンジニア
カーボンニュートラルに注目が集まるなか、メーカーでは自動車の電動化に関連する知識があるエンジニアの採用が進められています。需要があるのは、充電器や交流電流を適切な電圧・周波数に変更するインバータ装置の知識があるエンジニアなどです。
電気自動車は近年になって急速に需要が伸びてきた分野で、電動化の知識や経験が豊富な人材は多くはありません。そのため、異なる業種の電子制御に関する知識を持った人材が採用される場合もあります。
まとめ
製造業とは、部品の生産や加工、組み立て、製品の販売などを行って利益を得る産業のことです。機械や自動車、食品、化学素材など、さまざまな物を製造する企業が該当します。
製造業に該当する企業で採用されている職種は、商品企画・研究開発・設計・生産管理などさまざまです。製造業に興味がある方は、ぜひ自分にあった業種・職種を探してみて応募してみましょう。