日本では「メイク=身だしなみ」と考えられており、自分を美しく見せるためではなく、社会人女性のマナーとして求められる場面もあります。そのため、日本ではナチュラルメイクが好まれますが、韓国や中国などの近隣諸国ははっきりした印象の化粧が多く、国による違いに疑問を持つ人もいるでしょう。このコラムでは日本のメイクを中国や韓国と比較しながら解説します。海外のメイク文化を知り、自分の化粧にも活かしてみましょう。
目次
日本のメイクの特徴
日本では素顔を活かして化粧をしているように見せないナチュラルメイクが主流です。ここでは、日本の化粧の特徴とナチュラルメイクが好まれる理由をまとめています。
ナチュラルで清楚な印象
日本では自然な風合いのナチュラルメイクが一般的で、ベースメイクは透明感を感じさせる薄づきな仕上がりが好まれます。アイブロウは自眉を活かしたナチュラルなトーンの優しい雰囲気が特徴で、チークとリップはほんのり色を足すような肌なじみする赤やピンクが人気です。一方で、はっきりしたアイラインや派手な印象を与えるグリッターの入ったアイシャドウ、色の濃い口紅は主張が強過ぎるため、避けられる傾向にあります。特に社会人のマナーとしてメイクを施す場合、化粧をしていることが一目で分かる派手な色遣いはふさわしくないとされ、注意を受けるでしょう。
日本人の多くは骨格的に顔の凹凸が少なく、目や鼻などのパーツが小さいせいで印象が薄くなりがちです。しかし、ナチュラルメイクを施すことで、自然な範囲で優しく清楚な印象を持たせることができます。日本のナチュラルメイクは男女ともに高評価を得ており、幅広い世代に愛されているメイク方法です。
日本のメイクは社会人のマナーでもある
日本でナチュラルメイクが好まれる理由は、仕事上でも化粧を求められるからです。日本では男性は髭を剃り、女性はメイクを施すことが社会人のマナーとされています。清潔感のある仕上がりのナチュラルメイクは仕事向きです。短時間で仕上げられるため、日常的にメイクをしても負担が少なく済みます。
社会人として身だしなみなど基本的なマナーについてさらに詳しく知りたい方は「日本のビジネスマナーを外国人に解説!服装から人への接し方まで紹介!」のコラムもおすすめです。
ピックアップ記事
韓国メイクや中国メイクとの違い
日本のメイクはナチュラル志向ですが、隣国の中国や韓国では好まれる傾向が異なります。ここでは韓国と中国のメイク方法・特徴をまとめ、日本との違いを比較してみました。
韓国メイクのポイントはクールビューティー
ナチュラルメイクが人気な日本に対して、韓国では「オルチャンメイク」と呼ばれるかっこよさを追求したクールビューティーなメイクが主流です。日本ではぱっちりした二重や愛らしさを強調する色が重視される傾向にありますが、韓国では切れ長なアイラインと真っ赤なリップ、並行眉などが好まれます。
韓国は世界的に有名な美容大国で、きれいになるために整形を行うことも珍しくありません。また、白くツヤのある肌を好む傾向にあり、自分の肌よりもトーンが明るいクッションファンデーションを使ったメイクが人気のようです。
中国は印象がはっきりしたドールメイク
中国では人形のような完璧さを感じる「チャイボーグメイク」が主流です。チャイボーグとは、チャイナとサイボーグをあわせた造語。ベースメイクは陶器のように白くマットに仕上げ、ハイライトとシェーディングでメリハリをはっきりさせます。白い肌を活かすためにチークはつけないことが多いです。アイブロウは暗色で、眉尻が長くはっきりしたアーチを描き、目元は赤いアイシャドウと大胆な黒の跳ね上げアイラインに仕上げます。最後に、リップは唇の輪郭をとるようにマットな赤を乗せることで完成です。
日本の流行やファッションについては「日本のファッションの特徴は?人気のジャンルや有名ブランドを紹介」や「日本の流行が知りたい外国人に向けて昭和から令和までのトレンドを紹介!」のコラムでもチェックできます。ぜひ、参考にしてみましょう。
海外で驚かれる日本のメイク事情
日本のメイク事情は「美意識が高い」と驚かれることがしばしばあります。ここでは日本特有のメイク・スキンケア事情をまとめました。
休日も手を抜かずにメイクする
日本では休日もしっかりメイクをする女性が多く、すっぴんでいることが多い国の人からすると、美意識の高さを感じるようです。日本は社会人のマナーとしてメイクが求められていることもあり、「平日にできない好きなメイクを休日に行う」という人は珍しくありません。また、普段からメイクをしているためか「すっぴんで外出するのは恥ずかしい」という人もおり、ちょっとした外出のためだけに化粧をする人もいます。仕事以外の場面でもきちんとメイクを施すのは、化粧がマナーの一つになっている日本特有の文化といえるでしょう。
色白な肌を維持するために努力している
多くの日本人女性は「透明感のある白い肌」を美しいと感じ、紫外線対策やそばかす・しみ対策に力を入れています。特に美白への意識が高い人は日差しの強い季節以外も日焼け止めや日傘を使ったり、美白クリームを塗ったりして色白な肌を保っているようです。海外では日に焼けた小麦色の肌を目指す人や、そばかすやシミを隠さない人も少なくないため、日本の美白・美肌へのこだわりの強さに驚くことがあるようです。日本にも日焼けした肌を好む人やありのままの素肌を良しとする人はいますが、母数を鑑みると少数派といえます。
こまめな化粧直しで身だしなみに気を遣う
日常的にメイクをする日本の女性は、化粧直しのためにメイク道具の入ったポーチを持ち歩く人が多いようです。駅や商業施設、飲食店などには「パウダールーム」が設けられていることが多く、外出先でもメイクを直せます。海外にはすっぴんで過ごす時間が長く化粧直しの文化もない国もあるので、日本に訪れた際に驚く人も多いようです。こまめな化粧直しは、身だしなみを重んじる日本人特有の文化といえます。
まとめ
このコラムでは日本のメイク技術や近隣諸国との違い、身だしなみに対する考え方を紹介しました。日本のメイクについてもっと深く知りたい方は、ファッション誌や化粧品に就いてまとめたWebサイトも参考にしてみましょう。