ノーベル賞を受賞した日本人について知りたい外国人もいるでしょう。日本人で初めてノーベル賞を受賞した人物は湯川秀樹氏です。1949年から2021年の間に、湯川秀樹氏に続き多くの日本人がノーベル賞を受賞しています。このコラムでは、日本人のノーベル賞受賞者を年代ごとに紹介。各受賞者の功績もまとめているので、参考にしてノーベル賞受賞者に関する知識を深めましょう。
目次
ノーベル賞とは?
ノーベル賞とは、人類に最大の貢献をもたらした人々に贈られる賞のことです。スウェーデンの発明家であるアルフレッド・ノーベルの遺言をもとに創設されました。ノーベル賞の種類は「医学・生理学」「物理学」「化学」「経済学」「平和」「文学」です。ノーベル医学・生理学賞とノーベル物理学賞、ノーベル化学賞はそれぞれの分野で偉大な発見や発明をした人に与えられます。ノーベル経済学賞は、家計や企業の経済の仕組みや国の経済活動などの研究に貢献した人が対象です。ノーベル平和賞は、政府間や民間が行う「平和会議」の開催に貢献した人や国と国との友好関係を推進した人に与えられます。ノーベル文学賞は、文学の分野において最も良い作品を生み出した人に与えられる賞です。小説や戯曲などの文学作品だけでなく、歌詞もノーベル文学賞の対象になります。
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ノーベル賞を受賞した日本人を紹介【1949年~1994年】
ここでは、1949年から1994年までの間でノーベル賞を受賞した日本人を紹介します。
湯川秀樹(ゆかわひでき)
1949年に日本人初のノーベル賞を受賞した人物です。原子核の陽子と中性子を結合させる中間子の存在を予言し、ノーベル物理学賞を受賞しました。
朝永振一郎(ともながしんいちろう)
素粒子物理学を中心とした理論的な物理学の研究に貢献した人物です。「場の理論」と「相対性理論」の関係を明確に捉える「超多時間理論」を発表。その後、超多時間理論を発展させた「くりこみ理論」を完成させ、1965年にノーベル物理学賞を受賞しました。
川端康成(かわばたやすなり)
1968年に日本人初のノーベル文学賞を受賞した人物です。代表作には「伊豆の踊子」や「雪国」などがあります。
江崎玲於奈(えさきれおな)
「半導体におけるトンネル現象の実験的実現」により、1973年にノーベル物理学賞を受賞しました。量子力学で使われていたトンネル効果を初めて固体で実証した人物です。
佐藤栄作(さとうえいさく)
核兵器を「持たず・つくらず・持ち込ませず」という非核三原則を提唱した人物です。1974年にアジア初のノーベル平和賞を受賞しました。
福井謙一(ふくいけんいち)
1981年に日本初のノーベル化学賞を受賞した人物です。化学反応過程の理論的研究を行い、化学反応と分子の電子状態にまつわる「フロンティア軌道理論」を発表しました。
利根川進(とねがわすすむ)
1987年に日本人初のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。「抗体の多様性生成の遺伝的原理」を発見した生物学者です。
大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1994年にノーベル文学賞を受賞した人物です。代表作には「飼育」「万延元年のフットボール」「個人的な体験」「新しい人よ眼ざめよ」などがあります。
ノーベル文学賞を受賞した作家や、日本が誇る日本文学についてさらに詳しく知りたい方は「日本文学とは?概要や名作を外国人に解説!時代ごとの代表作も紹介」のコラムもぜひご一読ください。
ノーベル賞を受賞した日本人を紹介【2000年~2021年】
ここでは、2000年から2021年までの間でノーベル賞を受賞した日本人を紹介します。
白川英樹(しらかわひでき)
「導電性高分子の発見と発展」により、2000年にノーベル化学賞を受賞した人物です。電気を通すプラスチックである「ポリアセチレン」を発見しました。
野依良治(のよりりょうじ)
湯川秀樹氏のノーベル賞受賞の影響で科学に興味を持ち、2001年にノーベル化学賞を受賞。「キラル触媒による不斉反応の研究」が評価されました。
小柴昌俊(こしばまさとし)
素粒子を観測する装置であるカミオカンデで、世界で初めて素粒子ニュートリノを観測したことによりノーベル物理学賞を受賞しました。
田中耕一(たなかこういち)
「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」により、2002年にノーベル化学賞を受賞しました。同じ年に出身大学である東北大学の名誉博士号を受けています。
南部陽一郎(なんぶよういちろう)
素粒子物理学における「自発的対称性の破れ」の発見により、2008年にノーベル物理学賞を受賞した人物です。
小林誠(こばやしまこと)
素粒子理論の研究し、益川敏英氏と合同で「CP対称性の破れ」について説明した「小林・益川理論」を提唱しました。自身と益川氏の名前が付けられた「CKM行列(Cabibbo-Kobayashi-Maskawamatrix)」も有名です。
益川敏英(ますかわとしひで)
小林誠氏とともに「CP対称性の破れ」について説明した「小林・益川理論」を提唱。「小林・益川理論」が認められたことにより、ノーベル物理学賞を受賞しました。
下村脩(しもむらおさむ)
緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見により、2008年にノーベル化学賞を受賞しました。生命科学への貢献も認められています。
根岸英一(ねぎしえいいち)
鈴木章氏とともに有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング反応を開発し、2010年にノーベル化学賞を受賞。同年の10月には「帝人グループ名誉フェロー」に就任しています。
鈴木章(すずきあきら)
1979年に助手である宮浦憲夫氏とともに「鈴木・宮浦クロスカップリング反応」を発表。2010年に根岸英一氏と共同で研究した「有機合成におけるパラジウム触媒を用いたクロスカップリング」により、ノーベル化学賞を受賞しました。
山中伸弥(やまなかしんや)
2012年にiPS細胞の開発を成功させて、ノーベル生理学・医学賞を受賞した人物です。イギリスの生物学者であるジョン・ガードン氏とともに、成熟した細胞を多能性を持つ細胞に初期化できることを発見しました。
赤﨑勇(あかさきいさむ)
ほかの研究者達が断念した窒化ガリウムの研究に取り組み、世界で初めて青色発光ダイオードを発明。2014年にノーベル物理学賞を受賞しました。
天野浩(あまのひろし)
青色発光ダイオードの発明により、赤﨑勇氏と中村修二氏とともにノーベル物理学賞を受賞。名古屋大学で窒化ガリウムの結晶化の研究をして、1985年に結晶の製造を成功させました。
中村修二(なかむらしゅうじ)
赤﨑勇氏と天野浩氏とともにノーベル物理学賞を受賞した人物です。青色発光ダイオードの研究を行うためにフロリダ大学へ留学し、帰国後は窒化物系材料を使用した青色発光ダイオードの研究開発に取り組みました。
大村智(おおむらさとし)
熱帯地域の寄生虫が原因となる病気の治療法を発見し、2015年にノーベル医学・生理学賞を受賞。細菌が出す化合物をアメリカの製薬会社とともに改良し、寄生虫が原因で発症する病気の治療薬を作りました。
梶田隆章(かじたたかあき)
ニュートリノ振動の発見により、2015年にノーベル物理学賞を受賞しました。2002年に同じ賞を受賞した小柴昌俊氏は梶田隆章氏の恩師です。
大隅良典(おおすみよしのり)
餓死状態の細胞が自分のタンパク質を食べて栄養源にする「オートファジー(自食作用)」の存在を明らかにしたことにより、2016年にノーベル医学・生理学賞を受しました。
本庶佑(ほんじょうたすく)
免疫を抑える働きをなくして癌を治療する方法を発見し、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。アメリカの免疫学者であるジェームズ・アリソン氏とともに受賞しています。
吉野彰(よしのあきら)
リチウムイオン電池の開発に成功し、2019年にノーベル化学賞を受賞。アメリカの化学者であるスタンリー・ウィッティンガム氏と、物理学者のジョン・グッドイナフ氏とともに受賞しました。
真鍋淑郎(まなべしゅくろう)
地球の気候をコンピューターで再現する方法を開発し、地球温暖化の研究に貢献したことにより2021年にノーベル物理学賞を受賞。ドイツの気象学者であるクラウス・ハッセルマン氏と、イタリアの物理学者のジョルジオ・パリシ氏とともに受賞しました。
まとめ
ノーベル賞は、各分野において著しい功績を残した人に贈られる国際的な賞です。1949年から2021年までの間で、28人の日本人がノーベル賞を受賞しています。日本人のノーベル賞受賞者の功績を詳しく知りたい人は、インターネットを通して調べてみると良いでしょう。