「日本人の社交辞令とお世辞ってどう違うの?」と、疑問に思う外国人もいるでしょう。日本は、世界的に見ても特に礼儀や礼節を重んじる国といわれています。本音と建て前を日本人が使い分ける理由は、は、相手と良好な関係を築くためです。このコラムでは、社交辞令とお世辞の違いや例文を紹介しているので、日本人の価値観を知る参考にしてください。
目次
「社交辞令」と「お世辞」の違いとは?
社交辞令とお世辞の違いを解説します。まずは、微妙にニュアンスの違うそれぞれの特徴を捉えましょう。
社交辞令は相手と良好な関係を維持するための言葉
社交辞令は、相手との関係を良好に保つために用いる言葉です。よく使われる社交辞令には「またお待ちしております」「お目にかかれて光栄です」などがあります。社交辞令は、ビジネスや政治に関するやり取り、会食などで多用される言葉です。互いに深入りせず、社交辞令をとおして良好な関係を維持します。
お世辞は相手の機嫌を取るための言葉
お世辞は相手の機嫌を取るために用いる褒め言葉です。「すごいですね」「さすがですね」などがあります。心から相手を褒めているのではなく、相手の機嫌を取っているのが「お世辞」です。また、お世辞は、相手に自分をよく思わせる意味合いもあります。
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社交辞令やお世辞の言い方の注意点
社交辞令やお世辞は相手を傷つけないように気を付けて使いましょう。オーバーな言い方をしたり、深い意味を持たせたりすると、相手が勘違いし、不快にさせてしまう場合もあります。
言葉に深い意味を持たせない
社交辞令やお世辞を言うときは、言葉に深い意味を持たせないようにしましょう。深い意味に捉えられた場合、相手を不快にさせてしまう恐れもあります。社交辞令やお世辞は、「相手と良好な関係」を保つのが目的であるため、軽いニュアンスの言葉で留めておくのが賢明です。
相手の良い面を見つける
社交辞令やお世辞を言うときは、相手の良い面を強調した言い方をします。自分が相手の立場になり、「言われたら嬉しいこと」を客観的に探すと見つけやすくなるでしょう。ただし、人によって長所は異なるため、相手を観察する力が必要です。
言う相手を選ぶ
社交辞令やお世辞を言う際は、伝える相手を選ぶ必要があります。一つひとつの言葉を真面目に受け止めすぎてしまう人や、社交辞令やお世辞を嫌う人には、使うのを避けましょう。社交辞令やお世辞は、誰しもに通じるわけではありません。なかには、「社交辞令は言われたくない」「お世辞で冷やかされたくない」と感じる人もいます。相手の性格や気質を見極め、関係を維持できる人に適切に使うのが良いでしょう。
何度も褒めない
社交辞令やお世辞は、繰り返すとかえって逆効果です。挨拶代わりにさりげなく褒めたり、謙遜したりするのが上手な活用方法といえます。また、日本人はシャイな性質を持っている人が多いため、あまり褒められることに慣れていません。一度に2回以上褒めると、不快に思う可能性もあるでしょう。「しつこいな、不自然だな」「無理に褒めようとしているな」と見透かされてしまい、相手との距離が縮まらない場合もあります。そのため、褒めすぎには十分注意しましょう。
人によっては傷つくこともある
人によっては、社交辞令やお世辞を言われるとかえって傷つくこともあるため注意しましょう。本心を伝えたとしても、繊細な人は「見下されている」と感じる人もいます。また、外見のことを褒めても、相手が気にしている部分である場合は「言われたくない」と感じることもあります。社交辞令やお世辞は、伝える前によく考え、相手の雰囲気を見てから言うようにしましょう。
面倒だと思われてしまう場合がある
社交辞令やお世辞のやり取りは、人によっては面倒だと感じます。特に、内向的でコミュニケーションが苦手な人は面倒に思うでしょう。社交辞令やお世辞を言う際、気持ちを一方的に伝えたり、相手にも同じやり取りを求めたりするのは避けましょう。
よく使われる社交辞令とお世辞を紹介
ここでは、社交辞令とお世辞でよく用いられる言葉の例を紹介します。礼儀を重んじる日本人は、相手との別れ際や出会いがしらの挨拶として、社交辞令やお世辞を伝えているのです。
社交辞令
頻繫に使われる社交辞令の例には、以下の言葉があります。
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「またお会いできるのを楽しみにしています。」
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「前向きに検討させて頂きます。」
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「とても勉強になりました。」
このように、社交辞令は別れ際などの挨拶として使用される言葉が多いのが特徴です。相手との意思疎通をスムーズにし、良好な関係を維持できるようにします。
お世辞
よくあるお世辞の一例を紹介します。抽象的な褒め言葉が多いのが特徴です。
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「似合っていますね。」
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「さすがですね。」
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「きれいですね(かっこいいですね)。」
このように、お世辞では「分かりやすい褒め言葉」を伝えるのがおすすめです。上記の言葉を言われて嫌な気持ちになる人はほとんどいません。当たり障りなく、過剰に褒め過ぎないように注意して伝えましょう。
社交辞令やお世辞を言われたら?
社交辞令やお世辞を言われたときは、挨拶程度の意味合いで捉えておきましょう。相手は深い意味で言ってはいないため、具体的に返答を考える必要はありません。自分も社交辞令やお世辞で返し、重く受け止め過ぎないことが大切です。◯挨拶程度に受け止める
社交辞令やお世辞を言われたら、一種の「挨拶」と捉えましょう。相手に深い意味はないため、重く受け止めてしまうと、会話がしづらくなってしまうこともあります。深く考えずに、軽いニュアンスで捉えつつコミュニケーションを続けましょう。
基本的な挨拶のマナーについては「日本語の挨拶の種類と正しい使い方を外国人に向けて紹介!」のコラムでご紹介しているので、ぜひ、ご一読ください。
自分も社交辞令やお世辞で返す
社交辞令やお世辞を言われたときの適切な返し方は、自分も同じような言葉を使うのがスムーズです。相手の社交辞令やお世辞で話題を広げてしまうと、かえって話が膨らまず、面倒になるケースもあります。「髪型がきれいですね」「あなたも服装がすてきですね」など、軽い言葉のキャッチボールを意識すると、コミュニケーションがスムーズに進みやすくなるでしょう。
日本人らしいコミュニケーションは、こちらの「本音と建前とは何?日本人がよく使う理由や言葉の意味を外国人向けに紹介」のコラムでも取り上げています。合わせてチェックしてみてください。
まとめ
社交辞令やお世辞は、日本人にとって重要なコミュニケーションツールの一つといえます。ビジネスの場や近所付き合いで頻繁に使われるやり取りです。日本人と交流する場合は、社交辞令やお世辞を使ってみると、会話が弾みやすくなるでしょう。ただし、使いどころを選び、深い意味を持たせずに話すことが大切です。社交辞令とお世辞の違いを把握し、日本人と適切なコミュニケーションを取りましょう。