フィリピン人材雇用に関する重要機関POLO、POEA

2020年10月13日
佐藤一清 (監修)
武蔵行政書士事務所
武蔵行政書士事務所 代表行政書士 https://musashi-gyosei.com/

フィリピンは世界最大の労働輸出国と言われています。フィリピン政府は日本を含む諸外国と協定を結び、海外で就労する自国民保護に力を入れています。フィリピン人労働者を雇うすべての企業などは、フィリピン政府が決めた雇用主としての基準を満たさなくてはいけません。そのため、独自の審査や手続きが必要になります。

参照:日本貿易振興機構(JETRO)

フィリピン政府認定エージェンシーとは

「エージェンシー」とは送出機関のことです。フィリピン国内でフィリピン人労働者を募集し、企業などに紹介し送出す機関のことです。フィリピン政府は、自国の労働者を悪質なブローカーから保護するために、厳格な制度を作りました。そのひとつが認定エージェンシー、つまり認定送出機関です。フィリピン政府が認定したエージェンシー・送出機関以外からのフィリピン人労働者の受け入れは、原則できません。

参照:公益財団法人 国際人材協力機構「技能実習制度とは」「送出し国・送出機関とは」
公益財団法人 国際人材協力機構「特定技能とは」「送出し国・送出機関とは」
JICA 「外国人人材の各国制度を取り巻く状況と課題」

重要機関POLO、POEAとは

フィリピン政府は、海外就労するフィリピン国民を保護するために、海外就労者専門の政府機関を設立しています。駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)とフィリピン海外雇用庁(POEA)です。日本企業などがフィリピン人労働者を雇用する際に、特に連携する必要がある機関は、POLOとDOLEです。

参照:POLO東京
フィリピン海外雇用庁 Philippines Overseas Labor Office (POEA)

・駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)

駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)は、海外で働くフィリピン人の権利の保護、利益の保護のためのフィリピン労働・雇用省(DOLE)及びフィリピン海外雇用庁(POEA)の海外事業部門です。(※7)事務所は、東京と大阪があり、それぞれ管轄があります。

事務所

管轄区域

POLO東京

北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、 埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、長野、静岡、沖縄、山梨

在大阪総領事館の労働部門

富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、鳥取

参照:POLO東京「私たちに関して」
POLO東京「POLO-TOKYOの管轄区域」
公益財団法人 国際人材協力機構「(フィリピン関係)POLO大阪の開設について」

・フィリピン海外雇用庁(POEA)

フィリピン海外雇用庁 (POEA )は、フィリピンのルソン島・マニラ首都圏の都市マンダヨルダン(Mandaluyong)市にあります。日本のPOLO東京・在大阪総領事館の労働部門の上部機関です。世界各国の関係者と連携し、世界中で働くフィリピン人労働者に「ディーセント・ワーク」を提供するために設立された政府機関です。ディーセント・ワークとは、1999年にILO(国際労働機関)が打ち出したもので、「人間としての尊厳を保てる生産的な仕事」を意味します。

参照:フィリピン海外雇用庁(POEA)Contact Us
POEA about poea
ILO中日事務所「ディーセント・ワークとは

フィリピン国籍者を雇用する際の手続き

フィリピン人労働者を受け入れる企業などは、フィリピン認定エージェンシー(送出機関)及びPOLO東京・在大阪総領事館の労働部門と連携し準備します。

①フィリピン認定エージェンシー(送出機関)と募集取決めを行う

フィリピン政府が認定したエージェンシー(送出機関)と、フィリピン政府が指定した方法で労働者募集の取決めを行います。この取決めには公証役場での公証が必要です。

②POLOに書類を提出し英語面談を受ける

フィリピン人労働者を雇用する企業は、管轄のPOLO東京もしくは在大阪総領事館の労働部門に書類を提出し、英語面談を受けます。フィリピン政府が決めた基準を満たすかどうか審査をします。書類審査を経て英語面談があります。

③フィリピン政府からの認証

フィリピン国内での審査の上、自国民の雇用主として適正であると判断されれは、POEAに登録されます。登録されると、フィリピン人労働者を採用することが可能になります。

参照:法務省 「特定技能に関する二国間の協力覚書」「フローチャート」
法務省 「~特定技能外国人の受入機関の方々へ~ フィリピン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ」

フィリピン人労働者の直接雇用

フィリピン人労働者を採用する場合、原則フィリピン政府認定エージェンシー(送出機関)を経由しなければなりません。しかし、直接雇用できる例外もあります。高度技能労働者や専門家である場合などです。外交隊のメンバーや国際機関、国家元首及び政府高官などが該当します。また、彼・彼女らに雇用される家事サービス労働者も例外的に直接雇用を認めています。さらに、POEAやPOLOの審査で認められた場合は、例外的に直接雇用が可能な場合もあります。

参照:POLO東京 「直接雇用禁止の免除申請(非常に熟練/専門的)」
POLO東京「直接雇用禁止の免除申請(外交官のための家事サービス労働者)」

おわりに

世界最大の労働者輸出国であるフィリピンでは、自国民であるフィリピン人労働者の海外での「ディーセント・ワーク(人間としての尊厳を保てる生産的な仕事)」を保障するために、独自の厳格な基準を設けています。そのため、認定エージェンシー(送出機関)やPOLO、POEAと連携し、雇用主としてフィリピン政府の認定を受けることが必要になります。フィリピン政府独自の手続きに思ったよりも時間がかかってします可能性があります。早めの事前準備をおすすめします。