外国人労働者の賃金はいくらが適正?最低賃金や平均金額を参考に解説

2022年03月14日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

外国人雇用を検討している企業のなかには、賃金設定に悩んでいるところもあるでしょう。外国人労働者の賃金には、日本人と同じように守るべきルールが存在します。そこで、このコラムでは外国人労働者の賃金に適用される最低賃金法や時給・日給に換算した場合の計算方法を解説。また、日本で働く外国人労働者の平均賃金や雇用時の注意点もあわせて紹介します。

目次

  1. 日本で働く外国人労働者の平均賃金
  2. 外国人労働者にも最低賃金法が適用される
  3. 日本の最低賃金は2種類
  4. 日本と海外で最低賃金は異なる
  5. 最低賃金の計算方法
  6. 外国人労働者を雇用する際の注意点
  7. まとめ

日本で働く外国人労働者の平均賃金

厚生労働省が行った「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、2020年時点の外国人労働者の平均賃金は1ヶ月あたり218,100円です。日本人も含めた一般労働者の1ヶ月あたり平均賃金は307,700円のため、外国人労働者の賃金がやや低く見えるでしょう。しかし、外国人労働者と日本人の労働者では平均勤続年数が大きく異なります。外国人労働者のなかには在留期限に上限があり長く働けない人もいるため、勤続年数による昇給が難しく平均賃金が上がりにくいようです。

在留資格別に外国人労働者の平均賃金をみると、最も高いのは専門的・技術的分野で1ヶ月あたり302,200円でした。2番目に高いのは身分に基づく在留資格で、1ヶ月あたり257,000円です。一方で、在留資格「特定技能」や「技能実習」は平均賃金が約16~17万円と低い傾向にあります。ほかの在留資格で働く外国人労働者に比べて、年齢が若く勤続年数が短いことが理由といえるでしょう。外国人労働者の賃金を決める際は、日本人と同じように年齢や勤続年数、業務遂行能力などから判断するのが大切です。

参照元
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査

外国人労働者にも最低賃金法が適用される

外国人労働者の賃金は、日本人と同じように最低賃金法に則って決める必要があります。最低賃金法は国籍や雇用形態にかかわらず、日本で働くすべての人が対象です。外国人労働者だからといって最低賃金未満の給料で働かせた場合、厳しい罰則が科せられるため注意しましょう。

技能実習生も最低賃金法の対象

技能実習生は就労ではなく技能の習得を目的に来日していますが、働きながら専門的な技術・知識を身につけるため最低賃金法の対象です。技能実習生に対して、「労働力とはいえないから賃金を下げたい」と考える企業もありますが、最低賃金を下回る賃金設定は禁止されています。たとえ技能実習生の合意があっても、最低賃金を下回る雇用契約は無効です。最低賃金法違反が発覚した場合、罰金や未払金の支払いを求められるうえ、技能実習生の受け入れが一定期間停止されます。

法律を遵守し、最低賃金以上の給与を支払うのは企業の義務です。不正行為で処分されないよう、きちんと賃金を支払いましょう。

同一労働同一賃金は外国人労働者も適用

同一労働同一賃金も日本で働くすべての人が対象となるため、外国人労働者にも適用される制度です。正規・非正規の雇用形態や国籍にかかわらず、同じ仕事であれば同じ賃金を支払いましょう。なお、仕事内容が異なったり合理的な理由があったりする場合は、賃金や待遇に差が生じても問題ありません。日本語能力の有無や性別による能力の差は、合理的な理由とみなされないので注意しましょう。合理的な理由の定義は、「企業の賃金決定の基準やルールといった明確な根拠に基づいた説明を行えるか」です。

参照元
厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン

日本の最低賃金は2種類

日本の最低賃金は、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類です。国が賃金の最低限度を定めており、使用者が労働者に支払う給与が最低賃金を下回っていた場合、差額を支払う必要があります。最低賃金を下回る雇用契約は無効になるほか、使用者は法律に違反しているため罰金を支払わなければなりません。外国人労働者の雇用が難しくなることも考えられるので、最低賃金について正しく理解し給与に反映しましょう。

1.地域別最低賃金

各都道府県ごとに、産業や業種にかかわらず一律で定められているのが地域別最低賃金です。各都道府県の生活水準や物価などの情報をもとに定められており、場所によって最低賃金が異なります。また、地域別最低賃金は毎年10月に改定が行われているので、企業は必ずチェックしておきましょう。地域別最低賃金の改定状況は、厚生労働省のWebサイトで確認可能です。

最低賃金の改定は、報道機関や広報誌などを通じて周知されています。使用者には最低賃金が適用される労働者に周知を行う義務があるため、「改定内容を把握していなかった」は通用しません。地域別最低賃金は、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を送れるように定められています。外国人労働者にも地域別最低賃金が適用されるので、周知を徹底しきちんと賃金を支払うことが大切です。

2.特定(産業別)最低賃金

最低賃金審議会の調査審議を経て、地域別最低賃金より高水準の最低賃金を支払う必要がある産業で設定されているのが、「特定最低賃金」です。2020年4月時点で、228件の特定最低賃金が定められています。例えば、東京都では、鉄鋼、電気機械等の産業で特定最低賃金が定められています。なお、最低賃金は高いほうを支払うように法律で定められているため、特定最低賃金と地域別最低賃金の金額を比較して給与を支払いましょう。

参照元
厚生労働省
「最低賃金制度の概要」
「地域別最低賃金の全国一覧

日本と海外で最低賃金は異なる

海外と日本では物価や生活水準が違うため、最低賃金も異なります。OECDが発表している「実質最低賃金」によると、日本の最低賃金は7.9ドルです。世界各国の最低賃金と比較するとドイツは11.8ドルで韓国は8.7ドル、イギリスは10.9ドルのため日本はやや低めといえます。一方で、メキシコやブラジル、コロンビアといった国は日本よりも最低賃金が低水準です。

日本に働きに来る外国人労働者のなかには、自国よりも高い給与を得られることを期待している人もいます。外国人労働者を積極的に雇用したい企業は、日本だけでなく世界の最低賃金も加味して雇用条件を決めると良いでしょう。

参照元
OECD「実質最低賃金

外国人労働者と最低賃金に関する理解をさらに深めたい方は、「日本の最低賃金は外国人労働者にも適用される!企業が知るべき制度を解説」「日本の最低賃金は外国人にも関係する?企業に向けて解説」のコラムもおすすめです。

最低賃金の計算方法

最低賃金は時給換算で定められています。そのため、月給や日給で給料を支払う企業は時給に直した際に最低賃金を下回っていないか、チェックしなければなりません。ここでは、月給・日給・時給に換算した最低賃金の計算方法を解説します。

月給

月給が最低賃金を上回っているかチェックする計算方法は、「月給÷1ヶ月の平均所定労働時間」です。計算した結果が最低賃金時間額と同等以上であれば、賃金設定に問題はありません。なお、残業手当や交通費といった変動的な手当は月給に含まれないので、計算の際は注意しましょう。

日給

日給が最低賃金を上回っているかチェックする際は、「日給÷1日の所定労働時間」で計算を行います。ただし、日額が定められている特定最低賃金が適用される場合、計算方法は「日給≧最低賃金額(日額)」です。日給を1日の労働時間で割った際に最低賃金以上になっていれば問題ないので、比較的簡単にチェックできます。

時給

時給の計算は最低賃金を参照して計算するだけなので、非常にシンプルです。たとえば、最低賃金が1,000円の場合は「1,000(円)×労働時間」の計算結果以上の金額が給与になります。

厚生労働省のWebサイトでは具体的な例をもとに最低賃金の計算方法をまとめているので、外国人労働者の賃金設定に不安がある企業は確認してみましょう。

参照元
厚生労働省「最低賃金のチェック方法は?

外国人労働者を雇用する際の注意点

外国人雇用を行う際は、賃金以外にも注意すべき点がいくつかあります。外国人労働者をスムーズに雇用できるように、あらかじめ注意点を把握して対策を講じましょう。

外国人労働者のスキルに応じた雇用条件を提示する

外国人労働者の雇用条件は、日本人と同等以上でなければなりません。たとえ外国人労働者の給与が最低賃金を上回っていたとしても、日本人より賃金が低いと在留資格の取得許可が下りない可能性があります。また、外国人労働者だからといって長時間働かせたり休みを減らしたりしてはいけません。日本人の従業員と同じように外国人労働者のスキルに応じて賃金や待遇を定め、昇給・賞与に関する取り決めも雇用条件に記載しましょう。外国人労働者の日本語能力にもよりますが、相手の母国語で雇用条件をまとめた書類を作成すると認識をすり合わせやすくなります。

賃金から引かれる税金の説明を行う

外国人労働者のなかには日本の税金に詳しくない人もいるので、トラブルに発展しないよう、雇用する段階で説明しておくのが賢明です。ワーキングホリデーやインターンシップといった短期間滞在の外国人以外は、日本人と同じように給与から税金が引かれます。あらかじめ外国人労働者に周知しておきましょう。

入管法と労働基準法を遵守する

外国人労働者を雇用するうえでも法律の遵守は大切です。外国人労働者にも日本人と同じように、最低賃金法や労働基準法が適用されます。また、外国人労働者を雇用する際は入管法にも注意しなければなりません。在留資格や在留期限の確認、従事可能な業務の振り分けなどは外国人労働者を雇用する企業の義務です。外国人労働者が安心して働けるように、法律遵守を心掛けましょう。

ハローワークへ雇用状況の届出を行う

外国人労働者を雇用する企業は、ハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行うことが義務づけられています。届出を怠った場合、30万円以下の罰金が科されるので忘れないうちに提出しましょう。なお、外国人雇用状況の届出は雇用・離職のタイミングで行う必要があります。外国人労働者が雇用保険に加入するかによって様式や提出期限が変わるため、届出を行う前に確認しておくのが賢明です

参照元
厚生労働省「届出様式について

外国人労働者の賃金設定でお悩みの方は「外国人労働者の賃金はどう決めるの?企業に向けルールを解説」のコラムも併せてご覧ください。

まとめ

外国人労働者の賃金は、日本人と同じように労働基準法や最低賃金法といった法律が適用されます。外国人労働者を雇用する際は、本人のスキルに応じた賃金設定を行いつつ、法律を遵守できているかにも気を配りましょう。