日本には、古くから伝わる伝統的な文化が数多くあります。日常で何気なく行われている行事も、古くから伝わる伝統的な文化といえるでしょう。
なかには、名前は知っていても詳しくは分からないという人もいるでしょう。このコラムでは、伝統行事を芸道と季節の行事に分けて紹介します。興味のある伝統文化があったら、ぜひ深掘りして調べてみましょう。
目次
日本の伝統文化について
主な日本の伝統文化の種類を解説します。また、いつの時代から始まり、現代ではどのくらい馴染みがあるのかを把握しましょう。
主な日本の伝統文化の種類
日本の伝統文化の種類は多岐にわたります。芸道や季節の行事、衣・食・住にまつわるものなど、海外で知られているものもあるでしょう。たとえば「衣」では日本の着物文化、「食」では和食文化、「住」では瓦屋根やこたつなどが有名です。
日本の伝統文化の現状
日本の伝統文化は、時代や世代を超えて、現代も受け継がれています。生活の中に馴染んでいるものや、行事として祝うものなど、形はさまざまです。ただし、現在の日本社会では高齢化が加速しており、文化を受け継ぐための若手の人材不足が懸念されています。
日本の伝統文化については、「日本の伝統文化といえば何がある?継承への取り組みについても解説」のコラムも参考にしてください。
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日本の伝統文化の例~芸道編~
日本の伝統文化の例として挙げられるのが、芸道です。芸道には、茶道や書道、華道などがあります。また、海外でも有名な歌舞伎や和楽器なども、古くから受け継がれている伝統です。
茶道
茶道とは、伝統的な様式で客人に茶をふるまう事で、茶の湯ともいいます。安土桃山時代、日本で初の茶人といわれる「千利休(せんのりきゅう)」が茶の文化を発展させ、江戸時代前期に「茶道」と呼ばれるようになりました。
書道
書道とは、「毛筆」と呼ばれる筆と墨を用いて紙に文字を書き、その文字や書体などを通じて、自分の思いを伝える表現方法のーつです。また、文字を書くだけでなく自己表現の手段ともなるため、芸術やアートであるともいえます。
華道
室町時代に確立した華道は、花や植物を組み合わせ、花材がない部分にも美しさを表現するのが特徴です。「生け花」ともいわれており、フラワーアレンジメントのように空間を花で埋めるものとは異なります。
歌舞伎
歌舞伎は日本の伝統芸能のひとつであり、日本固有の演劇です。江戸時代に発展し「せり上げ」「廻り舞台」など多くの手法が盛り込まれてきました。現在は重要無形文化財として世界的に有名で、海外からも多くの観客が歌舞伎を見に日本に訪れています。2009年には無形文化遺産の代表一覧表に記載されました。
和楽器
和楽器は、日本の伝統楽器です。海外で造られた西洋楽器よりも比較的音が小さく、迫力よりも繊細さが魅力といえるでしょう。ここでは、代表的な和楽器を3つ紹介します。
琴
琴は、弦楽器の一つであり「弾きもの」とも呼ばれます。奈良時代から始まり、繊細な木目や音色が特徴です。「共鳴箱」(きょうめいばこ)の上に6本の弦を張り、爪ではじきながら音を出します。
三味線
三味線は、室町時代の終わりに沖縄から日本全国へと三線が伝わり、そこから誕生しました。四角い木製の胴に張られた弦を、イチョウ形の撥(ばち)で弾き演奏する楽器です。前述の「歌舞伎」でも用いられることが多く、和楽器の中でも人気が高いといわれています。
尺八
尺八は、日本の木管楽器の一つです。竹の根に近い部分で作った縦笛です。鎌倉時代から江戸時代頃に現在の形が成立しました。この楽器も歌舞伎などの伝統芸能に用いられ、独特な音で観客を魅了しています。
日本の伝統文化については、「日本の文化をまとめて一覧で紹介!独自の価値観や海外との違いも解説」や「海外で人気の日本文化を紹介!評価される理由や体験方法を解説」のコラムコラムでもまとめています。
日本の伝統文化の例~季節の行事編~
日本の伝統文化における、季節ごとの行事を解説します。日本では古くから四季を大切にしており、それぞれ独特な行事があるのが有名です。
春の行事
春の行事は、ひな祭りや花見です。それぞれの特徴や意味を紹介します。
ひな祭り
ひな祭りは、毎年3月3日に行う、女児の節句です。「桃の節句」(もものせっく)とも呼ばれ、現在は「ひな人形」を飾ってお祝いします。平安時代から始まり、始めは子どもの枕元に人形を置き、ケガレを祓うお守りとして使用されていました。また、日本では「奇数が縁起が良い」とされており、現在は5段や7段の段飾りが一般的です。
花見
花見は、日本の定番行事です。日本は春になると美しい「桜」が咲き、桜の木の下で食事をしたりお酒を飲んだりするなどが恒例となっています。これは本来、村人全員で山に出かけて楽しく飲食をすることで、稲作の豊穣を祈るという意味を持っていました。近年では、日本の桜を一目見ようと海外からの観光客も増加しています。
夏の行事
次に、夏の伝統行事です。夏の行事には、七夕やお盆があります。
七夕
七夕は、毎年7月7日に行われます。短冊に願い事を書き、笹の葉に吊るすことが有名です。また、七夕は先祖の霊を迎える「お盆」のための禊ぎの期間という考えもあり、水浴びをしたり笹舟を川に流したりする地域もあります。
お盆
お盆は、前述のとおり、先祖の霊を家に迎え入れる期間のことです。一般的には、8月13日から8月15日までの3日間がお盆期間といわれています。祖霊とともに過ごすことで亡くなったことへの悲しみを癒し、これからも見守ってもらえるよう願う期間です。
秋の行事
続いて、秋の伝統行事を紹介します。秋の行事は、月見や秋祭りです。
月見
月見は「十五夜(じゅうごや)」とも呼ばれ、「美しい月を眺める日」として恒例行事となっています。平安時代に貴族の間で流行し、庶民に広まったとされるのは江戸時代です。月見の時期は、毎年最も空気が澄みわたる9月下旬から10月上旬の間といわれています。
秋祭り
秋祭りは、秋に行われる祭りの総称です。地域ごとに歴史や伝統が再現されたものも多く、神輿(みこし)やお囃子(おはやし)などで賑わうのが良さであり、特徴です。江戸時代から始まったとされており、現在も多くの地域で開催されています。
冬の行事
最後に、冬の行事を紹介します。冬の行事は、酉の市やお正月です。
酉の市
酉の市(とりのいち)は毎年11月に行われる、商売繁盛を願う祭りの名称です。「1年の無事に感謝し、来る年の幸を願う」として江戸時代に始まったこの祭りは、さまざまな地域で行われています。中でも、東京の浅草に位置する「鷲神社」で行われる酉の市が日本最大です。
お正月
お正月は、1月1日の「元日」のことを指します。旧年が無事に終わったことと、新年を祝う日です。門松を飾り、おせち料理を食べるなど、盛大に祝います。そのほか、大人から子どもへ現金を手渡す「お年玉」が有名です。「新年を元気に過ごせるように」という意味が込められています。
日本の伝統行事については「日本の年中行事や伝統行事を一覧で解説!特別な日の風習や行事食とは?」のコラムでも紹介しています。
まとめ
このコラムで紹介したもの以外にも、日本には多くの伝統文化があります。新しい文化とあわせて、時には伝統文化にも触れてみましょう。