暑中見舞い・残暑見舞いを書くのは簡単です。書き方に決まった形式はなく、定番の文章構成に当てはめるように書けば無難な内容に仕上げられます。相手を気遣う言葉や近況を報告する言葉など、自分らしい言葉で書くと気持ちが伝わるお便りになるでしょう。
このコラムでは、暑中見舞い・残暑見舞いの基本的な書き方と文例を紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。
目次
暑中見舞い・残暑見舞いの書き方
暑中見舞い・残暑見舞いは、普段なかなか会えない人やお世話になっている人に送る挨拶状です。暑さの厳しい季節に、相手の健康を気遣う言葉やこちらの無事を伝える言葉を書いて送ります。
暑中見舞い・残暑見舞いの書き方に決まった形式はありません。ただし、一般的な書き方というものがあるので、ここで紹介します。文章の構成は主に3部。「お見舞いの挨拶」「季節の挨拶と主文」「日付」からなります。それぞれの書き方について確認してみましょう。
お見舞いの挨拶
「暑中お見舞申し上げます」「残暑お見舞申し上げます」といった決まり文句を大きめの字で書きます。句点は必要ありません。
季節の挨拶と主文
「暑い日が続きますがいかがお過ごしですか」と、季節の挨拶と相手を気遣う言葉を書きます。お世話になった人なら、お礼も伝えておきましょう。
そのあと、「おかげさまで私は元気に過ごしています」と自分の近況を書きます。帰省の予定や自分らしいエピソードがあれば入れると良いでしょう。相手が心配になるような内容は避け、幸せな話や季節感のある話題が好ましいといえます。あくまで挨拶なので、長い文章よりも短く簡潔な内容にしましょう。
終わりに「時節柄くれぐれもご自愛ください」と、相手の健康を祈る言葉で締めます。
日付
日付を書きます。日付は詳細に書かず「令和△年7月」のように書きましょう。
また、暑中見舞いの場合は「令和△年盛夏」、残暑見舞いの場合は「令和△年晩夏」「令和△年立秋」などと書くこともあります。拝啓や敬具といった頭語・結語は不要です。
宛名の書き方
暑中見舞い・残暑見舞いの宛名の書き方は一般的なはがきと同じです。はがきのオモテ面の右上に相手の郵便番号を横書きで記入。右側に相手の住所、中央に大きく相手の名前、左側に自分の住所・名前・郵便番号を書きましょう。相手の名前には敬称をつけるのがマナーで、個人宛には「様」、組織や団体宛には「御中」を用いるのが一般的です。
郵便物の送り方については「日本の郵便物や荷物の送り方を外国人に向けて紹介!【コンビニや郵便局が便利】」で紹介しているので、ぜひご覧ください。
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暑中見舞い・残暑見舞いの文例
暑中見舞い・残暑見舞いには、相手を気遣ったり自分の近況を伝えたりする意味があります。以下の文例を参考にして、自分らしい内容を書いて送ってみましょう。
暑中見舞いの文例
暑中お見舞申し上げます
厳しい暑さの毎日ですがいかがお過ごしでしょうか。
日頃よりいろいろとお世話になりながらも、ご無沙汰しておりまして申し訳ございません。
おかげさまで私どもは家族一同、相変わらず元気に暮らしておりますのでご安心下さい。
今年も暑い日が続くようです。体調を崩されませんようご自愛ください。
令和△年 盛夏
残暑見舞いの文例
残暑お見舞い申し上げます
暦の上ではもう秋ですがまだまだ暑い日が続きます。皆様はお変わりなくお元気にしていらっしゃいますか。
今年はずいぶん暑い日が続きましたが、もう少しの辛抱かと思っております。
季節の変わり目、お体を大切に過ごされますようお祈り申し上げます。
令和△年 立秋
暑中見舞い・残暑見舞いを送る時期
暑中見舞いを送る時期は、7月ごろ~8月7日(立秋の前日)です。
送りはじめのタイミングは曖昧で、梅雨明け、二十四節気の小暑(7月7日ごろ)、夏の土用の時期(7月20日~)など諸説あります。基本的に夏らしい気候になったら送るようにしましょう。
残暑見舞いは、8月8日(立秋)~8月末ごろまでに届くよう送るのがマナーです。遅くとも「処暑の候(8月23日~9月7日)」までに届くように送りましょう。
暑中見舞い・残暑見舞いの基礎知識
ここでは暑中見舞い・残暑見舞いに関する基礎知識を紹介します。どのように書けば良いのか迷った場合はチェックしてみましょう。
そもそも暑中見舞い・残暑見舞いって何?
暑中見舞いの習慣は、もともとお盆に里帰りする際に先祖の霊にお供えする品を持っていっていたのがはじまりです。それが江戸時代ごろに、お世話になった人に贈答品を送る習慣として広まりました。
その後、明治時代になって郵便制度が発達すると、贈答の習慣は簡素化。挨拶状を送る習慣となり、大正時代には「暑中見舞い」として送るスタイルが定着しました。
暑中見舞いと残暑見舞いの違いって?
暑中見舞いと残暑見舞いの意味合いは同じです。相手の体調を気遣ったり、自身の近況を報告したりする意味があります。違いは送る時期。暑中見舞いは7月ごろ~8月7日(立秋の前日)に、残暑見舞いは8月8日(立秋)~8月末に届くように送ります。また、送る時期が異なるため、季節の挨拶や文末の日付の書き方も異なります。
縦書き?横書き?
暑中見舞い・残暑見舞いは縦書きがマナーです。上司や先生、目上の人に送る場合は、基本的に縦書きにしましょう。一方、親しい間柄で気軽に送るぶんには横書きでも問題ありません。絵柄入りのおしゃれな横書き用はがきも売られているので、相手によって使い分けましょう。
はがきは何を使えばいい?
暑中見舞い・残暑見舞いには、年賀状のような専用のはがきはありません。そのため、目上の人が相手でも普通はがき(官製はがき)でOKです。自分で切手を貼る私製はがきを使うこともできます。
以前は「かもめ~る」という夏限定のはがきがあり、暑中見舞いに使われていましたが、2021年に廃止になってしまいました。代わりに夏柄の絵入りはがきが販売されるようになったので、使ってみても良いでしょう。
暑中見舞い・残暑見舞いに返事は必要?
暑中見舞い・残暑見舞いは、いただいたら返事を書いて送るのがマナーです。特に、目上の人からいただいた場合は必ず返事を書くようにしましょう。暑中見舞いを送るのか、残暑見舞いを送るのかは、相手に届く時期によって異なるため注意が必要です。また、「ご丁寧に暑中見舞いをいただき、誠にありがとうございました。」など、感謝の言葉を本文に付け加えると良いでしょう。
返事が残暑見舞いの期限を過ぎてしまったら?
暑中見舞い・残暑見舞いの返事が処暑の候(~9月7日)を過ぎてしまったら、通常のはがきとして返事を書きましょう。お見舞いではなくお礼状として書くため、「お見舞い申し上げます」から始めないのがポイントです。目上の人が相手なら「白露の候」「秋晴の候」など季節の挨拶からはじめるのも良いでしょう。
喪中の相手に暑中見舞い・残暑見舞いは送れる?
喪中(もちゅう)は、遺族が故人を偲ぶ期間のことです。喪中はおよそ1年あり、その間はお祝い事や慶事は避けたほうがいいとされています。
しかし、暑中見舞い・残暑見舞いはあくまで季節の挨拶なので、自分もしくは相手が喪中だったとしても送っても問題ありません。ただし、配慮は必要です。明るくカラフルなデザインは避け、シンプルで落ち着いた色のデザインを選ぶのがマナー。また、お悔やみや慰め、励ましの言葉を盛り込んで相手を気遣う文面にすると良いでしょう。
なお、故人が亡くなってから四十九日の法要までの「忌中(きちゅう)」の期間は避けることをおすすめします。「忌明け」してから送るようにしましょう。
まとめ
暑中見舞い・残暑見舞いは、相手のことを気遣って送る夏の挨拶状です。思いやりの心がこもった夏らしいはがきからは、メールにはないぬくもりが感じられます。はがきの書き方に決まったルールはないので、ぜひ気軽に筆をとってみましょう。