「外国人が日本で生活すると、どのようなことに驚くの?」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。また、「日本人の生活習慣や文化を知りたい」と思う方もいるでしょう。このコラムでは、食事やトイレのマナー、日本人の特徴などを詳しく解説します。日本で生活するには1ヶ月どの程度の費用が掛かるのか、あるいは気を付けることについても紹介しているので参考にしてください。
目次
日本での生活で外国人が驚くこととは?
日本での生活で、「室内は土足禁止」「チップを渡さない」という習慣に多くの外国人が驚くようです。また、食事のときのマナーや入浴に関する習慣にも、海外と日本では異なる点があります。ほかにも、物価が高いことや、日本人の働き方になどに驚く外国人もいるようです。以下で詳しく解説するので参考にしてください。
海外とは異なるマナーや習慣
日本での食事やトイレ、入浴に関するマナーや習慣について以下で紹介します。
食事
多くの日本人は食事を食べる前に「いただきます」、食べ終わったら「ごちそうさまでした」と言う習慣があります。これは、料理を作った人に対する感謝はもちろん、食材を育てた人、あるいは食材そのものに対し、感謝の意味を込めて言う言葉です。そのため、キリスト教徒が食事前に神に祈りを捧げるのとは、意味が異なります。
食事中は食器を手で持ち、口に近付けるのがマナーです。食器をテーブルに置いたまま前屈の姿勢で食器に口を近付けることは、「犬食い(犬のように食事をする)」と呼ばれ、避けるべきとされています。海外では逆に、食器を持って食事をすることがマナー違反とされている国や地域もあるようです。母国ではマナー違反な行動が良しとされている場合があるので、日本で生活する際は注意しましょう。
トイレ
日本では、使用していない公共トイレのドアは開いています。一方で、住居内にあるトイレは、未使用時にドアを閉めておくのが一般的です。海外では、誰も使用していないことの目印として、住居内にあるトイレ(バスルーム)のドアを開けておく習慣がある方もいます。日本の住居でトイレを使用する際は、使用後にドアを閉め忘れないようにしましょう。
日本の公共トイレは無料で使用できるうえ、清掃が行き届いているのも特徴の一つです。また、個室内にバッグを掛けるフックや棚が備え付けられているので、荷物を床に置く必要もありません。
入浴
日本の風呂場には、湯船と洗い場があるのが一般的です。洗い場があるので、湯船のなかで体や髪の毛を洗いません。洗い場で全身の汚れを落としたあとに、体を温めるために湯を溜めた湯船に入るのが日本人の習慣です。そのため、多くの家庭では同居する人すべての入浴が終わるまでは、湯船に溜めてある湯を流しません。
なお、日本の風呂場には洗い場がないタイプの風呂場もあります。洗い場がない場合は、湯船のなかで全身を洗っても問題ありません。一般的にはこれを「ユニットバス」と呼び、一つの部屋のなかに湯船とトイレが設置されています。湯船のなかで全身を洗う場合は、海外の習慣と同様に入浴後はお湯を流しましょう。
コミュニケーションの取り方
日本人はコミュニケーションの取り方の一つとして、あいづちを多く打ちながら相手の話を聞く習慣があります。これは、「あなたの話をきちんと聞いています」という意思表示をするためです。「あいづちを多く打つのは相手に失礼だ」と、考える外国人の方も多くいるでしょう。しかし、日本人と会話をするときは、積極的にあいづちを打つほうが好印象なのです。
ほかにも、「自分の気持ちを明確に伝えない」「相手の気持ちを思い図る」といった文化があるため、日本人の本心は分かりづらいと感じる外国人の方も多くいます。たとえば、「いいえ」の気持ちを込めて「はい」と言い、言われた人がそれを汲み取ることもあるでしょう。また、日本人は謝罪するときだけでなく、感謝の気持ちを表すときにも「すみません」を使用します。そのため、使用する場面によって、相手がどのような気持ちなのかをお互いに予想しながら会話をしているのです。
海外では近くにいる見知らぬ人と雑談をして、気軽にコミュニケーションを取る人が多くいます。しかし、気軽に他人に話しかける習慣がある日本人はあまりいません。
物価が高い
日本で生活するうえで、物価が高いことに驚く方も多くいるでしょう。独立行政法人日本学生支援機構が行った「令和元年度私費外国人留学生生活実態調査」によると、外国人留学生が日本で生活するには1ヶ月で10万円前後の費用が掛かることが分かりました。詳しい内訳は以下のとおりです。
・住居費…全国平均3万5,000円、東京4万5,000円
・食費…全国平均2万8,000円、東京3万円
・電気、ガス、水道料金…全国平均7,000円、東京7,000円
・通学費…全国平均5,000円、東京6,000円
・保険、医療費…全国平均3,000円、東京3,000円
・趣味、娯楽費…全国平均6,000円、東京8,000円
・その他の日常的な経費…全国平均9,000円、東京1万円
このほか、学生は毎月、学習研究費(全国平均4万5,000円、東京4万5,000円)が掛かります。すると、1ヶ月の出費は約15万円です。日本の都市部で生活するには、欧米よりも予算が必要という声もあります。
参照元 日本留学情報サイト「令和元年度私費外国人留学生生活実態調査」
日本企業の労働環境
多くの日本企業では自己負担が基本である海外とは異なり、従業員に対する待遇の一つとして交通費が支給されます。ほかにも、残業や飲み会に対する考え方の違いに驚く方も多くいるようです。以下で、解説するので日本企業で働くときの参考にしてください。
交通費
日本では正規雇用の方はもちろん、派遣社員やアルバイトなど非正規雇用の方に対しても交通費が支給される場合がほとんどです。そのため、自宅から会社までの距離が多少遠くても、電車やバスなどを利用して通勤する方が多くいます。ただし、1ヶ月に支給される交通費には上限を設けている企業もあるので、確認が必要です。
解雇や退職
日本企業の解雇の流れに驚く外国人もいるようです。日本では、企業側が従業員を解雇する際、解雇の予告から30日以上の猶予を持つよう法律で定められています。そのため、従業員は解雇予告を受けたとしても、最低30日間は出社可能です。もし、解雇の30日前までに解雇予告がなかった場合は、企業から30日分以上の平均賃金が受け取れます。
自主退職するときも、基本的には申し出たその日に退職することはできません。ほかの人に仕事を引き継いだり、新たな人材を確保したりする必要があるからです。そのため、企業ごとに「退職の際は▲週間以上前に会社へ申し出るように」就業規則で定めています。
残業
日本では残業をすることに対し抵抗を感じない人も多くいます。なかには、「残業する人=熱意がある人」といったポジティブな見方をする人もいるようです。しかし、近年は従業員の心身の負担を軽減するため、以前に比べると残業や長時間労働を認めない企業も増えています。それにともない、近年では「残業をしたくない」「定時に帰るのが当然」と考える日本人も増加しつつあるようです。
飲み会
日本人が就労後に飲み会を開催するのは、一緒にお酒を飲むことをコミュニケーションの一つと考える習慣があるからです。外国人の方のなかには、「プライベートな時間を割いてまで、なぜ頻繁に仕事の関係者と飲食を共にするのだろう?」と疑問に感じる方もいるでしょう。日本人にとって飲み会は、上司に仕事の相談をしたり、より深い人間関係を構築したりする場として考えられています。そのため、頻繁に飲み会を開催する企業があるのです。しかし、近年では海外の方の同じような疑問を感じ、飲み会に参加しない日本人も増えています。
日本文化に興味のある外国人の方には、「日本文化の特徴をまとめて紹介!外国人向けに西洋文化との違いを解説」のコラムもおすすめです。日本文化の特徴や西洋文化との違い、外国人が驚きがちな日本文化について知ることができます。
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外国人から見た日本人の特徴
外国人から見ると、日本人は「本音が分かりづらい」「親切で優しい」といった特徴があるようです。
感情や本音が分かりづらい
日本人は外国人と比べ、怒りや喜びなどの感情を大きく表現しない文化があるため、どのように感じているのかが相手に伝わりづらいという特徴があります。また、自分の意思を明確に伝えないことも多く、場合によっては意思とは真逆の言葉を言うこともあるのです。たとえば、手土産を渡すときに日本人は、「とても良い物なので差し上げます」とはあまり言いません。本心では「高価な物なのだからきっと気に入るはずだ」と思っていたとしても、「つまらない物ですが…」や「気に入るかどうか分かりませんが…」と謙遜した言い方をします。これらは、感情や本音を表に出さないことを美徳とする日本の文化が背景にあるからです。
親切で優しい
「道を聞いたときに案内してくれた」「財布を落としたが交番に届けられていた」など、日本人を親切で優しいと感じる外国人が多くいます。日本人はシャイな一面はあるものの、困っている人がいたら手を差し伸べ、相手が喜ぶ「おもてなし」をしたいと考える特徴があります。
日本での生活で気を付けること
日本での生活では、以下に挙げることに気を付けましょう。
・チップの習慣はないので渡さない
・土足禁止の室内に入るときは靴を脱ぐ
・公共の場で大きな声を出さない
・電車やバスのなかでは、携帯電話やスマートフォンで通話をしない
・列に並ぶときは順番を守りきちんと整列する
・ゴミはゴミ箱に捨てる(ゴミ箱がなければ持ち帰る)
・信号無視をしない
・落とし物を見つけたら交番へ届ける
ほかにも、お箸の使い方で気を付けるべきマナーとして、「食べ物を真っすぐ上から刺してはいけない」「一つの食べ物を2人以上で挟んではいけない」などがあります。
「日本特有のマナーとは?外国人に向けて食事や仕事する際の行儀・作法を紹介」では、日常生活でのマナーをはじめ、食事マナーやビジネスマナーについて解説しています。このコラムを参考に日本特有のマナーを学んで、日本への理解を深めましょう。
まとめ
日本での生活で外国人が驚くといわれているのは、「室内では靴を脱ぐ」「サービスを受けるのにチップを渡さない」「物価が高い」などが代表的です。ほかにも、食事の際のマナーやコミュニケーションの取り方など、日本人と外国人では異なる点がいくつもあります。日本人の言動や行動を理解するには、背景にある文化や習慣を知ると良いでしょう。
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