留学生が日本企業に就職するためには、ビザを「留学」から就労が許可されている種類に変更する必要があります。就職先で行う業務や自身の学歴や専攻などによって取得できる就労ビザが異なるため、よく見極めて申請しましょう。
このコラムでは、留学ビザから就労ビザへの変更方法を紹介します。内容を参考にして、就職準備に役立ててください。
目次
- 就職するには留学ビザから就労ビザへの変更が必要!
- 留学ビザから就労ビザへの変更時にチェックされること
- 留学ビザから就労ビザに変更する際に必要な書類
- 留学ビザから就労ビザへ変更する流れ
- 留学ビザから就労ビザへの変更に関するQ&A
- まとめ
就職するには留学ビザから就労ビザへの変更が必要!
留学生が卒業後日本で就職するには、留学ビザから就労ビザへ変更しなくてはなりません。就労ビザとは、日本で就く仕事ごとに許可されるビザ(在留資格)の総称です。留学ビザのまま仕事に就いた外国人は「不法就労者」となり、刑事処分および行政処分(退去強制)の対象になります。
手続きは基本的に自分で行わなければなりません。変更時の要件や必要書類を把握し、正しく申請を進めましょう。
留学ビザについては「外国人留学生に必要な在留資格「留学」とは?就労に必要な手続きも解説」や「日本で就職する外国人留学生は留学ビザから就労ビザへ!必要書類を紹介」のコラムでも詳しく解説しています。
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留学ビザから就労ビザへの変更時にチェックされること
留学ビザから就労ビザへ変更する際、申請すれば絶対に許可されるわけではありません。活動内容と実際に行う業務の適合性や必要な経歴や資格があるかをチェックされます。また、日本での暮らし方も審査項目の一つです。
就労ビザの活動内容と実際に行う業務が合っているか
就労ビザで許可されている業務内容と実際に行う業務内容が合っていなければ、変更は許可されません。ほとんどの就労ビザでは行える業務が細かく決められており、それ以外の業務をするのは禁止です。たとえば、技能ビザでは外国料理専門のレストランでの調理業務が許可されています。しかし、レジ打ちや配膳などの接客業務は許可されていません。もし、行う予定の業務に接客業務が含まれていた場合、変更申請は許可されないでしょう。
留学ビザから就労ビザに変更する際は、活動内容の確認が重要です。
就労ビザを得るのに必要な学歴や経験があるか
留学ビザから就労ビザへの変更では、学歴や経験もチェックされます。それぞれ定められている条件があるので、日本の学校を卒業したからといって、どの種類の就労ビザにも変更できるわけではないのです。基本的には、全く関係ない学歴や職歴を持つ人が異業種に就職するのは難しいといえます。日本で就職する際は、やりたい仕事とできる仕事が違うことを理解して進路を決めましょう。
日本での在留状況に問題はないか
留学生としての日本での暮らしぶりも審査対象です。学校の出席率や成績が著しく悪いと、就労ビザの申請が通らない可能性があります。また、よくあるのがアルバイトのルール違反です。留学生がアルバイトする際に得る「資格外活動許可」には、就労時間や就労場所の制限があります。週28時間(長期休み中は週40時間)の制限を超えて働いたり禁止されている場所で働いたりした場合、在留状況が悪いとみなされ、就労ビザへの変更ができない可能性があるでしょう。
資格外活動許可については「外国人留学生がアルバイトで時間超過したらどうなる?罰則や対策を紹介」や「外国人留学生のアルバイトに禁止事項はある?注意点や罰則を解説」のコラムをご覧ください。
留学ビザから就労ビザに変更する際に必要な書類
どの就労ビザへ変更するかによって必要な書類は異なります。以下は、日本で就職する留学生の多くが取得する「技術・人文知識・国際業務」ビザへ変更するための書類です。
なお、就職する企業の経営規模(カテゴリー)によっても提出する書類が異なります。ここでは、カテゴリー3(いわゆる中小企業)に属する企業に就職する場合を例に紹介するので、参考にしてください。
【必要書類】
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在留資格変更許可申請書
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写真(縦4cm×横3cm)
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パスポートおよび在留カード
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前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
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専門士または高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書(専門学校生の場合)
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申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(派遣社員として働く場合)
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労働条件を明示する文書(雇用契約書や労働条件通知書)
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学歴や職歴を証明する資料(在学中の場合は卒業見込み証明書)
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登記事項証明書
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事業内容を明らかにする資料(企業のパンフレットなど)
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就職する企業の決算文書の写し(新規事業の場合は事業計画書)
就職先の企業が用意する書類が多数あります。今まで外国人社員がいなかった企業の場合、担当者が必要な書類を把握していない可能性もあるでしょう。自分でどの書類が必要かを理解し、依頼しておくと安心です。
参照元 出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」
留学ビザから就労ビザへ変更する流れ
ここでは、留学ビザから就労ビザへ変更する流れを解説します。
1.企業から内定をもらう
就職先が来まっていなければ、就労ビザへの変更はできません。自分のやりたい仕事と就労ビザが取得できる仕事のバランスをよく考えて、業界や業種を絞り込みましょう。細かい仕事内容は企業説明会や企業のWebサイト、面接時に確認可能です。
2.雇用契約を結ぶ
内定を得たら、在留資格の手続きをする前に雇用契約を締結します。雇用契約書にサインをする際は、必ず内容を理解してからにしましょう。よく分からないままサインをすると、入社後トラブルに発展する可能性があります。企業には本人に分かるように雇用に関する書類を作成する義務があるので、日本語に不安がある場合は翻訳文を依頼してみても良いでしょう。
3.在留資格変更許可申請を行う
雇用契約を締結したら、前述した書類を持って「在留資格変更許可申請」を行いましょう。申請場所は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署です。審査には、通常1~3ヶ月掛かります。
4.通知が来たら入管に行く
申請をした地方出入国在留管理官署から通知が届いたら、再度出頭します。なお、通知のハガキや用紙には「許可」「不許可」とはハッキリ書いてありません。持参する持ち物に「収入印紙4,000円分」とあったら、許可を得られたと判断できます。
5.新しい在留カードを受け取る
出入国在留管理官署に出頭したら説明を受け、新しい在留カードを受け取ります。新しい在留カードが発効されたら在留資格の変更が完了し、就労が可能です。
なお、マイナンバーカードとICカードリーダライタを持っている場合は、オンラインでの申請もできます。
オンライン申請については「在留資格のオンライン申請が利用可能に!外国人向けに詳しい手続きを紹介」でくわしくまとめています。
参照元 出入国在留管理庁「在留申請のオンライン手続」
留学ビザから就労ビザへの変更に関するQ&A
ここでは、留学ビザから就労ビザへの変更に関するよくある疑問を解説します。
留学ビザから就労ビザへの変更が間に合わない場合は?
入社予定日までに留学ビザから就労ビザへの変更が間に合わなかった場合、働くことはできません。就労ビザの許可が下りるまで入社を遅らせることになり、企業や周囲の人に迷惑をかける可能性があります。審査に掛かる時間と入社日から逆算して、早めにスケジュールを組みましょう。
4月入社で内定を得ている場合、卒業前年の12月から就労ビザへの変更手続きが可能です。
卒業までに就職できなかったらビザはどうなる?
卒業までに就職できなかった場合、ビザを一度「特定活動」に変更しなくてはなりません。就職活動のための「特定活動」ビザは期限が6ヶ月で、1度の更新が許可されているので最長1年日本に在留できます。その間に就職を決め、その際に改めて就労ビザへ変更しましょう。
まとめ
留学ビザから就労ビザへの変更は、自分で手続きを行わなければなりません。申請が遅れると入社に間に合わなくなる可能性があります。必要な書類や手続きの流れを把握して、早めに動き出しましょう。