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新型コロナウイルスが流行し、外国人労働者がどうなったのか気になる方もいるでしょう。2019年までは多くの外国人労働者が新規で日本に入国していましたが、2020年からは大幅に人数が減少しました。また、日本で就労していた外国人労働者もさまざまな困難に直面しています。このコラムでは、新型コロナウイルスが外国人労働者にもたらした影響や課題を解説。外国人労働者の現状を把握し、今後の採用に活かしましょう。
目次
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2019年まで、日本の外国人労働者は増加し続けていました。しかし、2020年の新型コロナウイルスの流行により状況は一変します。新型コロナウイルス流行前後の外国人労働者数の推移は以下のとおりです。
年 |
外国人労働者数 |
前年からの増加人数 |
前年比増加率 |
2019年10月 |
165万8,804人 |
19万8,341人 |
13.6% |
2020年10月 |
172万4,328人 |
6万5,524人 |
4.0% |
2021年10月 |
172万7,221人 |
2,893人 |
0.2% |
引用:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況について(報道発表)」
2019年までは、20万人近くの外国人労働者が新たに入国しています。しかし、2020年からは新型コロナウイルス感染拡大防止のために、外国人の出入国が厳しく制限されました。2020年には、6万5,524人の外国人労働者が日本に入国しているものの、多くは新型コロナウイルスが流行し始める前の3月までに入国していた人です。年間を通して新型コロナウイルスの影響下にあった2021年には、2,893人しか外国人労働者が増えておらず、2020年とほぼ横ばいの状況でした。ただし、外国人労働者数自体の減少は見られないため、2020年以前に日本に入国した外国人労働者の多くは、そのまま日本に留まり就労をしているようです。
2022年2月時点でも、外国人の入国制限は続いています。以前のように多くの外国人が来日し、就労が可能になるには、まだまだ時間が掛かるでしょう。
新型コロナウイルスの流行は、外国人に多大なる影響をもたらしました。2020年の新型コロナウイルスの流行から月日が経っても、外国人労働者が抱える問題は解決しきれていません。2022年2月現在に至っても、多くの課題が残されています。ここでは、コロナウイルス流行下で外国人労働者が抱えている問題を紹介するので、現状を理解するのに役立ててください。
新型コロナウイルスが流行したことにより、外国人労働者が母国に帰れなかったり日本で働くはずが入国できなくなったりする事例が頻発しました。2022年3月時点にも、日本からの入国を制限している国はあります。2021年11月からの世界的なオミクロン株流行により、日本からスムーズに出国することはより難しくなりました。そのため、母国に帰れない外国人労働者も多くいるようです。
新型コロナウイルス流行により、ヘイトスピーチやヘイトクライムの被害に遭う外国人労働者もいます。ヘイトスピーチとは差別的な言動や行為、ヘイトクライムは差別的な感情が原因で起こる犯罪のことです。特に、新型コロナウイルスの発生地とされる中国出身者への差別が深刻といえるでしょう。また、日本人もヘイトスピーチやヘイトクライムの被害に遭っています。中国人のみならず、容姿の似ているアジア系の人々が世界各国で差別を受けました。新型コロナウイルスにより生活や生命が脅かされていることへの怒りが、アジア系の人々に向いているのでしょう。
世界的な感染症の流行という危機は、世界中が協力し合わないと乗り越えるのが困難です。ヘイトスピーチやヘイトクライムを減らすために、啓発活動や罰則強化の取り組みがさらに必要といえます。
新型コロナウイルス流行による各企業の業績悪化で、多くの外国人労働者が職を失いました。外国人労働者の多い宿泊や観光、飲食業界は新型コロナウイルスの影響を特に大きく受けています。外国人労働者は在留資格ごとに活動範囲の制限があり、自由に仕事を選べません。そのため、再就職は非常に難しくなります。多くの日本人も職を失っているような状況で、外国人労働者が再就職先を見つけるのは簡単なことではないでしょう。何とか仕事を見つけても、前職と比べて労働環境が悪化したり給与が下がったりといった状況に陥る外国人が多くいます。
外国人労働者は、公的支援に繋がるのが難しい状況にあります。たとえば、生活保護を利用できるのは、身分に基づく在留資格を持っている外国人や難民認定者のみです。そのほかの外国人は就労していることが前提で在留資格を付与されているため、生活保護の受給ができません。最後のセーフティーネットといわれる生活保護を受給できないうえ、母国にも帰国できない外国人は非常に厳しい状況に置かれています。
日本政府は、新型コロナウイルス流行の影響で生活に困窮した人向けに、さまざまな支援を行っています。たとえば、緊急小口資金・総合支援資金による生活費の貸付や生活困窮者自立支援制度による支援などです。これらの制度は、外国人も利用できます。しかし、外国人は支援に関する情報をスムーズに得ることができません。また、日本語が不慣れな外国人は日本人の支援者がいないと手続きを進めるのも難しいため、公的支援に繋がりにくいのが現状です。
外国人労働者は、新型コロナウイルス流行の影響で仕事を失ったり生活に困ったりしても、相談できる人がおらず孤立しがちです。仕事に就いていれば、職場の人と繋がりを保てるでしょう。しかし、失業すると、家族や友人は母国にいるため頼れる人を失い孤立してしまうのです。それにより、「必要な情報が入ってこない」「心身に不調がでる」などの問題が発生します。
参照元 厚生労働省「生活を支えるための支援のご案内」
新型コロナウイルスに関わる公的支援の多くは、一部を除き外国人労働者も利用できます。主な生活や仕事の支援は以下のとおりです。
このほかにも、雇用保険に加入していた場合は、求職者給付や再就職のための職業訓練なども利用可能です。なお、厚生労働省は、外国人労働者向けに多言語で生活や仕事の支援の案内を行っています。ハローワークへの連絡方法や雇用保険の受け取り方なども分かりやすく説明してあるので、生活に困窮している外国人労働者がいたら、厚生労働省のWebサイトを案内してみましょう。
参照元 厚生労働省「がいこくじんのみなさんへ しごとやせいかつのしえんについて」
新型コロナウイルス流行の影響で、2022年2月時点でも外国人労働者の受け入れがスムーズに行えない状況が続いています。しかし、新型コロナウイルスの流行が収まったあとには、外国人労働者の需要は加速度的に高まっていくでしょう。ここでは、「外国人労働者の受け入れが必要な理由」と「今から行える対策」を解説します。
新型コロナウイルス流行後には、各業界の人材不足が加速していくと見られています。日本は、今まで少子高齢化による労働人口の減少により、人材不足が深刻化していました。しかし、新型コロナウイルスの流行が拡大したことで、生産量を落としたり休業したりする企業が相次いだため、人材不足の問題は一度収まります。ただし、この状況は一時的なもので、新型コロナウイルスの影響がなくなればまた人材不足に陥る企業が出てくるでしょう。
新型コロナウイルスの流行で、人々の仕事の選び方にも変化が出ると予想されます。感染症の影響を大きく受ける飲食・サービス業よりも、影響を受けにくい業界に人々は集まりやすくなるでしょう。また、リモートワークのできる職種・企業に人材が集まりやすくなるともいわれています。そうなると、元々人材不足だった飲食・サービス業はさらに深刻な状況に陥るでしょう。国内での人材確保が難しくなるため、外国人雇用に踏み出す企業が多くなると予想されます。
新型コロナウイルスの流行が収まったあとは、反動でインバウンド需要が増えることが予想されます。2020年に新型コロナウイルスが流行するまで、訪日外国人旅行者は順調に増え続けていました。観光庁の「訪日外国人旅行者数・出国日本人数の推移」の資料によると、2012年から訪日外国人旅行者の数は増加し続け、2019年には3188万人を突破しています。しかし、新型コロナウイルスの流行拡大により外国人の入国が厳しく制限されたことで、2020年は412万人、2021年は25万人まで落ち込みました。もし、外国人観光客の入国が自由になれば、今までの反動で多くの観光客が来日するでしょう。そうなると、観光施設や宿泊施設、飲食店などでは多言語に対応できる外国人労働者の需要が一気に高まると予想されます。
企業は、アフターコロナの外国人労働者の雇用拡大を見越して、早めに受け入れ体制を整えておく必要があります。現在外国人を雇用していない企業は、日本人従業員への研修を行うと良いでしょう。外国人労働者と働くうえでの注意点や価値観の違いをあらかじめ知っておくことで、雇用後のトラブルを減らせます。また、社内マニュアルの多言語化や外国人向けの福利厚生制度の導入準備を進めておけば、スムーズに外国人雇用をスタートできるでしょう。
2022年3月時点でも、新型コロナウイルスは収束しているとはいえません。いつ、以前のように外国人労働者を受け入れられるのかは分かりません。しかし、刻一刻と状況は変化するため、いつでも動き出せるよう準備を進めておくのをおすすめします。
参照元 観光庁「訪日外国人旅行者数・出国日本人数の推移」
新型コロナウイルスの流行は、日本で働く外国人労働者に多くの困難をもたらしました。さまざまな支援対策は取られているものの、多くの課題も残されています。アフターコロナを見据えて外国人労働者の雇用を検討する企業は、日本で働く外国人の抱える問題を把握し、支援に活かしましょう。
監修:三浦哲郎 行政書士三浦国際事務所
これまで、オーストラリア・フィリピンへの留学、海外語学学校勤務、世界5大陸30ヶ国100都市以上への渡航を経験し、豊富な海外経験と法知識で外国人の方をサポートさせて頂いております。また、外国人法務の専門家として、様々な媒体において執筆活動も行っております。 https://miura.allworldtraveler.net/