ワーキングホリデーは滞在資金を補うために、働きながらその国や地域の文化や生活を体験できる制度です。そのため日本で働きながら、滞在することができます。2024年4月時点で、29ヶ国・地域が日本へのワーキングホリデーが認められていて、多くの外国人が日本を訪れているのです。この記事では、ワーキングホリデーの制度や要件、日本で働く際の注意点を紹介します。日本でワーキングホリデーを楽しみながら日本で働く際の参考にしてください。
目次
ワーキングホリデー制度とは
ワーキングホリデーとは、日本と協定を結んでいる国や地域の取り決めに基づき、その国に長期滞在できる制度です。相手国・地域の青少年が文化や生活様式を理解するのが目的の制度で、滞在資金を補うための就労も認められています。
日本へのワーキングホリデーが可能な国や地域
ワーキングホリデーは、特定の国・地域間で結ばれた協定に基づく制度のため、世界中の国すべてが対象となっている訳ではありません。
2024年4月現在、以下の29ヶ国・地域が日本へのワーキングホリデーを認められています。
- オーストラリア
- ニュージーランド
- カナダ
- 韓国
- フランス
- ドイツ
- 英国
- アイルランド
- デンマーク
- 台湾
- 香港
- ノルウェー
- ポルトガル
- ポーランド
- スロバキア
- オーストリア
- ハンガリー
- スペイン
- アルゼンチン
- チリ
- アイスランド
- チェコ
- リトアニア
- スウェーデン
- エストニア
- オランダ
- ウルグアイ
- フィンランド
- ラトビア
外務省の「令和4年度ビザ発給統計」によると、ワーキングホリデーの査証を取得した外国人は6,037人に上ります。最もワーキングホリデー査証の取得が多かったのは韓国で1,014人です。次いでオーストリアが988人、フランス882人、ドイツ761人と続き、近隣諸国だけでなく英語圏や欧州からも人気があります。
新型コロナウイルス感染症の影響で日本へのワーキングホリデーの査証発給件数は減少していましたが、徐々に回復傾向にあります。
参照元 e-Stat「令和4年(2022年)ビザ(査証)発給統計」 外務省「ワーキング・ホリデー制度」
ワーキングホリデーのビザ
ワーキングホリデーで日本に滞在する外国人の在留資格(ビザ)は「特定活動」です。ワーキングホリデー制度で滞在する外国人は「特定活動告示5号」または「特定活動告示5号の2」のビザが付与されます。
ワーキングホリデービザは、観光ビザや就労ビザと異なり、活動の制限がありません。日本の文化や生活様式を知るために、一定期間の休暇を過ごしたり滞在資金を補うために就労したりといった活動が可能です。
ワーキングホリデーで日本で働ける期間
日本に滞在できる期間は6ヶ月で1回延長ができ、最長1年となっています。それ以上の在留期間の延長は認められていません。日本でワーキングホリデーがしたい外国人は事前にスケジュールを確認し、調整すると良いでしょう。
ワーキングホリデーの要件
日本でワーキングホリデーを行うにはビザの取得が必要です。国や地域によって違いはありますが、一般的な発給要件を紹介します。
- 相手国・地域に居住する相手国・地域の国民・住民であること
- 一定期間相手国・地域において主として休暇を過ごす意図を有すること
- 査証申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること
- (オーストラリア、カナダ、韓国及びアイルランドとの間では18歳以上25歳以下だが、各々の政府当局が認める場合は30歳以下まで申請可能。また、アイスランドとの間では18歳以上26歳以下が申請可能)
- 子又は被扶養者を同伴しないこと
- 有効な旅券と帰りの切符(または切符を購入するための資金)を所持すること
- 滞在の当初の期間に生計を維持するために必要な資金を所持すること
- 健康であること
- 以前にワーキング・ホリデー査証を発給されたことがないこと
詳しい内容は、在日本大使館のWebサイトにも掲載されているので確認すると良いでしょう。
特定活動について知りたい方は「特定活動とはどのような在留資格?主な種類や申請方法」でも紹介しています。
参照元 外務省「ワーキング・ホリデー制度」
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日本でワーキングホリデーする際の注意点
ワーキングホリデーのビザは基本的に業務内容に制限がありません。しかし、利用回数が限られていたり、就労可能な職種に制限があったりするので注意点が必要です。ここでは、外国人が日本でワーキングホリデーを行う際の注意点を紹介します。
禁止されている職種がある
ワーキングホリデーの目的は、日本の文化や生活様式を知ることです。しかし、風俗営業に関わる職種(スナックやホストクラブ、パチンコ店、ゲームセンターなど)での就労は禁止されています。それ以外に制限されている職種はありません。就労時間や雇用形態、職種など自由に選んで働けます。風俗営業に関わらない仕事を選んで滞在資金を補充したり、日本文化への理解を深めたりすると良いでしょう。
ワーキングホリデーは1回しか使えない
ワーキングホリデーは1つの国につき1回しか行えません。つまり、日本にワーキングホリデーで来た外国人は、今後はほかのビザで来日することになります。就労制限がほとんどなく最長1年滞在できるのはワーキングホリデーだけなので、使うタイミングを慎重に選ぶと良いでしょう。なお、日本から帰国したあと、ほかの国へワーキングホリデーに行くことは可能です。
雇用保険への加入は必要ない
日本にワーキングホリデーで来た外国人が働く場合、雇用保険への加入は必要ありません。ワーキングホリデーは来日する目的が「就労」ではなく「休暇」のためだからです。
一方、雇用保険以外の社会保険へは加入する必要があります。社会保険には「厚生年金保険」「健康保険」「労災保険」があり、ワーキングホリデーで滞在している外国人は、日本人と同様の加入基準が適用されるため、原則社会保険への加入は必須です。
所得税が20.42%
ワーキングホリデーで働いている外国人は、日本における滞在期間が1年未満のため、税法上「非居住者」となります。日本国内で稼いだ収入にかかる所得税率(復興特別所得税含む)は20.42%で、日本国内で得た収入の金額に関わらず税率は一律です。
なお、1年を超える滞在となった場合は、居住者としての課税が行われることとなります。
日本でアルバイトする際の注意点については「外国人がアルバイトする際の制限とは?在留資格やルールについて理解しよう」にもまとめています。
就労ビザへ変更できる可能性もあり
ワーキングホリデービザから就労ビザへ変更すると、引き続き日本で働き続けられます。ただし、
ワーキングホリデービザ「在留資格(特定活動)」から就労ビザ(就労が許可されている在留資格)へ必ず変更ができるわけではありません。変更するのは、希望する就労ビザと実際に行う業務に相当性があり、学歴などの条件が適合した場合のみです。
また、フランスや英国、台湾など出身の外国人は、ワーキングホリデー終了後に帰国する必要があります。帰国後、日本で就労を希望する場合は「在留資格変更許可申請」を勤務先などに代理申請してもらうと良いでしょう。在留資格認定証明書を持って自国の日本国大使館や総領事館でビザを申請すれば、日本への再入国が認められます。
日本の就労ビザについては「さまざまな種類の日本の就労ビザを紹介」「外国人は派遣でも就労ビザを取得できる!日本のさまざまな雇用形態を知ろう」でも紹介しています。
ワーキングホリデー再開情報【2024年4月時点】
新型コロナウイルス感染症の影響により、一時はワーキングホリデー制度が中止となっていました。しかし、2024年4月時点ではほとんどの国や地域で再開しています。
2024年4月時点でワーキングホリデーを再開している国や地域は、以下のとおりです。ワーキングホリデー制度の利用を検討している方は参考にしてください。
再開済み
- オーストラリア
- ニュージーランド
- カナダ
- 韓国
- フランス
- ドイツ
- イギリス
- アイルランド
- デンマーク
- 台湾
- 香港
- ノルウェー
- ポルトガル
- ポーランド
- スロバキア
- オーストリア
- ハンガリー
- スペイン
- アルゼンチン
- チリ
- アイスランド
- チェコ
- リトアニア
- スウェーデン
- エストニア
- オランダ
- ウルグアイ
- フィンランド
- ラトビア
停止中
今のところ、ワーキングホリデー制度を停止している国はありません。
なお、情報は社会情勢によって変わります。あくまで目安として捉えましょう。日本で正社員として働くためのビザについては「外国人が正社員になるには就労できるビザが必要!取得方法とは」にまとめています。
参照元 外務省「ワーキング・ホリデー制度」
まとめ
ワーキングホリデーは1つの国で一度しか使えない特別な制度です。ほかのビザと違い、就労に制限が基本的にありません。日本で働きながら、日本の生活や文化を体験することができます。日本でワーキングホリデーを楽しみながら日本で働きたい外国人は、この記事を参考に準備を進めてください。