日本人は、感情や意思を相手により分かりやすく伝えるためにジェスチャーを使います。日本人が日常生活の中でよく使うジェスチャーは、お辞儀や合掌、手招きなどです。このコラムでは、日本で使われるジェスチャーについて詳しく解説します。コラムを参考に、日本のさまざまなジェスチャーを覚えて、日本人との会話の際に使ってみましょう。
目次
ジェスチャーとは?
ジェスチャーとは、身振りや手振りなどで感情や意思を表現することです。ジェスチャーには、言葉の補助的な役割があり、使うことで相手に自分の思いを伝えやすくなります。日本でも日常的に多くのジェスチャーが使われているものの、万国共通ではありません。日本独自のジェスチャーを知ることで日本人の伝えたいことを理解でき、日常生活やコミュニケーションに活かせるでしょう。また、日本語がまだ上手く話せない人も、ジェスチャーを覚えることで気持ちを伝えやすくなります。ぜひ、日本のジェスチャーを覚えて使ってみてください。
ジェスチャーと一緒に使われる日本語の挨拶について詳しく知りたい方は、「日本語のいろいろな挨拶を知りたい!覚えておくと便利なフレーズも紹介」のコラムを参考にしてください。
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日本のジェスチャーの意味
日本では、日常的にジェスチャーを行いながら会話をしています。ここでは、日本人がよく使うジェスチャーを紹介しているので、実際の会話で使ってみましょう。
お辞儀する
お辞儀は、日本で最もよく使われるジェスチャーです。身体を前に倒し頭を下げるお辞儀の動作には、さまざまな意味が含まれています。お辞儀をするのは、挨拶や感謝の気持ちを表すときや謝罪をするときなどです。また、お客様を見送る際にも姿が見えなくなるまでお辞儀をする場合があります。
手を合わせる
謝罪や頼み事をする際に行うのが、手を合わせるジェスチャーです。謝罪の際は「ごめんなさい」と言いながら、神社やお寺では祈りながら手を合わせます。また、人にお願いをしたり、喜び・感謝・感動の気持ちを表したりする際に手を合わせる場合も。手を合わせるジェスチャーにはさまざまな意味があるため、相手の言葉や表情から判断しましょう。
手を合わせるジェスチャーは仏教由来の動作ともいわれ、インドやタイなどの海外でも使われるジェスチャーです。日本では幅広く使われているジェスチャーなので、意味を覚えておきましょう。
自分を指す
日本人は自身の所有物を示したり話をしたりする際に、自分に向けて指をさします。たとえば、「これは誰のものですか」と聞かれた場合に、「私のものです」と言いながら自分を指さすのです。海外で自分のことを示す際は胸に手のひらを当てることが多いため、自分を指す日本人のジェスチャーは、少し変わった動作と捉えられることもあります。
手招きする
手招きは、人を招いたり呼んだりする際に使うジェスチャーです。手のひらを相手側や下に向け、上下に動かすような手振りを行います。アメリカなどでは、人を呼ぶ際には手のひらを上に向け自分の方に振るジェスチャーが一般的です。
手を振る
手を振るジェスチャーには複数の意味があります。また、どの位置でどのように手を振るかで意味も変わるため注意しましょう。ここでは、手を振るジェスチャーについて解説します。
顔の前
顔の前で手を立てて横に振るジェスチャーは、断る際によく使われる動作です。また、「私ではありません」「知りません」「違います」など、否定する際にも使われます。
顔の横
顔の横で手を振る動作は、「さようなら」「またね」といった、別れの挨拶の際に使われるジェスチャーです。また、自分のいる場所を示す際に「こっちにいるよ」「ここだよ」という意味でも使われます。頭の上で大きく手を振る動作は、遠くにいる人に対する同様の意味で、別れや呼びかけを行う際によく使われるジェスチャーです。
人差し指と親指で丸を作る
人差し指と親指で丸を作るジェスチャーには、複数の意味があります。ここでは、指で丸を作る動作について解説するので、動作の違いや意味を覚えておきましょう。
了解・OKの意味
人差し指と親指で丸を作る動作は、「了解」「OK」を表す意味のジェスチャーです。ほかにも、「それでいいです」「問題ないです」など、物事に対する判断にも使われます。
お金の意味
人差し指と親指で丸を作って手のひらを上に向ける動作には、「お金」という意味があります。丸はコインを表し、お金の話をする際に使われるジェスチャーです。日本人は人前でお金の話をするのを控える傾向があるため、日常生活やビジネスシーンであまり見ることは少ない動作といえます。「了解・OK」の動作と似ているため、間違えないように気を付けましょう。
両手で丸を作る
両手で丸を作る動作は、「良いです」「正解です」「決まりました」など、良い意味で使われるジェスチャーです。頭を両手で囲むように大きな丸を作ります。
手や指でバツを作る
両手を交差して胸の前でバツを作るジェスチャーは、「だめです」「良くないです」「私はしません」など、否定的な意味で使われます。
人差し指を交差して小さくバツを作る動作は、「締める(〆る)」という意味で、お会計の際に使われるジェスチャーです。店員に対し、会計をお願いする際などにバツのジェスチャーで合図を送ります。年配者がよく使うジェスチャーで、昨今ではあまり見られなくなりました。
小指を立てる
小指を立てるジェスチャーには、恋人や女性を表す意味があります。男性に対して恋人の有無を尋ねる際に使われる動作です。昨今ではプライバシーの観点から、恋人の有無を聞いたりジェスチャーを使って尋ねたりすることは少なくなりました。
相槌を打つ
相槌(あいづち)とは、人の話に同調していることを示す動作です。相手が話をしている際に、「うん、うん」「そうか」「なるほど」などと言って、頭を縦に動かしながら頷きます。日本人の相槌は、相手に敬意を表す意味も込められたジェスチャーです。一方で、海外では人の話が終わるまで待つのをマナーとし、相槌が失礼とする国もあります。
数を数える
日本人の数の数え方は、手を握った状態から人差し指、中指の順に立てていき、5番目となる最後の指は親指です。また、手を開いた状態から、親指から順に指を折っていく数え方もあります。数の数え方は国によって異なるため、違いを楽しみながら覚えると良いでしょう。
ピースをする
人差し指と中指の日本の指を立てるピースサインは、日本では写真を撮る際によく使われるポーズです。ほかにも、勝利した時や喜びを表す意味でも使われます。
親指を立てる
親指を立てるジェスチャーは「良い」という意味で、動作だけでなく絵文字などでもよく使われています。海外では、「thumbs up(サムズアップ)」と呼ばれ、「OK」や「Good」など、日本と同様に良い意味で広く使われているジェスチャーです。
お辞儀やビジネスシーンで役立つ礼儀作法について知りたい方は、「日本特有のマナーとは?食事や日常生活、ビジネスシーンの礼儀・作法を紹介」のコラムを参考にしてください。
海外では意味が異なる日本のジェスチャー
日本で日常的によく使われているジェスチャーでも、海外では違う意味で捉えられる場合があります。ここでは、海外では意味が異なる日本のジェスチャーについて紹介するので、参考にしてください。
- 「顔の前で手を振る」:顔の前で手を振る動作は、海外では「臭い」という意味のジェスチャーとして使われている
- 「手招き」:手招きする日本のジェスチャーは、ドイツをはじめとする諸外国では「あっちに行って」という反対の意味で使われている
- 「人差し指と親指で丸を作る」:日本で「お金」や「OK」を意味するジェスチャーは、フランスでは相手を「無能」や「役立たず」だと伝える悪い意味の動作として捉えられている
- 「小指を立てる」:小指を立てるジェスチャーは、中国では「出来の悪いもの」という意味で相手を軽蔑する動作とされている
- 「ピースをする」:手の甲を相手に見せてピースをするのは、「くたばれ」など相手を侮蔑する意味が含まれたジェスチャー
ジェスチャーは国によって異なります。互いの国の文化や習慣を尊重し、相手が不快に感じるジェスチャーは使わないように気を付けましょう。
海外で人気の日本文化や日本語について知識を深めたい方は、「海外で人気の日本文化を紹介!評価される理由や体験方法を解説」「海外でも通じる日本語を分野別に紹介!世界に広まった理由も解説」のコラムを参考にしてください。
まとめ
日本のジェスチャーには、同じ動作でも意味が異なるものがあります。また、同じジェスチャーでも海外では全く違う意味で使われているものも少なくありません。日本のジェスチャーを理解することで、日本人とコミュニケーションをとる際に役立つでしょう。会話にジェスチャーを加えることで、感情表現がより豊かになります。まずは、日本人がよく使うジェスチャーを覚えて使ってみると良いでしょう。