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外国人が身分に基づくビザを申請する際は、身元保証書の提出が必要です。働いてる企業の社長や上司に身元保証人を頼む外国人も多いので、身元保証人の責任や義務について理解しておきましょう。
また、会議や視察などのために、海外から外国人を短期滞在ビザで呼び寄せるときも、企業側が身元保証書を用意しなければなりません。
このコラムでは、身元保証書の書き方を解説します。内容を参考にして、外国人のビザ申請をサポートしましょう。
目次
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外国人の身元保証書とは、一般的に身分に基づくビザの申請時に地方出入国在留管理官署に提出する書類のことを指します。また、短期滞在ビザの申請で必要になる身元保証書を指す場合もあるでしょう。
外国人が身元保証書を必要とするのは、身分に基づくビザを取得するときです。留学ビザや就労に関するビザの取得時に、身元保証書の提出を求められることは通常ありません。
身分に基づくビザには、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」が該当します。これらは、ほかの就労ビザと異なり、就労に関する制限がありません。つまり、法律に違反しない限りどのような仕事につくことも可能です。また、身分に基づくビザを取得した外国人は、基本的に長期にわたり日本に滞在します。そのため、身元を保証する人を立てておく必要があるのです。
会議や視察のために短期滞在ビザで外国人を呼び寄せるときにも、身元保証書が必要となります。個人がビザを申請する場合、何か問題が起きたときに保証できる人がいません。そこで、身元保証人を立てて外国人が住む国の日本国大使館や総領事館に届け出をします。
なお、査証免除国から入国する場合は、短期滞在ビザの申請は不要です。日本は70の国や地域に対し、査証免除措置を取っています。査証免除国から短期間入国する外国人は、空港での入国審査をクリアすれば、事前に短期滞在ビザを申請せずとも日本に入国できます。
外国人雇用における身元保証書は、企業が従業員の入社時に提出させる書類とは別物です。入社時の身元保証書は、本人の身元および企業に損害を発生させたときの賠償を第三者に保証させるために提出させます。
一方、ビザ申請時の身元保証書は、外国人の生活をサポートする人が日本にいることを証明する書類です。
身元保証人には法的責任は発生せず、外国人が何か問題を起こしても法的に処罰を受けることはありません。しかし、責任を放棄したり外国人との関係を偽ったりするのは辞めましょう。
外国人の身元保証人に求められる責任は道義的責任に留まり、法的責任を問われることはありません。道義的責任は、人として道徳的に行うべき物事を行わなかった場合に発生します。外国人が日本への入国目的を安定かつ継続的に達成できるよう、法令の順守を促したり支援を行ったりするのが身元保証人の役割です。この役割を放棄しても処罰を受けることはありません。ただし、今後ほかの外国人の身元保証人にはなれなくなります。
身元保証人が責任を放棄すると、外国人のビザ変更や更新に悪影響を及ぼす可能性があります。身元保証人が在留外国人の場合は、本人の在留資格にも悪影響が及ぶでしょう。サポートを適切に行えない可能性がある場合は、外国人のためにも身元保証人を引き受けないのが賢明です。
身元保証書に書く内容を偽った場合、有印私文書偽造を行ったとして罪に問われる可能性があります。身元保証書には、本人との関係を記載する欄があります。例えば、雇用主でもないのに、「雇用主」と記載すると偽造に該当します。刑罰の内容は3ヶ月以上5年以下の懲役です。身元保証書の偽造は外国人と身元保証人の双方にリスクがあるので絶対に辞めましょう。
外国人の身元保証人になれる人の条件は以下のとおりです。
永住者ビザを申請する際の身元保証人は、日本人および永住者と定められています。外国人は永住者ビザを取得したら、日本に無期限で在留可能です。そのため、同じく無期限で日本に在留できる日本人および永住者しか、身元保証人にはなれません。
永住者ビザを申請する外国人は、勤めている職場の上司や同僚の日本人に身元保証人を頼むことが多いようです。
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」のビザ申請時は、一般的に配偶者が身元保証人になります。もし、配偶者が無職や資産がない等の理由で身元保証能力がない場合は、追加で収入のある親族にも身元保証人になってもらわなければなりません。
身元保証人には、外国人に日本の法令を守るように指導する道義上の責任があります。名前だけの保証人になったものの、責任は果たさないということはできません。あらかじめ、外国人の身元を保証する明確な意思がある人のみが保証人になれます。
身元保証人には、外国人の日本での生活をサポートする役割があります。そのため、ある程度安定した収入もしくは資産が必要です。ただし、具体的な金額は決められていないので、毎月決まった収入、もしくは一定の資産があれば問題ないでしょう。
ここでは、永住申請の身元保証書の入手方法と書き方を紹介します。
身元保証書は、出入在留管理庁のWebサイトからダウンロードできます。永住者ビザの申請の場合は「永住許可申請用」です。どのビザを申請するかによって様式が異なるので、相応しい種類を選びましょう。
身元保証書の各項目の書き方は以下のとおりです。
身元保証書を記入している日の日付を西暦で記入します。
外国人の国籍または地域を記入します。
外国人の氏名をパスポート表記にあわせてローマ字で記入します。ミドルネームがある場合も忘れずに記入しましょう。
身元保証人となる自分の名前を自筆で記入します。
自分の住所および電話番号を記入します。電話番号は携帯電話番号でも問題ありません。
自分の職業を記入します。書き方は「会社員」「会社役員」「自営業」などです。また、勤務先の名前もかっこ書きで記入します。(例:会社員(▲▲株式会社))
自分の国籍と在留期間を書きます。日本人の場合は「日本」のみで問題ありません。自分が外国人で永住者として身元保証人になる場合は、国籍のあとにかっこ書きで(永住者)と書きます。
身元を保証する外国人との関係を記入します。外国人が部下であれば「職場の上司」、自分の経営する企業の従業員であれば「雇用主」です。
書き終えたら誤りがないかしっかり確認しましょう。あとで再提出になると、外国人の在留資格の審査期間に影響を及ぼします。
参照元 出入国在留管理庁「永住許可申請」
ここでは、短期滞在ビザを申請する際の身元保証書の入手方法と書き方を紹介します。
短期滞在ビザの身元保証書は、外務省のWebサイトからダウンロードできます。永住申請のときとは異なる用紙を使うので、注意しましょう。
ここでは、短期滞在の身元保証書の書き方を紹介します。
身元保証書を記入している日の日付を和暦で記入します。
外国人がビザ申請を行う日本国大使館か総領事館の正式名称を記入します。例えば、「在上海日本総領事館」というように記載します。国土の大きい国の場合は、居住地によって提出先が違うのでよく確認をしましょう。正式名称を入れたら、「大使」か「総領事」のどちらかふさわしいほうにチェックを入れます。
外国人の国籍を記入します。
外国人の職業を記入します。「会社員」や「会社経営」などの書き方で問題ありません。
外国人の氏名をパスポート表記にあわせてローマ字で記入します。ミドルネームがある場合も忘れずに記入しましょう。また、氏名の横にある性別の欄にもチェックを入れます。同時に短期滞在ビザを申請する外国人がいる場合は、人数も記入してください。
外国人の生年月日を西暦で記入し、横に年齢も書きます。
外国人を呼び寄せる企業の住所を記入します。
外国人を呼び寄せる企業名と代表者の役職を記入します。
外国人を呼び寄せる企業の代表者の氏名を記入します。
外国人を呼び寄せる代表者の生年月日を記入します。
外国人を呼び寄せる企業の電話番号およびFAX番号を記入します。
ビザを申請する外国人と代表者の関係を記入します。取引先の場合は「ビザ申請人の取引先」と記入してください。
外国人を呼び寄せる担当者が所属する企業の名称を記入します。
外国人を呼び寄せる企業の担当者の氏名を記入します。
外国人を呼び寄せる企業の担当者に繋がる電話番号を記入します。内線番号もあれば記入してください。
外国人を呼び寄せる企業のFAX番号を記入します。
参照元 外務省「ビザ」
以前まで、身元保証人には外国人の日本滞在費や帰国費を保証する役割があったため、収入を証明する書類の提出が必要でした。しかし、2022年6月から、身元保証書に帰国費や滞在費の保証に関する記述がなくなっています。それにともない、収入を証明する書類の提出は必要なくなりました。現在では、運転免許証やマイナンバーカードの写しなど、身分を証明する書類のみの提出に簡略化されています。これにより、外国人の身元保証人になる心理的ハードルはかなり下がったといえるでしょう。
身分に基づくビザは、身元保証人がいないと取得は難しいでしょう。しかし、外国人のなかには、日本人の知り合いが少なく、なかなか身元保証人が見つからない人もいるようです。どうしても、身元保証人が見つからない場合、「身元保証人不存在理由書」を提出します。身元保証人がいないことの合理的理由があれば、身元保証人なしでもビザが許可されることが稀にあります。
ビザ申請時の身元保証書の書き方はそこまで複雑ではありません。また、以前より身元保証人になるための条件が緩和されたので、引き受ける際のハードルは低くなりました。
外国人が身分に基づくビザを取得すれば、長く安定して働いてもらえます。身元保証人を引き受けることは、企業にとってもプラスになるでしょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net