前株とは?後株との違いや使い方・注意点を解説

WeXpats
2024/07/02

「前株」は社名を表記するときに使う言葉であり、「株式会社」を前に書くことを意味します。会社名を正しく書くことは相手を敬うことであり、ビジネスシーンにおいても大切なマナーです。
この記事では、前株・後株の意味や使い方、注意点などを解説します。そのほか、前株・後株を使った例文も紹介しているので、参考にして会話に挑戦してみてください。

目次

  1. 前株とは
  2. 後株とは
  3. 前株・後株を使うシーンと例文
  4. 前株と後株に関する注意点
  5. まとめ

前株とは

前株(まえかぶ)とは、社名の前に「株式会社」がつくことを表す言葉です。たとえば、「株式会社▲▲」のような社名を前株といいます。前株は、「株式会社」が社名のどの位置にあるのかを確認する際に使う言葉です。
会社法では、企業名(商号)のどこかに株式会社という文字を入れなければならないと決められており、入れる位置は指定されていません。社名の前に表記するのか、後に表記するのかは設立者の自由です。

前株の社名が与えるイメージは以下のとおりです。

  • 「株式会社」での運営を強調するので信用度が高くなる

  • 勢いのある印象を与える

  • カタカナや英語の社名の場合は前株のほうが聞こえが良い

近年では、前株の会社名が増加傾向に。特にIT系企業や銀行は、前株の社名が多いといわれています。

後株とは

後株(あとかぶ)とは、社名の後に「株式会社」がつくことを表します。「●●株式会社」のような社名です。

後株の社名が与えるイメージは以下のとおりです。

  • 社名を強調できるので覚えてもらいやすい

  • 落ち着いた印象を与える

  • 老舗企業に多い

長い歴史のある企業は後株が多いことから、「老舗」「伝統がある」「堅実」「安定感がある」というイメージがあります。また、歴史ある企業はアルファベットやカタカナ表記よりも漢字表記が多い傾向にあることから、後株の社名は落ち着いた印象です。

なお、前株や後株は日本独自の概念で、海外では使用されていません。たとえば、「株式会社●●」や「●●株式会社」は、「●●Inc.」や「●●Co.,Ltd」「●●Ltd.」「●●Corp.」のように表記します。

日本の企業の働き方や特徴については「日本の企業文化の特徴を解説!組織内での働き方や仕事の慣習を理解しよう」で紹介しています。

前株・後株を使うシーンと例文

前株と後株はビジネスシーンや日常生活などにおいて、正しい社名を確認する際に使われる言葉です。ここでは、前株や後株を使う場面と例文を紹介するので、会話をする際の参考にしてください。

領収書

領収書を発行したり、作成を依頼したりする際には、必ず前株か後株かを確認します。

(例文)
A:「領収書をお願いします。社名は●●です」
B:「前株でしょうか、後株でしょうか?」
A:「前株です」
B:「承知いたしました。領収書の宛名は株式会社●●と記載いたします」

トラブルを防ぐためにも、領収書を受け取った際は、宛名に間違いがないか確認しましょう。宛名が異なると、経理処理ができない可能性があります。

なお、領収書の作成を依頼された際に、「宛名は上様(うえさま)でお願いします」と言われることがあります。領収書の宛名部分に会社名の代わりに表記する言葉です。上様という表記は、宛名が特定できないので経理処理をするうえで好ましくありません。そのため、宛名は相手から依頼がない限り、上様とは記載せずに正しい社名を記入します。また、株式会社を(株)と略すのも避けましょう。

書類や郵便の宛名

書類や郵便の宛名に間違いがあっては失礼です。
社名を記載する場合、前株・後株を確認してから記載します。領収書と同じく、宛名書きでは(株)と略さずに正しく「株式会社」と書くのがビジネスマナーです。

(例文)
A:「必要な書類をお送りいたします。恐れ入りますが、念のために社名を確認させてください」
B:「会社名は●●です。後株です」
A:「●●株式会社の▲▲様ですね。ありがとうございます」

なお、書類や郵便の宛名を書く場合、敬称は「御中」を使います。「御中」は会社や部署・学校・官庁など、組織や団体宛に送る際に使う敬称です。「株式会社▲▲御中」や「▲▲株式会社 人事部 御中」のように使います。「様」を使うのは、個人に送る場合です。

口座名義の確認

前株か後株かによって、銀行口座の名義も表記が異なります。
前株なら「カ)◯◯」、後株は「◯◯(カ」と略して表記されるのが一般的です。略さずに「カブシキガイシヤ」と表記される場合もあります。また、後株で末尾に営業所や事務所の名が入る会社は、「◯◯(カ)◯◯」のように、株式会社の前後に括弧が入ります。

(例文)
A:「振込先の口座名義を教えてください」
B:「前株の●●です。略さずにカブシキガイシヤ●●と入力してください」

株式会社の位置や表記が異なると、振込などの手続きが失敗する可能性があるため、正確な口座名義を確認するようにしましょう。

ほかにも、ビジネスシーンで使われる会話については「ビジネスで使う基本的な日本語の例文を場面ごとに紹介!」に紹介しています。

前株と後株に関する注意点

前株と後株を誤ることは、相手に対して失礼な行為となります。また、株式会社を略すこともビジネスシーンにおいてマナー違反です。ここでは、前株と後株に関する注意点を紹介します。

前株と後株を間違えない

前株と後株の間違いは、社名を間違えることと同じです。社名が同じでも、前株と後株だけが異なる会社もあります。社名を聞いたり書いたりする際は、必ず前株か後株かを確認しましょう。

(株)と省略しない

(株)は「株式会社」の略字であり、正式名称とは認められません。そのため、公的な文書や書類では(株)と略さずに、「株式会社」と記載します。

また、相手の断りなく、勝手に(株)と省略して記載するのもマナー違反です。

日本のビジネスマナーについてもっと知りたい方は「日本のビジネスマナーを解説!服装から人への接し方まで紹介!」にまとめています。

まとめ

前株とは、「株式会社」を社名の前に付けることです。社名の後に「株式会社」を付けることは、後株といいます。前株と後株に法的な違いはありません。
前株・後株が異なるだけで同じ社名の会社もあるので、領収書や書類を記載する際は間違えないようにしましょう。また、株式会社を略して表記するのも失礼にあたるので避けます。
会社名を正しく書くことは相手を敬うことであり、ビジネスシーンにおいて大切なマナーです。前株・後株がわからない場合は、必ず確認しましょう。

ライター

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