日本の農業は高齢化が深刻!現状と将来的な影響を外国人向けに解説

WeXpats
2023/02/07

在留資格「特定技能」の創設によって、日本の農業分野で働きたいと考えている外国人もいるでしょう。日本の農業は農業従事者の高齢化が深刻になっており、若い働き手の確保が重要視されています。このコラムでは、日本の農業が抱える問題や農業従事者の高齢化による影響を解説。高齢化が進む日本の農業の現状を解決する方法もまとめています。日本の農業に興味がある方や就農を考えている外国人は、参考にしてください。

目次

  1. 高齢化している日本の農業従事者
  2. 高齢化する日本の農業における課題
  3. 高齢化が深刻な日本の農業を救う解決策
  4. まとめ

高齢化している日本の農業従事者

高齢化している日本の農業従事者の画像

農林水産省の発表によると、日本の農業従事者は高齢化が進んでいるうえ、減少傾向にあります。農業従事者の減少と高齢化が続けば、日本の農業は立ち行かなくなる可能性が高いでしょう。

基幹的農業従事者の約7割が65歳以上

主に自営農業に従事している基幹的農業従事者は、2021年時点で130万2100人おり、そのうち約7割が65歳以上です。また、農林水産省の「食料・農業・農村白書」によると、2020年時点の基幹的農業従事者は136万3000人で平均年齢は67.8歳でした。2020年と2021年の基幹的農業従事者数を比較すると、1年間で6万人ほど減少していることが分かります。2021年の基幹的農業従事者の平均年齢は公表されていないものの、依然として高齢者が多いため前年と同等もしくはそれ以上と考えられるでしょう。

日本の農業では、後継者不足が深刻な問題となっています。跡継ぎがいないために高齢になっても農業を続ける人が多く、基幹的農業従事者の平均年齢が上がっているようです。

参照元
農林水産省
「令和2年度 食料・農業・農村白書」
「令和3年農業構造動態調査結果

高齢化する日本の農業における課題

高齢化する日本の農業における課題の画像

日本の農業は高齢化と就業人口の減少によって働き手が不足しており、若い労働力の確保や後継者の育成が課題となっています。また、高齢農業者による農作業事故が増えているのも、高齢化が進んでいる昨今では解決すべき問題です。日本の農業における課題を知ることで、業界全体の現状が見えてくるでしょう。

若い後継者の確保・育成

先述したように、日本の農業は後継者不足による基幹的農業者の高齢化が深刻です。日本の農業を継続的に発展させていくには、農地や機械設備といった有形資産のほか、技術・ノウハウ・人脈を次の世代に受け継がなければなりません。そのため、日本に約370校ある農業高校で後継者を育成したり、市町村や農協、農地バンクなどの関係機関が連携して、就農相談や短期農業経験を実施したりしています。若い労働力の確保や後継者の育成の結果が出るのは、数年後になるでしょう。

新規就農者に対する支援体制の強化

青年層の新規就農者を取り込んで定着させるため、農林水産省をはじめとした日本の農業に携わっている関係機関は、支援体制の強化に取り組んでいます。農林水産省の調査によると、2020年の新規就農者数は5万3,740人で、その内49歳以下の青年層が1万8,380人です。新規就農者の多くが50歳以上ということを考えると、青年層の取り込みが上手くいっていないことがうかがえます。しかも、2020年の新規就農者は前年に比べて3.8%減、49歳以下に絞っても0.9%減少しているのが現状です。

農林水産省は、世代間バランスの取れた農業労働力の構造を実現し地域農業を維持するため、就農に必要な資金の交付を行っています。経営開始型の支援金を交付された人の94.8%は翌年度も営農を続けているため、効果が高い取り組みといえるでしょう。また、農業に関するポータルサイトを運営し、支援サービスの紹介や情報提供を行うことでも、新規就農者の定着を図っています。

農作業事故の発生防止

日本の農業ではトラクターや農用運搬車、自脱型コンバインなどを使うため、農作業中に事故が発生することがあります。農林水産省の発表では、2019年に農作業死亡事故で亡くなった人は281人です。亡くなった人のうち88.3%は65歳以上の高齢者のため、高齢化が進んでいる日本の農業では農作業事故の発生防止が課題となっています。農作業死亡事故の要因の約7割は農業機械作業で、特に乗用型トラクターからの転倒・転落が多いです。

農林水産業は毎年多くの死傷事故が発生しているため、安全な職場づくりが目下の課題といえます。事故を減らすにはトラクターへの安全フレームの装備やシートベルト・ヘルメットの装着、日常的な農業機械の点検整備などの安全対策が重要です。農林水産業や各都道府県、農機メーカーが注意喚起を行うことで事故防止に取り組んでいます。

日本の農業の問題点については詳しく書かれた「日本の農業は問題が山積み?外国人にも知ってほしい業界の課題点と強み」のコラムもおすすめです。

参照元
農林水産省
「令和2年新規就農者調査」
「令和元年の農作業死亡事故について

高齢化が深刻な日本の農業を救う解決策

高齢化が深刻な日本の農業を救う解決策の画像

高齢化と就業人口の減少が深刻な日本の農業の現状を打開する解決策として、外国人の雇用やIT化による効率化、新しい農業スタイルの取り入れが挙げられます。それぞれの解決策について詳しく解説しているので、日本で農業を行いたい外国人や人手不足に対する対策が気になる方は、チェックしてみましょう。

外国人労働者および技能実習生の受け入れ

人手不足を解消するために、在留資格「特定技能」で農業への就業を認められた外国人労働者を雇用するのも一つの方法です。特定技能を持つ外国人を雇用する際は、農業特定技能協議会に加入します。正しく制度を理解し、運用すれば外国人は良い労働力となるでしょう。

また、外国人技能実習生を受け入れるのもおすすめの解決策です。実際に、2019年時点で農業に従事する外国人は3万1,072人で、その内8割強が外国人技能実習生とされています。なお、外国人技能実習生を受け入れるには、監理団体への加入が必須です。

外国人技能実習生が耕種農業、または畜産農業の技能実習2号を修了した場合、同じ業務区分の特定技能1号に移行できます。在留資格によって在留期間の上限が決まっているため、長期間受け入れたい方は外国人技能実習生から受け入れるのがおすすめです。

IT化による農業の効率化

農業の未来を変えるとして注目を集めているのが、ロボット技術や情報通信技術といった最先端技術を取り入れた「スマート農業」です。日本の農業は高齢化と就業人口の減少が進んでおり、若い労働力の確保が上手くいっていません。そのため、少人数でも高品質な生産が実現できるスマート農業への期待が高まっています。

日本の農業は機械化が難しい作業や熟練者以外ができない仕事が多く、負担軽減が大きな課題です。そこで、先端技術を活用して一部の農作業を自動化することが推進されています。自動走行可能なトラクターやドローンによる農薬散布、人工衛星による農作物の生育状況の診断など、先端技術を活用すれば少ない人数でも無理なく働けるでしょう。

通勤農業の導入

若い労働力や後継者を確保したい農業従事者に適した解決策は、「通勤農業」の導入です。近年の日本では利便性が高い都市型生活を送る若者が多いため、ライフスタイルを変えたくないという理由から、農業離れが進んでいるとされています。このような若年層~青年層を取り込むための解決策が、生活を営む都市から農地がある地方へ通う通勤農業です。農林水産業が交付している支援金を利用すれば、まとまった資金がなくても基幹的農業従事者として就農できる可能性もあります。通勤農業という就農の在り方が浸透すれば、若い労働力や後継者の確保・育成が容易になるでしょう。

参照元
参議院「農林水産業のおける外国人材の受入れ」
農林水産省「スマート農業

まとめ

まとめの画像

日本の農業では就業人口の減少と高齢化が深刻になっており、2021年時点で基幹的農業従事者130万2,100人のうち、約7割が65歳以上です。今後も高齢化が続いていけば日本の農業の将来は危ういため、若い労働力や後継者の確保・育成が急務とされています。日本の農業は外国人材の受け入れも積極的に行っているため、興味がある方はチャレンジしてみると良いでしょう。

ライター

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