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人手不足解消のために、特定技能「造船・舶用工業」を持つ外国人を雇用を検討する企業もあるでしょう。深刻な人手不足が問題となっている造船・舶用工業の業界にとって、専門的な技能を持つ外国人は重要な存在です。このコラムでは、特定技能「造船・舶用工業」で従事できる業務や業種を解説します。企業が特定技能外国人を雇用する方法や条件もまとめているので、気になる方はチェックしてみましょう。
目次
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造船・舶用工業分野は全体的に有効求人倍率が高く、2017年時点で溶接(金属溶接・溶断工)は2.50倍、仕上げ(めっき工・金属研磨工)は4.41倍です。同年時点で6,400人程度の人手不足が見込まれており、将来的には22,000人の人材が必要になるとされています。そこで、造船・舶用工業分野の基盤維持と発展のために特定技能制度を活用することになりました。
特定技能制度は、人材確保が難しく人手不足に陥っている業界において、即戦力となる専門性を持った外国人の雇用を認める制度です。造船・舶用工業分野では2019年から2023年までの間に、最大13,000人の受け入れが認められています。特定技能「造船・舶用工業」の在留資格を持つ外国人は、将来的に重要な労働力となるでしょう。
参照元 国土交通省「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」
特定技能「造船・舶用工業」を持つ外国人が従事できる業種・業務は以下のとおりです。
特定技能外国人は上記業務のほか、「関連業務」を行うことも可能です。同じ業務に従事する日本人が行う付随的な作業内容は、特定技能外国人が担当しても差し支えありません。関連業務の例としては、清掃や資材運搬です。ただし、事前に国土交通省による確認が必要です。特定技能外国人を関連業務のみに従事させるのは認められていないため、業務を割り振る際は注意しましょう。
参照元 国土交通省「「造船・舶用工業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領」
外国人が特定技能「造船・舶用工業」を取得するには、一定の日本語能力と業務遂行能力が必要です。なお、技能実習生が技能実習2号を良好に修了している場合、在留資格「特定技能」への移行が認められます。特定技能外国人が現場で即戦力になるのか不安な方は、取得条件をチェックして大まかな能力の目安を把握しましょう。
特定技能「造船・舶用工業」を取得するには、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT‐Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)」に合格しなければなりません。なお、日本語能力試験を受ける場合はN4以上のレベルに合格する必要があります。
N4試験に合格した外国人の日本語能力は、よく使われる表現や文章といった基本的な日本語の理解ができるレベルです。仕事や買い物、個人情報など自分の身の回りの状況に関することであれば、簡単な日本語で他者に説明できます。
日本語能力試験について詳しく知りたい方は、日本語能力試験の記事一覧 をチェックしてみてください。
外国人が特定技能「造船・舶用工業」を取得するには、「造船・舶用工業分野特定技能1号試験」に合格する必要があります。試験は6つの区分に分かれており、業種・業務によって試験内容が分かれているのが特徴です。合格した試験区分と異なる業種では特定技能外国人材を雇用できないため、受入れの際は注意しましょう。
造船・舶用工業分野特定技能1号試験では、学科試験と実技試験を通して外国人の技能の水準評価を行います。たとえば、溶接の実技では指定の方法で片面突合せ溶接を行い、外観試験と曲げ試験の結果欠陥がなければ合格です。仕上げの実技なら支給材料に表面粗さ調整やはめあい調整、面取り仕上げ加工して加工図に指示された部品を作成し、基準を満たしたら合格になります。なお、造船・舶用工業分野の技能実習2号を修了し、随時3級技能試験に合格している場合は、「技能検定3級の合格証明書の写し」を提出すれば、特定技能「造船・舶用工業」に移行可能です。
参照元 国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領‐造船・舶用工業分野の基準について‐」
造船・舶用工業分野の企業が特定技能外国人を受け入れるには、いくつかの条件を満たさなければなりません。条件を守らなかった場合、特定技能外国人を雇用できないので注意が必要です。
特定技能外国人には日本人と同じように最低賃金法と労働基準法が適用されます。外国人だからといって不当に低い賃金で働かせたり、休憩や休日を与えなかったりするのは認められません。同じ業務に従事する日本人と同等、もしくはそれ以上の報酬を支払い、適切な雇用形態で受け入れを行いましょう。なお、造船・舶用工業分野において特定技能外国人は直接雇用しか認められていません。
特定技能「造船・舶用工業」を持つ外国人を受け入れるには、造船・舶用工業分野特定技能協議会への加入が必須です。初めて特定技能外国人を受け入れる企業は、入国後4ヶ月以内に造船・舶用工業分野特定技能協議会に加入しましょう。特定技能外国人の入国後4ヶ月以内に協議会に加入しなかった場合、今後の受け入れが認められなくなります。なお、2回目以降は協議会の構成員であることを地方出入国在留管理局に証明しなければ、受け入れが認められないため注意が必要です。造船・舶用工業分野特定技能協議会に加入したあとは、構成員として指導や調査に協力しなければなりません。
特定技能外国人を受け入れる企業は、万全のサポート体制を築く必要があります。日本に滞在している間、日常生活や労働に問題がなく、継続的に社会活動を行えるよう支援計画を立てましょう。入国前の事前ガイダンスや出入国時の送迎、相談対応などが支援内容に含まれます。なお、初めて特定技能外国人を受け入れる企業や支援体制の構築に自信がない会社は、登録支援機関にサポートを依頼するのも一つの方法です。
特定技能「造船・舶用工業」を持つ外国人は、一定の日本語能力と専門的なスキルがあるため、人手不足の業界における即戦力として重宝されています。労働力確保のために特定技能外国人の受け入れを検討している企業は、雇用方法をチェックしてみましょう。
特定技能外国人を受け入れるには、在留資格の取得・変更や協議会への加入手続きなどを行うため、必要書類を用意しなければなりません。まず、造船・舶用工業分野における事業者の確認及び協議会加入手続きに必要な書類は以下のとおりです。
ほかにも状況に応じて書類の提出を求められる可能性があるので、国土交通省のWebサイトを確認することをおすすめします。また、特定技能外国人の在留資格の取得・変更のために会社概要が分かるパンフレットや雇用契約書の写し、支援計画の内容を記入した書類なども用意しなければいけません。特定技能外国人の居住地によっても必要書類が異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
日本に在留している外国人を在留資格「特定技能」で雇用するには、在留資格の変更が必要です。技能実習2号を修了、または造船・舶用工業分野特定技能1号試験に合格した外国人と雇用契約を結んだら、支援計画の策定を行います。企業内での支援が難しい場合は、並行して登録支援機関へのサポート業務の委託も進めましょう。その後、外国人本人もしくは申請代理人が在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局にて行います。申請が許可されれば、在留資格「特定技能」へと変更され、業務の実施が可能です。
海外から特定技能外国人を招へいする場合、支援計画の策定までは上記の内容と同じように進めます。その後、地方出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請を行います。当該外国人が国外にいるため、受け入れ企業による代理申請が可能です。在留資格認定証明書を受領したら企業から本人に送付します。本人は、在留資格認定証明書やその他の書類を用いて自国の在外公館で査証(ビザ)の申請・発給を行い、日本に入国する流れです。入国時に在留資格「特定技能」が付与されるので、特定技能外国人として就労ができます。
参照元 国土交通省「【造船・舶用工業分野における事業者の確認及び協議会加入手続き】」
専門的な技能と基本的な日本語能力を有する特定技能外国人は、人手不足に陥っている造船・舶用工業の現場において即戦力となるでしょう。ただし、雇用時に受け入れ企業と特定技能外国人双方に求められる条件が多いため、しっかり内容を把握してから制度を利用することをおすすめします。
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監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net