在留資格「特定活動」とは、今まである在留資格に当てはまらない活動をする人に付与されます。たくさんの種類があり、就労ができないものから制限なく仕事を選べるものまでさまざまです。
この記事では、「特定活動」とはどのような在留資格なのかを解説します。3つの分類のほか、主な種類についても紹介。内容を参考にして申請を進めましょう。
目次
在留資格「特定活動」とは
「特定活動」とは、個々の外国人の状況を考慮して法務大臣により許可される在留資格のことです。ほかの在留資格のように、活動内容が一つに決められているわけではありません。さまざまな種類があり、就労が許可されているもの・許可されていないものがあります。
「特定活動」ができたのは、すでにある在留資格に当てはまらない活動を希望する人を受け入れるためです。一から在留資格を作るためには法律を変えなければなりません。それではかなりの時間が掛かるので、政府は在留資格「特定活動」を作り、さまざまな活動ができるようにしました。
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特定活動と特定技能の違いとは
特定活動と特定技能は名前が似ていますが、全く違う在留資格です。
「特定活動」は、前述したとおり既存の在留資格に当てはまらない活動をする外国人に対して、法務大臣が個別に付与します。一方、特定技能は人材が特に不足している「特定産業分野」で働く外国人に付与される在留資格です。このように、名前が似ているだけで許可されている活動は全く異なります。
特定活動と特定技能については、「日本の農業は高齢化が深刻!外国人が求められる理由や働くメリットとは」の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。
特定活動の分類
在留資格「特定活動」で許可される活動は、あらかじめ決まっているものと法務大臣が個々の事情に合わせて許可を決めるものがあります。分類は以下の3つです。
入管法に規定されている特定活動
出入国管理及び難民認定法の定めにより、以下の3種類の活動をする人は在留資格「特定活動」を取得できます。
特定研究活動 |
高度な研究や研究の指導、教育をする活動 |
特定情報処理活動 |
自然科学や人文科学の分野に属する技術や知識を要する情報処理に係る活動 |
特定研究等家族滞在活動および特定情報処理家族滞在活動 |
上記2つの活動をする外国人の家族滞在活動 |
一定の条件を満たす企業や国の機関などで研究や情報処理の活動をする人、もしくはその家族に付与されます。
告示特定活動
告示特定活動はある程度申請者が多い活動で、法務大臣により告示されています。告示とは、公的な機関が情報を一般に広く知らしめることです。告示特定活動はそれぞれ番号が振られており、2023年12月時点で50番まであります。必要に応じて追加や削除がありますが、番号に変更はありません。
告示外特定活動
告示外特定活動とは、告示はされていないものの法務大臣の判断により慣習的に許可されている活動のことです。人道的観点もしくは社会情勢の変化により柔軟的に対応すべきときに許可されます。近年では、コロナ禍による帰宅困難者やウクライナ避難民、帰国が難しい在留ミャンマー人にも許可されました。
代表的な特定活動の種類とは
ここでは、在留資格「特定活動」のなかでも代表的な活動について解説します。
卒業後の継続した就職活動
大学や専門学校などを卒業したあとも就職が決まらず、継続して就職活動をしたい留学生には告示外特定活動が許可されます。日本の教育機関に通う留学生は在留資格「留学」を持っています。しかし、卒業したら在留資格「留学」で日本に在留し続けることはできません。そのため、在留資格を特定活動に変更する必要があります。
在留資格「特定活動」で就職活動ができる在留期間は6ヶ月間で、条件を満たせばさらに6ヶ月の在留が可能です。なお、資格外活動許可を受ければ週28時間以内のアルバイトが可能です。
内定待機
卒業後に、在留資格「特定活動」を得て就職活動をした留学生や秋採用で内定を得た留学生は、入社まで時間が掛かる場合があります。また、留年や休学などの関係で卒業時期がズレることもあるでしょう。そのようなときは、内定待機のための「特定活動」を取得可能です。申請するには、以下の条件に該当している必要があります。
- 「留学」もしくは継続就職活動を目的とする「特定活動」の在留資格で在留していること
- 日本の教育機関を卒業、もしくは教育機関の課程を修了したこと
- 内定後1年以内であって、かつ卒業後1年6ヶ月以内に採用されること
- 企業等において従事する活動が「技術・人文知識・国際業務」など、就労に関係するいずれかの在留資格への変更が見込まれること
- 在留状況に問題がないこと
- 採用企業が内定者と連絡を頻繁に取り合い、内定取り消しになったらすぐ入管に報告することについての誓約書を書くこと
入社までの間は、資格外活動許可を得ればアルバイトができます。
インターンシップ
海外の大学に通う人がインターンシップをする場合は、在留資格「特定活動」を取得します。インターンシップは告示特定活動に分類され、番号は9号です。
なお、在留資格「特定活動」が許可されるインターンシップは、1年を超えないかつ大学に通う年月の半分に満たない期間、そして報酬があるものに限ります。報酬を受けない場合は90日以内であれば「短期滞在」、90日以上であれば「文化活動」の在留資格が必要です。
すでに在留資格「留学」を得て日本にいる留学生がインターンシップをする場合は、「特定活動」に変更する必要はありません。報酬を受けない場合は、そのままの在留資格でインターンシップができます。報酬があり、勤務時間が週に28時間以下の場合は、包括的な資格外活動許可を受けましょう。勤務時間が長期休暇期間外かつ週に28時間を超えるときは、個別で資格外活動許可を得る必要があります。
本邦大学卒業者
日本の大学や大学院を卒業し、高い日本語能力(JLPTのN1またはBJTテスト480点以上)を持っている留学生は「特定活動(本邦大学卒業者)」の在留資格を取得可能です。別名、特定活動46号とも呼ばれています。特定活動46号は、留学生が日本で学んだ知識や日本語能力を活かしながら働けるよう創設されました。就ける職業の例は以下のとおりです。
- 飲食店の接客
- 工場や倉庫での作業
- スーパーやコンビニエンスストアなどの小売店での接客
- 宿泊施設での接客
- 介護スタッフ
- タクシードライバー
ただし、単純作業のみを行うことはできません。身に付けた日本語能力を活かして、接客や通訳、外国人従業員への指導などの業務も行う必要があります。
ワーキングホリデー
ワーキングホリデーは、告示特定活動5号の1または2に指定されています。ワーキングホリデーとは、協定を結んだ国から来日した青少年に対して、休暇のための滞在および滞在費を稼ぐための就労を認める制度です。特定活動の在留資格でワーキングホリデーができるのは6ヶ月で、申請すれば最長1年日本に在留できます。ワーキングホリデーでは職種の制限がなく、風俗営業に関わる仕事でなければ自由に仕事の選択が可能です。
高齢の親の呼び寄せ
外国人の親のための在留資格は作られておらず、通常は日本で一緒に暮らすことはできません。ただし、法務大臣が人道的に必要だと認めた場合に限り、告示外特定活動が許可される可能性があります。
特別なケースなので明確な基準はありませんが、以下に当てはまった場合に許可されることがあるようです。
- 本国に身寄りがない
- 健康に不安がある
- 70歳以上
- 日本にいる子どもの生活が安定している(扶養能力がある)
あくまで総合的な状況を見て判断されるので、上記に該当しても許可されるとは限りません。申請前に地方出入国在留管理官署への相談が必要です。
出国準備
在留資格の更新が不許可になり、その時点で本来の在留期限が切れている場合は、出国準備のために在留資格「特定活動」が許可されます。本来の在留資格はもう失効しているので、そのままではオーバーステイとなりさまざまな罰則を受けなくてはなりません。しかし、「特定活動」の在留資格を取得することにより、30日の猶予ができます。その期間中に帰国のための準備を進められる仕組みです。
ワーキングホリデーについて詳しく知りたい方は、「日本でワーキングホリデーがしたい外国人にビザの種類や注意点を解説」の記事を参考にしてください。
参照元 出入国在留管理庁「大学等の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在をご希望のみなさまへ」 出入国在留管理庁「インターンシップをご希望のみなさまへ」
在留活動「特定活動」の申請方法とは
在留資格「特定活動」にはさまざまな活動があるため、申請方法も種類によって異なります。本来、外国人が日本国内にいなくても、代理人が「在留資格認定証明書交付申請」を行えば在留資格を取得できます。しかし、特定活動のうち、告示外特定活動は外国人が海外にいる状態では申請手続きができません。一度在留資格「短期滞在」で入国してから「在留資格変更許可申請」が必要です。
このほかに、提出する書類も希望する活動によって大きく変わります。内容をよく確認しつつ準備を進めましょう。
まとめ
在留資格「特定活動」は申請対象となる活動の種類が非常に多様です。自分が日本で行いたい活動に当てはまる種類があれば、ぜひ取得を検討してみてください。
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