外国人労働者へ最低賃金は適用される!計算方法も紹介

2020年07月27日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

日本では法律で定められている最低賃金。

最低賃金は毎年10月に改定され、地域ごとに基準が異なります。そして、外国人労働者にも適用されるので雇用前に確認するのが大切です。

今回は外国人労働者の雇用を検討している企業へ向けて、最低賃金の仕組みや対象者をはじめ、時給や日給の仕組みを紹介します。

また、外国人労働者を採用する際の注意点も紹介するので、参考にしてみてください。

外国人労働者と最低賃金

まずは、外国人労働者の最低賃金や対象者、各地域の最低賃金などを紹介します。

・外国人労働者にも適用

最低賃金の対象者は、外国人労働者にも適用されます。最低賃金は日本人だけでなく、日本で就労している全ての方に該当するので勘違いしないようにしましょう。

万が一最低賃金を下回っている場合は罰金が科され、企業の信用にも関わるでしょう。また、最低賃金(最低賃金法)の他にも、労働基準法など労働に関する各法律が適用されます。

最低賃金は、各地域で定められている金額を基準に設定するのが基本です。

・技能実習生も対象

国内で就労する外国人労働者は、特定技能を取得している方の他にも特定活動などさまざまな就労ビザを取得しています。

そして技能実習生も最低賃金の対象となるので、ビザや出身国などで変わらない点を理解しておきましょう。

外国人を雇用する企業によっては、最低賃金でも高いと考え、減額を希望することもあるようです。しかし、最低賃金を下回る給与設定は、法律違反です。法律を遵守し、最低賃金以上の給与を支払うのは企業の義務です。

・東京都の最低賃金

最低賃金は、47都道府県でそれぞれ異なり、毎年10月1日~5日頃に改定されます。

東京都の最低賃金は1,013円(2019年)で、2018年の最低賃金985円から28円上がっています。ですから、東京都で就労している外国人労働者も、最低賃金1,013円です。

給与の設定は、上記の最低賃金をベースに計算します。しかし、確認を怠ると改定後の最低賃金が、自社の賃金を上回っている可能性もあるので定期的に確認しましょう。

参照:厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧

・地域ごとの最低賃金

続いては、47都道府県の最低賃金を以下に紹介します。また、各地域の最低賃金は、厚生労働省のホームページで公開しています。

都道府県名 最低賃金時間額【円】   発効年月日
北海道 861 (835) 令和元年10月3日
青  森 790 (762) 令和元年10月4日
岩  手 790 (762) 令和元年10月4日
宮  城 824 (798) 令和元年10月1日
秋  田 790 (762) 令和元年10月3日
山  形 790 (763) 令和元年10月1日
福  島

798

(772) 令和元年10月1日
茨  城 849 (822) 令和元年10月1日
栃  木 853 (826) 令和元年10月1日
群  馬 835 (809) 令和元年10月6日
埼  玉 926 (898) 令和元年10月1日

千  葉

923 (895) 令和元年10月2日
東  京 1,013 (985) 令和元年10月4日
神奈川 1,011 (983) 令和元年10月1日

新  潟

830 (803) 令和元年10月6日
富  山 848 (821) 令和元年10月1日
石  川 832 (806) 令和元年10月1日
福  井 829

(803)

令和元年10月4日
山  梨 837 (810) 令和元年10月1日
長  野 848 (821) 令和元年10月4日
岐  阜 851 (825) 令和元年10月1日
静  岡 885 (858) 令和元年10月1日
愛  知 926 (898) 令和元年10月1日
三  重 873 (846) 令和元年10月1日
滋  賀 866 (839) 令和元年10月3日
京  都 909 (882) 令和元年10月1日
大  阪 964 (936) 令和元年10月1日
兵  庫 899 (871) 令和元年10月1日
奈  良 837 (811) 令和元年10月5日
和歌山 830 (803) 令和元年10月1日
鳥  取 790 (762) 令和元年10月5日
島  根 790 (764) 令和元年10月1日
岡  山 833 (807) 令和元年10月2日
広  島 871 (844) 令和元年10月1日
山  口 829 (802) 令和元年10月5日
徳  島 793 (766) 令和元年10月1日
香  川 818 (792) 令和元年10月1日
愛  媛 790

(764)

令和元年10月1日
高  知 790 (762) 令和元年10月5日
福  岡 841 (814) 令和元年10月1日
佐  賀 790 (762) 令和元年10月4日
長  崎 790 (762) 令和元年10月3日
熊  本 790 (762) 令和元年10月1日
大  分 790 (762) 令和元年10月1日
宮  崎 790 (762) 令和元年10月4日
鹿児島 790 (761) 令和元年10月3日
沖  縄 790 (762) 令和元年10月3日
全国加重平均額 901 (874) 令和元年10月1日
参照:厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧

事業所や工場などを複数の地域に設置している場合は、従業員の勤務地ごとに賃金を設定します。

例:複数の事業所を設けている企業

  • 東京都の本社:1,013円

  • 千葉県の事業所:923円

  • 大阪府の事業所:964円

・海外の最低賃金

海外と日本の最低賃金を比較すると、日本は中間に位置しています。また、ここではOECDが発表している最低賃金・ドル換算の情報から紹介します。

  • アメリカ:7.3ドル(811.42円、3月20日時点のレート)

  • イギリス:9.6ドル(1067.08円、3月20日時点のレート)

  • ブラジル:2.2ドル(244.54円、3月20日時点のレート)

  • コロンビア:2.7ドル(300.12円、3月20日時点のレート)

  • ロシア:2.3ドル(255.65円、3月20日時点のレート)

※2018年の最低賃金(時給)

参照:OECD 実質最低賃金

各国の最低賃金は、物価水準や経済状況、為替レートによって大きく変わります。

最低賃金の仕組み

続いては、最低賃金の仕組みと月給・日給・時給、それぞれの計算方法を解説します。

・最低賃金とは

最低賃金は、法律定められた最も低い賃金を定めたもので、各地域によって異なります。また、時給換算で定められているので、月給・日給の場合は各種手当なども考慮しながら計算しなければいけません。

・月給の計算

月給で計算する場合は、まず基本給を設定します。

  • 時給×1ヶ月の労働時間=基本給

この時点で最低賃金を下回っている場合は法律違反となるため、厚生労働省の資料を参考に設定します。

  • 基本給

  • 時間外手当

  • 交通費

  • 技能手当

また、一般的には各種手当を追加しますが、時間外手当と交通費(通勤手当)は最低賃金に含まれません。そのため月給を設定する際は、基本給をベースに検討するのが大切です。

・日給の計算

日給で計算する場合は、1日の労働時間で設定します。

  • 1日の労働時間×最低賃金以上=日給

  • 例:8時間×1,500円=日給12,000円

日給は1日の労働時間で割った際に、最低賃金以上であれば問題ありません。また、労働時間は、1日8時間を超えていけません。

・時給の計算

時給の場合は、単純に最低賃金をベースに計算するのみで最もシンプルです。

例:東京都、1,013円

  • 時給1,013円×労働時間=1ヶ月の給与

給与の設定や計算方法で不明点がある企業は、最寄りの労働基準監督署へ相談することをおすすめします。

外国人労働者が日本で働く理由

ここでは外国人同労働者が、なぜ日本で働くのか一般的な理由を紹介します。

・給与が他国よりも良い

外国人労働者の中には、自国の給与よりも日本の方が良いため就労するケースも珍しくありません。

たとえばロシアの最低賃金は約255円で、日本の最低賃金790円(各都道府県の中で最も低い賃金)の約3分の1です。

仮に1ヶ月の給与が15万円の場合、日本では必ずしも高いといえる水準ではありません。しかし、ロシアの最低賃金から比較すると、約3倍もの給与水準です。

このように物価や給与水準によっては日本で就労した方が良いと考えられるので、外国人労働者が日本で働いています。

・人材不足のため就労しやすい

日本は少子高齢化が続き、人口減少も進んでいます。そのため、各産業で人材不足が深刻化しています。

日本にとっては大きな問題ですが、外国人労働者にとっては就労しやすい環境です。また、特定技能や技能実習といった制度を活用しながら働いています。

人材不足は今後も続くと考えられるので、雇用を増やしたい企業も外国人労働者の採用を検討してみるのがいいでしょう。

外国人労働者を採用する際の注意点

企業の中には、人材を確保しやすいといった理由から、外国人労働者を受け入れています。しかし、人材コストや特別最低賃金など、いくつか注意点があるので慎重に検討する必要もあります。

・日本人1人の人材コストと同一視しない

外国人労働者と日本人1人の人材コストは、必ずしも同じではありません。もちろん最低賃金は、国内の労働者に対して適用されます。

しかし、外国人労働者の日本語能力や生活に関するサポート(寮の用意など)など、福利厚生などさまざまな点で負担がかかります。

外国人労働者を雇用するということは、言葉や文化の違いなど配慮・工夫しなければいけないポイントも多く、賃金や人材確保だけに捉われてはいけません。

・特定最低賃金か確認

最低賃金には前半で紹介した地域別の最低賃金の他、特定最低賃金と呼ばれる制度もあります。

特定最低賃金に指定された自動車や電子回路など特定の産業は、地域別最低賃金よりも高い最低賃金に設定されています。ですので該当する企業は、外国人労働者に限らず日本人の従業員に対して、特定最低賃金で給与を支払わなければいけません。

また、地域別最低賃金と特定最低賃金どちらも該当している場合は、特定最低賃金で統一する必要があります。

労働者を採用する前に、自社の事業が特定最低賃金に該当するのか確認しましょう。

・スキルに見合った賃金設定

外国人労働者の賃金設定は、スキルに見合った金額で考えることが大切です。コストを抑えることも大切ですが、適切な賃金を支払わなければ人材流出や信用に関わります。

また、外国人労働者によって、日本語能力や保有資格、実務経験など多種多様です。各労働者のスキルや経験をベースに、適切な賃金を検討しましょう。

外国人労働者の採用時には最低賃金が適用される

最低賃金は、外国人労働者を含め国内で就労している方に適用されています。最低賃金を下回る給与設定は、法律違反となり罰金刑となります。

金額は地域によって異なり、東京都が1,013円と最も高い設定です。ただ、特定の産業については、地域別最低賃金よりも高い金額となるため確認が必要です。

外国人労働者の採用は、必ずしも人材コストを抑えられる訳ではありませんので、国内外から人材を確保することを考えましょう。

関連記事