日本の工業地帯の場所と特徴を解説!工業地域との違いとは

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2024/01/26

工場は輸送や輸出がしやすく、広い土地のある海沿いに作られる傾向にあります。複数の工場が集まった場所の呼び名が工業地域・工業地帯です。
このコラムでは日本の三大工業地帯をはじめ、各地方の工業地帯・地域を紹介します。それぞれの場所や主要産業、特徴についてもまとめているので、参考にして日本の工業への理解を深めましょう。

目次

  1. 日本の工業地帯について
  2. 工業地帯と工業地域の違いとは
  3. 日本の三大工業地帯
  4. そのほかの工業地帯・工業地域
  5. まとめ
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日本の工業地帯について

日本の工業地帯についての画像

工業地帯とは、多くの工場が密集している工業生産が盛んな場所のことです。工業地帯は一般的に海沿いに広がっています。海沿いに工場を作ると、原材料の輸入や製品の輸出がしやすくなるためです。また、工業製品を作るには大量の水が必要になることも関係しています。

三大工業地帯と四大工業地帯の違い

三大工業地帯と四大工業地帯の違いは、「北九州工業地帯」を含めるか否かです。

日本には「三大工業地帯」という特に大きな工業地帯があります。三大工業地帯に含まれるのは、「京浜工業地帯」「中京工業地帯」「阪神工業地帯」です。以前はここに北九州工業地帯を含めて「四大工業地帯」と呼ばれていました。

北九州工業地帯は石炭産業が盛んでしたが、石油エネルギーへの移行や海外からの輸入量が増えるのにともなって工業生産額が低迷。近年では北九州工業地帯を抜いた三大工業地帯と呼ぶようになりました。

太平洋ベルトと工業地帯の関係

三大工業地帯と一緒に太平洋ベルトという言葉もよく聞かれます。太平洋ベルトとは、太平洋から九州北部の海沿いにかけてある工業地帯全般のことです。帯状に広がっているため、「ベルト」と呼ばれています。太平洋ベルトのなかには三大工業地帯も含まれるので、あわせて覚えておくと良いでしょう。なお、太平洋ベルトの工業生産額は、日本全体の半分以上を占めているといわれています。

日本の各地方については「日本の主要都市はどこ?地域ごとに異なる特色や見どころを解説!」で解説しています。工業以外の情報も知りたい方は、参考にしてください。

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工業地帯と工業地域の違いとは

工業地帯と工業地域に明確な定義は存在しません。一般的には、規模が大きくさまざまな業種の工業が複合的に発達している場所を工業地帯と呼ぶケースが多いようです。また、古くから工業の地として栄えていた場所が工業地帯と呼ばれているという考え方もあります。

前述した三大工業地帯以外は、ほとんどが工業地域の呼び名です。なお、生産量が減少し三大工業地帯に含まれなかった北九州工業地帯は、2007年ごろから小学校・中学校の地理の教科書で北九州工業地域と表記されるようになりました。

日本の三大工業地帯

ここでは、日本の三大工業地帯を紹介します。三大工業地帯が発展したのは、東京・名古屋・大阪といった大都市に近く、労働者が集まりやすかったり製品を売りやすかったりするのが大きいでしょう。

京浜工業地帯

京浜工業地帯の画像

場所

東京都を中心に神奈川県・埼玉県・千葉県

産業

機械・化学・印刷

特徴

かつては日本最大の工業地帯だった

京浜(けいひん)工業地域は、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に広がる工業地帯です。東京と横浜から一文字ずつ取って「京浜」という名前が付けられています。日本の首都である東京を有しているため交通の便が良く、労働者も集まりやすいため発展しました。

主な産業は、機械工業や化学工業です。また、首都圏に出版社が多いことから印刷業も盛んです。東京と横浜、川崎には積出港があります。

京浜工業地帯はかつて日本最大の生産額を誇る工業地帯でしたが、近年は中京工業地帯に抜かれています。

中京工業地帯

中京工業地帯の画像

場所

愛知県・岐阜県・三重県

産業

自動車

特徴

世界的自動車メーカー「トヨタ」の工場がある

愛知県・岐阜県・三重県にまたがる中京工業地帯は、日本最大の労働者数・生産額を誇る工業地帯です。東京都と京都府の中間に位置することから「中京」と呼ばれています。

中京工業地帯には世界的自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社(トヨタ)の工場があるため、機械工業が盛んです。そのほかに、三重県四日市市には石油化学コンビナートがあり、重化学工業も発達しています。

なお、自動車や石油産業が栄えたのは戦後のこと。もともとは織物や紡績、陶磁器の生産が盛んなエリアでした。現在も陶磁器や毛織物の工場があります。

阪神工業地帯

阪神工業地帯の画像

場所

大阪府・兵庫県・和歌山県(一部)

産業

機械・金属・化学・食料品

特徴

第二次世界大戦までは日本最大の工業地帯。下請けの工場が多い

阪神工業地帯は、大阪府と兵庫県を中心に和歌山県の一部にも広がる工業地帯です。大阪と神戸(兵庫県)から1文字ずつ取って「阪神」と呼ばれています。第二次世界大戦までは日本最大の生産量を誇る地域でした。

阪神工業地帯の特徴は、中小企業の工場が多い点です。機械工業をはじめ、金属工業や化学工業、食料品製造業などのさまざまな産業が発達しており、「総合工業地帯」と呼ばれることもあります。

ほかの工業地帯と比べて繊維工業も盛んで、多様な工業が発達していることから、中京工業地帯の次に生産額が高くなっています。阪神工業地帯は、神戸港や関西国際空港といった輸出入の要となる場所が近いのが特徴です。

この項目で紹介した地域については「近畿地方といえば?人気の観光スポットや有名な食べ物とは」や「中部地方の気候や観光地まとめ!有名な料理も紹介」、「関東エリアのおすすめの観光スポットとは?人気の料理やお土産もチェック」のコラムでまとめています。

そのほかの工業地帯・工業地域

ここでは、三大工業地帯以外の工業地域について紹介します。日本各地の工業の状況が知りたい方は参考にしてください。

北九州工業地帯(北九州工業地域)

北九州工業地帯(北九州工業地域)の画像

場所

福岡県を中心に山口県・大分県

産業

金属・食料品

特徴

古くは石炭や製鉄業で栄えた

北九州工業地帯は、福岡県北九州市を中心に山口県と大分県の一部に広がっています。明治時代に政府が運営する八幡製鉄所(やはたせいてつしょ)が建設されたことで、鉄鋼業が栄えました。

前述したとおり、かつては三大工業地帯と併せて「四大工業地帯」と呼ばれていましたが、石炭産業の衰退などを理由に生産額が減少。現在は四大工業地帯から除かれ、「北九州工業地域」と呼ばれることが多くなっています。

八代臨海工業地域

八代臨海工業地域の画像

場所

熊本県

産業

石油化学・製紙

特徴

太平洋ベルトの末端にある

八代(やつしろ)臨海工業地域は、熊本県八代市の八代海沿岸にあります。球磨川(くまがわ)のふんだんな水を利用した製紙業が盛んです。

昭和前期には多くの大型工場が建ち、全盛期を迎えます。その後オイルショックや公害問題により勢いが衰えますが、国の重要港湾である八代湾の整備に着手。交通の便を整えることで、現在でも南九州一番の工業地帯として稼働しています。

大分臨海工業地域

大分臨海工業地域の画像

場所

大分県

産業

製鉄・石油化学・電子機器

特徴

大規模な工場がある

大分臨海工業地域は大分県大分市に位置し、太平洋ベルトに属しています。日本を代表する企業の大規模な製鉄所や石油化学コンビナートがあるのが特徴です。

近年は特に電子機器・半導体工業の進出が目立ち始めました。元々、九州地方はエレクトロニクス産業が盛んで、「シリコンアイランド」と呼ぶ人もいます。シリコンアイランドは、半導体メーカーが集中するアメリカのシリコンバレーをもじった呼び方です。

瀬戸内工業地域

瀬戸内工業地域の画像

場所

中国・四国地方

産業

金属・化学・繊維・造船

特徴

海上交通の便が良い

瀬戸内(せとうち)工業地域は、中国・四国地方の瀬戸内海沿岸に広がる工業地域です。海上交通の便が良く、沿岸に工場建設に適した土地がたくさんあることから発展しました。

位置的に石油の輸入がしやすいため、重化学工業が盛んです。また、古くから営まれていた造船や繊維に関わる工場も多くあります。

東海工業地域

東海工業地域の画像

場所

静岡県

産業

自動車・機械・楽器・製紙

特徴

遠州地域の都市は自動車関連、駿河湾沿岸地域の都市は機械工業が盛ん

東海工業地域は、静岡県の海沿いに位置する工業地域です。自動車やバイク製造で有名な本田技研工業株式会社(ホンダ)やスズキ株式会社創業の地であり、機械工業が盛んに行われています。

バイク、楽器メーカーとして有名なヤマハの創業地でもあるため、楽器産業も盛んです。

関東内陸工業地域

関東内陸工業地域の画像

場所

栃木県・群馬県・埼玉県など

産業

機械

特徴

工業地域には珍しく内陸部にある

関東内陸工業地域は、栃木県や群馬県、埼玉県などを含む工業地域です。海に面していない工業地域のため「関東内陸」といいます。関東内陸工業地域は機械工業が盛んな反面、化学工業や食料品製造業の占める生産割合が低いのが特徴です。

海に面していない関東内陸工業地域は、石油やガスといった海外からしか輸入できない原材料を確保しにくい立地にあります。しかし、高速道路が整備されているため、国内製造のパーツや部品を運搬するのには便利です。そのような背景から機械工業が発展し、化学工業における生産割合が低くなっていると考えられるでしょう。

京葉工業地域

京葉工業地域の画像

場所

東京都から千葉県にかけての沿岸

産業

金属・化学

特徴

太平洋に面しているため輸入や輸出がしやすい

京葉工業地域は、東京都と千葉県の海に面している工業地域です。それぞれ1文字ずつ取って「京葉」といいます。

京葉工業地域で特に盛んなのは金属工業と化学工業で、なかでも千葉県は化学工業の出荷率が全国1位です。化学工業の原材料は石油やガスのため、海外から輸入しなければなりません。京葉工業地域は海に面しているため原材料の輸入が容易であり、輸出もしやすいため化学工業が発展したと考えられます。

埋め立て地に建設された石油化学コンビナートも、化学工業の発展を支えているといえるでしょう。

鹿島臨海工業地帯

鹿島臨海工業地帯の画像

場所

茨城県(鹿島市・神栖市)

産業

化学・鉄鋼

特徴

京浜工業地帯や関東内陸工業地域の代替機能を持つ

鹿島臨海工業地域は、人口の掘り込み港である鹿島港を中心に広がっています。鹿島港が作られたのは、沿岸沿いに鹿島砂丘と呼ばれる広大な土地があったうえ、霞ヶ浦や北浦の豊かな水源が確保できるためです。工業用水源を確保できると、工場が建てやすくなります。また、都心から近く企業の誘致がしやすいという事情もあり、臨海工業地帯造成計画によって人工港が作られました。

150社以上の工場のほか、火力発電所や風力発電所も有しています。位置が近い京浜工業地帯や関東内陸工業地域の代替機能を持っているのが特徴です。

2011年の東日本大震災では震源に近かったため、津波や液状化の被害を受け多くの工場が操業中止に陥りました。その後は各社の努力により復興し、今でも日本の産業を支えています。

常磐工業地域

常磐工業地域の画像

場所

茨城県・福島県

産業

機械・化学

特徴

もともとは鉱山として栄えた

常磐(じょうばん)工業地域は、茨城県日立市から福島県いわき市周辺に位置しています。もともとは鉱山として栄えた場所で、鉱山で使う機械を製造する工場が多くできたことで工業地域として発展しました。鉱山が閉山してからは、化学製品工場や輸送機械工場が中心になっています。

常磐(じょうばん)工業地域のある茨城県日立市は、日本を代表する総合電機メーカー、日立製作所の発足の地としても有名です。日立市は愛知県豊田市とともに、企業城下町(ひとつの企業のおかげで栄えた町)として知られています。日立町が隣接する助川町と合併して市になるときに、「日立製作所の名前が全国的に知られている」との理由で日立市という名前に決まったほどです。

北陸工業地域

北陸工業地域の画像

場所

新潟県・富山県・石川県・福井県

産業

機械・金属・繊維・和紙・漆器

特徴

伝統工芸とも関わりが深い

北陸工業地域は、中央高地から流れてくる豊富な水や水力発電を利用した電力、そして雪が積る農閑期に副業を探していた農家の労働力をもとに発展しました。

機械や金属などの重工業のほか、古くから栄えてきた伝統工芸品に関連した軽工業も盛んです。具体的には漆器やメガネフレーム、良質な繊維を使った衣料品の工場などが、ほかの工業地域よりも多い傾向にあります。

北陸工業地域は複数の県にまたがっているため、場所ごとに盛んな産業が異なるのが特徴です。

北海道工業地域(道央工業地域)

北海道工業地域(道央工業地域)の画像

場所

北海道の石狩平野

産業

食料品・パルプ・製紙・鉄工

特徴

豊かな自然を活かした産業が盛ん

北海道工業地域は、主に北海道の石狩平野の工場群を指します。札幌市や函館市、釧路市は食料品製造業が盛んで、旭川市は木材工業、室蘭市は金属工業が盛んです。このほか、釧路市や苫小牧市、旭川市ではパルプ産業と製糸業が行われています。

北海道地方の情報は、「北海道地方の情報をまとめて紹介!おすすめグルメや観光地ガイド」のコラムで詳しくまとめています。

まとめ

日本は三大工業地帯を中心に全国各地で工業が行われている国です。自動車や船の製造が活発なため機械工業が最も盛んですが、場所によっては化学工業や金属工業も発展しています。工業地帯・地域の周辺ではそのほかの産業も盛んになる傾向にあるので、居住地や仕事を決めるときの参考になるでしょう。

ライター

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