「日本のことわざの意味を知りたい」「有名なことわざは何?」と思う方もいるでしょう。すべてのことわざには、知識や教訓が込められています。
この記事では、日本で有名なことわざの種類や意味を詳しく解説。また、日本語と英語で同じような意味を表すことわざや、ポジティブになれることわざも紹介しています。ぜひお気に入りのことわざを見つけてみましょう。
目次
日本の有名なことわざ6選
ことわざは、古くから言い伝えられてきた知識や教訓などを表す言葉です。日常会話でも使うことがあるでしょう。ここでは、日本の有名なことわざと意味を紹介します。
1.犬も歩けば棒に当たる
『江戸いろはかるた』に書かれたことわざで、何か行動を起こすとその分災難に遭うことも多いという例で使われます。犬がうろうろ歩いていると、人間に棒で叩かれるかもしれないという意味が由来です。また、災難だけでなく、予想していなかった幸運に巡り合えるという意味もあります。犬も歩けば棒に当たるは、良い意味でも悪い意味でも使われるのです。
2.猫に小判
猫に小判は「ねこにこばん」と読みます。江戸時代のかるたに書かれていることわざです。貴重なものを与えても、その人に価値が分からなければ無駄だという意味があります。小判とは江戸時代の金貨のことで、猫に小判を与えても何も役に立たないことが由来です。猫が選ばれたのは、人間に合わせて行動することが少ないからだといわれています。
「豚に真珠」「馬の耳に念仏」なども似ている表現です。豚に真珠は『新約聖書』が、馬の耳に念仏は中国の詩が由来だとされています。豚に真珠は猫に小判とほとんど同じ意味です。一方、馬の耳に念仏は「ほかの人の意見を聞こうとせず、効果がない」という意味があります。価値がある助言も、理解できない相手には無駄だという意味で、猫に小判と似た表現でしょう。
3.二兎を追うものは一兎をも得ず
二兎を追うものは一兎をも得ずの読み方は「にとをおうものはいっとをもえず」です。古代ギリシャや古代ローマが由来で、明治時代に日本で知られるようになったといわれています。兎とはうさぎのことで、「2匹同時に追いかけても、結果的に一匹も捕まえられない」という意味です。欲張って2つのことを行うと両方とも成功しないという使われ方をします。仕事や日常生活で、同時に複数の目標を立てて取り組もうとするときに、忠告の言葉として使われることが多いことわざです。
4.仏の顔も三度まで
仏のように温和な人であっても、無礼を繰り返されると怒るという意味です。江戸時代の表現「仏の顔も三度撫(な)ずれば腹を立つ」に由来しており、「仏の顔も三度」ともいいます。「優しい人には何をしても大丈夫、許してくれる」と安心するのではなく、失礼な行動を重ねてしまわないように気をつけましょう。
5.親しき仲にも礼儀あり
「仲が良い人との間でも、遠慮のない言動をすると不仲のもとになってしまう。そのため、親しい関係であっても礼儀を大切にするべきだ」という意味です。一説には、中国の古典である『論語』に記載された文が由来だといわれています。親友や家族、恋人であっても、図々しいと思われるような行動は避けようと、自分を戒めるのに使うと良いでしょう。
6.風が吹けば桶屋が儲かる
1つの出来事によって、関係がなさそうに思えるところにも影響が出るという意味のことわざです。このことわざは、江戸時代のある逸話から生まれました。以下が逸話の内容です。
風が吹いて砂埃が立つと、砂が目に入って失明する人が増え、目が見えなくてもできる三味線弾きを生業にする人が多くなりました。三味線を作るためには猫の皮を使うので、猫の数が減ります。猫の数が減ると鼠の数が増えて、桶をかじる鼠が多く現れました。結果、桶を買い替える人が増えて、桶屋は儲かりました。
また、「風が吹けば桶屋が儲かる」は、確実ではないことに期待をするたとえとしても使われることわざです。
ほかにも、「かっこいいことわざを紹介!読み方や意味も合わせて覚えよう」や「人生にまつわることわざ一覧!意味を知って先人からの教訓を学ぼう」では座右の銘や教訓として使えることわざなどを紹介しています。気になる方はぜひ、ほかのことわざの記事もご覧ください。
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ポジティブになれることわざ4選
ことわざには、自分を戒めるものもあれば、励ましの意味で使えるものもあります。ここではポジティブになれることわざを4つ紹介。お気に入りのことわざがあるかどうか、ぜひチェックしてみましょう。
1.笑う門には福来たる
笑う門には福来たるは「わらうかどにはふくきたる」と読みます。「いつも笑いにあふれた家には、自然と幸せが訪れる」という意味です。「門(かど)」は、家や家族を表しています。幸福が来るというポジティブなことわざなので、座右の銘にもおすすめです。「笑う門には福来たるというように、いつも明るい家庭を築いていこう」と心掛けるのに使うと良いでしょう。
2.思い立ったが吉日
思い立ったが吉日は「おもいたったがきちじつ」と読みます。「何かを始めたくなったら、すぐに実行したほうが良い」という意味です。吉日とは縁起が良く、何かを始めるのに適した日。あらかじめ吉日だとみなされている日とは関係なく、思い立った日こそが縁起が良いと考えたことが由来だといわれています。吉日を待つのではなく、すぐに始めることが大切だというメッセージが含まれていることわざです。
3.好きこそ物の上手なれ
「好きなことには自然と熱心に取り組むから、上達も早い」という意味のことわざです。「なれ」は古典文法の名残であり、命令形ではありません。意味を誤解しないよう注意しましょう。自分が興味のあることを始めるときに、背中を押してくれる言葉といえます。
反対の意味で「下手の横好き」ということわざも。下手なのにその物事が好きで、熱中して取り組んでいる人のことを表します。ほかの人に使うと失礼なので、自分や身内の人に限定して使うと良いでしょう。褒められたときに謙遜して使うのに適しています。
4.塵も積もれば山となる
塵も積もれば山となるは「ちりもつもればやまとなる」と読みます。インドの仏教書が由来だと考えられていることわざです。「ごく少量のものでも、積み重なれば大きくなる」という意味です。「わずかなことでも、重ねていけば大きな成果に結びつく」という使われ方が多いですが、「小さなことでもおろそかにしていると、積み重なって大きな痛手を受けるかもしれない」という意味で使われることもあります。戒めや教訓として使うと良いでしょう。
「面白いことわざを知って日本語の学習に役立てよう!」では、動物や地名などに関する面白いことわざを紹介しています。興味がある方は、ぜひご覧ください。
日本語と英語で似た意味を持つことわざ9選
ことわざは、日本だけでなく英語圏でも使われています。ここでは日本語と英語で似た内容のものを紹介するので、どのような点に違いがあるか見てみましょう。
1.泣き面に蜂
「泣き面に蜂」に似たことわざは、英語で「Misfortunes never come singly」と表します。直訳すると、「不幸は単独でやって来ない」です。日本語では、不運が重なることを「泣いている顔を蜂が刺す」とたとえています。「重なる」は「単独ではない」と表現できるため、「泣き面に蜂」は日本語と英語でほとんど同じ意味です。
2.覆水盆に返らず
覆水盆に返らずは、「ふくすいぼんにかえらず」と読みます。一度起きたことは元に戻らないという意味を表すことわざです。覆水は「容器からこぼれた水」を意味します。英語のことわざを当てはめると、「There is no use crying over spilt milk(こぼれたミルクを嘆いていても仕方がない)」です。日本語と英語でこぼれるものが異なることから、文化の違いを感じられるでしょう。全く同じ意味ではありませんが、似た意味を持つことわざといえます。
3.十人十色
十人十色は「じゅうにんといろ」と読みます。英語だと「So many men, so many minds」です。「さまざまな人にさまざまな心」と直訳できます。「人の数だけ考え方や好きなものは違う」ということを表すので、日本語のことわざと同様の意味です。
4.早起きは三文の徳
早起きは三文の徳は「はやおきはさんもんのとく」と読みます。「早起きすると何かと良いことがある」という意味です。中国の詩人が詠んだ詩が由来だといわれています。文は江戸時代の銅貨の単位で、「徳」は「得」と書くことも。三文は現在の価値では約90円といわれ、一説には「早起きしても三文程度の徳しかない」という意味で使われていたようです。
現在使っている肯定的な意味を表す英語の言葉があります。「The early bird catches the worm」です。「早起きな鳥は虫を捕まえられる」と直訳でき、日本語でも英語でも同じ意味のことわざとして使えます。
5.百聞は一見にしかず
英語にすると、「Seeing is believing(見ることは信じること)」です。また、「To see is to believe」と表すこともできます。英語と日本語のどちらも同じ意味で、「誰かから何度も聞いた話より、一度自分で見たものの方が説得力がある」という意味です。
ほかの表現として「A picture is worth a thousand words」を使うことも。直訳すると、「一枚の絵は千の言葉に匹敵する」という意味で、一枚の絵は千の言葉の価値があることを表します。日本語の「百」と英語の「千」は数としては異なりますが、英語のthousandは日本語の「百」と同じくらい大きな数を示すたとえとして使われています。
6.習うより慣れろ
「何事も人に教えてもらうよりも、実際に経験した方が早く身につく」という意味です。ことわざで使われている「習う」は、誰かの真似をすることではなく「教わる」ことを表します。「習うより慣れろ」を英語のことわざにすると「Custom makes all things easy」となり、直訳すると「習慣がすべてを簡単にする」です。
7.雨降って地固まる
日本語では、雨が降ったあとは地面が固まることから「トラブルや悪い出来事が起きるとかえって安定した基盤ができて、物事が良い方向に進む」という意味で言い伝えられています。英語では「After the storm comes a calm」で、直訳すると「嵐のあとには静けさが訪れる」です。困難のあとには平穏がやって来るという意味なので、うまくいかないときに励ます目的で使えます。
8.石の上にも三年
「辛いことでも、3年間辛抱すれば報われる」という意味です。冷たい石の上でも長時間座っていれば体温が伝わり温かくなることから、前向きなことわざとして伝承されています。3年は具体的な年数ではなく、「長い間」を表現するためのたとえです。辛くても続けようという意味ではなく、頑張って続ければ報われるとの前向きなメッセージが込められています。英語では「Patience is a virtue」で、直訳は「忍耐は美徳」です。根気強く待つことや、物事の行いに時間をかけることの大切さを表しています。
9.失敗は成功のもと
失敗は成功のもとは「失敗しても原因を見つめ改善していけば、成功に結びつく」という意味です。失敗からの学びが重要だというメッセージが含まれています。物事に挑戦するときの教訓や、失敗して落ち込んでいる人を励ますのに使えるでしょう。英語では「Failure teaches success」ということわざがあり、直訳は「失敗は成功を教える」です。日本語も英語も、「失敗の教えから学び成功に繋げられる」という同じ意味となります。
外国人が日本語のことわざを覚えると日本人とのコミュニケーションを円滑に進められるなどのメリットがあります。日本語能力を向上させたい方は「日本語のことわざはビジネスや日常生活に役立つ?外国人が学ぶメリットとは」もご覧ください。
まとめ
日本のことわざには、古くから言い伝えられてきた知識や教訓などが含まれています。なかでも、「石の上にも三年」や「犬も歩けば棒に当たる」などは、有名な日本のことわざです。英語で使われていることわざのなかにも、日本のことわざと似た意味を持つものがあります。同じような意味でも細かい表現が異なることわざが存在するので、違いを楽しみながら覚えましょう。