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外国人建設就労者の在留期間や就労可能な職種について、疑問に思う建設業の方もいるでしょう。また、どんな在留資格を持っていれば建設業で働けるのかを知りたい方もいるはずです。
なお、外国人建設就労者は期間限定の在留資格のため新規雇用は既に終了しています。そのため、このコラムではほかに建設業で働くための在留資格についても詳しく解説。外国人を建設業で雇用したいと考えている企業の方は、このコラムをぜひ参考にしてください。
目次
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外国人建設就労者(特定活動32号)とは、東京オリンピック・パラリンピックに向けて需要が増す建設業界で、より多くの外国人を受け入れるためにできた期間限定の在留資格です。建設分野において「技能実習」を修了した外国人が、この在留資格を得られます。企業では2015年4月から外国人建設就労者の雇用が始まりました。ただし、新規の受け入れは2021年3月末で終了しています。
「外国人建設就労者(特定活動32号)」の在留資格をもつ外国人が働ける職種は、さく井や配管など25種類あります。技能実習を行った職種に限り就労可能です。
さく井…パーカッション式さく井工事作業、ロータリー式さく井工事作業
建築板金…ダクト板金作業、内外装板金作業
冷凍空気調和機器施工…冷凍空気調和機器施工作業
建具製作…木製建具手加工作業
建築大工…大工工事作業
型枠施工…型枠工事作業
鉄筋施工…鉄筋組立て作業
とび…とび作業
石材施工…石材加工作業、石張り作業
タイル張り…タイル張り作業
かわらぶき…かわらぶき作業
左官…左官作業
配管…建築配管作業、プラント配管作業
熱絶縁施工…保温保冷工事作業
内装仕上げ施工…プラスチックやカーペットあるいはボードの床仕上げ作業、鋼製下地工事作業、カーテン工事作業
サッシ施工…ビル用サッシ施工作業
防水施工…シーリング防水工事作業
コンクリート圧送施工…コンクリート圧送工事作業
ウェルポイント施工…ウェルポイント工事作業
表装…壁装作業
建設機械施工…押土や整地作業、積込み作業、掘削作業、締固め作業
築炉…築炉作業
鉄工…構造物鉄工作業
塗装…建築塗装作業
溶接…手溶接、半自動溶接
上記のうち「鉄工」「塗装」「溶接」の3つの職種は、技能実習を行った企業でのみ外国人建設就労者(特定活動32号)を受け入れることができます。
特定技能「建設」については「特定技能「建設」とは?外国人を雇用する企業に受け入れ方法を紹介」でも詳しくまとめています。人手不足に悩む建設事業者は内容を参考にして、外国人雇用に踏み出しましょう。
上述した在留資格「外国人建設就労者(特定活動32号)」で日本に滞在できるのは、2~3年間ですが期間を満了する前に国土交通省へ申請すれば「特定技能1号」へ変更できます。変更後は最長5年間、日本で就労可能です。なお、技能実習2号~3号の在留資格で良好に技能実習を修了した技能実習生は、技能評価試験や日本語能力に関する試験が免除されたうえで「特定技能1号」へ在留資格を変更できます。
外国人が建設業で働くときに必要な在留資格は、「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」のほか、身分に基づくものもあります。また、外国人就労者の給与は、基本的に同業の日本人と同額以上の支払いが必要です。以下で解説するのでご参照ください。
技能実習の在留資格は発展途上国の外国人が日本で技術を学び、母国で活躍してもらうために制定されました。技能実習の期間は区分によって異なりますが最長(技能実習3号)で5年間、職種は上述した「1.さく井~22.築炉」で就労可能です。
技能実習生を雇用したい企業は、監理団体を通じて外国人と面接を行うのが一般的です。受け入れが決まったあと、企業は技術を教えるための実習指導員を配置します。実習指導員の役割は技能実習計画の作成や在留資格の申請、技能実習生の住居手配などです。これらの手続きは監理団体がサポートを行っているので、不明点は都度相談すると良いでしょう。書類の申請や現地訪問、入国後研修などの段階を経ることになるので、受け入れが決まってから実際に日本で働き始めるまで通常約6カ月間かかるようです。
外国人技能実習生を雇用するにあたって、日本語講習費や試験の費用、渡航費などは企業負担となります。サポートを行ってくれる監理団体にも、初期費用のほか毎月数万円の支払いが必要です。そのため、技能実習生1名につき3年間で約70万円、5年間だと約100万円が必要といわれています。
「建設業界で技能実習生を受け入れる方法は?企業に向けて解説!」では、技能実習制度の概要や、建設業界における技能実習生の受け入れ方法を紹介しています。仕組みを理解し、正しく技能実習生を受け入れましょう。
在留資格「特定技能」は、日本企業の慢性的な人材不足を解消するために制定されました。特定技能外国人は、在留資格を取得した時点で建設分野の専門技術を身につけているため、即戦力としての活躍を期待できるでしょう。特定技能には1号と2号があり、1号で外国人が就労できる期間は5年間です。2号は期間の制限はありませんが、より高い技術があることを証明する技能検定に合格しないと取得できません。
在留資格「特定技能1号」を得る方法は、「第2号~3号技能実習を修了」もしくは「日本語能力を測る試験と建設技能1号評価試験に合格」のどちらかとなります。また、「外国人建設就労者(特定活動32号)」からの変更も可能です。特定技能で就労できる建設分野の職種を以下で紹介します。
型枠施工
左官
コンクリート圧送
トンネル推進工
建設機械施工
土工
屋根ふき
電気通信
鉄筋施工
鉄筋継手
内装仕上げ、表装
とび
建築大工
配管
建築板金
保温保冷
吹付ウレタン断熱
海洋土木工
技能実習生として自社で就労している外国人を「特定技能1号」へ変更し、受け入れるのが一般的な雇用方法となります。なお、受け入れにあたっては、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への入会や建設キャリアアップシステムへ登録、さらに国土交通省からの認定が必要です。ほかにも、外国人就労者の渡航費や研修費の負担、あるいは母国語で継続的な支援を行うのも企業として重要な役割です。企業側で対応が難しければ、登録支援機関へ委託することもできます。
参照元 国土交通省「建設特定技能制度の概要」
「技術・人文知識・国際業務」は、建築や設計に関する専門知識を大学や専門学校で学んだ外国人、または10年以上の実務経験がある外国人が得られる在留資格です。大学で土木や建築を学んだ外国人は設計や製図、施工管理業務で就労できます。また、事務や営業職であれば一般大学を卒業した外国人でも就労可能です。就労期間の上限がないため、在留資格を更新すれば雇用状態が続いているかぎり日本に在留できます。
「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人を企業で雇用したいときは、求人サイトや人材紹介会社を通じて募集しましょう。紹介料は、紹介会社や就労する外国人の能力ごとに異なるので確認が必要です。
なお、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が、建設作業員として就労することは原則認められていません。
「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」「日本人の配偶者等」の在留資格は身分に基づく在留資格です。これらの在留資格を持つ外国人には就労の制限はないので、日本人と同様に就労や活動を行えます。そのため、企業がこれらの在留資格を持つ外国人を雇用したいときは、募集・採用・就労を日本人と同様の方法で行えば問題ありません。
建設業で外国人を雇用すると、社内に活気がでたり海外への販路を見出せる可能性が広がったりすることがあります。ここでは3つのメリットを紹介しますので、外国人を雇用する際の参考にしてください。
慢性的な人材不足状態の建設業で、意欲のある若年層の外国人を雇用すると、社内に活気がでるでしょう。建設業は肉体労働に対するマイナスイメージから、若い日本人が敬遠しがちな業界の一つとされています。しかし、多くの外国人は高収入を得ようと来日しているため、建設業での就労に対して意欲的です。そのような人材を雇用することで、日本人従業員にも良い影響をもたらしてくれる可能性があります。
建設業で外国人を雇用するメリットの一つに、教育体制が整うことも挙げられます。外国人へ業務を教えるときは、丁寧かつ明確に作業内容を指示しなくてはなりません。どうすれば確実に伝わるかを考えたうえで、外国人向けの分かりやすいマニュアル作成が必要な場合もあるでしょう。それによって得た経験や教育体制は、国籍問わず今後の新入社員の受け入れ時に活かせるはずです。
外国人を雇用すると、海外への販路を見出せる可能性もあります。海外進出する予定がなかった企業でも、受け入れた外国人の人脈から思わぬ販路が開かれることも少なくありません。日本国内での業務だけにとらわれず、海外も選択肢の一つに入れておくのは利益を上げるうえで大切です。
その他外国人を雇用するメリットに関しては「外国人労働者を採用するメリット7選!デメリットや気を付ける点も解説」で詳しく説明しています。採用に迷っている企業採用担当の方はぜひご覧ください。
建設業で外国人を雇用すると、指示が上手く伝わらなかったりトラブルが起きたりすることが考えられます。ここではデメリットを3つに絞って、改善策とともに解説するので参考にしてください。
日本語の理解が十分でない外国人に、指示が上手く伝わらないことがデメリットとして挙げられます。逆に、外国人が気持ちを言葉で上手く伝えられず、一緒に働く日本人が理解できない場面もあるでしょう。建設業の現場では指示が的確に伝わらないと、事故やケガにつながることもあり非常に危険です。また、言葉が伝わらないことが原因で、外国人と日本人双方がストレスを抱えてしまう場合もあります。外国人を受け入れる企業は、相手の日本語習熟度を理解したうえで、どのように指示を出しコミュニケーションをとるべきかを考える必要があるでしょう。
外国人を受け入れる際は、外国語で資料やマニュアルを準備しなければならない点を手間に感じる人もいるようです。しかし、建設業の即戦力として就労してもらうためには、分かりやすい教育が必要不可欠となります。業務に関わる教育をはじめ、安全衛生や日本語教育のサポートも行いましょう。
日本人とは異なる文化や習慣が要因となり、トラブルが起きる可能性があります。たとえば、時間や指示を守ることに対し重要性を感じにくい国民性の国出身の外国人もいるでしょう。就労時間や給与に対し、シビアな考えをもつ外国人もいます。雇用する外国人就労者の特徴を事前に知っておくと、文化の違いによるトラブルを避けられるでしょう。また、日々コミュニケーションを図り、お互いを尊重し合うことも就労するうえではとても重要です。
外国人建設就労者(特定活動32号)は、東京オリンピック・パラリンピックに向けてできた期間限定の在留資格です。新規の受け入れは2021年3月末で終了しているため、建設業で外国人が就労するには、「技能実習」や「特定技能」などの在留資格取得が必要となります。外国人を雇用する際は、在留資格の種類と在留可能な年数、事前に準備すべきことなどを把握しておく必要があるでしょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net