「日本で転職するために、就労ビザの更新方法を知りたい」と考える外国人に向けて、更新前の確認事項から注意点までを具体的に解説します。就労ビザは、職務内容によって取得の可否が異なるうえ、不法就労になるパターンもあるので確認が必要です。具体的な更新の流れや永住権についてもしっかり把握し、安心して転職できるように準備を進めましょう。
目次
就労ビザを更新する前に
就労ビザの更新前に更新の種類や可否判断の基準を把握しておきましょう。職務によっては更新できない場合があるため、しっかりと確認することが重要です。
就労ビザの更新と変更の違い
就労ビザの手続きには「更新」と「変更」があります。ここで解説する「更新」は、在留期間を延長するものです。期限が切れると不法就労となってしまうため、転職活動をしている間に在留期間更新許可申請を済ませておきましょう。「変更」の手続きでは、転職後14日以内に、「在留資格変更許可申請書・個人写真・日本での活動内容に応じた資料」を出入国在留管理局に届け出る必要があります。また、在留カードを交付されている場合は、在留カードも必要です。
就労ビザの更新における可否判断基準
就労ビザの更新には、職務内容や素行、安定した生計維持できるかといった判断基準があります。
職務内容とビザの種類が合っているか
実際の職務内容とビザの種類が合っているかを確認しましょう。職務内容によって、「教育」「医療」「技能」などに分かれており、自分の職務内容とビザの種類が異なっていると、就労ビザの更新ができません。
素行不良や税の滞納がないか
素行不良とは、犯罪を犯し懲役、禁錮または罰金に処せられた場合のことを指します。また、税金の滞納歴がある場合も就労ビザを更新できません。
今後も安定した収入で生計を維持できるか
変更後も安定した収入を維持し、独立した暮らしができるかというのも重要な判断基準です。自分の生活がままならない状態では、更新することはできません。
社会保険に加入しているか
社会保険の加入も、就労ビザの更新には必須です。外国人であっても、日本人と同じように社会保険の加入は義務付けられています。
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就労ビザを更新する流れ
就労ビザを更新するには、おおよそ2週間から1ヵ月ほどかかります。出入国在留管理局へ書類を提出し、通知が来たら在留カードを受け取り、完了です。必要書類や注意点も把握しておきましょう。
1.出入国在留管理局へ書類を提出する
はじめに、外国人本人(または行政書士)が出入国在留管理局へ、「在留期間許可申請書」を提出します。書類に不備があると、手続きが遅れる場合があるため、行政書士にサポートを依頼するのが無難です。必要書類を提出したら在留カードの受け取りに必要な「申請受付表」を渡されるので、失くさないように保管しておきましょう。
2.出入国在留管理局からの申請承諾通知が届く
次に、申請内容に問題がなければ、出入国在留管理局より「申請許可通知のハガキ」が本人の自宅、または行政書士に郵送されます。このハガキも、前述の「申請受付表」と同様、更新後の在留カードを受け取る際に必要なため、絶対に紛失しないようにしましょう。
3.必要書類を持参し在留カードを受け取る
最後に、必要書類を出入国在留管理局に持参して本人確認後、在留カードを受け取って完了となります。このときに必要な書類は、以下の5点です。
・申請許可通知のハガキ
・申請受付票
・パスポート(原本)
・在留カード(原本)
・収入印紙4000円分
申請から在留カードの受け取りまでは、前述のとおり2週間~1ヵ月ほどかかるため、書類の管理は徹底しておきましょう。
必要書類については、「就労ビザ更新時の必要書類とは?外国人留学生に向けて解説」でも詳しくまとめています。就労ビザ取得後の更新についても紹介しているので、参考にして必要な手続きを行いましょう。
不法就労になるパターン
申請書に記載された職務と実際の職務内容が異なると不法就労になります。また、就労ビザの未取得や未更新での滞在も違法滞在です。雇い主である企業も「不法就労助長罪」として3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方を科せられます。
取得した就労ビザの職務内容と異なる仕事をしている
取得した就労ビザと異なる仕事をしていると、虚偽の申請となり不法就労となります。「知らなかった」では済まされないため、申請前の段階から職務内容の可否を調べておくことが大前提です。
「さまざまな種類の日本の就労ビザを紹介」では、日本の就労ビザの種類、それぞれのビザに該当する職種、およびビザの滞在可能期間を紹介しています。ぜひ、チェックしてみましょう。
そもそも就労ビザを取得していない
就労ビザを取得せずに日本で働いていると、不法滞在として母国へ強制送還されます。不法滞在は重罪となり、重い罰則を強いられる可能性が高いです。
在留期間を越え、ビザを変更せずに日本に滞在している
在留期間が過ぎた後も、ビザを更新せずに日本での滞在を続けていることは不法就労になります。就労ビザは期限が過ぎる3ヵ月前から、更新や変更が可能です。不法就労にならないためにも、しっかりと期限を把握し、早めに手続きを済ませましょう。
日本で永住権を取得するには
日本で永住権を取得するには、特別な定義はないものの、総合的に判断する取得要件があります。個人の事情や状況を理解したうえで、厳しく審査されることが特徴です。
日本での永住権の取得方法
日本で永住権を取得するには、以下のような条件があります。
・素行が善良である
・自分で生計を維持できる収入と能力がある
・本人の永住が日本社会に有益である
このような内容で総合的に判断され、永住権取得の審査には6~8ヵ月ほどの長い期間を要します。非常に慎重な審査となるため、待機時間は長い目で見ることが大切です。
日本に永住するメリット
日本に永住するメリットは、日本での在留資格の制限や期限がないことです。心身の負担も軽減され、気兼ねなく暮らしていくことが可能になります。社会的な信頼性も増し、充実した生活を送れるでしょう。
まとめ
就労ビザを更新するには、職務内容を確認して出入国在留管理局に出向きましょう。更新後も、しっかりと次回の期限を確認することが大切です。提出する書類や取得の流れなどは、早めに確認しておくと時間にも余裕を持てます。不法就労にならないよう注意点を理解し、スムーズな転職活動を実現させましょう。
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